『帰ってきたソニックブレイド』脚本⑧

WEMAのラウンジ
紅茶を飲む今日子とゼッター。
今日子「その美しい黒髪。出身地はゼットン星?」
ゼッター「そうです。
怪獣だけではなく異星人も詳しいのですね。」
今日子「・・・地球に移り住んでいる異星人はすべて管理してますから。」
ゼッター「我々の計画も・・・」
今日子「すべて知ってましたよ。
でも、スマートフォンの不買運動なんて、うちにはできないから。
あのメトロン星人も考えたものね。」
ゼッター「すべては、あなたの手の中か・・・」
今日子「地球はわたくしが絶対に守ります。どんな手を使っても。」
ゼッター「わたしにはもう地球を侵略する意思はありません。
お許しを・・・」
今日子「ダメよ。悪人は最後まで悪人でいないと。」
ゼッター「愛する人がいるんです・・・死にたくない。」
今日子「愛とはなに?」
ゼッター「・・・え・・・」
今日子「その抽象的な感情のせいで、いつも世界は滅亡しかけている。
私には、さっぱり理解ができない。
あの子がマルスくんを愛しさえしなければ・・・
普通の女の子として人生を歩めたのに。」
ゼッター「あなたが娘さんを思う、その気持ちが愛なのでは・・・」
今日子「わたくしは娘の命と世界平和なら後者を選ぶわ。」
ゼッター「どうしてそこまで・・・」
今日子「この星の生命は・・・変化するから。」
ゼッター「・・・変化・・・」
今日子「わたくしは変化ができない・・・
あなたがた異星人もそれぞれに進化を終えて・・・歩留まりになったのでしょう?」
ゼッター「あなたは一体・・・」
今日子「しかし、この辺境の星の生命体は決して進化をやめない。
どんな苦難、逆境があっても、常に適応し続ける・・・
こんな興味深い生命体は、広い宇宙でもこの星だけ。
貴重な生き物は保護しなければ。」



グリッドライン社
会長室の前
秘書のフェイ「こまります・・・今会長は・・・」
寺島「うるさい!どきなさい!!」
フェイを突き飛ばして、会長室のドアを勢いよく開ける寺島。
寺島「マルス!」
びくっとするマルス「せ・・・先生・・・?」
寺島「なにしてたの?」
コーヒーカップを掲げるマルス「・・・くつろいでた。」
寺島「可愛い彼女を犠牲にさせていい身分ね。
なんで今すぐ、えるちゃんを手術しないの!」
マルス「どこから情報がもれたんだ・・・」
寺島「あの子は死にかけてるのよ!はやく治療しなさい!」
マルス「治療したら、ソニックブレイドに乗れない。」
寺島がマルスを引っぱたこうと近づく「この・・・」
その手をつかむマルス「・・・暴力はよくないですよ。」
寺島「権力は人を変えるわね・・・
学校でいじめられていたえるちゃんを助けていたマルスくんはどこへいっちゃったの?」
マルス「いったい何年前の話してるんですか。
それにあなただって国民の税金を好き勝手使って私腹を肥やしているでしょう?」
寺島「すべての財産を復興支援にあてている!
私の家は今もボロアパートで毎日ふりかけご飯よ・・・!」
マルス「丸美屋からいくらもらってるんですか?」
寺島「私が好きなのは永谷園よ、離しなさい!」
手を離してやるマルス。
マルス「人間は変わるんだ。変化しなければ滅びてしまう。」
寺島「教育者としてこれほど、おのれの無力さを感じたことはないわ。」
マルス「あのジャスティスブレイドのメテオ火球の威力を知っているのか?」
寺島「知らないわよ。」
マルス「一撃で日本が木っ端みじんになるんだぞ。」
寺島「それを作ったのは、あんたじゃない!」
涙を流すマルス「あいつを救うために作ったんだ!
事情も知らずに勝手なこと言うな!」



WEMAの格納庫
ゼッター「やはりあなたは間違っています。
世界平和を望むなら、この戦いは回避しなければならないはずだ。」
今日子「強大な力が2つもあってはダメ。米ソの冷戦がいい例じゃない。
何度も何度もシミュレーションした・・・
国家間の争いもなくし、狂暴な怪獣もすべて滅ぼした・・・
これが最後の仕上げなんです。
・・・おねがい。世界平和のために死んで。」
ゼッター「私は負け戦はしません。
娘さんを殺してしまうかもしれませんよ。」
今日子「それでもかまわない。
そうなれば、あなたが救いの女神で、あの子は・・・」
ゼッター「残酷な天使か。」
ジャスティスブレイドに乗り込むゼッター
ジャスティスブレイドはソニックブレイドの二倍近い大きさで、漆黒の機体は武器だらけになっている。
ゼッター「人生最後の戦くらい、誰も巻き込みたくはない。決戦は宇宙でつける。」
ブースターが火を吹き、地球の静止軌道を目指す。



グリッドライン社の格納庫
受話器をつかむロイド「現れたぞ。」

宇宙空間で、通信衛星を破壊していくジャスティスブレイド。

衛星中継の映像を見るマルスたち。
マルス「自分で作っといてなんだが、とんでもねえ化け物だ。」
車いすのえる「あんなのちっとも怖くない。」

弱々しく、ソニックブレイドのコックピットに這い上がる。
落ちないようにおしりを支えてやるマルス
える「えっち。」
マルス「なんだよ・・・」
微笑むえる「指輪楽しみにしてるね。」
マルス「任せろ。ぶっ飛ばしてこい。」

夜空に向かって飛んでいくソニックブレイド。



宇宙空間で対峙する、二つの最終兵器。
ゼッター「もうお前には恨みはないが・・・愛する人が地上で待っているんだ。
勝たせてもらう。」
える「わたしだってそうだもん。」

夜空で光がきらめく。
巨神同士の戦闘の様子を見上げる人間たち。
その光に目を奪われる。

フェイ「不謹慎なこと言っていい?」
マルス「ああ・・・」
フェイ「・・・すごいきれいね。」
アロハシャツの須藤が格納庫に入ってくる。
ラップトップが入った手提げ袋を持っている。
「隅田川花火大会はここっすか?」
マルス「よく来てくれた須藤くん・・・」

宇宙空間では地獄の死闘が繰り広げられている。
どのスペックも勝っているゼッターがえるを圧倒する。
ゼッター「プロの軍人が民間人に負けるわけがないだろう・・・!」
える「私もちょっとだけ自衛隊にいたもん!!」

ヘッドセットをつける須藤
「えるの姉貴が押されているっす。」
マルス「えるが負けそうになったら、きみのドローンで援護してくれ。」
須藤「ご要望とあらば、そのまま倒すっすよ?」
マルス「いや、とどめはソニックブレイドにやらせるんだ。
あいつにも自尊心がある。」

殴り合う巨大ロボット
ゼッター「息が上がってきたぞ!降参しろ!命は取らない!」
える「やだ・・・!」
ゼッター「このままだとコックピットがつぶれるぞ!負けたと言え!」
える「絶対にやだ!!」
ゼッター(なんだこいつ・・・)
ソニックブレイドがジャスティスブレイドにしがみつく。

地上
マルス「やれ!」
須藤「組み合ってて、攻撃できないっす!」

宇宙
ゼッター「はなせ!鬱陶しい!」
える「あなたは戦いの経験が豊富だけど・・・
いじめられた経験はない!
わたしは・・・ずっとずっと・・・死にたかった・・・
だから、いまさら死を恐れない!」
ゼッター「やめろ、このままでは二人とも落下するぞ!」
える「いっしょに流れ星になろう。」
ゼッター「やめてくれ!生き残りたい!!」
熱圏に接近し、二人の機体が赤く燃えだす。





重い荷物を持ってふらふらと階段を上る女の子。
よろける寸前、荷物に手を貸してやるマルス。
女の子「あ・・・」
マルス「また、押し付けられてんのか、える。」
える「ライちゃん・・・そんな私がいじめられっ子みたいに言わないでください。
親切で心優しい私がみんなのために進んで・・・」
マルス「はいはい・・・」
そう言うと、彼女に気づかれないように背中に貼られた「死ね」という張り紙を取ってやる。
える「・・・ありがとう。」
荷物を持ってやるマルス「腐れ縁だからな。」




マルスの笑顔がえるの脳裏に浮かぶ。
目を閉じるえる(・・・あなたが思い描く未来に・・・もう私はいないのね。)





夜空がきらりと光る。
地上
マルス「・・・お前は最後まで変わらなかったな・・・」
涙目になるマルス「・・・変わってくれれば・・・どんなに・・・」
ボロボロと涙があふれる。




(回想)
ラボ
えるに怯えて土下座をするピット「なんでもします・・・!だから命だけは・・・!」
える「あなたは花が好きなんだよね。」
ピット「は・・・はい・・・」
える「私が死んだら、お花を植えて欲しいの。」
ピット「・・・え?」
える「あたり一面に綺麗な花を・・・」




ソニックブレイドの壊れた機体の周囲に花畑が広がっている。
ソニックブレイドのコックピットの中で目を閉じて眠っているえる。
左手の薬指には指輪がはめられている。

おしまい
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