実験自体は8月1日~3日に行ったんですが、確率論や解析学など怒涛のごとくタスクがあったので、とうとうこの日になってしまったよ。もう何をやったか忘れかけてるんだけど、覚えてる範囲で面白かったことをここに書き記すものである・・・とその前に、最近見た2本の映画のミニ感想。
ペット
「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆☆」
ピクサーの『トイ・ストーリー3』のシナリオを、ドリームワークスの『マダガスカル』のノリでやったような映画。すごいバカバカしいw
飼い主が留守の間あなたのペットはバスを運転していた。
ジャングル・ブック
「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」
映像が凄まじい。全世界の動物タレント震撼。ディズニーに動物動かさせたら敵なしだよな。とにかく動物のしぐさが愛くるしい。動物映画では『ベイブ』以来の感動。
しかし、なんだよ最近のディズニーは。落ち度がなさすぎてちょっと腹立つ。EDもオシャレで必見。そしてED曲はやっぱり007風w八代亜紀さんが歌ってたりして。
教授おすすめ書籍
ウィキペディアでさも知った風な口をきくのはいけない。
『ダイナミックワイド図説生物』東京書籍
高校の生物の資料集的に買われている本。値段の割に最新成果も取り入れられていて、とてもいい。
『生物学辞典第5版』岩波書店、『分子細胞生物学辞典第2版』東京化学同人
研究者たるもの辞書がないと話にならないらしい。
『ちょっと知りたい雑草学』全国農村教育協会
この草なんの草、気になる草(言いづらい)的な時におすすめの一冊。
『復刊自然の観察』農村漁村文化協会
戦中の理科の教科書。少年よ、教科書を捨て野山へいけ、みたいな実践的な内容でなかなかいいらしい。ただ値段が高い(^_^;)
『解剖・観察・飼育大辞典』星の環会、『日本の淡水プランクトン図解ハンドブック』合同出版
実験、観察の参考書としておすすめ。
安全指導
実験も観察も研究も安全第一。
白衣
実験中、自分の衣服に薬品が付着するのを防ぐために着るわけであり、よく萌えアニメで理系美少女キャラがどこでも白衣着てるけど、あれは納得できんと熱く語っておりました。
手袋
革手袋→液体窒素を使うときに(そんな状況あまりない気がする)。
薄い手術用手袋→自分の手ではなくサンプルを汚染しないようするときに。
何を行うかによって使う道具を選ぶ!
知識のある人の義務
専門家じゃない清掃員の人が殺菌室の紫外線のスイッチを切らずに失明してしまう事故があった。こういうことは知識のある人が事前にちゃんと教えないといけない。
防火タオル
万が一に備えて複数用意する。
ただアルコールランプがこぼれて実験机が燃えたときは、慌てずにちょっとほっとくと消えるらしい(理科室の机は耐火製)。
非常用シャワー
一度レバーを引くと一定量のまとまった水が辺りびしょびしょにしようがお構いなしで降り注ぐ。このレバーを引くときは全身に薬品や火がついている命に関わる時なので、使用をためらってはいけない。
野外観察
「先生この草なに?」と聞かれる恐怖。
クローバーとカタバミ混同問題
あまりに似ているため、身障者のマークが四葉のカタバミになる悲劇が起きた。
葉っぱが扇風機の羽みたいなのがクローバーで、葉っぱがハート型なのがカタバミ。
クローバー(シロツメクサ)は家畜の餌なので牧草地に群生している。
シロツメクサは地面にぺったり広がる。
アカツメクサは地面から立ち上がる。
ハルジオンとヒメジュオン混同問題
ほとんど一緒。
ハルジオンはヒメジュオンに比べて背が低い。
ハルジオンは葉が茎を抱く。ヒメジュオンは葉が茎を抱かない。
ハルジオンは茎が中空。ヒメジュオンは茎が詰まってる。
タンポポとノゲシとブタナ混同問題
花の形は似てるけど、ノゲシは全体を見るとかなりでかいので絶対混同しない。あとアヘンの原料のケシとは名前が似てるだけで無関係。
ブタナはタンポポに比べて綿毛のボリュームが少なめ。
国産タンポポ(カントウタンポポやシロバナタンポポ)はソメイヨシノと一緒で自分の花粉では実がならない(自家不和合性)のでセイヨウタンポポに押され気味。でも何気に根絶されてないので、これには何か理由があると考えられている。
キョウチクトウ
大気汚染に強いが木全てがポイズン。枝を燃やすと毒ガスが発生するので、キャンプファイヤーやBBQで救急車が出動したりする。子どもが口に入れる可能性から、全国の学校で伐採された。
計量
いろいろあります。
メスシリンダー
目盛(メス)がついているシリンダーで溶液をかなり正確に測りとることができる。
樹脂製は落としても割れず安全だが、より正確に測るならガラス製が良い。
メスピペット
0.1mlごとに目盛がついているピペット。ホールピペットよりも細かい量が刻めるが、誤差が大きい。
ホールピペット
中央部にホールがあるピペット。いくつかの大きさがあるが、例えば10mlと書かれているものは、きっかり10mlだけ測り取れるが、反面10ml以外(9mlや11mlなど)は測り取れない。メスピペットよりは誤差が小さい。
こまごめピペット
測るというよりは液体を移動させるための道具。東京都駒込病院が開発したことに由来する。
ゴムキャップを取り付けて、ポンプの要領で溶液を吸い上げる。
安全ピペッター
ホールピペットやメスピペットに取り付けるゴムキャップで弁がついている。
原理はポンプといっしょ。以下は使い方。
①A(エアー)のボタンを押しながら、ゴム球を凹ませる。
②安全ピペッターをガラスピペットを取り付けたあと、S(サック)ボタンを押し液体をピペットに吸わせる。
③E(イグジット)ボタンを押し、ピペットから液体を出す。
ちなみにゴムのボタンを押すのに結構ちからがいる。
電動ピペット
ボタンを押すタイプのこまごめピペット。腱鞘炎になる。誤差は製品による。
先っちょのプラ部分は使い捨てのアタッチメントになっている。
ビーカー
目盛りがついているものの、おおよその量しか分からない。
上皿天秤
試料の質量を測る天秤。
かなり正確に測れるが、分銅がさびたり油がつくと誤差が発生する。
顕微鏡
いろいろあります。
実体顕微鏡
3D。接眼レンズと対物レンズが一対ずつついているため、両目で立体視ができる。
ちなみに両目だとモノが立体に見えるのは、右目と左目で見える像が違いで、違う=近い、同じ=遠いと認識するため。
位相差顕微鏡
2D。透明の細胞も染色せずに観察できる。
微分干渉顕微鏡
2D。標本の凹凸が影付きで見える。
レーザー鏡焦点顕微鏡
3D。2Dの写真を重ねることで3D化。対物レンズから光を出して標本を走査し、それをモニターで見るタイプの顕微鏡。
生物顕微鏡
使用上の注意点
①光が通過するほど薄い標本しか見れない。
②薄く透明な標本は明るくて見づらいので染色する。
③100倍の対物レンズは空気中ではピントが合わず使えないため、オイルをレンズと試料に塗る必要がある。
④レボルバーを回転させ対物レンズの倍率を高いものに変更するときは、一度対物レンズとステージの距離を開け、対物レンズがステージにぶつからないようにする(高倍率の対物レンズほど筒が長い)。
⑤現在の生物顕微鏡はレンズの倍率を変更してもピントを合わせなおす必要がない。
⑥開口しぼりで焦点深度を調節できる。焦点深度が深いと暗くなるが、標本に影(奥行き感)がつく。
操作手順
①ボックスから取り出すときはアームと台座を持って、顕微鏡を持ち上げる(顕微鏡は机上で引きずらない=振動を与えない)。
②電源が「0」(OFF)になっているかを確認してから、電源コードをコンセントに指す。
③電源スイッチのとなりの明るさ調整つまみが最小になっていることを確認してから、電源を「1」(ON)に入れる。
④ステージ粗動ネジを使って、対物レンズとステージのあいだをあけ、プレパラートをステージの上で固定させる。
⑤ステージ左下の二つのハンドルを使ってプレパラートの位置を水平移動させ、標本が対物レンズのだいたい真下に来るようにする。
※小さすぎて標本の位置が肉眼でわからない場合は、まずステージを上下移動させ高さからピントを合わせて、そのあと水平方向に動かし、位置をスキャンする。
⑥粗動ハンドルを回して、対物レンズと標本をできるだけ接近させる。
⑦接眼レンズを覗きながら粗動ハンドルを回して、少しずつ対物レンズと標本の距離を離していく。
⑧少しだけプレパラートを水平移動し、それに連動した動きが視認できたら、今度は微動ハンドルに切り替えて標本にピントを合わせる。
⑨左右の視力の違いを、接眼レンズの視度調節ねじを使って調整する。片方の効き目だけで接眼レンズをのぞきながら微動ハンドルを使ってピントを合わせたあと、もう片方の目の接眼レンズのしぼりを回して視力の違いを調節する。
⑩視野の明るさにムラがある場合は、コンデンサーの位置を上下させる。基本的にはコンデンサーの位置は上限とする。コンデンサーについた開口しぼりの調節リングは、基本的に対物レンズの開口数に合わせる。
チリメンモンスター
ちりめんじゃこの製造過程で混入している、ちりめんじゃこ(シラスやカタクチイワシ)以外の海洋生物を、ポケモン的にチリメンモンスター(チリモン)という。
数年前にタモリ倶楽部でも取り上げられていたけど、これを考えた人すごいよな。食品製造過程の廃棄物を逆転の発想で有価物に変えちゃったわけで。
というわけで私もチリモンGOをプレイしてみました。プレイ後30分であまりの細かい作業に根を上げました。
私がゲットしたモンスターは以下のとおり。
その他の最新生物学事情
図鑑はイラストか写真か問題
最近の図鑑は写真が多いが、顕微鏡写真の色は倍率によって変化するのであてにならない。
形態の特徴を理解するにはやっぱりイラストがいいという。
ヒトの細胞の数
60兆個と言われていたが、2年前にちゃんと数え直したら37兆個だった。
たしろ(32)のセル。
赤血球の生産
哺乳類の赤血球には核がないので分裂ができず、そのため骨髄でコンスタントに生産しなければならない。また赤血球は柔軟に形が変えられるため、狭い毛細血管の中も通過できる。
生物の器官
植物は根、茎、葉・・・みたいに分けていくイメージがあるが、分け方は栄養器官と生殖器官のたった二つしかない。
動物は上皮組織、結合組織(骨、血液、脂肪)、神経組織、筋組織の四つある。
被子植物の分類
被子植物の分類は単子葉類と双子葉類の2種類だったが、モクレンが双子葉類から離脱し、モクレン類、単子葉類。真正双子葉類の3つに別れることになった。
切っても切ってもプラナリア
実は野生のプラナリアは切っても二つに分かれないことが多い。
ただ慶応大学にプラナリアの専門家がいて、彼女が飼育しているプラナリアは100回切ったら100匹になったらしい。大学や研究機関のプラナリアは強い。
代謝と燃焼
式自体はグルコースの燃焼と一緒だが、生物はグルコースをゆっくり燃やすため熱や光を出さずエネルギーを無駄にしないようにしている。
生物発光
ホタルの光はルシフェラーゼという酵素による化学反応のエネルギーのあまりとして放出しされている。しかし熱はやっぱり出さない(生物発光は熱を出さない!)。
ちなみにホタルの発光物質と酵素はキッコーマンがホタライトとして販売している。
無機触媒
アイドルのライブで観客が振るスターウォーズみたいなやつは、シュウ酸エステル誘導体と蛍光物質と過酸化水素を混ぜると光る。だから、あれを使うときはスティックをポキッと折って内部の液体を混ぜるらしい。無機触媒は有機触媒と異なり温度変化の影響を受けず、温度が高ければ高いほど反応が進むので、たまにエスカレートしすぎて反応炉が爆発する。
透明化標本
一時期流行ったやつ。筋肉はアルカリで透けるので、これを利用して作る。
最新解剖事情
グロかったり怖かったりするため、最近は解剖をしない学校も多いが、それを克服するためのアイディアとしてニジマスを解剖後、ムニエル(レモンソースがけ)を作るというものがあったが、解剖直後は食欲がそそらないと不評だったらしい。
別のアイディアとしては煮干しの解剖がある。大きさもコンパクトで、指と楊枝で手軽に真っ二つに割れるため、手軽に魚類の内部構造が観察できる(生ゴミも出ず、食べれるし、食べれなくても乾物なので燃えるゴミで捨てられる)。
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