ガリバー旅行記

 「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 しばらくならヨーダ副大統領が頑張ってくれるさ。

 満を持して(?)昨日の午前中にはるばる前橋のユナイテッドシネマまで行って観ました。結局『英国王のスピーチ』は上映打ち切り、午後からの『塔の上のラプンツェル』は漫画の打ち合わせと重なっちゃって観られませんでした。やっぱ漫画の方が大切だもん・・・ねえ?だからどちらもDVDで観ます。ごめん!
 
 …で『ガリバー旅行記』!「何故今時ガリバー!?」って感じであまり期待していなかったんだけど、こういう懐かしい児童書のCGリメイク映画ってつい見たくなっちゃうんだよね。卑怯!ww
 しかしvicさん曰く『ガリバー旅行記』って児童向けなんかじゃなくて、当時の英国社会を痛烈に風刺したセンセーショナルな文学作品らしいのだ!
 確かに『不思議の国のアリス』だって子供向けのフリをしたハイコンテクストなナンセンス文学ですもんね。さすがイギリス!

 まあしかし今どきこういった映画で風刺なんかやったってなかなか大衆には受けないんだよね・・・そんな事言うと大衆を馬鹿にしているようだけど事実本当に受けないんだもん。少なからず教養が必要だからね。
 現にイギリスのお笑い文化ってけっきょく中流階級(ミドルクラス)のもので作り手もオックスブリッジ出身者だったりする。作り手も受け手も高学歴なんだよね。
 それに対して日本は「笑い」の地位がかなり低い。で、それを補うように日本に存在するのがけっこう教養のあるサブカルファンで、アニメや漫画に対してハイコンテキストな解釈をして楽しんではいる。夏目房之介さん曰く漫画読解力は日本が世界一なんだってさ。ふ~ん・・・

 で、そんな現実を十二分に知っているのがアメリカなんだよね。娯楽に小難しい教養はいらん!って割り切って作っているから、どんな人でもそこそこ楽しめるし現に『アバター』っていうバカ映画が記録的ヒットをとばしたわけだ。
 この『ガリバー旅行記』も名作文学を現代風に焼き直したんだけど、ちょっと現代風アレンジに違和感があった(?)スピ様版『宇宙戦争』と比べるとなかなかうまいアレンジをしていると思う。
 …というか訴えたいことをまったく変えてきて、原作の社会批判なんて一切カット、10年間も地味で目立たない仕事をやり続けたのに、入社初日の21歳の小僧の部下にされてしまった冴えなすぎる男のラブコメディに絞り込んできた。
 でも私はこういうシンプルな割り切り方は結構好きなんだ。『プレデターズ』とか。

 ガリバー役のジャック・ブラックがいい(笑)。もう出てきただけで笑えるもん。一言で言うならば「ジャック・ブラックが小人の国で何やらおバカなことをやっただけの映画」なんだが(パンツ喰い込んでる!ww)、実はそのプロットはまるで脚本の教科書のようにかなり堅実。
 小人の国で出会ったガリバーのたった一人の友だち「ホレーショ」なんてまんまかつてのガリバーを象徴するキャラで、ベタだけどやっぱりこういう手法は効果的なんだ。自分と同じような人間と出会うことで、主人公が自分をメタ的に見つめることができて成長していくって言う展開は。
 とにかくこういうプロットの背骨むき出しの映画って本当にお話作りの勉強になるんだよね。構造が分かりやすいじゃないか。少なくとも私は勉強になったな。

 あと驚いたのはやっぱりCGの技術!『ナイトミュージアム』シリーズで爆笑必至の動くミニチュア軍団を手掛けたスタッフだけある。
 オープニングのミニチュアアニメの様なニューヨークのシーンは、この映画の主題を画で一気に印象付ける効果的な演出だと思うし(タイトルやキャストのクレジットの文字と背景のパースが合わせてあるのは『ナイトミュージアム』と同じ)、相対的巨人のガリバーの為にサイズにあった部屋をリリパット王国がこしらえてしまうというトンデモ展開にもびっくり!
 アップでは鉄の精錬炉だと思わせておいて、カメラをひくとそれがガリバーのコーヒーメーカーだと分かる演出とかもう大好きwあのシーンは原作にはないだろ(当たり前)。
 そして忌み嫌われし島に追放されたガリバーを襲う巨人の女の子のシーンもすごい。つーかあのドールハウスのシーンはちょい怖いwまあ、なんにせよ実写版『借りぐらしのアリエッティ』が観れてよかったよwああなるんだね。
 
 最後に一言だけ。この映画ってず~っと「ドラえもん」の1エピソードに似ているなあって思ってたんだ。もちろんガリバー旅行記のパロディシーンそのものがあった、大長編の『ブリキの迷宮』も好きなんだけど、この映画に一番似ているエピソードは「異説クラブメンバーズバッジ」だと思う。あのドラさんとのび太が地底人の王国を作る話ね。
 ちっこい地底人がどんどん文明を発展させていく展開が、ガリバーの影響でどんどん近代化…いや現代化していくリリパットとすっごい重なって見えて…
 このドラえもんのエピソードは自分の中でもかなりフェイバリットだから、それに引っ張られる形でこの映画の評価も高くなったことは否めない!ごめん!
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