令和2年度県立入試理科について

 今年の入試問題は、着実に脱ゆとり&理数教育重視の魔の手が迫っている内容となった。つーかマニアックで普通に難しい。
 1分野はとにかく2分野ですら計算問題が頻出。とても45分では終わらないと思う。出題者は実際にやってみたのだろうか。けっこうなタイムアタック要素あるぞ。
 また、教科書や授業の学習範囲から外れた、まさに受験者の地頭を図るような思考力、応用力が問われる問題が多く、教科書を丸暗記すればある意味済んだセンター試験世代の終焉を高らかに宣言したのであった。
 て、ことで今年は久々に解答を解説しようと思う。ここ数年徐々に難化したなって思ってたけど、それが決定的になった感じがするから。令和世代は大変だ。求められる水準が高いから、かなり落ちこぼれも出て、校内暴力が全国的に頻発し、尾崎豊が再評価され、盗んだバイクで走りだし、金八先生が再放送されるであろう。

大問1(オールジャンル)
毎度お馴染み小問集合。大問に漏れたジャンルがここにぶち込まれる。
ぶっちゃけ全問超簡単で、ここの2×8=16点は全てとっておきたい。言ってみれば、仮面ライダーの「イー」とか言っているモブの戦闘員みたいなやつらだからね。こんなやつらに手間取っちゃまずいわけよ。

大問2(地学3年)
まさかの金星が出題。授業で補講をしといてよかった~!
しかし、問題文に問題あり(問題だけに)。
地球の位置を、ふたご座の位置からおとめ座の位置に変えた(公転を3ヶ月分=90°進めた)のなら、内惑星の金星も3ヶ月進むと受験者は思ってしまうはず(私だ)。そうなると金星の満ち欠けはどうやっても図2(東方最大離角位置=半月状)にはならない。
もちろん、地球の公転を何周もさせれば徐々にズレが大きくなり、図2の位置にはなるのだけど。「地球(カメラ)の位置を移動した」と書いて、あのイラストがあれば、やっぱり3ヶ月後の位置を想定したと思ってしまうよな。
実際に問3で、そういった問題を出題しているわけだし。
ちなみに、金星の公転周期が0.62年ということは、地球の公転速度の1.6倍となり、金星は7ヶ月ちょいで太陽の周りを一周することになる。
つまり、地球が半年(180°)分公転すると、金星はその1.6倍の300°ほど公転を進めるので、宵の明星の最大離角位置から反時計回りに300°進めた位置が答えとなる。
しかしである。中学校の理科の授業では、金星の最大離角約48°はそこまで掘り下げて教えないことが多い。こういうマニアックな知識がないと解けない問題っていうのはどうなんでしょうか。私はマニアックなのでやったけれど。どうでもいいよこんな知識って言ってた気がする。

大問3(物理学2・3年)
白熱電球とLED電球のエネルギー効率を比較する問題。理系的には面白いと思うが、やはりマニアックであることは否めない。
電力量Whは電力W×時間hなので、普通に白熱電球の仕様の60W×2時間=120でよい。
LEDの電力は同じ条件だと7.5Wなので、120Whの電力量はLED電球では何時間分に相当するかは、120÷7.5でだいじょうぶです。
最後の記述問題はジュール熱についての掘り下げた知識がないと結構厳しい。でも、そこまでやると、本当に修羅の道だからな。オームの法則とか熱を考慮すると話は変わってくるからな。

大問4(生物学1年)
植物の分類についての問題だが、キャベツという誰もが知っている野菜を分類するという、生活体験と学校で習う学術的な知識をリンクさせようとした意欲作。
また、コケ植物が土のないところでも生活できる理由など、またまたマニアックな問題もある。コケ植物は水分を「仮根」から吸収するって書いちゃった人多かったんじゃないかなあ。仮根からも吸収するようだけど。

大問5(化学2・3年)
中学3年の中和と中学2年の定比例の法則の地獄のケミカルコラボ問題。

小問1では、水酸化ナトリウムの中和から逃れたあまりの塩酸の量をおさえる必要がある。塩酸が0だと発生した気体(ちなみに水素です)の量は0。塩酸が8だと気体は90なので、塩酸が4では気体は45。

小問5はかなり難しい。
まず、実験(2)の5班の実験ではマグネシウムの酸化は不完全であり、手始めにこのマグネシウムの質量の増加分0.16gの酸素と化合したマグネシウムの質量を求める。
マグネシウムと酸素は3:2で化合するので・・・

3:2=X:0.16
X=0.24

つまり酸化したマグネシウムは、マグネシウム0.45g中の0.24gなので、まだ酸化されていないマグネシウムは0.45-0.24=0.21gとなる。

そして実験(1)の結果より、0.12gのマグネシウムを完全に塩酸で溶かすと、112cm³の水素が発生するため、0.21gのマグネシウムでは・・・

0.12:112=0.21:X
X=196

ふたつの実験を結びつけて解く必要がある、この分野のもろもろをしっかり理解してないと解けないハイレベルな問題。でもたった3点。

大問6(生物学2年)
人体の分野。アンモニアを尿素に変えて無毒化するのは腎臓ではなく肝臓なのに注意。
さらに主な血中の栄養分は小腸から吸収され肝臓に蓄えられる。
特筆すべきは小問3。人体でまさかの計算問題(特に難しくはないが面食らう)。
ヒトの体内には4リットルの血液が流れているという豆知識もあり、マニアックがすぎると思う。出題者楽しいんだろうな。
ちなみに、体循環の始点は大きな筋肉のある左心室。ここから1回の拍動で80ml血液が送り出されるので、4000mlを全て送るには50回の拍動が必要となる。
そして心臓は1分間(60秒)に75回拍動するので、50回の拍動に必要な秒数は・・・

60秒:75回=X秒:50回
X=40秒

大問7(化学1年)
理外の大問でプラスチック。
大問1はスタンダードな密度の計算問題だが、本当に今年は計算ばかりだな。
大問2は読解力がいる。同じ種類のプラスチックなら密度は変わらないため、結局水に沈むことは変わらない。
もちろん同一質量の場合に体積を変化させれば密度も変化するが、よく読むと「体積や質量が異なる」と言っているので、要注意だ。
大問3も思考力を使う。水の密度を下回るプラスチックが水に浮かぶので、ここで区別するプラスチックはポリエチレン(密度0.94~0.97でやや重い)とポリプロピレン(0.90~0.91でやや軽い)で確定。
こいつを区別するためには、ポリエチレンの密度の最低を下回り(つまりポリエチレンより軽く)、ポリプロピレンの密度の最高を上回る(つまりポリプロピレンより重い)、なたね油に沈めてみる。

大問8(地学2年)
みなが忌み嫌う飽和水蒸気量がここで登場。数字アレルギーはここら辺で戦線離脱は否めない。本当に計算問題がしつこい。
小問1は乾湿計の使用方法。乾球よりも濡れている湿球の方が比熱の関係で温度変化が鈍ることに注意。
つまり、乾球の温度が19℃で乾球と湿球の示度の差が2℃なら、湿球は17℃。

小問2は、露点の水蒸気量が、その部屋にある水蒸気量なのだが、部屋の体積350m²を最後にかけるのに注意。まあ、これは割とベタな問題だけど。

小問4は、やっぱり思考力がいる。マジカル頭脳パワー(古い)みたいになってきたけど。
2組の湿度が42%で、気温が28℃なら露点は28℃より小さいのは確定(もし露点が28℃なら湿度は100%でビショビショなはず)。
そして、1組の気温が20℃で湿度が42%、露点が6℃なら、気温が28℃で高いのに同じ湿度な2組の水蒸気のほうが多いはずなので、露点は6℃より大きい。

大問9(物理学1年)
群馬県の前期日程でも出たアルキメデスの原理がフィナーレを飾った(流行っているのか?)。
こうなってくると、「浮力は物体を沈めた体積に比例する」はマストとしてしっかり暗記させちゃったほうがいいのかもしれない。
つまり、浮力は物体が完全に沈んだ時点で、それ以上は大きくはならず(体積が変化しないため)、水圧と違って、浮力は水深には比例しないことになる。
そして、0.3Nの容器が水面に浮いている場合の浮力は、容器の重さをすべて支えているため0.3Nである。もちろんその時でも物体には重力はかかっています。
最終問題の小問4では、水面に浮く物体を水中にムリヤリ沈める装置に滑車を使っているが、これは定滑車なので一切無視だ!
ちなみに、物体を引っ張る力は0.2Nでストップしているため、この物体が完全に沈んだ時の浮力の大きさは0.3N(水面で静止している時の浮力)+0.2(完全に沈めるのに必要な力)の0.5Nであることも分かる。

 いや~これ、制限時間の45分で100点取る人はバケモンだと思う。そして、学年複合問題が出題されるようになって、いよいよ受験対策のレベルが一段階上がった気がします。
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