『ラストパーティ』脚本㉙

ヨシヒコの自宅
イチカの寝室で娘に絵本を読み聞かせてやるヨシヒコ。
「こうして、お城の竜を退治した勇者はお姫様と結ばれ幸せになりましたとさ・・・
めでたしめでたし・・・」
長女のイチカ「・・・で?」
ヨシヒコ「・・・で??
・・・で?とは・・・??」
イチカ「結婚後の生活はどうなったの?」
ヨシヒコ「こ・・・子どもでも作ったんじゃないかな・・・」
イチカ「それで、この勇者はその後、どんな仕事に就いてお姫様と子どもを食わせるの?」
ヨシヒコ「奥さんの実家が王族だから・・・不労所得が多いんじゃないか・・・?」
イチカ「じゃあ、仕事も家事も子育てもやらなくていいの?」
ヨシヒコ「おそらく・・・召使いがたくさんいるだろうしね・・・」
イチカ「・・・そんな人生つまらない・・・こんなおはなし何もめでたくないわ・・・」
ヨシヒコ「最近の小学生はすごいな・・・そういう批評は国語の授業で教わるのか?」
仕事から帰ってくる桃乃「ただいま~・・・
(寝室に入ってくる)なに?イチカはまだ起きてるの?」
イチカ「おかえりなさい。ママはパパと結婚して人生どうなの?」
桃乃「・・・は?」
絵本を見せるヨシヒコ「ハッピーエンドのその後が気になるんだって・・・」
桃乃「・・・子どもを3人くらい作って、お城で何不自由なく暮らすんじゃないの?」
ヨシヒコ「同じこと言ってる・・・」
イチカ「それって幸せなの?」
イチカをなでる桃乃「幸せだよ。あんたたちがいると退屈しないもの・・・」
イチカ「本当?あたしが生まれてよかった?」
桃乃「もちろん・・・
それに・・・あんたのパパは誰よりもかっこいいのよ・・・」
イチカ「生真面目でつまらないのに?」
桃乃「不真面目で面白いパパが良かった?」
イチカ「そうだけど・・・」
桃乃「パパはね。イチカたちが知らないところでいつも戦っているの。」
イチカ「本当?」
桃乃「本当よ・・・」
イチカ「パパに聞いてるの。」
桃乃&ヨシヒコ「・・・え・・・」

寝ているイチカに毛布をかけるヨシヒコ。
寝室のドアを閉める。

リビング
冷蔵庫から缶ビールを取る桃乃「・・・次の仕事は見つかった?」
食器を洗うヨシヒコ「宮本に頼んでいる・・・」
桃乃「・・・ごめんなさい・・・全部あたしのせいだわ・・・」
ヨシヒコ「あの会長はどうにもならんよ・・・
いいのか?別れた旦那のところに毎晩通っていて・・・」
桃乃「あんなやつ父親だと思ったことなど一度もないわ。
ヨシヒコさんと会った高校時代からね・・・」
流しからコップを持って来てソファに座るヨシヒコ「そんなこと言うなよ・・・
仕事の方は順調か?」
桃乃「え?・・・ええ・・・まあ・・・
でも・・・あなたがいないと淋しいな・・・職場が静かでね・・・」
桃乃にビールをついでもらうヨシヒコ
「ただの生真面目でつまらない男さ・・・」
桃乃「だから退屈しないのよ・・・あなたは会社の不正義を絶対に許さなかった・・・
もうあの暴君を止める者はいない・・・」
ヨシヒコ「島に行くんだな・・・」
桃乃「あなたの代わりはレゲエ・ユーキには無理だから・・・」

深夜
ヨシヒコの家のガレージ
スポーツカーに乗る桃乃「子どもたちにはしばらく出張に行くって言っておいて・・・」
ヨシヒコ「イチカはもう小学3年生だ・・・もう気づいていると思う・・・」
桃乃「でも・・・私はまだ、あの子たちのママでいたいのよ・・・」
ヨシヒコ「困ったことがあったらなんでも言ってくれ・・・いつでも・・・どこでもだ・・・」
桃乃「ありがとう・・・ヨシヒコさんが一番・・・今もね。」
スポーツカーを発進させる桃乃。
車を見送るヨシヒコ。



デスクの電話が鳴る。
受話器を取る結城「は~い・・・ドリームワールド運営本部・・・」
?「くっくっく・・・わしじゃよ・・・」
結城「!会長・・・!!??」
コマキ社総帥:井伊景雅「桃乃がそっちに行くそうじゃの・・・」
白髪の老人が金色のバスタブで酒を飲み、ビキニ美女にお世話をされている。
結城「ええ、現地確認に・・・」
井伊「ドリームワールドはどうなっておる?」
結城「土地収用の交渉を進めているところだけど・・・」
井伊「あんな蛮族に金を払う必要はない。焼き払え。
わしの可愛い娘が到着する前に一切の危険は排除せよ。」
結城「連中を怒らせると面倒くさいわよ。
魔法を使う奴や、火を吐くやつ、石にするやつ、色々いるし…」
井伊「心配するな。貨物船でナパーム弾と毒ガスを10トン送った。
保安部に命じて総攻撃をかけるのじゃ。
交渉に応じた連中はすっかり油断しておる。みな殺しにせい。
失敗は許さんぞ。現地民にうちの桃乃が危害を加えられてみろ。
お前らは全員東京湾の藻屑だ。」
結城「お嬢様のセーフティは保障するわ・・・」
井伊「期待しておるぞ・・・くくく・・・」
電話が切れる。



マジックキングダム
ホーン平原
地面に「井伊会長私設ゴルフ場建設予定地」という立札が突き刺さっている。
そのそばを戦車が通過していく。
戦車を呆然と眺めるオークたち。
オーク「なんだあのカメはブー・・・」

森の中で狩りをするメド。
矢がシカに当たる。
ヘビ女(ラミア)の従者「おみごと・・・!」
従者に弓を渡すメド。
若いヘビ女がメドに近づいてくる「メド様・・・!
大変です!我が領地をコマキ国が攻撃しております・・・!!」
メド「それはあり得ないわ・・・土地収用の交渉は順調だもの。」
ヘビ女「すでに鉄のドラゴンが北の森を焼き払っております・・・!
お逃げ下さい・・・!!」

燃やされているヴァイスシュバルツの森
逃げ惑うモンスター
ミノタウロス「男どもは戦え!子どもは早く防空壕へ逃がすんだ!!」
ハルピュイアたちが羽ばたいて逃げるが、翼に火がつきボトボトと火の中に落下していく。



ウンディーネ地下水路
避難したモンスターたちがゼリーマンを取り囲んで非難している。
メド「コマキ国との交渉役はあんただったわね!どう申し開きするのよ!!」
ゼリーマン「泉の旦那が会社から去ったことで経営方針が変わったらしい・・・
民間企業あるあるだ・・・」
メド「あらそう。・・・殺すわよ・・・」
ゼリーマン「下水道で暮らすのも悪くないぜ?」
メド「冗談じゃない!私は貴族なのよ!!」
オークのガーニー「そうだそうだブー!」
ガーニーを蹴るゼリーマン「おめーはただのブタだろ!」
ガーニー「ぶきょ~!」
メド「いいこと?あの残虐非道な軍隊を止めてくるのよ。さもなきゃ石にして・・・」
ゼリーマン「幸福な王子ってか。」
しっぽのガトリング銃を向けるメド「粉々にしてやる。」
ガーニー「粉々にするブー。」
ガーニーを蹴るゼリーマン。
ガーニー「ぶきょ~!!」



エゼルバルド城
窓から魔物の住処であるヴァイスシュバルツの森を眺めるベオウルフ。
「なんというすさまじき力だ・・・」
戦闘機のナパーム弾頭下で、魔物たちが支配していた深い森が地獄のように燃えている。

会議室のテーブルについている結城
「これでいつでもお外を安全に歩けるわね。」
ベオウルフ「この力があれば、魔王ハデスなど恐れるに足らず・・・」
結城「いつ、あたしたちがブリジットの味方をすると言ったのかしら?」
ベオウルフ「・・・え?」
結城「あんたたちもゲットアウト、マイウェイよ。
この城をあけ渡しなさい。」
テーブルの隅に座っている長門「地域住民はお前らが嫌いだってよ・・・」
ベオウルフ「さんざん村の地上げに協力したのに裏切るのというか・・・!」
長門「もう用済みだということだ・・・」
剣を抜こうとするベオウルフ「おのれ・・・!」
ベオウルフの方に札束を放り投げる結城。
それをすかさず拾うベオウルフ「撤収!!」
引き上げていく甲冑騎士たち。

結城「腐った統治者は話が早いわね。」
長門「まったくだ。」
結城「脅威はまだあるかしら?」
長門「新宿よりも安全さ・・・」
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