ついに今月から、理科の一分野の単位取得大作戦を開始!
なかなか勉強する時間がなくて、この三連休を使って、まずは物理学ってことなんだけど、レポートの出題範囲自体は意外と中学生三年生レベルで、こんなんで高校の理科も教えられるようになっちゃうの?オレって実は頭良い!?とか勘違いしてたら、小学校の振り子の運動で爆死。
いや、確かに小学校で「振り子の揺れる周期っておもりの重さには関係ありません」ってやるけれど、なんでそうなるかさっぱりわからなかったし、理科に苦手意識のある先生が多いといわれる小学校でなんでこんな高度なもん扱うんだろうって前々から疑問には思ってたんだけど、やはり、三角関数と微分を普通に駆使しないと、説明できないという。小学生半端ねえ。
物理量
物理量とは、物理学で扱う、長さ、時間、速さ、力などの量のことで、単位を基準として、「50m」などのように「数値」×「単位」として表される。
従って、単位は定数(ある定まった一つの値をとること)であるのに対して、物理量は変数である。
さて、力と運動を扱う物理学である力学で出てくる物理量の単位は、長さ、質量、時間の三つの単位を決めれば、そこから全て定めることができる。
この時、長さの単位はメートル(光が真空中で1/299792458秒の間に進む距離)、質量の単位はキログラム(白金イリジウム合金の原器によって定義)、時間の単位は秒(セシウムが放射する光の周期の9192631770倍の時間)を、基本の単位にして、ほかの物理量の単位を定めた(例えば平方メートルなど)単位系は、MKS単位系と呼ばれ、さらにこれに電流の単位のアンペアを加えた四天王的なものはMKSA単位系と呼ばれる。
日本の計量法で採用されているのは、このMKSA単位系を拡張したSI単位系(国際単位系)で、メートル、キログラム、秒、アンペアに、温度のケルビン、光度のカンデラ、物質量のモルを加え、この七つの単位を基本単位としている。
これ以外の単位は、組み立て単位と呼ばれ、7つの基本単位を用いた式によってすべて表すことができる。組立単位は以下のものがある。
速さ=m/s(距離÷時間)
加速度=m/s2(速度の変化量÷速度の変化時間)
平面角(ラジアン)=m/m
立体角(ステラジアン)=m2/m2(球の半径の2乗の広さr2の面積をもつ球面上の面を球の中心から作る立体角)
周波数(ヘルツ)=/s(波の速さ÷波長)
面積=m2(長さ×長さ)
力(ニュートン)=m・kg/s2(質量×加速度)
エネルギー(ジュール)=m2・kg/s2(力×動かした距離)
仕事率、電力(ワット)=m2・kg/s3(エネルギー÷時間)
圧力(パスカル)=kg/ms2(ニュートン÷面積)
電荷(クーロン)=s・A(電流×時間)
電位、電圧(ボルト)=m2・kg/s3A(エネルギー÷電荷)
電気抵抗(オーム)=m2・kg/s3A2(電圧÷電流)
静電気量(ファラド)=s4・A2/m2kg(電荷÷電圧)
磁束(ウェーバー)=m2・kg/s2A(電圧×時間)
磁場、磁束密度(テスラ)=kg/s2A(磁束÷面積)
インダクタンス(ヘンリー)=m2・kg/s2A2(磁場÷電流)
光束(ルーメン)=cd・m2/m2(光度×ステラジアン)
照度(ルクス)=cd/m2(光度÷面積)
放射能(ベクレル)=/s(原子の崩壊量÷時間)
吸収線量(グレイ)=m2・s2(エネルギー÷質量)
実効線量(シーベルト)=m2・s2(エネルギー÷質量)
ちなみに物理量の桁が非常に大きかったり小さかったりする場合は、10のべき乗を使ったり(1の次に0がいくつ続くかを表す)、単位の前に接頭語(kmのkなど)をつけて、桁の数を調整する。
また、物理学の単位にはそれぞれ次元があり、異なる次元の単位は足し合わすことができないので、換算して同じ単位に表しなおす必要がある。
例えば、重さ+長さは計算できない。
ニュートンの運動の法則
ペストの流行でケンブリッジ大学が閉鎖され、仕方がないから故郷に帰ってきたニュートンは、力と質量と加速度が物体の運動を理解する鍵であることに辿り着き、力学を確立、1687年(日本では元禄時代)に『プリンキピア』を出版した。
これまでの力学では、物体が落下するのは、その物体が元いた場所に帰ろうとしているからである、また、ものが落下する垂直運動と、ものが横に移動する水平運動は全く別の力である(リンゴのように月が地球に落下してこないのはそのため)などと考えていた。
しかしニュートンは、これまでのガリレオやケプラー、コペルニクスといった物理学者の功績を踏まえて、力の概念を明確に定義しなおし、以下の三つの運動の法則を唱えた。
運動の第一法則は、一般的に慣性の法則と呼ばれているものである。
外力が作用していない物体、もしくは外力の合計が0に相殺されている物体は、静止している場合は静止し続け、運動をしている場合は等速直線運動を続ける。
等速直線運動を続ける物体など日常ではまず目撃しないので、にわかには受け入れられない法則だが、それは等速直線運動を妨げる、外力があるからである。
しかし、場合によっては地球上でも等速直線運動的な運動は起きる。わかりやすいのはスカイダイビングで、地球の重力が働き続けるならば、ダイバーの落ちる速度は地面にぶつかるまで無限に大きくなってしまうが、物体の速度に比例して大きくなる空気抵抗が重力とは逆向きに働き、ある値で釣り合うので、最終的にはダイバーが落ちる速度は一定(うつ伏せバンザイポーズでだいたい時速200キロメートルで頭打ち)になる。
ガリレオは、物体に外力が働かなければ、その物体はやがて運動をやめて静止してしまうと考えたが、ニュートンは運動している物体が止まるのは、外力が働かないからなのではなく、まったく逆で、運動を妨げる力が働くからだと考えたのである。
運動の第二法則は、外力が働く場合の物体の運動を説明するものである。
一般的に運動の法則と言った場合はこの第二法則を指す。
物体の加速度(運動量の時間変化)は、その物体に作用する外力に比例し、物体の質量に反比例する。
つまり、加速度a=力F÷質量mという式が成り立ち、これを変形するとF=m×aという有名な運動方程式が出てくる。
こちらの法則は日常的にも理解がしやすい。例えば、自転車を加速させる場合、強い力でペダルをこいだほうがどんどん加速するし、自転車自体を軽くすれば、さらに加速はしやすくなる。
ニュートンは、質量という概念を、物体の慣性、物体の速度の変化のしにくさ(=動かしにくさ)の指標として考案している。ちなみによく似た概念の重さは重力によって値が変化するが、質量は変化しない。
運動の第三法則は、二つの物体が作用し合う力についての法則で、一般的には作用・反作用の法則と呼ばれる。
物体Aが物体Bに力を作用すれば、物体Bも物体Aに力を作用する。二つの力の向きは互いに逆で、その大きさは等しい。
例えば、手で壁を押そうとするとき、壁によって押し返されているように感じるが、これも自分が与えた力と同じだけの力を壁から受けているからである。
また二つの物体のあいだで摩擦力や質量に差があると、摩擦力や質量が小さい方の物体は、同じ力を受けても大きく動いてしまう。
体重の軽い人と重い人が互いに押し合う場合、作用反作用の法則で同じ力を与え合っているのに、重い人がびくともしないのはそのためである。
自動車の力学
運転手がアクセルやブレーキなどを使って自動車の速度を変えることで、自動車は動いたり止まったりすることができる。
このときの自動車の速度は、タイヤと路面に働く摩擦力によって変化する。
まず、止まっている車が走り出す場合を考える。
エンジンによって回転したタイヤは、道路に対して後ろ向きの力fを与え、作用反作用の法則によって、タイヤは道路に前向きに押し返される。
この時、fと同じ大きさで逆向きに働く力は静止摩擦力Fで、この限界値である最大摩擦力(F最大)は、タイヤの接地面に作用する垂直抗力の大きさに比例する。
タイヤの後ろ向きの力fがこの最大摩擦力を超えた時に、自動車は前進を開始する。よって自動車と道路のあいだに摩擦力が作用しなければ自動車は動かない。
次に自動車が加速する場合である。
回転数が上がったタイヤは、道路からさらに大きな前向きの摩擦力を受けるので、自動車は加速していく。その加速度を表すベクトルは、自動車の進行方向と同じ前向きである。
また、カーブに差し掛かりハンドルを切って曲がる場合は、加速度を表すベクトルと道路がタイヤに及ぼす摩擦力は、自動車の進行方向とは横向きになる。
よって速度を落としつつハンドルを切らないと慣性の法則で横転する危険性がある。
最後にブレーキを踏んで自動車が止まる場合である。
ブレーキを踏むと速度は下がるので、その加速度を表すベクトルは、自動車の進行方向とは逆向きである。
この時に急ブレーキを踏むと、静止したタイヤは自動車の進行方向へ引きずられ、路面とのあいだに強い摩擦がかかる。
そのため、タイヤは道路に前向きの、道路はタイヤに後ろ向きの摩擦力を作用させ、自動車の速度は落ち、最終的に自動車は停止する。
単振り子の等時性
周期運動とは、時計の針やブランコなど、一定の間隔(周期)で同じ動きを繰り返すことで、物体の位置と速度が、一周期前の位置と速度に等しい運動のことである。
振動とは、物体が元の位置に戻ろうとする復元力によって、同じ道筋を上下もしくは左右にくり返し動く運動であるが、復元力の強さが元の位置とのズレの大きさに比例する場合(ゆーとぴあのネタ)を単振動という。
振り子は、外部からエネルギーを補給しない限り、振れ幅はどんどん小さくなっていき最後には止まってしまう(減衰振動)。そのため、振り子をいつまでも振動させるためには、周期的に変動する外力を加えなければいけない(強制振動)。
さて、長さLの糸に質量mのおもりを取り付けて、振れ幅の小さい振動をさせる振り子を単振り子という。
おもりは、糸がおもりを引っ張る力(張力)Sと、おもりに働く重力mgの作用によって、半径Lの円弧上を往復運動する。
振り子が鉛直線(糸が真下に垂れた時の線)から角度θだけずれた時のおもりを左右に振動させる力Fは、張力Sと重力mgでできる平行四辺形の対角線で、かつ、張力Sはおもりの運動方向に垂直なので(おもりの運動方向は円弧の接線だから)、角度θ、斜辺の長さmg、高さ(対辺)Fの直角三角形ができ
sinθ=F÷mg
という式が作られる。これを力を表す式に変形すると
F=mg・sinθ
この力の向きが、おもりのズレの向き(変位)と逆向きの時(つまり中央に戻ろうとしているとき)は、マイナスの符号をつけて
F=-mg・sinθとする。
ここで、振り子の振れ幅が極めて小さい場合は、おもりの往復運動は円弧上の曲線ではなく、ほぼ直線の水平運動とみなせないこともない(数学や物理学のこういう考え好きくない)。
この時の移動距離をXとすると
sinθ=X÷L
これを、さきほどの
F=mg・sinθ
のsinθに代入すると
F=-mg・X÷Lとなる。
これをF=m×aの運動方程式に代入すると
-mg・X÷L=m×a
両辺をmで割ると
a=-g・X÷L・・・①
等速円運動の加速度a(向心加速度)は半径r×角速度ω(オメガ。一秒間に回った角度のこと)の二乗なので
a=r・ω2
さらに単振動の加速度aはrω2の変動をX軸上に表したものなので(回転運動の中心角は角速度ω×時間t)、したがって
a=rω2・sin・ωt
a=-ω2・X(※X=r・sin ωtを代入)・・・②
この②を①に代入すると
-ω2・X=-g・X÷L
となり
ω2=g÷L
ω=√g/L
単振動の周期Tは、一週分の道のり2πr÷速さrωなので
T=2π÷ω
よって微小振動の単振り子の周期はω=√g/Lを代入して
T=2π×√L/g
この式には、おもりの質量や振れ幅がないので、振り子の周期には糸の長さと重力加速度しか関係しないことがわかる。
これを振り子の等時性(糸の長さが同じなら、振れ幅が小さかろうが大きかろうが、揺れる周期は等しいということ)という。
逆に言えば、この式を
g=4π2・L/T2
に変形すれば、糸の長さと振り子の周期から地球の重力加速度を求めることができる(単位はもちろんメートルと秒を使う)。
この実験は、振り子とストップウォッチさえあれば手軽にでき、振り子の周期の測定についてもおもりが軽ければ空気抵抗はほとんど無視できる。ただ、糸の長さの測定や糸の伸びやねじれによって、周期の測定結果に誤差が出るので、何回か計測して、その平均値を式に代入しなければならない。
角運動量保存の法則
固定された軸に取り付けられたプロペラ(回転しても質量分布が変化しない剛体とする)がちょうど一秒で1回転するとき、0.5秒では180°、0.25秒では90°回転することになる。
このように角度θが時間とともに変化する変化の割合は、角速度ωと呼ばれ
角速度=角度の微分÷時間の微分
ω=dθ/dt
と表される。
角速度は単位時間あたりに何度回転しているかを示すので、角速度は単位時間あたりの回転回数fに360°をかけた値になる。
ちなみに三角関数的には、360°は2πラジアンとされるので
ω=2π・f・・・①
ちなみに、プロペラの長さをrとして、f回転をさせた場合、このプロペラのブレードの先端の速さVは、一周分の道のり(=円周の長さ)×回転数なので
V=2π・r・f・・・②
①を②に代入して
V=r・ω・・・③
これから、ブレードの先端の運動エネルギーは
E=1/2×m×V2
という、運動エネルギーの式のVに③を代入して
E=1/2×m×(r・ω)2
となる。
プロペラの回転エネルギーは、そのプロペラを粉々にして、粉ひと粒ひと粒にかかる運動エネルギーの合計として計算できる。
こういう無限に小さくしたものを無限に足し合わせると有限の値が出るよっていう数学的なハッタリがどうにも私はわからん。まあいいや。
質量mi、回転軸から距離がriのプロペラの破片iを考えると
プロペラ全体の運動エネルギーEは
E=∑i 1/2×mi×(ri・ω)2
E=1/2(∑i mi・ri2)ω2
ここでカッコの中の∑i mi・ri2はプロペラの慣性モーメントI(イナーシャ)なので
E=1/2・I・ω2
慣性モーメントとは、回転を始めたり、回転を止めたりするのに必要な力の量のことで、これは剛体の重さmと、回転軸から剛体までの距離rの二乗に比例して大きくなる。
このように、物体に作用する力が物体を回転軸の周りで回転させようとする能力Nは、力の大きさFと回転軸からの距離rに比例し
N=F×rとなる。
この時のNを力のモーメントという。長い棒を使えば重いものも持ち上がるよという、テコの原理がまさにこれ。
ちなみに、角運動量Lは運動量p×距離rなので
角運動量Lを時間微分すると
dL/dt=d(p・r)/dt
微分の公式から
=dr/dt・p+dp/dt・r
F=dp/dtの運動方程式から
=dr/dt・p+F・r
N=F×rより
=dr/dt・p+N
等速円運動の場合、中心からの距離rは一定のため(円運動の半径は変わらない)、dr/dt・p=0
=N
したがって
N=dL/dt
つまり、力のモーメントNと角運動量Lの関係は、力Fと運動量pの関係と同じであることが分かり、運動量同様に外部からの力が加わらない限り、その値は変化しないことがわかる。
例えばフィギュアスケートで両腕を折りたたむと回転速度ωが上がるが、外力のモーメントNはかかっていないので、角運動量Lが変化しているわけではない。
したがって
L=pr
=mvr ※p=mvより
=mrωr ※v=r・ωより
=mrrω
=Iω ※慣性モーメントI=m・r2より
からL=Iωであり、慣性モーメントIは角速度ωが上がった分だけ、低下しなくてはいけない。
逆に、慣性モーメントは回転軸からの距離が短くなれば小さくなるので、両腕をたためば慣性モーメントIも低下、しかし全体の角運動量自体は保存されるので、そのぶん角速度ωが増加する。
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