ロード・トゥ・パーディション

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆」

 お父さん想いね。気づいてない?

 トム・ハンクスの常識(=がんぷ)を覆すバイオレンスギャング映画。こんなカッコ強いトム・ハンクス先生が観れるのはロード・トゥ・パーディションだけだよ!
 とはいえ声優はおなじみ江原正士さん。だが江原さんもハンクス同様「なにかがぼくのおしりをかじったんだ~」みたいな呑気な演技は封印し、家族を愛し「ファミリー」も愛しながらもそれらをすべて失うという数奇な運命をたどった殺し屋を熱演している。

 とにかくトム・ハンクスがめちゃめちゃ強い。本当に恐るべき殺し屋なんだけど、この人が演じた殺し屋「マイケル・サリバン」自身は残忍だったり殺しが好きだったり…そういう危ないタイプの男ではないと思う。そこはやっぱりトム・ハンクスだからw
 あえて殺し屋とはほど遠い俳優トム・ハンクスをキャスティングしたって言うのはやっぱりなんらかの理由があるんだろうな。
 だってアイリッシュマフィアに全く見えないもんwこいつはバカだけど足が速く、電子メールのやり取りで恋におち、時には空港に閉じ込められ、「ダ・ヴィンチ!?」とか意味なくつぶやくオッサンだろうがwあとゴミ焼却所で死にかけた。

 例えば日本の暴力団ってもう外見からしてコワモテでめちゃくちゃ周りを威嚇しているじゃん。でもあっちのマフィアってなんか一般人に溶け込んでいるんだよね。これは秘密警察とかもそうでしょう。
 そりゃ敵も多いであろう危ない仕事をやっているんだから「私は堅気じゃないで~す」みたいな恰好するわけないんだよねwそんなん「ハチの巣にしてくれ」って言っているようなもんでさ。
 でも日本のヤクザもそういう凄味のあるビヘイビアをするのは人は末端のチンピラレベルか。やっぱり会長とかの幹部の人は目立たない格好してそうだ。おっかねえ!

 一般人に溶け込んでいると言えば、作中では色々と残念な頭皮のジュード・ロウが不気味な殺し屋「マグワイア」を演じているんだけど、こいつが死体写真専門のフォトジャーナリストなんだよ。表の顔は。
 どっちかというとチンピラに絡まれちゃいそうなこいつのなにがおっかないかって、奴が殺し屋をやっているのは純粋に死体(死にかけ≒腐りかけの人間)を撮影したいだけって気がするからなんだよ。すべては芸術のため。
 このような自身の屈折した美的感覚を忠実に表現してとんでもなくグロい作品を作る連中はたくさんいるしな。バイオアーティストとか。
 とにかくマグワイアは同じく腕利きのマイケルと対極をなすキャラクターであり、妻と次男を殺されファミリーに復讐を誓ったサリバンをとめられるのはこの禿散らかしたカメラマンだけなのだ・・・って本当かよシカゴマフィアの皆さん!(笑)

 またジュード・ロウの他にも、こないだ(でもないか)亡くなった盟友ポール・ニューマンがバカ息子に悩むマフィアのボス役で登場しているし(やっぱり世襲制の弱点はここだよな)、ディラン・ベーカー演じるホテルの料理にもいちいち口うるさい神経質な会計士なんかもなかなか笑えた(とばっちり受けて死んだけどw)。

 なぜここが分かった…?
 このあたりでは一番高級なホテルだ…それにあんたは好みにうるさい。
 それは自分でも認めるよ。銃を下してくれ。


 前半でなかなかハードなシーンが続くからこんな感じで最後まで行くのかな?と思っていたらけっこう中盤以降はほのぼのロードムービーみたいなシーンもあるし、こんな感じで笑えるやりとりもあるんだよねw

 しかし笑えるギャング映画と言えば『アウトレイジ』なんかを観てても思ったけど、マフィア映画でありがちなこの復讐や殺しの連鎖って、傍から見ていたら非生産的で「なんなんだ~!!」って感じなんだけど、こういう「雪崩」現象ってなにもマフィアの世界だけに限ったことではないよね。

 たとえば今日ファミレスで漫画の打ち合わせをしていたんだけど、少年サッカークラブチームかなんかの団体客が来たとたんに、店内のざわざわ…レベルが一気に上がって、相手の声が聞こえないくらいになったもんね。
 この原因は団体客の一部がとっても騒がしかったからなんだけど、彼らが店内で話す声のボリュームの均衡をやぶってしまい、そいつらの声で会話が打ち消されてしまった他の席の客たちももう一段階大きな声で会話し出したから、店内の騒音レベルの平均が一気に上がっちゃったんだ。
 こういう現象は生物集団ではよく起こりがちでこれが進化の原動力になっているという説もある。ただ行き過ぎるといつかはシステムが破綻するけどな。バブル崩壊もこんな感じだろ。

 ・・・とまあ私たち大衆の動向もまさにこんな感じで、何かのきっかけで一気に世論が形成され強力なバイアスが生まれてしまう。しかもこれは予測できない場合が多いから政治家も大変だ。
 浅田彰はドゥルーズ=ガタリのリゾームを受けて「逃走論」なんていっていたけど、私はこういうことだと思うんだ。つまり各々が好き勝手な方向を向いたベクトルの集合体がリゾームで、そのリゾームがある一方向に大きく動いているのではない、かと。
 だいたい一度に四方八方に逃走なんかできるわけないし、仮にそうだったとしたら世論はここまで偏らずブロック化すると思うんだよ。

 あれ?オレは何の話をしているんだ??
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