『青春アタック』脚本⑫大同団結

投票日まであと1日の張り紙。
選挙運動に追い込みをかける両陣営。

校門前
登校する学生全員に握手をするちおり
ちおり「花原さん、私腕がいたい。」
花原「弱音を吐くな!握手の数が票の数・・・!たとえ腕がもげても握手をするのよ。」
乙奈「まったく同じことをブラック芸能事務所がおっしゃっていましたわ・・・
もちろん世論から袋叩きにあって倒産しましたけど。」
花原「・・・え?」
海野「生原さんは小さいから、肩にも負担がかかるのよ・・・」
花原「わかった。いま踏み台を用意するわ・・・」
ちおり「いいよ、わたし頭なでなでしてもらう!」
花原「・・・はあ?」
握手ではなく頭をなでてもらうちおり。
学生「きゃああかわいい!」

生徒会室
緊張して無言の華白崎
「校門前はずいぶんな人だかりですね・・・」
はげます病田「だいじょうぶですよ・・・
華白崎さんが今まで学校のためにやってきたことはみんなが知っています・・・」
華白崎「しかし・・・学校の存続にこだわるあまり・・・私は多くの恨みを買いすぎた・・・
経費節減のために潰した部活動も多い・・・育毛クラブに死せる詩人の会・・・」
ショックを受ける病田「え?私の部活動って潰れてたんですか・・・??」
生徒会室に入ってくる大此木「珍しく弱気じゃねえか・・・お前らしくもねえ」
華白崎「大此木くん・・・」
大此木「お前みたいなやつは最後まで高慢で嫌な奴でいればいいんだ・・・
相手は幼稚園生みたいなやつだぞ・・・何を恐れることがある・・・?」
冷たく笑う華白崎「そうね・・・わたしはあんなポピュリズムには屈しない・・・」

学校の掲示板には、学校新聞が貼られる。
「両候補の得票数は拮抗する見込み」
「すべては明日の立会演説会で決まる――」



体育館
立会演説会
司会の羽毛田校長「それでは、生原陣営から有権者に対して最後のメッセージをどうぞ。」
聴衆からの大歓声と拍手。
さくら先生「この度、生原候補の後援会長を承りました養護教諭の吹雪さくらです・・・」
え~この生原候補は、入学して期間は浅いですが・・・まずかわいい!
小さいからスペースもとらない!以上の点で、生徒会長にはうってつけの人物!
生徒諸君、ぜってえ、投票してくれよな!」
海野「内容がカルピスより薄い・・・」
花原「ひ・・・ひどい演説だ・・・」

羽毛田「せ・・・政策面ではなにかございますでしょうか・・・?」
さくら「・・・へ?ちおりん、なんかある??」
ちおり「楽しい学校、あかるい教室、美味しい給食!」
羽毛田「もう少し具体的に・・・」
ちおり「ん~むずかしくてよくわかんない。」
さくら「さすが生原先生、まさにそれが政治の真実・・・!
結局は、シンプルな問題をみんなで難しくしちゃっているのよ。」
病田「あ・・・あの・・・この、高校に給食を導入というのは、予算はどこから・・・」
さくら「出たよ、カネカネカネ・・・政治に金は要らねえんだ!」
ちおり「うん!食べ物はゴミ箱をあさればタダで・・・」
ごまかすさくら「先生、もうこの辺で・・・!うっふ~ん♡」

羽毛田「で・・・では、華白崎候補、お願いします・・・」
登壇する華白崎。
まばらな拍手。
用意した演説原稿に目をやる。
A案とB案、どちらを使うか悩む。

なかなか演説をしない華白崎に戸惑う観衆。
ざわつく。

病田「華白崎さん・・・」
大此木「なにやってんだあいつ・・・」

華白崎「・・・わたしが皆さんに嫌われていることは知ってます・・・
言い訳はしません・・・
確かに学校のためとはいえ、時に非情な判断をすることもあった・・・
事件や事故があるたびに、全校生徒へ募金やボランティアを強制したことは、本当にごめんなさい・・・ああいうことは強制することではなかった・・・
また・・・インフルエンザが流行ったとき、いつも病気がちな病田先生を長期間強制隔離し、国語の授業を混乱させたことも謝罪します・・・病田先生は結局陰性だったし・・・」

4組男子「おいメガネ!生原ちゃんの家を焼いたのもあんたなのか!?」
3組練習生「乙奈先生を週刊誌に売ったのも謝罪してください・・・!」

華白崎「・・・それは・・・」

4組男子「中途半端な謝罪ならするんじゃねえ!」
4組女子「そうよ・・・!火災現場であなたを見かけたって人もいるのよ・・・!」
華白崎に大ブーイングが飛ぶ。
羽毛田「みなさん・・・静粛に・・・」

舞台に上がる乙奈「・・・静まりなさい・・・!」
舞台上のスーパーアイドルに全校生徒が鎮まる。

乙奈「あの火災現場にはわたくしも居合わせました・・・
教会の近くでしたから・・・
それなら、わたくしも共犯ですか?」
3組練習生「乙奈先生が放火をするわけ・・・」
乙奈「では、華白崎さんは放火するのですか・・・?
華白崎さんはボランティアで貧しい方々に奉仕活動を行っていました・・・
みなさんにも呼び掛けていましたが、誰も参加しなかったのでご存じないでしょう・・・
あの日も・・・華白崎さんは真っ先にホームレスの方々を救助していましたわ・・・」
舞台袖から出てくる花原「私も証言する。
ちおりの家を焼いたのは暴徒化したリストラサラリーマンよ・・・」
3組練習生「じゃあ、週刊誌の件は・・・」
花原「ああ、あれも絶対華白崎さんじゃないわ。命かける。」
4組男子「どうしてそこまで言い切れるんだ!」
花原「あのネタを週刊誌に売ったの、あたしだもん。
あの10万円の謝礼金で年を越せたわ~」
ドン引きする全校生徒「・・・・・・。」
その直後花原めがけてゴミが飛んでくる。
全校生徒「この人間のクズが~~!!」
花原「あの翼ちゃんが乙奈さんだって分からなかったのよ・・・!許して・・・!!」

グダグダになって立会演説会は終わる。
羽毛田「ええ、では、昼休みから投票を受け付けますので、よろしくお願いします・・・」
海野と乙奈に抱きかかえられながら、べそをかいて出ていく花原。

全校生徒が帰った体育館。
会場を片付ける華白崎
病田「華白崎さん・・・なぜB案を使わなかったんですか・・・?」
華白崎「・・・恥ずかしくなっちゃったのよ・・・
病田先生・・・私なんかについてくれてありがとう・・・
やるべきことはやりました。投開票を楽しみにしましょう・・・」



学食
生原陣営が食事をとっている。
ブーちゃんがとんかつを揚げている。
ちおり「わ~い!とんかつだ~!」
ついでに揚げパンも上げてくれたブーちゃん。
ちおり「揚げパンまで・・・うれし~!!」
乙奈「花原選対委員長は・・・?」
さくら「校長先生から厳重注意を受けて早退したらしいわよん・・・」
乙奈「あらあら・・・わたくしは、もう気にしておりませんのに・・・」
さくら「あの時はマスコミのメディアスクラムで全授業がストップしたからね~」
学食に駆けてくる海野「開票速報が出たわ!!」

「投票率99.5%
生原血織(新)・・・123当
華白崎桐子(現)・・・28落」

ちおり「ばんざーい!ばんざーい!!」
シャンパンを開けるさくら
海野「生原会長おめでとう!!」

お通夜状態の生徒会室
記者会見を受ける華白崎
「今日まで私を支えてくれた有権者の皆さんとスタッフに感謝します・・・
この結果は一重に私の力不足によるもの・・・
生原新生徒会長にエールを送りたいと思います・・・」



投票をした学生にインタビューをする放送委員会
「生原さんを選んだ理由は?」
学生A「やっぱり、見た目がかわいいし・・・
華白崎さんは確かに学校に貢献したとは思うけど・・・
正直見た目が・・・くそ真面目・・・って感じで・・・」
学生B「端的に言うと、ブスだよな!」
リポーター「有権者は政策の内容ではなく、見た目で候補者を決める・・・
民主主義の現実が垣間見えた選挙戦でした。現場からは以上です!」



生徒会室
華白崎のスタッフが段ボールに荷物を詰め部屋から出ていく。
ちおり「うお~今日からここに住んでいいの?」
病田「こちらが会長室のカギになります・・・」
ちおり「わ~い!」
手入れされたAO機器を眺める
海野「すごい・・・職員室よりも設備がしっかりしてる・・・」
病田「それと・・・これも差し上げます・・・
華白崎さんのもう一つの演説原稿です・・・
こちらの方が、華白崎さんの想いが伝わって好きだったんですけどね・・・」
原稿を受け取る海野「・・・。」
ちおり「海野さん読んで!」
原稿用紙を開く海野
「私はこの学校が好き・・・入学試験も学費もない、この学校が・・・
きっとこれからも不幸な境遇の子どもはたくさん生まれる・・・
この学校は・・・そんな子たちの最後の希望になる・・・
私はその希望を・・・ずっとずっと残していきたい・・・」
病田「生原会長・・・素敵な学校にしてくださいね・・・」



その後・・・
興奮して体育館に入ってくるちおり。
ちおり「ねえ!この学校に広末涼子が来た・・・!」
花原「ちおり・・・それは枯れた柳の幹じゃ・・・」
ちおり「本当だって・・・!」

体育館にショートカットの美少女が入ってくる。
美少女「失礼します・・・」
ちおり「あー!あの子だよ!!」
花原「人気アイドルの次は女優かよ・・・あ・・・本当にヒロスエがいる・・・」
山村「なんと美しき貴婦人・・・我が体育館に何用かな・・・?」
笑う美少女「メガネを外しちゃったから、気づかないんですね・・・山村先輩・・・」
気がつく乙奈「あら・・・」
海野「もしかして・・・」
コンタクトの華白崎「約束通り、チームに入れてもらいますよ・・・」
花原「うそでしょ?・・・華白崎さんなの・・・??」
ちおり「やべー超きゃわわ!!あのメガネ今すぐ捨てたほうがいいよ!」
透明感のある笑顔で笑う華白崎。

こうして、生原ちおりによって白亜高校は統一されたのだった――
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