識別に知識がいる古典文法
ぱっと見で形が同じでも文法的な由来がちがう例を紹介。
こういうのは、文法書を片手に注意深く現代語訳するものであって、受験対策で活用ごと丸暗記するようなことじゃないと思う。
係助詞
くっついた語を強調する助詞。なくてもいいが、ないとさみしい。
終助詞
文末にくっつき文章を完結させる助詞。「~ぜ」「~かしら」など。
格助詞
体言(主語などの名詞)が他の語とどんな関係かを示す助詞。
接続助詞
前の語と後の語を接続し、前後の語句の意味関係を示す助詞。
なむ
①ナ変動詞の未然形の語尾+推量(意志・婉曲)の助動詞「む」
「我は往なむ。」のように「なむ」の「な」と「む」が由来的には別物というパターン。
この時の「…な」(ナ変動詞)は、「往な」の他にも「去な」と「死な」があり、いずれにせよ「な」が動詞の一部であることに注意。
②強意(完了)の助動詞「ぬ」の未然形+推量(意志・婉曲)の助動詞「む」
こちらも「なむ」の「な」と「む」が由来的には別物というパターンだが、こちらでは「な」の方も助動詞で、助動詞+助動詞という形になっている。
識別方法としては「髪も長くなりなむ。(髪もきっと長くなるだろう)」のように、「なむ」の前に来る語が、完了形の「ぬ」にくっつくために連用形(長く)になっていることである。
③強意の係助詞「なむ」
係助詞とはくっついた語を強調する助詞のこと。
この場合には「難波より、昨日なむ都にまうで来つる。」と文末は連体形(つる)となっている(係り結びの法則)。
ちなみにこの場合は「なむ」をとっても文の意味に変化はない。
④他の文に対しての希望を表す終助詞「なむ」
この場合には「とく参らなむとおぼす。(早く参上してほしいとお思いになる)」のように、「なむ」の前の語が未然形(参ら)になっている。
なり
①ラ行四段活用動詞「なる」の連用形
もっとも分かりやすいタイプ。
「(~に)なる」という意味を表すならばこれ。文節に区切った場合、自立語となる。
「子となり給ふべき人なめり。」など。
②ナリ活用の形容動詞の終止形(または連用形)の語尾
区別の仕方は「庭のさまもあはれなり。」のように「なり」の前の語が一語として独立できないことである。「なり」が込みの形で、庭の状態や様子を表している。
③断定の助動詞「なり」の終止形または連用形
「きはめて愚かなる人なり。」など「~である」と断定するタイプ。
区別の仕方は、「なり」が名詞(人)や連体形(~なもの、~なこと)の後についているかどうか。
④伝聞推定の助動詞「なり」の終止形
「侍従の大納言の御娘なくなりたまひぬなり。」のように伝聞推定(お亡くなりになったようだ)を表すタイプ。
区別の仕方は、「なり」が終止形に続くこと。ただしラ変型活用の語の場合には連体形につく。
同じ助動詞である③と④は接続から区別できない場合がある。
まず「なり」の前がラ変型活用の語で、断定も伝聞推定も連体形に続いてしまう場合。
次に「なり」の前が四段活用動詞もしくは上一段活用動詞で、連体形と終止形の形が同じである場合。
この場合、直前の語が撥音便(ん)、もしくは音声によって判断している場合は伝聞推定である(ほかは断定)。
に
こんなんただの助詞だろって気もするけど、助動詞だったり、動詞や副詞の一部だったりもする。なんと最多の7パターンがある。
①ナ変動詞の連用形の語尾
動詞の一部がたまたま「に」であるパターン。
「死に(しに)」「去に・往に(いに)」など。
②ナリ活用の形容動詞の連用形語尾
「静かにさぶらへ。(静かでございます)」など、形容動詞(静かな)の一部であるパターン。区別の方法は、「に」の前の語が一語で独立しないこと。
③副詞の一部
「すでに死なむとす。(まさに死にそうである)」など、副詞(すでに)の一部であるパターン。用言(死にそう)を修飾していれば、このタイプ。
④完了の助動詞「ぬ」の連用形
「に」の前の語が連用形となっていること(完了の助動詞「ぬ」は連用形に続くため)がポイントである。
⑤断定の助動詞「なり」の連用形
「に」の前の語が体言または連体形(断定の助動詞「なり」は名詞か連体形に続くため)となっていることがポイントである。
⑥格助詞「に」
格助詞とは体言(主語などの名詞)が他の語とどんな関係かを示す助詞のこと。
現代語では、「が」「の」「を」「に」「へ」「と」「より」「から」「で」などで、かなりメジャーなパターン。
「桂川、月の明かきにぞわたる。」など、体言か連体形(明かき)につく。
また、連体形につく場合は「に」の直前で、「人・もの・こと・とき・所」などの体言が省略されている場合(明かき→明るい“時”)がある。
⑦接続助詞「に」
接続助詞とは前の語と後の語を接続し、前後の語句の意味関係を示す助詞。
現代語では、「と」「ば」「ても(でも)」「けれど(けれども)」「が」「のに」「ので」「から」など。
⑥と同じく、体言か連体形につく。順接(舟に乗れの「に」)であるか逆接(梅は咲いたのにウグイスは鳴かないの「に」)であるかは、前後の文脈から判断することになる。
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