『風と翼』制作裏話

 あの『イノセントガーデン』の電撃公開から早三年…!再びカートゥーンのコンテンツがまさかの追加!・・・って、もう三年経つのかよ!!ひ~!
 逆に言えば三年間も放置しているサイトをまだ見てくれる人がいるってのが嬉しいよ。このブログも20万アクセス行ったしな。中には、私ですら忘れている昔の記事とかを再読してくれる人(パキPさんとか)もいて、本当にありがとう。
 でさ、いきなり話が飛ぶんだけどさ、とうとう恐竜ギャラリーが全て埋まったのよ。10年がかりで全80イラスト。ラストはベタにプテラノドンで〆ちゃったんだけど。これも海外の人とかがチェックとかしてくれてありがたかったんだけどね。当面はこれで終わりです。
 で、その余ったリソースが今度は漫画に回せるようになったっていうね。ついに。そのリハビリとして10年前に描いて、アップするのが面倒で放置しっぱなしだった『風と翼』を公開することにしました。

 10年前ってさ、少年マガジン用に短編を量産してた時代でさ。もう塑像乱造がひどくて、やりたい放題やって迷走した挙句、最後に『80日間宇宙一周』が出て来るってのが面白いんだけど。
 そのひとつ前に描いたのが、この漫画なんだ。この漫画ってさ、設定がすごい難産だったってのを覚えてて、なぜならちょっと前に中世ヨーロッパの漫画の『ラストパーティ』をやってて、要は時代劇かぶりをしてたわけよ。
 で、どうやって差別化するかすごい苦しんだんだ。忍者の国を守る天正伊賀の乱をベースにした奴がやりたかったんだけど、どうにも戦国時代って感情移入が難しくて、だってさ、基本的人権がない世界なわけじゃん。
 そんな世界に違和感なく没入できるやつってサイコパスだけというか、まともな現代人の読者だったら抵抗を感じるはずなんだよ。これが参ってさ。

 天正伊賀の乱ってさ、ネタバレするとさ、結局織田信長が伊賀忍者を蹴散らしちゃうんだよ。それだけ聞くと、やっぱりあの天魔王は残虐だなって感じがするけどさ、伊賀忍者もかなりヤバイ集団で、本当にてめえら人の命をなんだと思ってんだくらいのこと平気でやってるのよ。
 対立する勢力の双方に自分の忍びを派遣して殺し合わせちゃったりしてさ。とてもじゃないけど、こいつらを主人公にしても、がんばれ伊賀忍者!とか、織田信長に負けるな!ってならないわけよ。
 で、すっごい悩んで、専守防衛をモットーとする忍者のもうひとつの勢力の甲賀忍者の話にしようと。でも、翼ちゃんとか、もうキャラ設定とかデザインしちゃってて、この子を没にするのはけっこうもったいないな、と。
 じゃあ、甲賀の忍者にしちゃえ、あ、でも甲賀ってくノ一がいないんだよな、なら移籍させようってことにしました。

 さらに、時代設定もさ、スーファミからの『がんばれゴエモン』みたいに、現代的なテイストのある時代劇を考えてたんだけど、それだと『ラストパーティ』とあんまり差別化できないってことに気づいて、をやってみたんだ。
 つまり、時代劇テイストの現代劇っていうね。これって意外と新しいんじゃないかってことで採用したんだ。利潤追求主義が跳梁跋扈し、年間の自殺者が三万人も出る現代の日本も、考えようによっちゃあ戦国時代と言えなくもないし。
 しかし、冒頭のシーンなんかは、今だと日大アメフト部の問題なんかに通じるけど、当時は朝青龍の八百長問題だったんだよねwこの時の講談社本社ビルは、いろいろあって警備が厳重だったのを覚えています。

「風間カイト」
モデルは風魔小太郎。そのためか結構背が高い。おそらくダルビッシュくらい。自分の漫画ではなにげに珍しい運動神経がいい主人公。
頭は悪いんだけど、けっこういい人というか、優しい人っていう感じにした。日大の問題とか見ると、体育会系ってヒエラルキーが強固な暴力集団なのかって感じもするけど、これはどの分野の世界でもそうだけど、こういう嫌なやつって結構中途半端っていうか、ある程度のレベルになるといい人が多いって感じあるしな。なんかオタクってスポーツマン目の敵にするけどね。偏見はよくないよねっていう。
この漫画ってさ、主役のふたりはどっちもスティグマ(傷)があるんだよね。で、ここら辺は、続きをもし描くことがあったら掘り下げたいんだよね。
カイトくんは小さい頃から親に「横浜ベイスターズのプロ野球選手になれ!」っていう圧力がすごくて、少年野球とかやらされててさ、翼さんはそれこそ、親の百地丹波に冷酷非道なプロの忍者として育てられちゃったわけで。境遇が似てるんだよね。
だからさ、続きはさ、甲賀忍者と伊賀忍者が織田信長と戦うために共闘するんだよね。そうなると翼の親は出てくるよなって。で、むき卵頭領のライバルとしてね。

「百地翼」
モデルは『サガフロンティア』ってRPGゲームの雑魚キャラ。なぜかスライムみたいなポジションに美少女キャラが出てくるんだよw
最後の殺陣を引き立たたせたかったから、すっごい臆病で弱そうに描いた。絶対暴力の世界とは程遠いだろっていう。そう見せといて、結構すごい忍者だったっていう。スポーツ漫画とかでこういう展開多いよね。『カーズ』のドッグ・ハドソンとか。
続編だと、忍者の世界しか知らない彼女が、全然高校生として馴染めない、みたいな展開やりたいね。全然友達ができない!みたいな。普通の女子高生のカルチャーにまるで無知みたいな。

「望月頭領」
モデルは麿赤児さん。『魁!男塾』で江田島塾長をやった人。確かに似ているw
『合い言葉は勇気』の麿赤児さんが好きで、なんか昭和初期の格好しててかっこいいんだよな。帽子とか杖とかが。
ちなみに次作の『80日間宇宙一周』では『合い言葉は勇気』の津川雅彦さんが出てるんだよね。どんだけ好きなんだっていう。
頭に手裏剣刺さってるシーンは描いてて自分で笑ってたなあ。

「長門守」
有名な伊賀忍者の藤林長門守(ふじばやしながとのかみ)から。
恐ろしい殺し屋って設定だったんだけど、ちょっと抜けてるというか、天然みたいになっちゃった。これは全くの想定外です。なんか、全体的にノリがギャグマンガに振りすぎちゃったっていうのはあるよね。それもこれもハゲのせい。

「織田信長」
この続きとして、天正伊賀の乱っぽくなってくんだよね。信長がなんでここまであの土地に執着するのかっていう謎もあるし。
実は、あの土地の土壌に秘密があった、とかね。ウランよりもすごい核兵器がつくれるレアメタルが埋まっててもいいし、あの薬草の調合方法によっては、不老不死の秘薬もできるとかでもいいよな。こういうのってマクガフィンだからね。
でもさ、昨今の米朝首脳会談とか見てるとさ、核問題をやりたいなって感じもある。もう、一部の国だけチート武器持っているのがフリートレード上よくない!みたいに、信長は国連加盟国の数(193発分)だけ核ミサイルを作ってさ、それを全ての国に配分しちゃうみたいな、めちゃくちゃな野望を考えててもいいよな。核の楽市楽座じゃ!みたいな。意味不明か。
ちなみに、信長のモデルは俳優の山崎一さん。柴田勝家は角田信朗さん。丹羽長秀は奇跡のキャスティングとなった小日向文世さんです。

 で、この漫画って設定的に、戦国武将を史実を無視して好きなだけ出せるのがいいよね。北条早雲とか謙信と信玄とか。言ってみれば、戦国武将版のジュラシック・パークだよな。
 でもまあ、今後はカートゥーンの残りの、『優等生学』とか『トカノマン』をアンロックする予定です。目指せコンプリート!(長編の『青春アタック』がかなり厳しいが)
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