『ラストパーティ』脚本㉛

牢獄で引き続き取り調べを続ける黒神。
黒神「では・・・神官たちがコマキ社の令嬢をさらう目的は・・・?」
ジルドレイ「知るか、んなこと・・・」
ニコリと笑う黒神「ん~ふっふ・・・
あなたは、とっさに別の容疑者をひねり出したのでは?」
ジルドレイ「なんだと・・・」
黒神「主人のハデスをかばうために・・・」
ジルドレイ「当たり前だろ、主君なんだから・・・」
黒神「いえ・・・愛してらっしゃる。」
ジルドレイ「・・・やめろ。」
黒神「私はね。魔王が今回の事件の首謀者だとは思っておりません・・・
なので、魔王を討伐するのは反対だ。
もし、あなたが協力をしてくれるなら・・・パーティを説得しますが?」
ジルドレイ「汚い男め・・・とっとと私の首を刎ねたらどうだ?
ハデス様はな・・・貴様らが束にかかっても敵わねえ・・・
まとめて殺されるがいいさ・・・」
黒神「我が主は寛大な方でね・・・
奥様さえ奪還できれば、無益な戦いは望んでいないのですよ・・・」
ジルドレイ「そうやって騙し討ちをするんだろう?」
黒神「・・・あなたは哀しい人だ。
殺し、奪うことしか知らない・・・
ジルドレイ「それがこの世の真実だろ・・・」
黒神「私はね、そういう輩(やから)を数え切れないほど逮捕してきたのです。
あなたみたいなタイプは、特に心が読みやすい・・・」
ジルドレイ「なら読んでみろ。」
黒神「あなたはヴィンツァー卿の実力を目の当たりにした・・・
あの恐るべき斬撃が主君に向かないことを祈っている・・・
そういえば・・・悪魔って誰に祈るんです?神??」
ジルドレイ「うるさい・・・」
黒神「しかし、残念だ。
魔王ハデスはあなたを愛し、多くを与えたというのに・・・」
ジルドレイ「・・・それ以上言うな。」
黒神「あなたのつまらぬ意地で、ガリア帝国は滅亡です。
まあ、私にとっては異世界のことなので、どうでもいいですが・・・」

牢に入ってくるヨシヒコ「黒神警部補・・・ちょっと。」
黒神「どうしました?」
ヒソヒソ話す二人。その様子を見つめるジルドレイ。
ジルドレイの方を向き直り黒神
「もう、あなたの協力は必要なくなりました。
ガリア軍の軍曹がすべてを自白したそうです。」
ジルドレイ「なんだと?」
黒神「事の次第はこうです。
強欲かつ卑劣な魔王ハデスは、王位継承権のライバルであるブリジッド国を滅ぼしたかった。
しかし、それには大義名分が必要だった。
ガリア帝国軍の名将「黒羽のレイ」は、大義なき戦争を嫌うからです。
そこで、ハデスは巨竜ジャバウォッキーを召喚して、キャッスルヴァニア地方を奇襲、多くの人々、魔物を殺戮・・・その罪をブリジッド国に擦り付けた。
あなた、魔王にまんまと騙されましたね。
そして先月には、ストレイシープ村で泉さんの奥様を誘拐・・・
泉さんの奥様・・・姫川桃乃嬢は・・・あなたよりもずっと可憐で美しかったそうですから。
色欲にまみれた魔王の心を捉えるには十分すぎるほどにね・・・」
ジルドレイ「うそだ!全部でっち上げだ!!軍曹のやろう、許さねえ!!
ぶっ殺してやる!!!!」
黒神「自分の妻を辱められて黙っている男はいません・・・」
ヨシヒコ「ああ・・・魔王ハデスは私が討伐する。」

ジルドレイ「待て!待ってくれ・・・!
あんたの妻って、レディ・ジャンヌ=イヤハートだろ・・・!?
私はその人を知ってるんだ!」
黒神「無視しましょう。どうせでっち上げですから・・・」
ジルドレイ「絶対そうだ!レディ・イヤハートは先月遠い国からやってきたと言っていた・・・!
信じてくれ、ハデス様は行くあてがない彼女を参謀として受け入れたんだ・・・!」
黒神「神官たちがさらったのでは?」
ジルドレイ「違う・・・レディは・・・自分からハデス城にやってきたんだ・・・!
レディは慈悲深く、俺みたいな悪魔にも優しく接してくれたが・・・神官たちを警戒していた・・・
確かに俺も同感だ、あいつら神の使いは不気味で・・・何かを企んでいるようだった・・・
特に、大神官は恐ろしい魔力を持っている・・・ジャバウォッキーを使役するなどたやすい・・・」
考え込む黒神「・・・泉さん。
確かにストレイシープ村で奥様はその竜に襲われていたんですよね??」
ヨシヒコ「・・・ああ・・・映像が残っていた・・・」
顎に手を当てる黒神「つじつまが合わない・・・」
ジルドレイ「信じてくれ・・・!神に誓うよ・・・!」
黒神「あなたの言葉など信じるわけがないじゃないですか・・・ん~っふっふ・・・」
涙を流すジルドレイ「お願いだ・・・ハデス様を殺さないでくれ・・・
私はどうなってもいい・・・愛してるんだ・・・」

ヨシヒコ「黒神警部補・・・もうそのへんにしてあげてください・・・
この女は確かに極悪人だが・・・それでも気の毒だ・・・」
ジルドレイ「・・・え??」
ニヤリと笑う黒神「引っかかりましたね。
あなたの部下の軍曹が、そんな簡単に主君や上官を裏切ると思っていたのですか?
あなたの最大のミスは他人の心がわからなかったことです・・・」
ジルドレイ「じゃあ・・・」
ヨシヒコ「きみの軍曹は決して口を割らなかったし・・・キャッスルヴァニアで虐殺をしたのはジャバウォッキーじゃない・・・コマキ社だ・・・」
黒神「言ったでしょう?
あなたが殺人のプロであるように・・・私は殺人犯を相手にするプロなんです。」



作戦会議室
ヨシヒコ「いったいどういうことだ?あの竜で妻はさらわれたのではない・・・?」
黒神「少なくとも竜の使役者は、魔王ハデス以外にも大神官がいることがわかりました・・・
この事件・・・少なくとも宗教勢力も関わっていそうだ・・・」
部屋に入ってくるゼリーマン「竜使いならもうひとりいるぜ刑事さん・・・」
黒神「・・・ほう?」
ゼリーマン「あのJKシスターだ。」
ヨシヒコ「シスター・シルビアのことか?」
ゼリーマン「あいつに秘められた莫大な魔力で100万人分の命を救う医薬品が作れるらしい・・・
旦那・・・敵は味方の中にいたのさ・・・」
ヨシヒコ「・・・お前、そのセリフが言いたいだけだろ・・・」
黒神「面白い・・・ゼリーくん、犯行の動機は?」
ゼリーマン「あの女はヴィンツァーがもう一度勇者として活躍する場を望んでいた。
そこで、今回のジャバウォッキー誘拐事件を起こし、協力者のフリをしてその対策パーティに加わりやがったんだ・・・」
腕を組むヨシヒコ「・・・なんかやり口が回りくどくないか・・・?」
黒神「ええ・・・最低の推理です・・・そもそも彼女には犯行当時アリバイがある・・・」
ゼリーマン「・・・え?」
黒神「事件当日は、シスターはまだハルティロードで修行中で外に出れなかったのです・・・」
ゼリーマン「じゃあ、これはどうだ?ハルティロードの神官全員が犯人で・・・」
ヨシヒコ「だから、回りくどくないか?」
黒神「怪しいですね・・・」
ゼリーマン「そうだろ!ジルドレイの証言とも一致するし・・・」
黒神「きみがですよ・・・」
ゼリーマン「へ??」
黒神「きみは魔力は乏しいものの、モンスターの友人が多い・・・
ジャバウォッキーとも知り合いだったのでは?
確か、きみはハルピュイアと組んで戦場の火事場泥棒をしていましたよね?
その戦場をジャバウォッキーにお膳立てしてもらっていたのでは?」
ヨシヒコ「なるほど・・・」
ゼリーマン「か・・・勘弁してくださいよ旦那!!」
黒神「仲間を疑うとこうなるんですよ・・・」
ヨシヒコ「いいお灸を据えてもらったな・・・」
ゼリーマン「・・・さーせんでした・・・」



エゼルバルド城中央広場。
ベンチに隣り合って座るヴィンツァーとシルビア。
シルビア「あたしが風の精シルフのお姫様なんてね・・・」
ヴィンツァー「お姫様だったかは分からないけど・・・」
シルビア「この世に私しか生き残っていないなら、私がお姫様なの。」
ヴィンツァー「ごめん・・・」
シルビア「そのごめんは、どう言う意味?
20年以上もあなたと母さんで隠し事をしていた、ごめん?」
ヴィンツァー「・・・・・・。」
シルビア「あたし・・・ずっと戦争に行って世界を救いたいって言っていたよね・・・
それをいつもふたりは止めてくれて・・・危なっかしい私を守り続けてくれた・・・
シルフだった時の記憶は小さすぎて残ってないけど・・・わたし・・・母さんの娘で幸せだったよ。
だから、いいじゃない。こういうのは結果オーライなの。(微笑む)」
ヴィンツァー「きみは大人だな・・・」
シルビア「シルフ族には怒りや憎しみの感情がないらしいよ。
のんきでお人好しなのよ・・・だから、のこのこ魔力の提供を承諾しちゃったのよ。
絶滅するわけだわ・・・」
ヴィンツァー「まだしてないだろ・・・」
シルビア「あたしなんかをもらってくれる人がいればね。」
ヴィンツァー「・・・スパルタン草薙さんなんかいいんじゃないか・・・?」
ヴィンツァーの横腹を思い切り殴るシルビア。
ヴィンツァー「ぐえええ・・・!!(怒りの感情はないんじゃ・・・)」
建設中のメドの石像を見てシルビア。
「ラミア族の最後の生き残りだった、この人はどういう気持ちだったんだろう・・・」
少し寂しげな表情をするシルビア。
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