いや~理科の先生なんだけど、なかなか忙しくて理科の勉強をする時間がない。Ohボーイ。とりあえず夏期講習までには中学校の理科の全範囲を網羅しておきたい。
て、ことで中学1年生はこれにて終了!・・・1分野の方が量が少ない??
身近な物理現象
光、音、圧力などの学習単元。そのどれもが具体的な形がないので抽象的でイメージしにくい。特に計算問題が出題されることが多い圧力が苦手な子が多い。
光
電磁波の一種。電磁波は基本的に見えないが、光だけは目に見える。
電磁波は物質ではなくて“現象”であるため、質量(動かしにくさ)がない。よって光速度で進むことができるし、音でいう空気や水のように媒介する物もいらないため、宇宙空間などの真空でも伝わる。
また、電磁波はエネルギーと運動量を持つ。赤外線が暖かいのもそのため。
光の屈折
「光が曲がること」と説明してしまうとカーブを描くようなイメージをしてしまうことがあるので(光は直進する)、「光が折れること」と教えたほうがいい。
なぜ光が空気中から水中(もしくはガラス)に突入するとこのような現象が起きるかというと、光は水中やガラスの中だと、物質中の分子に吸収(&再放射)されることにより減速してしまうからである。
光が水中との境界へ斜めに突入する場合、水中と近い部分から減速していくので、まるで戦車の片方のキャタピラーを減速させると進行方向が変わるように、光の進む向きが変わる。なぜかミリタリー例え。
ちなみに光は水中だと本来の速さ(秒速30万キロ)の75%ほどしかスピードが出せない。
光の速さを回転鏡を使った実験で求めたのはフーコーである。同じ速度で回転する鏡に反射した光でできる像のズレを求めれば、鏡の回転速度から光の速さが求められる。
プリズム
光はガラスに斜めに入射すると屈折をするため、三角形のガラスに光を当てると入る時と出て行く時で二回屈折することになる。
さらに、光は七色の色をすべて足すと加法混色で白くなるが、各色は屈折率が違うため(紫が最も大きく、赤が最も小さい)、白い光をプリズムに通すと白い光が分光され、スペクトル(虹)ができる。
全反射
物質によって光の屈折率は決まっているが、水中の場合は入射角が48度以上になると、屈折角が90度を超えて水中から脱出できなくなる。これを全反射といい、このときの限界の角度を臨界角という。
応用例としては石英ガラスでできた光ファイバーケーブルが挙げられる。ガラスの臨界角は40度ほど。
ちなみに臨界角を求めるスネルの法則により、空気中から水中に光が進む場合、水中の屈折率のほうが空気中のそれよりも高いので全反射は起きない。
臨界角=出て行く側の物質の屈折率n2/こちら側の物質の屈折率n1
※ただしn1>n2に限る。
レイリー散乱
光が、その波長よりも小さい粒子とぶつかることで起きる散乱。光の散乱は粒子の中心から外向きに球状波として発生する。
空が青く見える理由は、太陽光が大気中の酸素や窒素の粒子にぶつかることで、青い光を散乱させるからである。
ペットボトルに水を入れ、数滴牛乳を垂らし(乳脂肪を混ぜる)、底から白い光を出すライトを当てると、ペットボトルの中は青く光る。
ちなみに、この状態でキャップの方向からペットボトルを覗くと、光は黄色く見える。これが夕焼けである。観測者の光源との距離が大きくなると、青い光はほとんどなくなり、散乱しにくい波長の長い光(黄~赤)が届く。
鏡
ガラス(表)と鉄(裏)の板の間に、薄い銀の膜を挟んで作られている。
銀は金属の中でも最も光の反射率が高く(ほぼ100%)、そのため鏡に利用されているが、かなり高価。
音の速さ
音は光と異なり疎密波(縦波)で、媒体さえあれば水中でも進んでいく。一方、光は横波だが、正体は電磁波なので媒質を必要としない。だから宇宙空間でも伝わる。
また、音は空気中では一秒に340メートルの速さで進んでいくが、光と違って、水中ではスピードアップして、速さは5倍になる。さらに金属などの剛体になると、スピードは空気中の15倍になる。
工事現場のコンクリートを砕いたりする音が、すごい響くのはそのため。
ちなみに、音の速さは正確には、媒質の密度ではなく、体積弾性率というものによって決まる。圧力p、体積Vの流体にΔpの圧力を加えた時に、減った流体の体積(Δv)を体積弾性率といい、この値が空気よりも金属や水の方が高いために、金属や水の方が音の伝わる速度が速い。
さらに、音は気温が高くなればなるほど速度が上がる。具体的には、0℃で秒速331メートルを基準に、1℃気温が上がるごとに秒速0.6メートルずつ速くなる。
ドップラー効果
一定の音を出す物体(音源)が、近づいてきたり遠ざかったりすると、音の波長が変化し、近づいてくる場合は高く、遠ざかっていく場合は低く聞こえる現象。
救急車のサイレンがわかりやすいのでそれを例にする。
救急車の速度をvs、サイレンの振動数(つまり音の高さ)をf、サイレンの音が観測者に最初に届いた秒数をt、音速をVとする。ただしこの時風は吹いていない。
さて、ある場所からサイレンを鳴らし始めた救急車が、A地点に静止している観測者の方へB地点までt秒で接近したとする。
この時、AB間の距離は、速さ×時間で求めればいいのでVt(音がt秒間に進んだ距離)-vst(救急車がt秒間に進んだ距離)となる。
AB間の距離=Vt-vst
音源はt秒間の間にf×t個の波を送っているので、AB間にはft個の波が存在している。
この時の波長λ'(一周期=1セットの波が進む距離のこと)は音速÷振動数(無線や電波などの場合は周波数)で求められるので、V÷f・・・ではなく、音と共にBの距離まで救急車もvsの速度で移動してしまっているので、その分、音の速さは相対的に下がる。よって(V-vs)÷fということになる。
λ'=(V-vs)÷f
次に、音の振動数は、一定時間に何周期の波があるかということなので、一秒間に音が進む距離とも考えられる音速を波長で割ればよい。したがってA地点で観測者が聞く音の振動数f'は音速÷波長なのでV÷{(V-vs)÷f}、これを計算すると・・・
f'={V÷(V-vs)}×f
となり、このf'の値は、もともとのサイレンの振動数fよりも大きくなるため、観測者には実際よりも高い音に聞こえる。※V÷(V-vs)は1よりでかいから。
ちなみに、観測者にはこの音が距離÷速さでt(V-vs)÷V秒間聞こえることになる。
まとめ
音速=波長×振動数
波長=音速÷振動数
振動数=音速÷波長
実は最初の式は中学校によってはテストで使ったりする。
音速は速さでもあるけれど、道のりとしても使えるというところがポイント。
圧力の計算
圧力は接地している面積が大きければ大きいほど小さく(ピアノの足の下に置く板など)、接地している面積が小さければ小さいほど大きくなる(釘など)。
従って圧力(Pa)は物体にかかる力の大きさ(N)÷面積(㎡)で算出できる。
ちなみに1Nは100gの質量の物体にかかる力の大きさなので、ほぼ重さと考えて良い。
ここでもっとも重要なのがPaを求める際には面積の単位を㎡にしなければならないということで、よく1メートルは100センチだから、平方センチメートルから平方メートルにする際も小数点を2つ左に移動させればよいと考えてしまう人がいるが、面積の場合は4つ移動させなければならない。
これがクリアー出来てもそもそも小数の計算そのものが間違いやすいので、面積の単位をそのままにして、むしろNのほうを10000倍して計算したほうが手堅かったりする。
身の回りの物質
状態変化や密度、溶解度、そしてガスバーナーやメスシリンダー、上皿てんびんなどの実験器具の使い方を学習する。
金属の磁性
たいていの金属は磁石につきそうだが、実は常温状態で磁性を持つ金属はごく少数派で、鉄、コバルト、ニッケルくらいである、ちなみにこれはすべて地球の中心部にある元素で、地球が大きな磁石であることが分かる。
ちなみに現在流通している日本の硬貨はすべて磁石につかない。鉄はさびやすいし、コバルトは高価ということで不使用、ニッケルは金属アレルギーへの配慮ということでわずかにしか使われていない。
1円玉はアルミニウム、5円玉は黄銅と亜鉛の合金、10円玉は青銅と亜鉛と錫の合金、50円玉と100円玉は白銅とニッケルの合金、500円玉は銅と亜鉛とわずかなニッケルの合金。
黄銅(真鍮)は銅と亜鉛の合金、青銅は銅と錫の合金、白銅は銅とニッケルの合金。
プラスチックの分類
脱ゆとりで追加された分野。似たような名前の奴(ポリ~)ばっかりですごい覚えにくい。
ポリエチレン(PE)はいわゆるビニール袋に使われる素材で、ほかにもバケツなどにも使われる。水に浮く性質がある。
ポリエチレンテレフタラート(PET)はペットボトルの素材。透明性に優れる。水に沈む。
ポリ塩化ビニル(PVC)は燃えにくく、弾力性と光沢がある(脂ぎってるイメージ)。消しゴムやホース、水道管、電線に使われる。水に沈む。
ポリスチレン(PS)はコンビニのおでんのケースや、カップ麺やヨーグルトのカップ、CDケースやプラモデルなどに使われる、おなじみのあれ。軽いが水に沈む。電気をためる。ポリエチレンテレフタラート同様、透明性に優れるが、硬く、傷つきやすい。消ゴムで溶けるオレだから…また、曲げようとすると割れる。
ポリプロピレン(PP)は比重が最も軽いため水に浮き、耐熱性があり、強度もある。ペットボトルのキャップはこっちでできている。だからゴミ分別にうるさい地域だとペットボトル本体とは別に回収する。絵の具のパレットやお風呂用品もこれでできている。ポリエチレンとキャラが被るがこちらはミルク色のイメージがある。
ポリエステル(PL)は吸湿性が少なく(乾きやすい)シワになりにくいということでYシャツなどの衣服に使われている。綿との合成繊維として用いられることも多い。静電気をためるのが難点で、水に沈む。
ちなみにポリエチレンテレフタラートはポリエステルの一種。
密度のグラフ問題
この中で密度が最も大きいものはどれですか?や、密度が同じ物質はどれとどれですか?みたいな問題は、それぞれの点を原点と結んでグラフを作ってしまえば一目瞭然となる。
このときグラフの傾きが最も大きいものが密度が最も大きい物質。グラフの傾きが最も小さいものが密度が最も小さい物質。そして同じグラフ上に乗っている点が密度が同じ物質の組み合わせとなる。よっていちいち計算する必要はない。
沸騰石
ケミカルストーンとも言う。急な沸騰(突沸)を防ぐために入れる石だが、よくよく考えるとこいつを入れたら何で急な沸騰が防げるかは、あまり学校では教えない。
実は純粋な水だとなかなか沸騰が起きず、ある時いきなり堆積が急膨張し、でかい泡ができてしまう。そこで表面に無数の穴がある(=表面積の大きい)沸騰石を入れ、その表面に小さな泡がくっついてあげられるようにしてあげている(泡を分散させている)。
だから表面にたくさんの穴さえ開いていれば別にガラスでもなんでもいいらしい。お前の代わりはたくさんいるんだ。
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