代数学覚え書き①

 出た群論。
 数学は正直なところ全部難しいけど、とりわけこの分野の難易度が突出している。なんつー初見キラーテキスト。英語の教科書かってくらい数字が出てこない。式がオールアルファベット。
 まあ代数っていうくらいだから、具体的な数を抽象化して文字式にして、その演算の規則性自体をメタ的に分析、証明、比較してるんだろうけど、個人的には数字自体が抽象的でメタなものだから、それをさらにメタで記述していて、メタメタのギタギタだぜジャイアンっていう。

 ここまでくると、ホントに哲学に合流だよね。だから、記述の仕方が独特なだけで、おそらく記述のルールさえわかれば、これって論理学とかと近いんだよな。ここら辺から、いよいよ知能指数が高いやつしかついていけなくなるってのもわかる。
 実際、この前たまたま高校で数学を教えている先生と話す機会があったんだけど、大学で習う数学なんてまったくわからないって言ってたんだよ。
 高校までの数学は、所詮はひらめきパズルゲームだったけど、大学からの数学は学問だからアプローチが全然違うっていう。そこまで断絶してるのかっていう。

 しかしさ、数学ができる、できないってほんと程度問題に過ぎないと思うよ。スポーツの世界が草野球とか部活動とかのアマチュアから始まって、セミプロ、プロ、トップアスリートと直線的につながっているのと一緒で、数学ができるって自負のある人も、際限なくレベルを上げてけばどこかで脱落はするんだと思うんだよ。そのトップにワイルズとかペレルマンとかがいるんだろうけれど。
 だから、自分から見て数学できるって思う理学部出てるような人も、決して自分の数学力におごることがないもんね。「いやいや、あっしなんてまだまだです」みたいに言うけれど、なるほど、数学は同一競技のスポーツの世界に似てるんだなって。
 スタートラインがみんな全く同じな分、はっきり序列がついちゃうんだっていう。もちろん専門分野はあるとは思うんだけどね。

参考文献:木村 達雄, 竹内 光弘, 宮本 雅彦, 森田 純 共著『代数の魅力』


「むれ」じゃなくて「ぐん」と読むらしい。
グループのGで表す。

要素(元)
グループのメンバーのこと。xやyが群Gの要素であるときはx,y∈Gと表す。

位数
ある群の要素の数を位数という。
位数が有限である場合は有限群、無限にある場合は無限群(桁がいくらでも増やせる整数=Zなど)という。

可換群(アーベル群)
A×B=B×Aのような交換法則が成り立つ演算のグループのこと。
五次以上の方程式の解の公式は存在しないという証明をガロアに先駆けてみつけたアーベルにちなむ。ちなみにこの証明は、大学の代数学の講義ではラスボスに君臨する。

二項演算
1×2=2など、二つの要素を一つの要素にするような演算。
A*B=C

単位元
二項演算の群において、演算結果に影響を与えない要素(元)のこと。
例えば足し算の0や、掛け算の1がわかりやすい。
アイデンティティ・エレメントということでeで表す。(自然対数や電荷とは関係なし!)

逆元
もとの元と演算すると、答えが単位元になる元のこと。
Aの逆元をBとすると
AB=BA=e
このときのBはAの-1乗みたいに表すが、別にAを-1乗しているわけではない(ややこしい!)。

群の公理
群を成立させる四つの定義のようなもの。
①要素どうしで一意的な演算が成り立ち、その演算の集合も群として成り立つ。
②要素どうしの演算で結合法則が成り立つ。
③単位元がある。
④逆元がある。


自明な部分群
群の公理によれば、どんな群も群としての構造Gと、単位元eは持っているはずである。
つまり、群である以上それが内包する部分的な群で最も大きなものはG、最も小さいものは単位元だけの群{e}で、このふたつを自明な部分群という。

mod(モジュラス)
ガウスが考案した「~~を法として合同」と言うときに使う記号。ブッダ的で全く意味がわからない。
具体的に言うと、あるふたつの整数AとBがあったとき、BがAをnで割った時のあまりだった場合
A≡B(mod n)と記述する。
もっと、具体的に言うと、1が101を100で割った時にあまりなら
101≡1(mod 100)
この時101は100を法として1と合同と言う。

フェルマーの小定理
nが素数であるとき、1、2、3・・・・n-1までの数の、どれか好きな数ひとつを(n-1)回かけて、それをnで割ると、余りは必ず1になる。

可換群の証明問題
Gを群とする。任意のx,y∈Gに対して、(xy)^2=(x^2)(y^2) が成り立つならばGは可換群であることを示せ。ただし、群の公理のみを使って示すこと。

x,y∈Gとは、xとyはGというグループの要素だという意味
可換群とはA×B=B×Aのような交換法則が成り立つ演算のグループのこと。

(xy)^2=(x^2)(y^2)
(xy)(xy)=xxyy
乗法の結合法則より
x(yx)y = xxyy

ここで、もとの元と計算したら単位元eになるを逆元という。
Aの逆元をBとすると
AB=BA=e
また、乗法の単位元は1である。

xの逆元x^(-1)を掛けて
x^(-1)x(yx)y = x^(-1)xxyy
(x^(-1)x)(yx)y = (x^(-1)x)xyy
1・(yx)y = 1・xyy

次にyの逆元y^(-1)を掛けて
(yx)yy^(-1) = xyyy^(-1)
(yx)(yy^(-1)) = xy(yy^(-1))
yx ・1= xy・1
yx=xy

したがって群Gで(xy)^2=x^2・y^2が成り立てば、Gは可換群である。

群の公理の確認問題
G=R-{-1}とし、その演算a*b=a+b+abを考える。ただし、右辺は実数における普通の和と積である。

G=R-{-1}は、実数Rのグループから-1だけを除いたグループのこと。

(1)集合Gはこの演算で閉じていることを示せ。
すなわち、a,b∈Gなら、その演算a*b∈Gとなることを示せ。

演算a*bはa+b+ab
=(a+1)(b+1)ー1
a、bをー1ではない実数とすると
(a+1)(b+1)≠0
よって
(a+1)(b+1)ー1≠-1
a+b+ab≠ー1
a、b∈Gならばa*b∈G

(2)(G,*)は群になることを求めよ。
群の公理である以下の3つを検証する。
①結合法則の成立
②単位元の存在
③逆元の存在


a、b、c∈Gとすると
a*(b*c)
=a*(b+c+bc)
=a+(b+c+bc)+a(b+c+bc)
=a+b+c+bc+ab+ac+abc
=(a+b+ab)+c+(a+b+ab)c
=(a*b)*c
よって結合法則が成り立つ。


単位元は二項演算の群において、演算結果に影響を与えない元のことなので、単位元はすべての元に対し
e*x=x=x*e

a*e=aとすると
a+e+ae=a
にならなければならないため
e(1+a)=0
e=0

よって
群Gにおける任意の元、a∈Gにおいて
a*0=a+0+a×0=a
というわけで
0∈GがGの単位元として存在する。


任意のa∈Gに対して
a+a^(-1)+a・a^(-1)=0
となるa^(-1)を求める。
a^(-1)をxとすると
a+x+ax=0
x+ax=-a
(1+a)x=-a
x=-a/(1+a)

a*{-a/(1+a)}
=a+{-a/(1+a)}+a{-a/(1+a)}
=0

また
{-a/(1+a)}*a
={-a/(1+a)}+a{-a/(1+a)}×a
=0

よって、ーa/(1+a)∈Gはaの逆元
また、a≠ー1なので、ーa/(1+a)の分母は0にならず(※)ーa/(1+a)∈G

(※)÷0=無限で、無限は実数のグループに含まれないために一応確認

①②③より(G,*)は群である。

(3)3*x*2=5を満たすx∈Gを求めよ。
実際に演算を計算してみる。
3*x*2
=(3*x)*2
=(3+x+3x)*2
=(3+x+3x)+2+(3+x+3x)×2
=12x+11
12x+11=5なので
方程式を解いて
x=-1/2

正多角形の二面体群の問題
正三角形の二面対群D6の自明でない部分群をすべて求めよ。

二面体群D(ダイヒドラル・グループ)とは、正n角形における対称変換(図形の見た目がビフォーアフターで全く変わらない回転や反転のこと)の群のこと。

正三角形の対称変換は、元の位置のまま何も動かさない恒等変換eと、元の位置から120°回転させたr、その位置からさらに120°回転(合計240°回転)させたr^2、3つの鏡映(線対称=反転のこと)s1、s2、s3の計6つある。

この6つの対称変換のそれぞれの積を考えると、例えば、s1→s2の二回の変換は結局r2と等しく、s3→s2の変換はrに、s1→rの変換はs3に等しいことがわかる。
このようにすべての元の組み合わせの積を表にまとめると以下のようになる。

正三角形の二面体群D6.jpg

この表の重複から、正三角形の二面体群D6の元の数をより減らすことができるので、s1をsとすると、s2=r^2s、s3=rsより、D6の元(e、r、r^2、s1、s2、s3)は

e、r、r^2、s、rs、r^2s

と表しなおすことができる。

また
120°回転を三回繰り返せば元の位置に戻るので、r^3=e
鏡映(反転)を二回行なえば元の位置に戻るので、s^2=e である。

さらに
r→s=s→r^2(=s2)

r2はrの逆元r^(-1)だから(時計回りに240°回転は、反時計回りに120°回転といっしょ)
r→s=s→r^(-1)

したがってD6の6つの元は、rとsの2つの元で全て表すことができることが分かる。

ここで、自明でない部分群とは、自明な部分群であるGと{e}を除いた部分群なので、
(e, s)
(e, sr)
(e, sr^2)
(e, r, r^2)

二面体群D10の共役類の問題
共役とは
B=(g)A(g^-1)という式が成り立つAとBの関係のことである(gはGの部分群)。

D10は正五角形の二面体群なので(ちなみにD12だったら正六角形)、その元は

e(動かさない)
r(72°回転)
r^2(144°回転)
r^3(216°回転)
r^4(288°回転)
5つの鏡映s1、s2、s3、s4、s5

の合計10個あり、元の積の重複を踏まえると

D10={e、r、r^2、r^3、r^4、s、rs、r^2s、r^3s、r^4s}

となる。

また、それぞれの逆元は
s^-1=s
r^-1=r^4
r^-2=r^3
r^-3=r^2
r^-4=r

さらに72°回転させてから反転させること(sr)と、反転させてから288°回転させること(r^4s)は結果として同じなので・・・
sr=(r^4)s

同様にして
s(r^2)=srr=(r^4)sr=(r^4)(r^4)s=(r^3)s
s(r^3)=srrr=(r^4)srr=(r^4)(r^4)sr=(r^4)^3 s=(r^2)s
s(r^4)=(r^4)^4 s=rs

ここで
sr=r^4s=r^-1s (どれも結局288°回転)なので

srs^-1=r^4=r^-1

これを一般化すると
s(r^a)s^-1=r^-a・・・①

またr^aとr^bは互いに可換(交換法則ができる)の関係なので

(r^b)(r^a)(r^-b)=r^a・・・②

①②から
{(r^b)s}(r^a){(r^b)s}^-1
=(r^b){s(r^a)s^-1}(r^-b)
=(r^b)(r^-a)(r^-b)
=r^-a

よってr^aの共役類は{r^a、r^-a}となる。

これを踏まえてD10のrの共役類は
rの共役類=r^4の共役類なので{r, r^4}
r^2の共役類=r^3の共役類なので{r^2, r^3}

次にsの共役類を考える。
rsr^-1=rr s=r^2 s なので(結局144°回転)
これを一般化して
(r^b)s(r^-b)={r^(2b)}s

これを踏まえてD10のsの共役類は
ese^-1=s
rs(r^-1)=rs(r^4)=rrs=(r^2)s
(r^2)s(r^-2)=(r^2)s(r^3)=(r^2)(r^2)s=(r^4)s
(r^3)s(r^-3)=(r^3)s(r^2)=(r^3)(r^3)s=rs
(r^4)s(r^-4)=(r^4)sr=(r^4)(r^4)s=(r^3)s
となり
{s, rs, (r^2)s, (r^3)s, (r^4)s}

最後にeの共役類だが、単位元はすべての元と可換の関係なので
D10のeの共役類は{e}

よって二面体群D10の共役類は
{e}
{r,r^4}
{r^2,r^3}
{s, rs, (r^2)s, (r^3)s, (r^4)s}
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