『ラストパーティ』脚本㉚

――半年後(現在)
ガリア大陸
魔王の居城ハデス城
玉座に座るハデス「なに・・・?ジルドレイ将軍が敗れただと・・・?」
兵士「は・・・我が軍は壊滅・・・!死者は多数・・・」
ハデス「あの不敗の猛将が・・・信じられぬ・・・
もうよい・・・下がれ・・・」
王の間から出ていく兵士「は!」

兵士がいなくなったのを確認して、脱力する魔王。
ハデス「・・・は~大惨事だ・・・どうしよう・・・」
女性の参謀「・・・お気を確かに、魔王様・・・」
頭を抱えるハデス「これで主力部隊を失った・・・ブリジッドに滅ぼされるのも時間の問題だ・・・」
参謀「和平交渉をするしかありませんわ・・・
ライオンハーテド王を国に返す代わりにブリジッドと講和条約を結ぶのです・・・」
ハデス「それで丸く収まるかな・・・
ライオンハーテドは、半年前のキャッスルヴァニア進攻をまだ僕らの奇襲攻撃だと思っているし・・・」
参謀「それは、この私がパワーポイントで説明したはず・・・」
ハデス「あいつも内心わかっているのさ・・・ただ、それだと開戦の大義名分が立たないだろ?
あいつは大陸領土をどうしても欲しいんだよ・・・」
マッドサイエンティスト風の老人が口を挟む。
大神官イノストランケヴィア3世その人である。
「ライオンハーテド王を魔王にしてはなりませぬ・・・
あの男が魔の力を手に入れたらそれこそ世界は滅亡です。」
ハデス「戦争が好きだからな~あいつは・・・」
参謀「慈悲深いあなた様が魔王のままでいるためにも、ブリジッド王国との和平の道を模索すべきです。」
大神官「レディ・イヤハート・・・あなたは甘すぎます。
好戦的なライオンハーテドがいる限り、この戦争は終わらない・・・
今はVIP待遇でこの城で接待を受けていますが・・・
晩餐の豚の丸焼きにキニーネ系の猛毒を仕込んで、毒殺してはいかがか・・・?」
ハデス「聖職者が考えることか・・・?」
参謀イヤハート「それはなりません・・・!魔王ハデスが無慈悲にも国王を暗殺したとなれば、ブリジッドの民はガリア帝国を絶対に許しません!
それこそ、どちらかが滅ぶまで戦争は続いてしまう・・・!」
大神官「だから不幸にも食あたりで死んだってことで・・・」
イヤハート「タイミング的に絶対に不自然でしょう・・・!」
頭を抱えるハデス「は~・・・どうすればいいんだ・・・!」
大神官「徹底抗戦です!」
イヤハート「平和的共存です!」
ハデス「ちょっと二人同時に喋らないでくれる・・・?」

イヤハート「徹底抗戦と言いますけれど、我が軍の主力部隊はエゼルバルド城の戦いで壊滅したのですよ?今こそ和平交渉の絶好の機会・・・」
大神官「御心配なく。我がラボラトリーで強大な新種の魔物を開発中です。
もはや戦争で人間を戦わせる必要はないのですよ。」
イヤハート「アルバレイク国は同じように巨大な軍馬を品種改良して、制御できず皆殺しにされましたわ。」
大神官「ブリューナク計画が失敗したのは知能が低い馬を用いたこと・・・
私が開発している魔物の学力は早慶上智レベル・・・なにも問題ありません。」
ハデス「まじか・・・偏差値高いな・・・」
大神官「私はあなたをこの戦争に勝たせるために神都すら移転させてきた・・・お忘れなく。」
王の間から出ていく大神官。

ハデスとイヤハートだけになる。
ハデス「あの人も戦争が好きだよな・・・ライオンハーテドと変わらないよ・・・」
イヤハート「多くの人が傷つけば、民は神に救済を求めるからです。」
ハデス「マッチポンプじゃないか・・・」
イヤハート「そのマッチポンプで多くのものが血を流しています・・・」
ハデス「あなたは逆に平和主義者だな。
この戦争を引き起こした責任を感じているのか?
気にするな。どのみち、この戦争は避けられなかった・・・
キャッスルヴァニアの侵攻がなくとも・・・ライオンハーテドは別の口実を探していたさ・・・
そうだろう?コマキ国のプリンセスよ・・・」
イヤハート「・・・・・・。」



エゼルバルド城の中央広場。
戦死した仲間の墓が立っている。
花を手向けて祈るシルビア。
「テスのバカ・・・葬儀屋が先に死んじゃってどうするのよ・・・」
イエヤスの方を向いてゼリーマン
「この広場にメドの石像でも立ててやってくれねえか・・・
この城を守った女神として讃えてやってほしいんだ・・・」
イエヤス「もちろん。」
ヴィンツァー「ヨシヒコさん。この戦争を終わらせに行きましょう・・・
もう、こんなのごめんだ・・・」
ヨシヒコ「同感です。」
ルナ「クレイモア―の発進準備はできています。いつでもご指示を。」
草薙「泉よ、魔王を倒そうぜ。」
ローランド「そして囚われの奥方を救うのだ。」

黒神「ん~っふっふ・・・しかしこの誘拐事件には不可解な点があります・・・」
シルビア「どういうこと?」
黒神「普通、誘拐事件では犯人側から要求がされるもの・・・
しかし1か月以上たっても、魔王側からコマキ側への要求がない・・・」
ヨシヒコ「確かに・・・結城も湯浅さんも何も知らない様子だったな・・・」
黒神「そもそも、泉さんの奥さんは本当に誘拐されたのでしょうか。」
シルビア「・・・え?」
黒神「その竜によってすでに殺されているのでは?」
ルナ「縁起でもない・・・」
黒神「失礼。推理に夢中になってしまう私の悪い癖です。お気を悪くされました?」
ヨシヒコ「いえ・・・妻が死んでいることはありえません。
リングからの発信電波でバイタルサインがまだ届いています・・・」
黒神「そのリングをつけているのが別の人物だとしたら・・・?」
草薙「この警部補はどうしても殺人事件にしたいらしいな・・・」
シルビア「ね・・・」
黒神「では質問を変えましょう。
その竜を召喚することができるのは、本当に魔王ハデスだけなのですか?」
ヨシヒコ「そこはモンスターに詳しい君が・・・」
ゼリーマン「ああ。ジャバウォッキ―はこの世界で最強の召喚獣だ。
あれを使役できる魔力を持つのは歴代の魔王だけ・・・だからライオンハーテドはその資格が欲しいがために、魔王の王位継承を狙っている。」
ヨシヒコ「アメリカ大統領の核のスイッチみたいなんだな・・・」
黒神「そうですか・・・
しかし、ハデスは強引に女性を誘拐するような魔王ではないと、ご友人のヴィンツァー卿はおっしゃっている・・・これは矛盾ですね・・・」
ヴィンツァー「黒神さんはどう見ているんですか?」
黒神「人間の性格というものは・・・何年経とうが変わらないものなんです。
私はヴィンツァー卿、あなたの証言を信じます。あなたは愚かしいまでに誠実だ。
確かに魔王ハデスは明らかに怪しい。・・・が、明らかに怪しいものがミステリーで犯人であったためしはないんです・・・ん~っふっふ・・・」
ゼリーマン「じゃあ誰が旦那の奥さんをさらった?」
黒神「取り調べをしましょう・・・」



エゼルバルド城牢獄
ジルドレイを取り調べる黒神とシルビア。
縛られているジルドレイ「ハデス様は無実だ。」
黒神「では・・・竜を使ってストレイシープ村を襲撃したのは、あなた方ではないと?」
ジルドレイ「あの村か・・・ああ。俺達じゃない・・・
ハデス様は奇襲など、そんな卑怯なことをするお方じゃないんだ・・・」
黒神「しかし、あの竜はおたくの魔王しか使えませんよね?」
ジルドレイ「・・・誰が言ったんだ、そんなこと。」
黒神「他にも容疑者がいると?」
ジルドレイ「この世界でもっとも魔力が高い人間を忘れちゃいないか・・・?」
シルビア「・・・なんであたしを見るのよ。」
ジルドレイ「・・・莫大な魔力を消費するのは、相手を破壊する黒魔法じゃねえ。
相手を再生する白魔法だ・・・そうだろ、シスター・・・」
シルビア「まさか・・・」
シルビアの方を向く黒神。
黒神「何か思い当たることが・・・?」
シルビア「・・・ありえないわ・・・」



ハデス城の地下研究室。
高圧電流が流れるフェンスの中にヘルゴートが飼育されている。
不安そうに「メエエエ」と鳴くヘルゴート。
すると、地響きを鳴らして巨大な動物がヘルゴートの背後に現れる。
強力な顎でヘルゴートを咥えて持ち上げる怪物。
ボトリとヘルゴートの脚が落っこちてくる。
ヘルゴートを丸のみにすると、怒号をあげてフェンスに突撃する怪物。
しかし、フェンスの電流によって阻まれる。
その様子を見上げる大神官イノストランケヴィア「お行儀の悪い子だ・・・
こんな下品な動物が最大最強の魔物とは・・・
強き存在は・・・もっと上品で、もっと気品がないといけません・・・」
フェンスの看板には「ジャバウォッキ―」と書かれている。

大神官が巨竜のフェンスを離れる。
カメラが引いていく。
すると地下の研究室には、まるで動物園のように野生のモンスターの檻が並んでいることが分かる。檻には「コボルト」「ヒドラ」「ケルベロス」など、ガリア大陸でかつて絶滅したはずのモンスターが飼育されている。
研究員がプールの中のセイレーン(人魚のような魔物)に注射器を突き立てる。
悲鳴を上げるモンスター。
研究員「魔力の抽出完了しました!」
大神官「よろしい・・・
我々聖職者が自身の寿命を縮めてまで弱きものを救う時代は終わった・・・
世界の医療と軍事を支配するのは我々、神の使いです・・・
魔王様にはまだ働いてもらわなければなりません・・・」



エゼルバルド城
シルビア「うそよ・・・!神都ハルティロードが裏でそんなことをしていたなんて・・・!」
ジルドレイ「信じたくなければそれでいい・・・
だが・・・抽出した魔物の魔力を黒死病の治療薬にしたことで、多くの民が救われたのは事実だ・・・そして・・・その研究をしていたのが、大神官と・・・リネット・アシュレイさ・・・」



城の通路
ヴィンツァーとすれ違うシルビア
「・・・あなたは知っていたの?」
ヴィンツァー「ぼくとハデスでリネットの医療基金を立ち上げたことは事実だ・・・
でも・・・魔力の研究をしていることは知らなかった・・・本当だよ・・・」
ゼリーマン「ほんで、俺たちモンスターをすり潰してクスリにしてたってわけか・・・」
ヴィンツァー「リネットだって死にたくなかったんだ・・・」
ゼリーマン「なあ・・・オレたちは仲間だろう?隠し事は無しにしようじゃないか。」
シルビア「ヴィンツァー・・・お願い・・・母さんのことを教えて・・・」
ゼリーマン「お前は隠し事が下手なんだ。諦めろ。」
ヴィンツァー「・・・ことの発端は、ヘルシング博士の論文だ・・・
黒死病の治療にモンスターの体液が有効だという研究結果が出たんだ・・・」
ゼリーマン「それは知っている。セレスと一緒にシドニアあての手紙を勝手に読んだからな。」
ヴィンツァー「しかし、ニャルラト・カーンとの戦いでヘルシング博士は亡くなり・・・研究は頓挫してしまった。それを生き残ったリネットが引き継いだんだ・・・
リネットは、モンスターから魔力を直接抽出する方法を見つけたんだと思う・・・」
ゼリーマン「それで・・・?」
ヴィンツァー「・・・・・・。」
ゼリーマン「怒らないから言ってみろ。」
ヴィンツァー「・・・ガリア大陸の魔物はすでにウィンロードさんたちが滅ぼしてしまったから・・・
リネットたちはブリジッド島の魔物を捕獲し、大規模な研究施設(プラント)で大量に繁殖させようとした。特に魔力が大きかったのが・・・」
ゼリーマン「オディオサウルスか・・・」
ヴィンツァー「違う・・・“シルフ”だ。」
ゼリーマン「シルフ?」
ヴィンツァー「アルバレイクの湖畔地方に住む風の妖精だよ・・・
純粋無垢で・・・美しい妖精だ・・・も・・・もういいだろ・・・」
ゼリーマン「ここまで来たら全部言え。」
涙で目を潤ませるヴィンツァー「ハルティロードの神官たちは、シルフ狩りをした・・・
シルフは強大な魔力を持っていたが・・・その力で人を傷つけるという発想がなかった。
彼らにとって・・・魔法とは、お互いを癒したり、楽しませるものだったから。」
震えるシルビア「なんで泣くの・・・?ヴィンツァー・・・」
ヴィンツァー「・・・ごめん・・・」
シルビア「私は覚悟はできてるの。」
ヴィンツァー「シルフはアルバレイク国では神としてあがめられていたので、ハルティロードの行為はアルバレイクの怒りを買った。
リネットは魔力だけを抽出するのであって、シルフに危害は加えないと、アルバレイク王に約束したが・・・シルフの体のほとんどは魔力でできていて・・・
神官たちはほとんどのシルフを死なせてしまった・・・
こうして再び大きな戦争が始まって・・・きみの母さんリネットは死んだんだ・・・
きみの本当の名は、シルフィア・テンペストという・・・
シルフ族最後の末裔だ。」
首を振るシルビア「そんな名前いらない。
私は聖女リネット・アシュレイの娘、シルビア・アシュレイよ。」
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