ご都合主義とマクガフィン

 「ディズニー映画は、ご都合主義で、今までの話の筋を壊してもハッピーエンド展開」というマロさんの意見が大変興味深かったので、素人ながら脚本を制作する者として、そこら辺をちょっと考察します。

 私はディズニー映画は、あざといミュージカル展開はともかく(ここは私もついていけないところがあります。そこで歌うか!?と)しっかり計算しつくした骨太のストーリーラインを持っている、と考えています。
 大人なら、小難しい内容でも(子どもに比べて)辛抱強く見てくれますが、観客が子供だとそうはいきません。子どもの集中力を持続させるために、ディズニー映画は極力、ストーリーの無駄な枝葉をバッサリ切っています。だからこそ、話の背骨にあたる部分が明確で、物語作りの教科書にはうってつけなんです。

 よってディズニー映画が無茶な展開(話の筋を壊してもハッピーエンド)をするというのは、私は「まったくの逆じゃないかな?」と思うわけです。ディズニー映画はまったく無茶な展開をせず、物語の展開が単純でベタなので、そこが見る人によっては先が読めて退屈だから、苦手な人もいるのでは?と思うんです。
 余談ですが、話の筋がメチャクチャになっちゃう(破綻する)のは、週刊連載のストーリー漫画の方がずっと度合いがすごいと思います。そのどちゃめちゃ具合が逆に好きな岡田斗司夫さんのような人もいます。

 また「ご都合主義」についてですが、フィクションの物語は多かれ少なかれご都合主義です。でなければ話の収拾がつきません。問題はその度合、「あざとさ」です。
 私も昔自分の漫画が「ご都合主義な展開」と評価されたことがあります。その自己弁護になっちゃいますが、まあ私の場合は腕が未熟だったんですけど、とにかく作り話はご都合主義にならざるを得ないんです。あるべきエンディングにキャラクター達を導いてあげるには。
 ここら辺は普通、物語の「枝葉」でご都合主義をうまく隠して自然に見せるのですが、ディズニー映画はそこを剪定しちゃっているので、あざとく感じちゃうのかもしれないです。

 ただ、マロさんの言っていることは正しいんです(批判っぽくなっちゃって大変すいません)。マロさんは「最終的に受け手の期待が裏切られないような、伏線の回収こそプロの仕事だと思います(ちょっと違いますか?)」とかつて仰っていました。
 実は、この前の『アバター』はひとつの物語を構成する重要であるべきファクターを放り投げてしまったんです(ネタばれ注意)。

 キャラクターの行動や物語の展開を作り手がうまく操作するための舞台装置のことを「マクガフィン」といいます。マクガフィンは、それ自体に意味はないのですが、この設定によってキャラクターの行動や話の展開に意味が生まれます。
 
 『アバター』では衛星パンドラの原住民「ナヴィ」の村の真下に存在する、有価鉱物の鉱床がそれ(マクガフィン)で、この鉱物を採掘するために地球人が入植し、ナヴィと対立しています。
 最終的に海兵隊の強硬手段によってナヴィの村はミサイルで焼き払われ、ナヴィ達は難民となって村を去ります。
 理屈で言えば、これで地球人の目的は達成されたわけなのですが、ここから人間と怒りに燃えるナヴィとの戦争シーンがはじまり、有価鉱物のくだりは放置されてしまうのです!
 さらに私は、ナヴィが崇めるパンドラの全ての生命を統合する神のような存在と、この鉱物は絶対関係があると踏んでいたのですが、なんと関係なし!神にあたる存在は鉱物でなく、命の木みたいなやつでした。
 この鉱物の存在が、人間とナヴィとの残虐な殺し合いのそもそもの“発端”(この鉱物がパンドラになければ、戦争は起きなかった)なのに、この鉱物を投げっぱして観客に忘れさせちゃうのはどうなのか?と思ったんです。
 
 ノラネコさんは「レアメタルみたいなのは、話のベースではあるのですが、テーマにつながるものではないので、特に気にならなかった」と仰っているのですが、私は気になってしまった…後半のかなりの時間を割いて描かれた悪趣味な(笑)戦争シーンの元凶がこの鉱石なんだから、「惑星パンドラの全ての命を供給するエネルギー源」とかにしたって良かったんじゃないかと、素人の作り手ながら考えてしまいました。
 
 というか、この映画ってじゃあ何がテーマだったんだろう…
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