シン・ゴジラ

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆ 業☆☆☆☆☆」

 ラーメンのびちゃったよ。

 なんとカードのポイントでタダで見れました。しかし言葉に困る。気軽に面白いって言うとヤバイ、クリエイターの“業”を痛感してしまうもの凄い映画だった。初代では太平洋戦争、こちらでは未曾有の震災。
 だから不謹慎なんだけど、ああいうクライシスが起きたとき、政府はこう動くんだ、へ~って感じで創作のネタにした奴らが作った映画なんだ。
 911が起きたとき、ある著名な芸術家が「感動しちゃった」とか言って、世間の顰蹙を買ったっていう話があるんだけど、これは口にするかしないかの話だけであって、クリエイターっていうのは、こういう大惨事が起きると「うおおお参考になる!メモメモ!」と心の中で不謹慎にも興奮してしまうマッドな側面が絶対にある。
 実際、世界貿易センタービルが崩れていく映像を見てバベルの塔の崩壊を重ねた人は多かったと思う。ほんと人間のクズだな~って思うんだけど、たけしさんがいうように笑いと美って魔物でさ。
 人間にはそれがどんな凄惨な光景でも、美しさに感動しちゃうという残酷性がある。

 だから、のんきに感想を言うのもはばかられるんだけど、あえて率直な感想を言うと、すっごい政治風刺コメディとしてよく出来ていて、笑った笑ったwこれが、この前のハリウッド映画にはなかった。
 菅直人さんや、甘利さん、枝野さん、塩爺、昨今話題の小池百合子さんとか、そのまま出してるし、ずり~よってwこの映画って宣伝見るからに怖い映画だと思ってたら、もうコメディなんだもん。『総理と呼ばないで』の第4話の「ヘルメットの総理」を作り手は意識したんじゃないかな。
 あと巨大生物対策班の教授として自分が大好きな数物理学者、竹内薫さんがモデルにされていて嬉しかった。
 ただ、石原さとみさんだけはいらない。あいつだけアニメのキャラクターみたくて浮いてた(^_^;)でも、ああいう胡散臭いキャラって昭和の特撮では名物だったりするよねwウルトラマンの科特隊パリ本部の人とかw

 とにかく、オタクっぽいディティールだけで、初代のコアを見失った『ジュラシック・ワールド』と明暗分けたな。こっちは本当に初代のゴジラを上手に現代風にアレンジしてる。
 とにかく、アメコミではよくやるんだけど、日本のサブカルではてんで取り上げられない、ファイヤーマンとか警察とか市井の公務員(っていうのか?)のかっこよさを描いた映画でもある。自分も公務員の端くれだけど、明日から自分の仕事を地道に頑張ろうって応援してくれる映画でもあるんだよな。『官僚たちの夏』みたいな。
 だからっていうわけじゃないけれど、この映画って311の理想の対応を描いたとか言ってる人いるけど、私は全然違うと思う。偉そうに現実に対してダメ出しをしているというよりは、311はなんだかんだで首相以下みんなが最善を尽くしたよってメッセージを私は感じたんだよね。
 なんでかっていうとさ、この映画から受けた最終的な感覚って、ゴジラなんぞと比較しちゃダメだとは思うけど、石井光太さんのルポ『遺体』にすごい近かったんだ。震災の時、凄惨な現場に趣いて一生懸命対応した地域の人たちの話なんだけど。興味のある人は読んで欲しい。

 実際にこの映画は、311を経たからこそ描けたリアリティがあるわけで、オレ達日本人っていろいろ問題点あるけど、まだまだやれるぞっていうポジティブなメッセージを感じたよ。大杉(菅)内閣もそんなに無能に描かれてないしね(とはいえそこまで有能でもない)。
 そういや、奇しくも今年の夏は『インデペンデンス・デイ』の続編も公開したけれど、あの映画とこの映画を対比させると日米のリーダーのあり方の違いが明確化して面白いよね。
 作中でも「これほど早く次の総理が決まるんだ」みたいなセリフがあったんだけど、日本のリーダーって受動的でトップダウン的に命令をバシバシ下さないんだよね。
 だからリーダーは割と誰でもいいというか、これは内閣を支える官僚がすごいっていうよりは、官僚たちのアルゴリズムになっている法的システムが強固なんだろうね。非常時だ!超法規的措置を!みたいな短絡的な流れに絶対ならないというw
 これはしばしば日本のダメなところって言われてたけど(少なくても今の総理は問題視してる)、実は反面強みなんじゃないかっていうのをこの映画は描いていて面白かった。トップ倒しても次々生えてくるハイルヒドラー的な。これはアメリカ政府とかにとっては不気味だな、確かに(^_^;)

 SFとしても面白くてね。日本のSFアニメってすごい頭悪くてさ、小難しい専門用語をそれらしく言って、なんとなく済ませちゃうっていうのばっかで、アニメーターに理系はいないのかって感じだったんだけど、この映画はそれなりにロジックがしっかりしてて、結構それなりに納得ができる。
 とはいえ冷却装置の役目を持つ血液を凝固したら、むしろ停止じゃなくて暴走してメルトダウンしちゃうんじゃないのかとは思ったけど、セリフの速度が早すぎていくらか聞き逃した可能性はあるwあの組織アスペルガーばっかなんだもん(^_^;)
 つーか、このゴジラのSF的なトリックとか科学的な対応におけるストーリー展開って、まんまマイクル・クライトンの『アンドロメダ病原体』でさwコリン・トレボロウ監督よ、ゴジラにやられてどうするっていう。
 そして、極めつけが怪獣退治にウルトラマンも巨大ロボットもいらない!と言わんばかりの在来線ボムw
 ここで、もう私は降参したねw「庵野オレの負けだ!」というわけで、政治映画としても空想科学映画としてもディザスター映画としても、すごいよくできたTHEジャパン映画。
 初代しか満足していない人はぜひどうぞ。
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