『80日間宇宙一周 From Earth with Love』脚本⑩

月面
トランキュリティ刑務所があった場所はクレーターになっている。
クレーターの上空を旋回する宇宙船。
イワン「あそこだ・・・」
宇宙船のアームでクレーターから球体を掘り出しコンテナに回収する。
フレミング「怪物は核爆発でも焼けなかったわけか・・・」
イワン「彼女自身が内側からさらに球体を強化したんだろう。
それと・・・ボイスレコーダー役に立ったよ」
フレミング「TIAお手製の超小型ジャミング装置だ。監視カメラを狂わすくらいわけはない」

宇宙船の格納部
コンテナにある球体
球体に近づくフレミングとイワン。
フレミング「しかしこれは危険な賭けだったんじゃないのか?」
イワン「まあね・・・」
フレミング「ったく、なんでもかんでもコインで決めやがって・・・
さて・・・核でも破壊できないこのボールをどうやって割る?」
ガラスが割れるような音
「!」
後ろの球体からイルミナが出てくる。桎梏がすべて外れている。
イルミナ「これはガラスじゃないんです。
オリハルコンの結晶・・・私の作品・・・」
イワン「出る気になればいつでも出られたんだな・・・」
首を振るイルミナ「いいえ・・・例え球体から出ても、核ミサイルで焼かれてました・・・」
イワン「だから早く死刑に・・・」
フレミング「はめられた・・・!」
イルミナに銃を向けるTIAのスタッフ。
イルミナ「私を救ってくれるんじゃなかったんですか?弁護士さん・・・」
イワン「やめろ撃つな!」
スタッフの一人がイルミナに向かって発砲する。
その刹那、ピストルの熱エネルギーが一瞬のうちにオリハルコンの結晶に変わってしまう。
ピストルの銃口からどんどん結晶に変えられていくTIAのスタッフ
悲鳴を上げるスタッフ「ぎゃあああ!」
結晶になって砕け散ってしまう。
イルミナ「かわいそうに」
フレミング「なんてこった・・・」
イワン「球体が割れて彼女の作った微生物がばらまかれたんだ・・・」
ゾッとする笑みを浮かべるイルミナ「それではお話の続きをしましょう、ウェイドさん。
私とあなた・・・ふたりっきりで・・・」
フレミングたちに目をやるイワン「・・・頼む。」
フレミング「お前・・・殺されるぞ・・・」
イワン「女性には何度か殺されかけているんでね・・・」

宇宙船からイワンとイルミナが乗った小型ポットが発進する。

宇宙船のコックピット。
フレミング「追跡しろ」
オペレーター「TIAの工作船にはステルス機能がついています。
向こうからの信号がなければ追えません・・・!」
コンソールを叩くフレミング「くそったれ!!」



小型ポッド
イルミナ「助けてくれてありがとうございます・・・」
ポッドを操縦するイワン「・・・で、どこへ連れてって欲しいんだ・・・?」
イルミナ「火星のコズミックグランプリの会場へ・・・」
イワン「一体何を企んでいる?キミの目的は何だ?」
微笑むイルミナ「一度でいいからライトくんのレースが見たかった・・・それじゃダメですか?」



火星
レッドシグナル空軍基地
滑走路にリンドバーグ号が運び込まれる。
油まみれになってリンドバーグ号にエンジンを取り付けるゴダードとライト。
その様子を頬杖をついて見つめるミグ。
青い空と太陽。ゆっくりとした時間が過ぎていく。

ダグ「面白いことやってるじゃないかヘルマン」
振り返るライト「あ、来てくれたんか!」
リンドバーグ号に二人の老人が近づいてくる。
クーラーボックスからビールを取り出し放り投げるダグ・リリエンタール「ほれ冷えてるぞ」
ビールを受け取るゴダード「早いじゃないか」
アロハシャツのダグ「新しいおもちゃがあるって聞いたら、いてもたってもいられなくてな。
どのみち息子の家じゃ居場所がないよ、ようライト」
翼から降りてくるライト「ダグ・・・!
超光速ロケットの構造的な計算ができるのは宇宙でもあんたしかいない」
ニヤリとするダグ「オレもそう思う。で、そこの美人は?」
ミグ「は・・・はじめまして、ミグ・チオルコフスキーです。よろしく・・・」
ダグ「リリエンタールだ、よろしく。おっぱい触っていい?」
ライト「お前もか!!」
ロン・クーロン「わたしはロン・クーロン。おっぱい触ってもらっていい?」
ライト「帰れ!!」

滑走路のアスファルトの上にチョークで数式を書くダグ。
ダグ「25年前にオレたちが作った“Xー零”の原理は量子力学の応用だった。
つまり、物質を原子核の密度にまで圧縮させ、それによって発生する衝撃波を利用して光速の3分の2まで速度を出すことに成功したわけだ」
ライト「イエガーがアルファケンタウルスまで行った伝説の機体やな」
勢いよく数式を書いていくダグ「だが今回のエンジンには全く違う理論を応用させる。
具体的に説明しよう。光速度不変が成り立つのはあくまで4次元の話であって、それは特殊相対論を成立させるための前提に過ぎない。
現在の物理学は光を基準に理論を構築しているから、当然光の速さは越えられないわけだ。
しかし・・・収縮してしまっている残り9つの次元を広げれば光だって超えられる。
ここまではわかるな?」
頷くライトとゴダードとロン。ミグだけはさっぱり理解できない。



滑走路
豪音と共にエンジンに火がつく。
コックピットのライト「どうや?」
機体から離れたテント
コンピューターシミュレーションを確認しながら首を振るゴダート
ヘッドセットを外す「まだまだだな・・・もう一度調整してみるぞ」
ライト「わかった」

格納バンカーにはリンドバーグ号のコックピットから取り外された電子機器のパーツが転がっている。
作業台で電気系統をつないでいくロン
ロン「しかしあの頃の地球連邦軍は羽振りが良かったなあ・・・」
後ろのホワイトボードで計算式を書いているダグ「いうな、クーロン」

バンカーに入ってくるミグ「お疲れ様です」
ロン「ああ、チオルコフスキーさん・・・」
ミグ「なにをしているんですか?」
ロン「航法システムの回路をつないでおるのです・・・
わたしは電気屋でね・・・ライトくんには昔からひいきにしてもらってます。」
作業台のパーツに目をやるロン。
ロン「さて、宇宙ロケットの進歩を影で支えたのは、このアビオニクスであります。
超高速で宇宙を飛ぶロケットの速度は、人間の感覚では処理しきれない。
従いまして、電子的な演算でパイロットにもわかるように尺度を落とし込む(ダウンサイジングする)わけであって・・・」
ダグ「よせよクーロン、彼女がキョトンとしてるじゃねえか。
もっとわかるように言わねえと、女にモテないぞ」
ロン「じゃ、任せる。」
ダグ「あんたの星にマトリョーシカっておもちゃがあるだろ。つまりはあれさ。
ショベルカーのアームで砂粒一つはつまめないが、徐々にアームのサイズを小さくしていけば、砂粒を一つずつつまんで移動させることだってできるよな?
ようはそういうことだ。天文学的なスケールのものを人間のサイズに落とし込む、そしてその逆をも可能にするのがクーロンの仕事さ。」
ミグ「ありがとう、よくわかりました・・・」
ダグ「まあ、普段はハイビジョンテレビ売ってる電気屋だがね」
ロン「うるさいぞ」




滑走路に改造されたリンドバーグ号・・・ライトアロー号が置かれている。
ライトアロー号を見上げる一同。
ライトに最後の確認をするゴダード「まずは光速の1000分の1からだ。
レースごとにリニアエクシードエンジンの様子を見て、徐々に最高速度を上げていけ。」
ライト「マッハ900ってところか・・・わかった」
ミグ「それでレースに勝てるんですか?」
ダグ「ははは!光速度なんて出したら、たった4時間であんたの星を通り過ぎちまうよ!」
ロン「それだけじゃありません。最高出力でこの機体は次元の壁をも破ってしまう・・・」
ゴダード「それは最終戦の切り札にとっておけよライト。
文字通り、光(ライト)になっちまうんだからな。」
ライト「わかっとる・・・」
肩に手を乗せるゴダード「じゃ、レース頑張れよ。」
ライト「ああ、ありがとな師匠」
ダグ「幸運をな」
ミグ「あれ?帰っちゃうんですか??」
ゴダード「オレたちは作るのが好きなんだ。飛ばすのはどうでもいいよ」
ダグ「いや~しかし趣味でプロを超えるってのは気持ちがいいな!」
ロン「いつもの店に行きましょう」
ロンの電気店のバンに乗りあっさり引き上げていく三人
笑うミグ「おかしな人たち・・・」
ライトアロー号に乗り込むライト「さ、ミグ。レース会場に行くで」
ミグに手を差し伸べるライト
ミグ「うん・・・」
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