アンチが出ればガッツポーズ

 大学図書館で借りた佐倉統さんの『進化論の挑戦』は永久保存版にしたいほど面白かったので、取り寄せて購入決定。しかしもう絶版らしく、代わりに文庫版があるのでそちらを取り寄せてもらうことにしました。こんな良本が600円で買えるとはいい時代だなあ…

 この本で佐倉さんは、「進化心理学を曲解(非科学的)して大衆に伝える竹内久美子の本は、ぼくの本(=佐倉さんの本)の10倍以上も売れているのだ」と書いているのですが、それと関連することを少し追記します。ちなみに私は、佐倉さんの本は最高に面白いと思います。佐倉さんの学歴はとても高いけれど、決して難しい本じゃないし。

 「SAPIO」に掲載されていた『天皇論追撃篇』は、もう電車で読んでて爆笑してしまった…
これは「小林よしのり」さんが天皇陛下の宮中茶会に出席した際の出来事を漫画にしたものなんですが・・・もう、この人嫌い(笑)。
 結局漫画家魂が強くて、すごいサービス精神旺盛な人だから、謹んで論じるべき天皇陛下を最終的にコミカルにネタにしてしまっている…!
 結局やってることがミーハーで、こうやってマンガで伝えちゃうと、ギャグ漫画としては最高点なんですけど「いいんかな?こんな馴れ馴れしく天皇陛下を漫画のキャラとして出しちゃって…」とも思ってしまいます。天皇陛下と「よしりん」の関係の構造が、この漫画ではマイケルジャクソンとマイケルの熱狂的大ファンみたいに読者にとられちゃうと思うからなあ…

 実は論考の精度より、漫画的演出を実はいつも選択してきた(と思う)小林先生の『ゴーマニズム宣言』。小林先生も「知識人の本はそれが大作で論理がしっかりしているものほど売れないジレンマがある」と仰っているように、超商業的結果主義の「少年ジャンプ」で戦ってこられた先生は、「いくら論考の内容が正しくても小難しすぎると、大衆は理解できず人気が出ない」という、大衆の半歩先を行くバランス感覚の重要性を確実に知っています。

 その結果が、あのような過激で主観的な論考と演出なのでしょう。ブログでも掲示板でも炎上するというのは、大多数の人の注目を集めている証拠。映画にしろアニメ、マンガにしろ「アンチ」が登場したら人気があると思って、まず間違いありません。
 逆に、難しすぎたり(例えば「対称性の破れ」について書かれたたった5ページのノーベル物理学賞の論文)、論理武装が強固で批判のしようのない意見には、ほとんどの一般人はかみつきたくても噛みつけないのです。
 そう考えるとやはり小林先生は学術でなくて、大衆娯楽の世界の人なんだな~と思っちゃいます。
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