物理学概論覚え書き②

 当初の予定では、物理とケミカルと理科教育法すべてのレポートを三連休中に終わらせたかったのだが、学問はそんなに甘いものではなかったらしく、物理学しか終わりませんでした。
 当初から無茶な計画だったらしい。ということで今月15日にレポートの締め切りが来るんだけどケミカルは見送りかなあ・・・ひい。

万有引力の法則
木に実ったりんごは地面に落ちるのに、なぜ空の月は地球に落ちてこないのか?
そんなこども電話相談室的なアポリアに対する理論的な説明として考えられたのが、かの有名な万有引力の法則である。
これは、すべての物体は他の物体を引っ張る力である引力があり、その引力の強さは質量の大きさに比例し、また物体と物体の距離の二乗に反比例するというものである。
式にすると以下のようになる。

F(引力)=G(重力定数)×m(物体Aの質量)×M(物体Bの質量)/r2(物体間の距離の二乗)

つまり、質量mのりんごと質量Meの地球では、比べ物にならないくらい地球に対してりんごが小さいので、りんごの作用する引力Fは

F=G×m×Me/re2

となり、この引力は地球の重力mgとほぼ同じなので(実際はりんごの方も地球を引きつけてはいるのだが)

mg=G×m×Me/re2

と置き換えられる。

重力定数Gは、イギリスのキャベンディッシュがねじり天秤で測定した。
イギリス王室並みの財産があった彼は、有名な水素の発見をはじめ、電気回路や状態変化など、数々の研究成果を残したが、極度の恥ずかしがりや&引きこもりだったらしく、その偉大な功績をほとんど世間に発表しなかった。
そんなキャベンディッシュの測定から217年・・・現在では重力定数はG=6.67×10-11(m3/kg・s2)とされている。

さて、万有引力の式を用いれば、なんとまあ地球の質量も計算できる。
地球と月に引力が働いているとして、月が地球の方に引っ張られないのは、地球が月を引っ張る引力と同じだけ、回転する月が地球から遠ざかろうとする遠心力が働いているからである。

遠心力は

F=m×v2/r

そして引力Fと遠心力Fは等しいから=で結べ

G×m×M/r2= m×v2/r(m=月の質量、M=地球の質量とする)

G×m×M=m×v2×r

M=m×v2×r/m×G

M=v2r/G

この式に、地球と月までの距離約384400kmと月の速度秒速1kmを代入。
この場合、単位をメートルと秒に直すのに注意。

M=1000×1000 × 384400000 / 6.67×10-11

M=3844÷6.67×1022

M=576×1022キログラム

でかすぎてよくわからないのでトンにすると

M=576×1019トン

5760000000兆トンでやっぱりよくわからない。ウルトラ怪獣か!
(実際には地球の質量はもうちょっと大きくて約60億兆トン

一方、月の質量は736×1017トンで、だいたい地球の質量の100分の1くらいということになる。

ちなみに、万有引力によって海の潮の満ち引きが起きているのでサーファーは嬉しい。地球の自転によって、月の方を向いている面はより強く月に海水が引っ張られるので、海面の高さが変化するわけ。

オットーサイクルとカルノーサイクル
ドイツの発明家のオットーは、現在ではオットーサイクルと呼ばれる4つの工程を踏むエンジンで特許を取った。
オットーサイクルとは

①ガスの吸入
②ガスの圧縮
③点火・爆発
④排気


という4つのサイクルを繰り返す熱機関(ガソリンエンジン)のことである。
熱機関は、高温熱源(ボイラー)、低温熱源(冷却装置)、作業物質(圧縮されたり収縮されたりする物質。蒸気機関なら水蒸気)の3つの要素で構成される。

エンジンの作業物質は空気であるが、その空気の体積と圧力の変化は各サイクルで次のようになる。
①圧力なし、体積増加(吸気される)
②圧力上昇、体積圧縮(気体は仕事をされる)
③圧力さらに上昇、体積一定→圧力急低下、体積膨張(気体は仕事をする)
④圧力低下、体積低下(排気される)

同じ体積の気体では、気体の圧力は絶対温度に比例するので(ボイル・シャルルの法則)、高温高圧の気体がおこなう仕事のほうが、低温低圧の気体よりも大きい。
熱機関においては、高温熱源からの熱Q高からなるべくたくさんの仕事Wを取り出すことが求められるが、熱力学第二法則からW/Qは1にならない(熱をすべて仕事には変えられない)ので、熱機関とは高温熱源のエネルギーの一部を仕事に変える機関であると言える。
そこで、熱機関を効率化し、どれくらいまでならW/Qを1に近づけられるかが問題になってくる。

フランスの軍人でエンジニアでもあったカルノーは、この問題に対してカルノーサイクルという理想的な熱機関を考えた。
カルノーサイクルは以下の4つの工程を繰り返す。

①等温膨張
気体が膨張すると、気体の温度は低下するが、その低下分だけの熱Q高が供給され、気体の温度は一定に保たれる。つまり供給された熱Q高はすべて仕事に使われる。

②断熱膨張
気体が膨張して仕事を行う。シリンダー内が外界との熱の出入りがない断熱状態では、膨張した分だけ気体の温度は低下する。

③等温圧縮
気体を圧縮すると、気体の温度は上がるが、気体の温度が一定に保たれるように熱Q低が気体を冷やす。

④断熱圧縮
シリンダーは断熱状態なので、圧縮された分だけ気体の温度は増加する。こうして気体の状態は①で等温膨張をする前と全く同じになる。

カルノーサイクルはリアルでは絶対に不可能な完全な断熱構造になっているので、供給された熱エネルギーが、等温圧縮工程以外では外部に逃げず、Q高-Q低はすべて仕事に用いられる。

これによると高温熱源の絶対温度がT高、低温熱源の絶対温度がT低の場合、熱機関の効率η(エータ)には上限があり

η=熱機関が行う仕事W(Q低+Q高)/高温熱源が放出する熱量Q高<T高-T低/T高

という式が求められる(カルノーの原理)。

つまり熱機関の1サイクル分の仕事量は、高温熱源と低温熱源のギャップが大きいほど増加し、効率も良くなるということだが、低温熱源は作業物質を冷却する水や大気なので、その温度を下げるには限界がある(凍ってしまうから)。
つまり、熱機関の効率を上げるには高温熱源の温度を上げるしかないが、となると作業物質の温度が上がり、それにともない圧力も強力になるので、それに耐えられる材料で熱機関を作らなければならない。
カルノーサイクルは言ってみれば思考実験に過ぎないのだが、内燃機関の効率を計算する際には、カルノーが考えた式は非常に便利である。

静電誘導と雷
雷の発生メカニズムは現在でもわからないことが多いらしいが、とりあえず静電気なんじゃないかと言われている。
金属のような導体に、マイナス(プラス)に帯電した物質(棒など)を近づけると、棒に近い側に金属のプラス(マイナス)の電気が引き寄せられるが、これを静電誘導という。
このとき棒と金属は、空気に隔てられていて絶縁されているが、電圧が大きかったり、距離が近すぎると、棒と金属のあいだに電気が流れ、放電してしまう。

これが雷雲でも起こるとされている。
そもそも雲は、太陽によって温められて上昇した地表の空気が、まわりの気圧が下がることでさらに体積を膨張させ、露点を下回り、水滴になることで発生する。
さらに、上昇した空気の温度が-10℃を下回ると、水滴は氷の結晶に変化するが、この氷の粒がたがいにこすれ合うことで、雷のもとになる静電気は生まれる。
このとき、小さくて軽い氷の粒はプラスに、大きくて重い氷のつぶはマイナスに帯電し、雷雲の上下に電極的に配置される。

こうして雲の下部に帯電したマイナスの電気は、静電誘導によって地面をプラスに帯電させてしまう。
しかし雷雲と地面を隔てる空気は電気を流しにくいので、雷雲の電気はすぐに地面には流れず、どんどん大きくなり、電気がこれ以上蓄えられなくなったとき――雲の高さが低い時は地面に、そうではない場合は雲上部に放電される。

雷のエネルギーは凄まじく、通り道にある原子がもつ電子をはじき飛ばし、陽イオンと電子に分けて大気をプラズマ化してしまう。この時生まれた電子も、光を放ちながら地面に向かう。
また、地面に帯電したプラスの電気も、地面に電子が到達する直前にお迎え放電を起こし雲に流れていく。このプラスの電気は電子よりも大きなエネルギーを持ち、さらに強烈な光を放つ。これらの発光現象が稲妻である。
 
直流モーターの仕組み
モーターとは、電磁誘導の原理を利用して、電池から取り出される直流の電流と、内部の磁石がつくる磁界から、力(回転)を生み出す装置である。
電磁誘導の法則は、19世紀初頭に学校に通えないほど貧しかったファラデーによって発見されたとされている。
電磁誘導とは、電流、磁界、力のうち、二つがあれば、残りの一つが作り出せるというもので、この三つの向きはそれぞれX軸、Y軸、Z軸方向と、たがいに垂直の向きに発生する。フレミングの左手の法則は、左手の親指と人差し指と中指を使って、電流(中指)、磁界(人差し指)、力(親指)の向きを表すものである。

モーターは、この電流、磁界、力の向きが互いに垂直であることを利用する。
磁石のN極とS極の間を回転するように取り付けられたコイルに電流を流すと、電磁誘導によってコイルは回転をはじめるが、このまま180°回転すると、磁界に対する電流の向きが逆になってしまい回転運動の向きも上下逆になってしまう。つまりコイルは半回転ごとに向きを変え、いったりきたりを繰り返し、同じ方向に一周できない。

そこでコイルの付け根に整流子という部品を取り付けることによって、コイルが90°回転、270°回転するごとに、コイルの中を流れる電流の向きを切り替えている。
したがって整流子によって電流の向きが切り替わる時には、ブラシと整流子は外れ、電流は瞬間的に流れなくなるのだが、回転の慣性によってそのまま整流子の途切れた部分を通り過ぎると、再びブラシと整流子はくっつくので、常に同じ向きにコイルは回転できるというわけである。

このような実用的な直流モーターはアメリカの発明家のダヴェンポート夫妻によって開発され、当初は印刷機などに利用された。
直流モーターは小型で、電気を入れたらすぐに反応し、速度制御が簡単というメリットもあるが、構造上、整流子とブラシの接続部分が摩耗するため、消耗品として扱われる。

核反応
原子核の質量は、それを構成する陽子や中性子(まとめて核子という)の質量によって決められるが、原子核の質量を精密に測定してみると、陽子の質量×Z個と、中性子の質量×N個の合計値よりも小さかった。この差を質量欠損という。
陽子や中性子などの核子が集まって原子核を作ると、バラバラな時に比べ、エネルギー(核力の位置エネルギー)がΔE分だけ小さい状態になっている。
相対性理論によれば、質量はエネルギーの一形態なので、質量mの物体は

E=m×c2

だけのエネルギーを持っているということになり、よって、ΔEだけエネルギーが減ったということは、相対性理論を変形して

Δm=ΔE/c2

だけ質量が減少したと考える必要がある。
したがって、原子核をバラバラにするためには、外部からΔE分の大きさのエネルギーを与えなければならない。この時のΔEを原子核の結合エネルギーという。

核子一個あたりの結合エネルギー(単位はメガ原子ボルトMeV)は

原子核の結合エネルギーΔE÷核子の総数(質量数)A

で求められる。
このエネルギーの値を水素原子から比べてみると、原子の核子数が大きくなるにつれ、それをつなぐ結合エネルギーも急増し、質量数56の鉄原子核でその値はピークとなる。
そのため鉄より大きな原子核の結合エネルギーは、原子核を構成する陽子の量が増えることで、電気的反発(クーロン力)が大きくなるために徐々に低下してく(クーロン力は核子を結びつける核力よりもずっと広範囲に働くので、原子核の大きさが大きいほど有利となる)。
つまり鉄の原子核が、もっとも安定していて(原子核をバラバラにするのが最も難しい)、それよりも軽い原子核は核融合を、それよりも重い原子核は核分裂をする可能性がある。
また、これらの反応によって変化する質量に伴って、エネルギーが吸収されたり放出されたりする(エネルギー保存の法則)。

核分裂反応を利用したのが、おなじみの原子力発電である。
原子力発電で活躍するのが中性子である。
中性子は電気的な影響を受けないので、プラスの電荷を持つ原子核に反発されずに衝突させることができる。
天然存在比が0.72%のウラン235は中性子と衝突すると、クリプトン92とバリウム141に分裂し、その際に2~3個の中性子と核エネルギーを放出する。
この時放出された中性子の数は、ぶつかってきた中性子の数よりも多く、他のウラン原子核を分裂させるため、うまく工夫すれば核分裂を次々に連鎖的に引き起こすことができる。
この核連鎖反応を引き起こすためには、放出された中性子が外部に逃げ込まないように、一定量のウランがまとまって存在していなければならない。連鎖反応を起こすために最低限必要なウランの量を臨界量という。
したがってウランの量が臨海量以下ならば、中性子は次の核分裂を起こす前に外部に飛んでいってしまい連鎖反応は発生しない。ちなみに高濃縮ウラン235の臨界量は約20kgだという。
核エネルギーによって高温になった原子炉を高温熱源、海水を低温熱源とする熱機関をつかった発電が原子力発電である。

ちなみに天然ウランのほとんど(99.3%)はウラン238で、こちらは中性子が衝突しても核分裂は起きない。また、ウラン235の核分裂によって発生する速度の速い中性子を吸収し、ウラン239になってしまうため、天然ウランでは連鎖反応は起こらない。
しかしウラン239が二回β崩壊をして(半減期は二日ちょっと)できるプルトニウム239は中性子によって核分裂をし、さらにウラン235に比べて臨海量も少ない。
このプルトニウム239を燃料に利用したのが高速増殖炉である。

一方、核融合反応は、二つの原子核を電気的反発に逆らって無理やり近づけ接触させなければいけない。
したがって、ほっといても勝手に進んじゃったりする核分裂に比べて、人工的に起こすことが非常に難しく、原子核を秒速1000キロメートル以上の速度で正面衝突させなければならない。さらに、核融合反応を維持するには温度を一億度以上に保つ必要がある(ゼットンか)。逆に言えば、暴走の心配はない。

ちなみに、太陽のエネルギー源は1600万度にもなる中心部で、水素原子核が核融合をしてヘリウム原子核(あと中性子)になる際に放出される核エネルギーである。
つまり、核融合発電とは、地球に太陽を作るような気宇壮大な計画なのだが、1gの水さえあればタンクローリー1台分の燃料が取り出せる夢のクリーンエネルギー!という一般的なイメージと異なり、燃料に放射性物質(三重水素)を使ったりするので、デメリットももちろんある。うまい話はなかなかないのだ。
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