日本文法覚え書き③

敬語の学習
敬語には、尊敬語、謙譲語、丁寧語の3つがあり、これは古典でも現代文でも変わらない。
この3つを明確に区別する上で重要なポイントが、敬意の方向である。
文章の構造で言うと、SVOという第3文型があった場合、Vに用いる敬語の種類によって、SとOの人間関係(どちらの身分が上なのか)を判断することができるようになっている。

尊敬語
身分がS>Oの場合に用いる。
つまりVをしているSの身分が高い場合、尊敬語を使って敬意を表す。
古典では、通常「お~になる」「なさる」などと訳す(「たもう」など)。
例えば「おはす」は「いる」の尊敬語で、現代語では「いらっしゃる」という意味である。
「のたまふ」は「言う」の尊敬語で、現代語では「おっしゃる」という意味である。

謙譲語
身分がS<Oの場合に用いる。
つまりVをされているOの身分が高い場合(=VをしているSがへりくだる場合)、謙譲語を使って敬意を表す。
古典では、通常「~差し上げる」などと訳す(「奉る」など)。
例えば「申す」は「言う」の謙譲語で、現代語では「申し上げる」という意味である。
「奉る・参る」は「やる」の謙譲語で「差し上げる」という意味である。

丁寧語
こちらはややメタ的で、語り部や筆者が、聞き手や読者に敬意を表す場合に用いる。
「~です」「~ます」「~ございます」などと訳す。
例えば「侍り」は「あり」の丁寧語で、現代語では「おります」「ございます」という意味である。「候ふ」は「をり」の丁寧語である。こちらも現代語では「おります」「ございます」という意味である。

地の文における敬語
こういった敬意の方向は、作中の台詞だけではなく、地の文からも読みとることができる。
例えば、地の文に尊敬語が使われている場合は“筆者”がSに対して敬意を示していることが分かり、地の文に謙譲語が使われている場合は、“筆者”がOに対して敬意を示していることが分かる。
そして地の文に丁寧語が使われている場合は、“筆者”が“読者”に対して敬意を示していることが分かる。

二方向への敬語
SもOもどちらも身分が高く、どちらにも敬意を示したい場合は「いみじく静かに,公に御文奉りたまふ。」(かぐや姫はたいそう静かに、帝に手紙を差し上げなさいました)などと、手紙を送るかぐや姫に対しては「たまふ」、手紙をもらう天皇に対しては「奉る」を同時に用いることもある。

二重敬語
Sに対してさらに特別な敬意を表したい場合は、「驚か・せ・たまふ」と、尊敬の助動詞「せ」と、尊敬の補助動詞「たまふ」の二つの敬語を重ねて用いる。

用法が複数ある敬語動詞
「奉る」は、基本的には謙譲語で「差し上げる」という意味だが、尊敬語でも使うことがあり「召し上がる、お乗りになる、お召しになる」という意味もある。
また、謙譲語で使う際には、たいていその後に尊敬語の「たまふ」が続き、「たてまつりたまふ」となるが、尊敬語で用いる場合は「奉る」単独のことが多い。
その「給ふ」にも謙譲語と尊敬語が存在する。しかも尊敬語版の「たまふ」は四段活用であるのに対し、謙譲語版の「たまふ」は下二段活用である。
「侍り」と「候ふ」については謙譲語と丁寧語がある。謙譲語では「そばに控えている」という意味になる(それ以外は丁寧語)。
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