『風と翼:RESET』脚本⑤

IR大阪――深夜12時
闇夜に紛れ、地下の排水管をかけるカイトたち。
不平を言うサラ「くさい!鼻がもげる・・・!」
大道寺「うるせえ、静かにしろ・・・!」
サラ「なんで、ウォンイクはいないのよ・・・!」
大道寺「ジャケットが汚れるのが嫌なんだとよ。
だいたい勝手についてきたのはオメエじゃねえか、安藤と基地で待ってりゃよかったんだよ。」
サラ「まさか、こんなところから侵入するなんて・・・」
大道寺「どうせ、あの翼ちゃんと張り合ってるんだろ、やめとけ。」
サラ「ぶん殴るわよ、大道寺くん」
二人の先で図面を広げて翼と話し合うカイト。
大道寺「しかし、あいつら、潜入のこなれ感がすごいなあ・・・」
サラ「さも当然のようにマンホールに入るもんね・・・」
キャットウォークの上を指差す翼「おそらく、この上が最初の関門だと思います。」
はしごを登るカイト「一体、秀吉はどんなトラップを仕掛けたか・・・」
ハッチを開けるカイト。
カイト「なんだこりゃ・・・」



ハッチの先には、巨大なフェンスがそびえ、そのふもとには大勢の人だかりができている。
「ステージ1受付」と書かれたテントには、ガラの悪い男たちが列を作っている。
ハッチからはい出て周囲を見渡すと、観客やテレビカメラも入っていることに気づく。
カイト「これは・・・まるでテレビ番組だ・・・」
カイトの後ろからはい出てくる3人。
館内アナウンスが入る。
豊臣「腕自慢の泥棒諸君!よくぞお足元の悪いなか、我が風雲大阪城にお越しくださいました!ぜひ、全ステージを突破して、金庫に眠る莫大な財宝と世界一の大泥棒の称号をゲットしてください!」
雄叫びを上げる泥棒たち。
豊臣「石川五右衛門なんかに負けるんじゃねえぞ社会のゴミども!!財宝は先着1名だ!」
オレオレ詐欺師「やってやるぜ~!」
万引き主婦「優勝するわよ!」
車上荒らし「きっとやれる・・・!」
大道寺「秀吉の野郎、ほかの泥棒たちも招待したみてえだな・・・」
サラ「これじゃあ、下水道に潜った意味なかったじゃない!!」
監視カメラがカイトを捉える。
豊臣「おやおや~・・・そこにいるのは石川五右衛門さんじゃありませんか!
受付がお済でない方は、あちらのテントにとっとと急げバカヤロウ!」
参加者の目が一斉にカイトに集まる。
空き巣(・・・!あの青年が石川五右衛門・・・!!)
銀行強盗(ただのガキじゃねえか・・・大したことなさそうだな・・・)
スリ(殺す・・・)
翼「と・・・とりあえず、私たちも受付に行きましょう・・・」
カイト「うん・・・」

受付テント
列に並ぶカイトたち。
係員「申し訳ございません、犯罪歴がない方はご参加いただけません。
ご自身の手配書など、犯罪者であることを証明する書類が必要になります。」
ミスターサスケ「え?ダメなの・・・!?」
カイト「ぼくらも、そんな証明書はもってないですけど・・・」
係員「石川五右衛門様御一行ですね。お待ちしておりました。
エントリーナンバーは824になります。」
ナンバーが割り振られた金属製のエントリーリングを渡される。
サラ「あたしらは顔パスみたいね・・・」
カイト「参加者は、これを手首にはめろってさ。」
リングを付けるサラたち。
サラ「いよいよ本当にテレビ番組になってきたわね・・・」
大道寺「実際に放送されてるんだよ。」
インカムから安藤「しかし、これはお互いにフェアな状況だと思います。」
大道寺「どういうことだ?」

基地でテレビを見る安藤
「先輩たちの様子は今、全国ネットで生中継されています。」

カイト「・・・つまり、秀吉の方も仮に財宝が奪われても、ぼくらにムチャはできない・・・」
翼「逆に、絶対にクリアはできないという自信が向こうにはあるわけです・・・」
大道寺「おもしれえ。」
ファンの取り巻きを引き連れてウォンイク「やあ、無事に到着したみたいだね、待っていたよ・・・」
大道寺「てめえ、こっちはドブの中を潜入したってのに・・・!」
ファン「ウォン様、頑張ってー♥」
ファンに手を振るウォンイク。
ウォンイクにリングを渡すサラ「いいから、あんたもこれをつけなさい!」

カイトの近くに寄ってささやく翼。
「カイトさん・・・」
カイト「・・・ああ・・・秀吉はなんでぼくらが石川五右衛門だと知ってるんだ・・・?」
翼「考えたくはありませんが・・・」
カイト「・・・僕らのチームに内通者がいる・・・?」
サラ、大道寺、ウォンイクの方を見つめるカイトと翼。



IR大阪天守閣
豊臣「富も権力もあり、人生に退屈しているゲストの皆さん。
さあ、いよいよショーの始まりだぜ」
特別ゲストとして石田内閣の面々や各国の代表が招かれている。
バニーガールのディーラー「大阪城へようこそ!
最初のゲームは“ボーダー・ウォール”です。
1万ボルトの電圧をかけたフェンスを越え、向こう側に行けたらステージクリアです。まもなくベットタイムを締め切ります。」
ルイス・フロイスEU大使「つまり、感電死しない挑戦者に賭ければいいのかね」
バニー「ええ、ステージ1での配当金は次回のステージで全額ベットし、転がすことも可能ですよ~」
フロイス「ようし、私は怪盗ルポンに3000ベットだ」
ハドソン米大統領「わしはビリー・ザ・キッドだ!」
石田総理「え、じゃあ私は石川五右衛門に・・・」
大谷官房長官「賭けるんかい・・・」

片桐「では、最初の挑戦者は、群馬県からお越しの滝川一益さんです!」
滝川一益「信長四天王として、これ以上秀吉に好き勝手はさせん!」
滝川を応援しに来ている、柴田と丹羽。
柴田「よっ元忍者!」
丹羽「がんばれ~」
ワイプの豊臣「何年前のこと話してるんだあいつ・・・」
慣れた様子で鍵縄を回す滝川
「こんなフェンスは忍者にとっちゃわけもない・・・」
鍵縄を放り投げ、フェンスのてっぺんに鉤爪を引っ掛ける滝川
滝川「かかった!」
滝川が大ジャンプして、フェンスに脚をかけようとすると、体に大電圧がかかり吹っ飛ぶ。
滝川「ぎゃああああああああ!」
片桐「滝川さん失格です!」
柴田「あいつは我が四天王の中でも最弱・・・」
丹羽「じゃあ、次は柴田さんがやりますか?」
白旗を上げる柴田「秀吉!ギブア~~~ップ!!」

阿鼻叫喚の参加者たち「ふざけんな!
俺たちは電流が流れているなんて聞いてねえぞ!!」
豊臣「害獣の侵入を防ぐにはこれが一番!どうした?全員ギブアップかい。」

サラ「あのおっさん、ふっとんだわよ・・・!」
ウォンイク「犯罪者がひどい目にあうのを楽しむ番組のようだね」
大道寺「悪趣味なやつらだ」
翼と話し合うカイト「どう攻略したものか・・・」
翼「感電さえしなければいいわけですからね。」
大道寺「あの二人、攻略する前提で話してるぜ・・・」

銀行強盗「ガキども・・・俺が見本を見せてやる・・・」
片桐「続いての挑戦者は、東京都からお越しの銀行強盗レッドギャングさんです!
失敗すれば、そのまま逮捕無期懲役ですが、高圧電流をどう攻略しますか?」
「オレを誰だと思ってやがる・・・」
片桐「お~っと、両手両足に絶縁体のゴムを装着だ!」
ほかの参加者「正解はあれか!」
「よし、オレ達もパクろう!」
強盗「て、てめえら、真似するんじゃねえ!著作権侵害だぞ!
くそが、さすが犯罪者どもめ・・・先に超えるのはオレだ!」
ゴムをつけた泥棒たちがフェンスに殺到する。
片桐「お~っと参加者が次々とフェンスを登り・・・」
参加者たち「ぎゃああああああああ」
片桐「感電しました~~~!」
天守閣で大爆笑の豊臣

サラ「ゴムじゃ防げない・・・!?」
大道寺「ゴムは電気を通さないんじゃねえのか」
安藤「絶縁破壊・・・!電圧が高すぎるんだ・・・!」
ウォンイク「見たまえ、犯罪者たちのローストを・・・」
次々に逮捕されていく失格者。
翼「・・・よし。私が行きます。」
サラ「翼ちゃん!!??」
大道寺「さっきの惨劇見てたんじゃねえのか?」
カイト「頼んだ。チームの場合はメンバーがひとりでもクリアすればいいみたいだから」
翼「了解です。」
片桐「なんと、この状況でまだ挑戦者がいます!
エントリーナンバー824、石川五右衛門チームの百地翼さんです!」
豊臣「さあ、本命だ・・・」

フェンスに駆け寄る翼
片桐「お~っと、ゴムもなしになんのためらいもなくフェンスに駆け寄っていく~!」
フェンスに両手両足で飛びつく。
電線にしがみつくが、感電していない翼。
サラ「感電してない!」
大道寺「なるほど、電線のカラスと一緒だ。
1本だけ掴むぶんには、体に電気は流れねえ。」
2本の電線に接触しないように、体を揺すって、次の電線にしがみつく翼。
次のジャンプで、てっぺんの電線に到達し、そのままジャンプで向こう側に降りてしまう。
片桐「五右衛門チーム、ステージ1クリアです!!」
サラ「すごい!!」
石川五右衛門に賭けていたので喜ぶ石田「やった~!!」
豊臣「まあ、これくらいはいけないとね」
Calendar
<< May 2024 >>
SunMonTueWedThuFriSat
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031
search this site.
tags
archives
recent comment
recent trackback
others
にほんブログ村 科学ブログへ にほんブログ村 科学ブログ 恐竜へ カウンター
admin
  • 管理者ページ
  • 記事を書く
  • ログアウト