てっきりすでに記事にされていると思ったら、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の間違いだった。
南北戦争(1861)
アメリカ史上最も多くの戦死者(60万人以上=WW2の2倍!)を出した4年もの内戦。
1960年に奴隷制拡大(廃止ではない!)に反対する共和党のリンカーンが大統領に就任すると、奴隷制を維持したい南部は合衆国から離脱してしまう。
その翌年にリンカーンが南部連合は法的に無効と宣言すると、南部連合軍はサウスカロライナ州のサムター要塞を砲撃。これにより南北戦争が始まった。
両陣営のデータ
北軍:アメリカ合衆国(USA)
23州2200万人が所属。人口も多く、武器弾薬を作る施設やそれを運ぶ鉄道網も豊富。
リーダーはエイブラハム・リンカーン。ユリシーズ・グラント将軍。
商工業を中心に発展し、イギリスの工業製品と競争するため保護貿易を主張。
黒人は奴隷ではなく、教育を施し労働力、消費者として経済を支えてもらいたい(産業資本主義)。
連邦政府の権限拡大(中央集権)を支持。
南軍:アメリカ連合国(CSA)
11州900万人が所属(内黒人350万人)。人口や物資では劣るものの、地理的条件が有利で北軍を領地から追い出しさえすれば独立が勝ち取れた。また、ロバート・リー、トーマス・ジャクソン(ストーンウォール)など百戦錬磨の軍人が多かった。
リーダーはジェファーソン・デイビス(個人的には奴隷制自体には反対だった)。リー将軍は最後まで離脱をためらったバージニア州に忠誠を尽くす形で南軍に。
奴隷制綿花プランテーションを中心に発展し、綿花製品の輸出を増やすため自由貿易を主張(このためイギリスやフランスが支援していた)。
黒人奴隷を基盤とした古代ギリシャのような貴族主義的ライフスタイル(準貴族主義大農園体制)を維持したい。
州政府の権限拡大(地方分権)を支持。
西部
新しい州として出来た際には、北と南どちらにつくかで揉めることに。
ポイントとなる法律
合衆国憲法(1787作成、1788発行)
世界最古の成文憲法。
最初にできた前文~第7条は政府の仕組みを規定しただけ。
その後、修正条項で主権者の自由や権利を規定。修正条項は加筆といったイメージで、そのため合衆国憲法はパッチワーク式と言われる。
修正1~10条(1789提案)
独立宣言起草者のトーマス・ジェファーソンらが中央政府の専制になる危険性を考慮し、権利章典としてまとめて規定された。
精神の自由、武装権、身体の自由、陪審制度などが規定。
修正13条(1865)
奴隷制の廃止。
修正14条(1868)
法の下の平等の侵害禁止。
修正15条(1870)
黒人の選挙権を規定。
ミズーリ協定(1820)
奴隷州と自由州の数のバランスをとるため、ミズーリ州を奴隷州にする代わりに、マサチューセッツ州からメイン州を自由州として独立させたことに由来。
その後は、北緯36度30分より北に新たにできる州は奴隷州にできないようにした。
カンザス=ネブラスカ法(1854)
新たな州を奴隷州にするか自由州にするかは住民の判断で決めるという法律。ミズーリ協定を否定。これに反対するかたちで結党されたのが共和党。
この法律を決めたのは、リンカーンの大統領選挙戦のライバルで「小さな巨人」と呼ばれる民主党のダグラス。後に南北戦争化ではリンカーンを応援するが病死してしまう。
ドレッド=スコット判決(1857)
ミズーリ協定を違憲とする判決。ドレッド=スコットとは黒人奴隷の名前で、自由州に住んでたことから自由黒人であると裁判に訴えた。
結論から言うと、黒人奴隷は財産なので、奴隷解放は所有者の財産権の侵害に当たるとした。
ホームステッド法(1862)
21歳以上の人に公有地をレンタルし、開拓をしてくれれば65ヘクタール(65万平方メートル)の土地を無償でプレゼントするという、墾田永年私財法みたいな法律。
西部の開拓者を北軍の味方につけたかったリンカーンが公布した。これにより西部開拓がさらに加速した。
奴隷解放宣言(1863)
南北戦争の大義は奴隷の解放にあると宣言した。もともとは南部の離脱阻止で始まった戦争だったが、北部の支持を得るため。
ゲティスバーグ演説(1863)
ゲティスバーグの戦いは、開戦以来苦戦を強いられていた北軍が戦況を逆転させた戦いで、南北戦争最大の戦いである(死傷者は4万人)。ここに作られた戦没者墓地でリンカーンは有名な演説をした。
実は映画『リンカーン』にもあるように、この演説はメインの演説のあとの短いスピーチで、ここまで有名になるとは式典参加者は誰も思っていなかった。
憲法修正第13条(1865)
奴隷制の廃止が確定したが、元黒人奴隷は経済的に自立することが難しく、小作人(シェアクロッパー)として貧しい生活を強いられた。
また、南部では選挙権を制限されるなど、黒人への差別は根強く残った。このような差別が法的に見直されるのは、なんと1964年の公民権法まで待たなければならない。
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