『青春アタック』脚本㉕銅頭鉄額

イチゴ谷に降っていた雨はいつの間にか弱まっている。
保健室のカーテンを開ける大此木。
「嵐はおさまったみてえだな・・・具合はどうだ大将・・・」
ベッドから起き上がる海野「・・・うん・・・ずいぶんよくなったよ。ありがとう・・・
そういえば・・・試合の方はどうなったんだろう・・・」
大此木「合宿場がまだ賑やかだから、試合が続いているんじゃねーか?
・・・よし、様子を見に行ってやろう・・・」
海野「ありがとう・・・」

傘をさして合宿場に足を運ぶ大此木。
「そうは言ったが・・・もう終わってたりしねえだろうな・・・」
大此木に興奮した様子で駆け寄る病田「た・・・大変です!」

ちおりがサーブを打つ。
ちおり「にゃん!!」
アライがレシーブできない。
観客「うお!いいサーブだ!」

大此木がスコアボードを見る。
「16対13・・・?白亜高校が押してるのか・・・!たった5人で・・・!」

突進でレシーブをするイノセ。
オジカ「リオ打て!!」
理央のアタックをブロックする花原。
観客「ブロックが高い・・・!」
理央「たまげたわね・・・!!」
ちおり「ナイスブロック~!」
花原「見たか!大此木・・・!勝っててバビったか!?」
大此木「・・・バビった・・・」
花原「ブロックは任せなさい!!」

アライがバックアタックを決める。
それをちおりがレシーブする。
ブーちゃんが乙奈にトスを上げる。

大此木「乙奈がアタックだと!?」

理央「オジカくん!アタックはできないんじゃないの?」
オジカ「あいつはできない・・・!」

乙奈が卓球のような横打ちでスパイクを打つ。
オジカ「馬鹿な・・・!」
変なカーブがかかっており、クマガイが怯えて避ける。
クマガイ「怖い・・・!」
観客「サーブ同様、どこに跳ねるかわからない・・・!これは怖い!!」

さくら「元トップアイドルが運動ができないわけがないじゃない・・・
歌って踊ってんのよ・・・?」
山村「むう、名采配だ・・・!花原と乙奈を隣り合わせて前衛においたのは、必ずどちらかが攻撃を繰り出せるからか・・・」

サーブを打つちおり「おりゃー!」
綺麗な打線で相手コートに飛んでいくサーブ。
相手もパスを繋ぎ、理央がアタックをする。
しかし、やはり花原のブロックに阻まれる。
理央「なんですってー!」
観客「またブロックしたぞ!」
ネット越しのボールをひろうオジカ「甘いわ!」
観客「オジカのリバウンドプレイだ!!」
続いてアライがアタックを打つ「次は俺様だー!」
アライのアタックも跳ね返す花原。
オジカが突進する「どけい!俺が決める・・・!」
オジカの角アタックもブロックしてしまう花原。
オジカ「・・・馬鹿な・・・!!」
主審「ピー!」
騒然とする会場。
「うおおおお!角アタックもはねかえしたー!とんでもないブロッカーだ!!」

花原にとびつくちおり「かっこいー!!」
息を切らす花原「はあはあ・・・かっこいいでしょ・・・」
華白崎「花原さん!よくやった!」
花原「は・・・はい!ありがとうございます・・・!!」
華白崎(レシーブで太刀打ちできないあの角アタックを・・・ブロックしたのは大きい・・・!)
理央「あたしもアライくんもオジカくんも・・・みんな止められちゃったよ・・・!」
クマガイ「うわあああもう20点だ・・・!」
理央「オジカくん・・・なにか策はないの・・・?セットを奪われちゃうよ・・・!」
オジカ「くくく・・・安心しろ・・・策はある・・・
審判。タイムアウトだ!」

試合が中断される。

花原「なに?休めるの・・・?」
華白崎「30秒だけですが・・・」
選手たちにスポーツドリンクを配布する山村と病田。
さくら「よーしよくやったおめえら!あの世の海野も喜んでいるぜ!」
山村「そんな悲しい展開ではないぞ・・・」

扇子をあおぐ理央「・・・で、策って?」
オジカ「相手の弱点は花原だ・・・」
理央「いやいや・・・!その花原さんがノリに乗ってるから、追い込まれてるんじゃない!」
アライ「狂ったか、シカ!」
オジカ「・・・馬鹿どもが・・・冷静になれ・・・
あいつのブロックは隙だらけだ・・・我々は高さに騙されているんだ・・・
相手チームでブロックができるのは花原だけだ。
あとは身長が高くない。
つまり、やつがひとりでリードブロックをしているわけだ・・・驚異的な瞬発力でな。
・・・こちらにはアタックが打てるものがたくさんいる・・・なにも順番に戦いに挑まなくてもよいのだ」
アライ「・・・そうか・・・!昔の特撮の敵幹部みたいになってんのか・・・!」

――リードブロックとは、相手アタッカーの攻撃を予測してブロックを行うことである。
基本的には相手のトスコースを見るのだが、それだけにクイック攻撃の反応は難しくなる。
日ソ双璧時代のオリンピックでは、日本代表が「ひかり攻撃」というクイック攻撃でソ連代表を翻弄したことは、日本バレー界の伝説となっている・・・!

オジカ「クマガイ・・・花原のブロックを破れるか?」
クマガイ「・・・やってみます・・・」
アライ「とうとう秘密兵器の登場か。」
万石「くまはもともと夕方から活発になる動物・・・午前中の立ち上がりが遅いのも仕方がないな。」

タイムが終了する。
主審が啼く「ピー!」
オジカ「さあ行くぞ・・・!」
三畳高「おー!!」
さくら「勝負なんて勢い任せよ!このままねじふせろ!」
白亜高「おー!!!」

前衛ポジションにつく花原「さー!かかってきなさい!
ゴマフアザラシでもスマトラサイでもブロックしてやるから!」
オジカ「ローテーションでクマガイを前衛にするぞ・・・!
いくぞ、理央、アライ・・・!」
アライ「おうよ!」
理央「まかせて!」

アライがレシーブする「くそがー!」
オジカ「クマガイトスだ!」
クマガイがトスを上げる「プー!!」
ブロックに入る花原「さーかかってきなさい動物たち・・・!」
すると、理央とアライとオジカの3人全てがアタックモーションに入る。
肝を潰す花原「!!!げ~~~誰が打つの・・・!!??」
アライ「この俺だ~!」
アライにブロックの照準を合わせる花原「なんのー!」
アライ「・・・見事に引っかかったぜ・・・」
花原「・・・え?」
時間差攻撃でオジカが角アタックを決める。
スパイクが顔面に当たり吹っ飛んでいく花原「ぎゃあああああ!!」
華白崎「・・・時間差攻撃・・・!!」
オジカ「本当の戦いはここからだよ姫・・・」

花原が審判のトビに訴える。
花原「審判!あんな卑怯な攻撃ファウルだよ・・・!」
トビ「・・・い・・・いや・・・れっきとした戦術です・・・」
トビに掴みかかる花原「この野郎・・・お前とタカの違いは一体なんなんだよ・・・」
トビ「ぴぴぴぴ!!」
華白崎「花原さん、落ち着いて・・・!!」
乙奈「主審の怒りを買うのは得策じゃありませんわ・・・!」

クマガイが前衛に現れる。
花原「とうとう来たわね・・・くま。」

山村「前衛に有葉、オジカ、クマガイ・・・!三畳高が最も強いパターンだぞ・・・!」
サーブをするため、自分よりも大きいボールを運ぶシマダ「よいしょよいしょ・・・」
花原「あ~はっは!かわいいぞリスー!打ってこー♫」
シマダがサーブを打つ「えい!」

理央「油断してるわね・・・シマダさんは天井サーブの名手よ・・・!」
花原「なんだ、あのサーブ・・・!無駄に高い・・・!!」
華白崎「花原さん!オーバーでレシーブです・・・!」
花原「・・・え?」
オーバーハンドパスができず、顔面で天井サーブを受ける花原。
主審「ピー!」

理央「ナイスサーブ!シマダさん!」
シマダ「へへ・・・」
オジカ「忘れちゃならねえのは、花原は素人だってことだ・・・
シマダよ、どんどん花原を狙っていけ。やつはオーバーができないんだ・・・」

もう一度花原の方へ天井サーブが飛んでくる。
花原「くそーへなちょこサーブめ・・・!調子狂うなあ!」
また、オーバーで失敗し、顔でサーブを受ける。
花原「うぎゃあ」

オジカ「よくやったこれで一点差だ!」
アライ「見たか!」
花原「・・・はい。」
乙奈が花原に耳打ちする。

オジカ「同点に持ちこめ!」
天井サーブを打つシマダ。
花原「あわわわ!・・・ってちょっと待ってアンダー!」
オーバーではなくアンダーでレシーブする花原。
観客「賢い!」
乙奈が花原にトスを上げる。「花原さん・・・!」
アタックする花原「くらっとけ!」
ブロックで跳ね返すクマガイ「えーい!」
花原「・・・!くま・・・!」
リカバーする華白崎「乙奈さん・・・!」
今度は乙奈がアタックする。
乙奈のアタックも巨体を活かしてブロックしてしまうクマガイ。
乙奈「跳ね返されましたわ・・・!」
観客「うおおおお!まるでさっきの花原だ!!」
クマガイ「どうだ!」
花原「う・・・くそ~勝負よ!くま!!」
クマガイ「うけましょう!」
アタックフォームに入る花原「うらー!」
助走コースでかなりアウトをとっている。
乙奈が天井に届くようなトスを上げる。
華白崎「オープン攻撃・・・?!」
とんでもない打点の高さでアタックを打つ花原「この高さならどうだ!!」
ぎりぎりクマガイの爪が届く。
観客「とどいたぞ!!」

理央「こっちコートよ!リバウンドお願い!!」
リバウンドするオジカ。
オジカ「クマガイ撃て!!」
ブロックに入る花原「止めてやる!!」
叫ぶクマガイ「くまー!!」
叫ぶ花原「ひとー!!」
クマガイのアタックをブロックするが、驚異的な力でボールごと後方へ吹き飛ばされる花原。
地面にぶち当たり、回転しながらバウンドしていく花原の巨体。
花原「うわああああああ!!!」

観客「うおおおおお!ついにクマガイがアタックを打った!!なんつー威力だ!!」
コートの外で痙攣している花原。
大此木「・・・あいつだいじょぶか・・・?死んでねえか・・・??」
ちおり「体重72kgの花原さんをふきとばすとは・・・」
花原「そんなにないわよ!!
・・・て、いつつ・・・まだまだ・・・負けないわよ!」

さくら「けっこう根性あるじゃない・・・」
山村「うむ・・・まるで別人だ・・・」
花原「パワーなら私・・・わたしだってくまに大きさは負けてないんだ・・・!」
オジカ「そうかな?クマガイは体重が120kgもあるんだぜ?」
花原「なんですって・・・!?わたし10人分じゃない・・・!」
アライ「なんて見え透いた嘘なんだ・・・!!」

オジカのアタックを止めようとジャンプする花原。
オジカ「また引っかかったな!やはりこいつはクイック攻撃には対応できない・・・!」
クマガイがアタックを決める。

スコアが逆転している。
「白亜高20-三畳高21」

理央「あと4点!これで決まりよ!!」

山村「三畳高はとんでもないものを温存していたな・・・」
さくら「オリンピックでもくまは出てこないからね・・・さ~てどうすっかな・・・」
大此木「クマガイ、オジカ、有葉のフロントラインは最強だ・・・どうするね」

クマガイの前に花原が、オジカの前に華白崎が、理央の前に乙奈がつく。
大此木「マンツーマンブロックだと!!」

理央「時間差攻撃はこれで止められちゃうわね・・・」
オジカ「ふん、この俺の角アタックを広末涼子ごときが止められるかな・・・?」
角を振り回すオジカ。
華白崎「うわ・・・!けっこう角が怖い・・・!!」
華白崎がオジカのアタックをブロックしようとするが、腰が引けてしまい決められてしまう。
華白崎(はあはあ・・・角が怖くて積極的にブロックに行けなかった・・・!
花原さん・・・相当の勇気の持ち主だわ・・・)
花原「どんまい、カッシー・・・!」
大此木「やはり、花原以外に連中のブロックは不可能か・・・?」




雨上がりのイチゴ谷。
獣道をバイクを押しながら歩いている女性ライダー。
「もう試合決まっちゃったかなあ・・・
こんなとこバイクでくるんじゃなかった・・・雨には降られるし・・・」
バイクを三畳高の駐輪場に止める女性。
ヘルメットを脱ぐと、赤く染めたボブカットが風に揺れる。
スポーツ雑誌『月刊スポコン』の記者、病田通代女――
「まったく、さくらは一体どこでバレーをやらせてんのよ・・・」
カメラを構えて、合宿場の扉を開けるつよめ。

するとコートでは人間と野生動物がバレーで激戦を繰り広げている。
つよめ「つーか、さくらは何にバレーをやらせているのよ!!
しかも、せってるし・・・!」
つよめのとなりに現れる海野「本当だ、せってる・・・!」
つよめ「あなたは・・・?」
海野「白亜高校バレー部部長の海野です・・・」
つよめ「・・・部長さんですか・・・わたくし、こういうものです・・・」
名刺をわたすつよめ。
海野「病田って・・・」
つよめ「双子の姉がお世話になってます・・・」
海野「え~!!ぜんぜん似てないんですね・・・」
つよめ「姉は根暗でしょう?
いや~山桜が綺麗だって言うからツーリングがてら取材に来たんですが・・・いきなり嵐にあってびしょびしょですよ・・・で雨宿りしてたら、こんな時間に・・・」
海野「よく、バイクで来れましたね・・・」
つよめ「・・・で海野部長は補欠なんですか・・・?」
海野「・・・え?」

主審「ピー!サブ・スティチュエーション!」
白亜高部員「・・・あ!!」
コートに海野が入る。
華白崎「海野さん!」
花原「もう体は大丈夫なの・・・?」
海野「ええ・・・ごめんね・・・抜けちゃって・・・」
ちおり「わーい!海野さんだ!」
スコアボードを見る海野。
「21対23・・・勝負は決まってない・・・!勝てるよ!!」
一気に士気が上がる白亜高校。
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