なかなか学習塾の仕事が忙しくて、平日には勉強の時間的余裕がないので(深夜番組すら終わっているほどの深夜に帰宅)休日にまとめて理科を再確認。
とりあえず今回は中学1年生の第2分野をおさらい。大学では生物学と地学の単位を優先して取得するので(単位上限で一度に全部履修できなかった)。
微生物の観察
顕微鏡の使い方を覚える。大抵は学校にある観察池の緑色の水を採取する。この水はバイキンだらけでお調子者が飲んだらホントにヤバイので注意。
観察する池の水は、プランクトンネットを使ってあらかじめ微生物を濃縮する。このネットは市販では一万円とかするが、パンティストッキングとペットボトルとフィルムケースで自作できたりする。
プランクトン
浮遊生物。泳げない。泳げても小さいので水の流れに負けて漂っている。
ネクトン
遊泳生物。泳げる。魚などの動物が該当する。
ベントス
底生生物。貝やウニなど。サンゴなどの全く動けない固着生物も含む。
ニューストン
水面生物。アメンボなど。
ツルグレン装置
上から光を当てて、光が嫌いな小さな土壌生物をふるい分ける装置。
ペットボトルとガーゼと電気スタンドがあれば簡単に作れる。
装置の下部には光を嫌ってガーゼを通過し落下した生物を殺すためのエタノールや水を入れておく。
この水の量を増やすと、水の中を泳ぐ系の生物を捕まえられるベールマン装置になる。こちらは、フリーズドライ状態になれば、高温(100℃)、低温(ほぼ絶対零度)、高圧(75000気圧)、真空、放射能なにに対してもしぶといと言われる、あのクマムシを捕獲できる。クマムシは乾いたコケ(コンクリートの隙間のギンゴケなど)に生息する。
クマムシを観察する場合は、双眼実体顕微鏡(×20)の方が立体視ができて鮮明に見える。
光合成の対照実験
光合成に必要なものが日光と葉緑体であることを確認する実験。中学1年の1学期の定期試験では極めてよく出題される。ちなみに根、地下茎、花では光合成は行われない。
アルミニウム
葉に日光が当たらないようにするために葉の一部をこれで覆う。この実験を最初に行ったのは19世紀のドイツの植物学者ユリウス・ザックスで、そこからザックスの実験とも呼ばれる。
ちなみにザックスは突然変異の研究で有名なド・フリースの師匠。
エタノール
葉を脱色させるために使用する。沸点が78℃と低いため、直接加熱すると引火する危険性がある。そこでレトルトカレーのように湯煎して温める。
漂白剤
叩き染めで葉を脱色する際に使用する。小学校だとこっちの方法で実験することが多い。ろ紙で葉をはさんで上からハンマーでドンドン叩けるので小学生には楽しい。
この時のろ紙にヨウ素液を加えると青紫色に反応する。
炭酸水素ナトリウム
試験管にオオカナダモやタンポポを入れて光合成を行わせる実験の際に一緒に入れる。別に入れなくても良いが、炭酸水素ナトリウムは水に混ぜると二酸化炭素を発生させるので光合成がさらにさかんになる。
デンプンの性質
光合成によって葉に作られた糖はデンプンに合成されるが、デンプンの粒は大きく水に溶けにくいので、水溶性のショ糖に分解して師管を通じて夜間に運ばれる。
だがイネやエンドウなど一部の植物は何故か昼にショ糖を輸送する。
BTB溶液
中学校の理科の指示薬を用いる問題ではトップクラスに出てくる。なんでかっていうと、アルカリ性、中性、酸性と全ての水溶液の性質を色の変化で示してくれて、すごい使い勝手がいいからなんだけれど、一体お前はそもそも何性で何色の溶液なんだっていう、変身系ミュータントキャラ特有のミステリーがある。実はBTB溶液は元々はアルカリ性で、よって青が基本カラーとなる。
もっと言えばBTB溶液のBTBとはブロモ・チモール・ブルーの略で、こいつは水に溶けにくい性質があり、それを溶かすためにアルカリ性のエタノールを用いているから、アルカリ性の水溶液となっている。
フェノールフタレイン液
こちらはアルカリ性しか調べられないタイプの指示薬。
もともとは無色だがアルカリ性に反応すると赤くなる・・・ここまでが中学校の理科で教える範囲だが、なんと衝撃的な事実。pH13を超えるめちゃくちゃ強いアルカリ性だと再び無色に戻るらしい。さらにpH0を下回るめちゃくちゃ強い酸性だとオレンジ色になってしまう。
植物のからだのつくり
植物の根、茎、葉などの構造について学習する。
ゆとり教育時には種子植物だけだったが、時は流れ、シダ、コケ、海藻まで覚えさせられることになった(仮根とか)。
葉のつき方
互生(互い違い)、対生(双葉状)、輪生(取り囲み型)がある。
海綿状組織
葉の裏側にある細胞がまばらなエリア。表側の柵状組織に比べてスペースが豊富に有りスカスカなのは、葉の裏側に気体の出入り口の気孔がたくさんあり、気体の出入りが盛んなため。
道管
根から取り入れられた水の通り道。植物体が作り出した栄養分の通り道である師管と合わせて維管束という。
道管はすでに死んだ細胞で作られていて固く、植物体を直立させるための大黒柱的な役割も果たしている。木部とも言う。
気孔の位置
気孔とは一言で言えば植物にある気体の出入り口。葉の裏側にたくさんあると中学校では習うが、葉の表側にも、そして若い茎や花びらの表皮にもあることはあまり知られていない。
気孔の開閉
気孔は、昼間や気温が高いとき、体内に水分がある時に開く。
そして、夜間や曇りや雨、晴れていても湿度が低く乾燥している時には閉じる。
夜間に閉じるのは光合成を行なわないため、そして曇りや雨の時に閉じるのは特に水分を必要としないから、乾燥しているときに閉じるのは体内の水分を守るためである。
孔辺細胞
気孔を構成する三日月状の二つの細胞。水を吸うと膨らみ、それによって気孔が開くような仕組みになっている。この時に蒸散が行われ、植物内部の水分は気孔を通じて水蒸気として外部へ放出される。すると潜熱によって温度が下がるので、蒸散は植物の体温調節にも役立っている。木陰が涼しいのはこのため。
蒸散のメカニズム
蒸散のメカニズムはディクソンが以下のような説を唱えている。
まず気孔が開くと植物内部の水分が逃げ、細胞の内液の濃度が相対的に上がっていく。すると浸透圧の関係で、内液濃度の高い細胞が水分を引っ張り出す。この時の力は10~20気圧ほどである。
これにより水分の移動が活発化し、水分を吸収した根は内圧が高まり、この力によっても水は押し上げられる。これを根圧といい2~3気圧ほどの力がある。
さらに水にはお互いの粒が繋がろうとする強い力(凝集力)があるので、これにより水は途切れずに機械的に吸い上がっていく。凝集力の力はマジで強力で200気圧以上の力がないと引き離せない。
このような力によって高さ100メートルを超える巨木(セコイア)も頂上までしっかり水が吸い上げられている。ちなみに1気圧の力は10メートルの高さまで水を吸い上げられる。
蒸散の実験
この実験もよく出るのだが、難しい記述問題として「茎を水中で切るのはなぜでしょう?」みたいなものがある。
その理由は、空気中で切ると気圧に押されて切り口から道管内部に空気が入り、水が途切れてしまうからである。こうなると空気より下の水が蒸散(凝集力)で引っ張れなくなってしまい枯れてしまうのだ。これは花屋で買った花を切って花瓶に生ける時にも用いれられているテクニックである。
火を噴く大地
タイトルがかっこいいが、要は火山の学習単元。
マグマと溶岩の違い
ぶっちゃけほとんど一緒なのだが、マグマは地下にある超高温の液状物質の総称。
溶岩は地表に流れ出したマグマ、もしくはそれが冷えて固まったものを指す。
地表に流れ出たマグマ…もとい、溶岩は900~1200℃にもなり、600~700℃になるとやがて固まり始める。
溶岩の性質
二酸化ケイ素(SiO2)の量で変わる。
二酸化ケイ素の量が多いと粘り気が強く、白っぽくなる。これを酸性岩という。
二酸化ケイ素の量が少ないと粘り気が弱く、黒っぽくなる。これを塩基性岩という。
ちなみに造岩鉱物の石英の化学式はSiO2で二酸化ケイ素である。
同質異像
同じ原子で出来ているが原子の並び方が違うために、異なる性質を持つ物質を言う。
例えばどちらも同じ炭素で出来ているダイヤモンドと鉛筆の芯(セキボク)は、前者がモース硬度が10、後者が1~2である。
ガラス
原子が規則正しく並んで結晶になっていない鉱物を指す言葉。つまり非結晶(アモルファス)のこと。
ガラス工房に行くと分かるけど、ドロドロの液状の物質を急冷すると作れる。分子構造が液状のまま固化したため、水のように透明で光を通してくれる。
揺れる大地
こちらのタイトルもかっこいいが、要は地震の学習。県立入試問題では長らく大問で出題されることはなかったが、昨年度ついに大問で出題され受験生に激震が走った。
アスペリティ
地震が起きた時に大きくずれる領域のこと。大陸プレートと海洋プレートの接触面に存在する。
マグニチュード
地震の規模を表す単位。複雑な対数関数で算出するらしいが、だいたいマグニチュードが1上がるとそのエネルギーは32倍になる。
震度計
地面についたローラーと、宙に浮いていて自由に可動する重りのセットで出来ている。
ローラーには用紙が巻かれ、重りには針がついていてその先がペンになっている。
左右の揺れ(P波。地学では縦揺れと呼ぶので注意!)を測る震度計の重りは振り子状に、上下の揺れ(S波。地学では横揺れと呼ぶので注意!)を測る震度計の重りはバネ状になっている。
震源距離
地震の震源地を特定する際に最初に求めるデータで、中学生の理科でも計算問題としてたびたび出題される。
ちなみに震源距離の計算には大森公式という便利な公式があって、初期微動継続時間に定数のkをかければ求められる。kはだいたい7.5。
震央
震源地の真上の地点のことで、この震央を求めないと震源の深さが計算できない。
震央は、任意の3つの地点から震源距離を半径とする3つの円をコンパスで描き、それぞれ円の交点を結んで引かれる3本の弦がぶつかった場所を求めればよい。
震源の深さ
これがわかればいよいよ震源地がわかる。
計算方法は三平方の定理でOK。
つまり・・・震源の深さの二乗=震源距離の二乗-震央までの距離の二乗。
スラブ内地震
深い場所で発生する地震は沈み込むプレート(スラブ)の内部でほとんど発生し、それは面状に分布する。この深発地震面は和達清夫によって明らかにされたことから、和達ベニオフ帯と呼ばれる。
スラブの断面を見ると地震が発生するエリアは二重に重なっており、上の方は沈み込み方向に圧縮され、下の方は沈み込み方向に引っ張られている。これを二重深発地震面という。
深発地震についてはまだ分かっていないことが多い。超高温高圧下では、地震を起こすために必要なひずみを蓄えることはできないとされているが、実際には深さ700キロメートルでも地震が発生しており、さらに深さ600キロメートルで地震活動は活発になっている。
これは深さ600キロメートル付近で岩石が壊れやすいからだと考えられているが、なぜこの深さで岩石が壊れやすくなるかはわかっていない。
アウターライズ地震
スラブが大陸プレートの下へ沈みこもうとして山折りに折れ曲がった部分をアウターライズ(海溝外縁隆起帯)という。
プレートの沈み込みによってできるひずみはアウターライズにも蓄積されるため、プレート境界地震のあとにはアウターライズが引き裂かれて破壊され地震が起こることがある。
この場合プレート上面には正断層ができることが多い。
陸地から離れた場所で起こる地震であるため、陸地での振動は少ないが、発生する津波は大きい特徴がある。
311においても余震として発生し、アウターライズが折れて正断層が生まれている。
シュードタキライト
地震発生時の断層面に発生する大きな摩擦熱によって岩石が溶けてガラス化したものをいう。
断層面にある黒い帯状のシュードタキライトをみつけることで過去に起きた地震を知ることができる。
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