英米文学2覚え書き①

 案の定、連休恒例の体調不良ですが、なんとか勉強してます。前回の英米文学がアメリカ文学で、今回はイギリス文学。学習内容がかなり異文化理解とかぶる(理解が深まる)。
 ちなみに今回のテキストは、その時代を代表する作家によって時代分けがされている。ちょっとMYSTっぽくてかっこいい。

参考文献:荒巻哲雄、岡地嶺著『英文学読本』

Beowulf時代(1066年以前)
古英語の時代。
ブリテン島に住む最古の民族はケルト民族の一部であるブリトン人で、彼らは紀元前からブリテン島に住んでいたが、紀元前55年にローマのシーザーに征服されて以来、ローマ文化やキリスト教の影響を受けた。
5世紀の初め頃、ローマがブリテン島から撤収したことに乗じて、今度はデンマークからドイツ北方に住んでいたアングロサクソン人のゲルマン民族が侵入し、先住民を追い払った。「アングロ人の土地」という意味のイングランドとはこの時(449年頃)名付けられた。
やがてアングロ人は、ノーサンブリア、イーストアングリア、メルシャの三王国を、サクソン人はエセックス、サセックス、ウェセックスの三王国を、そしてジュート人はケントの一王国を樹立し、7王国時代となった(厳密にはもっとあったらしいがキリがいいということで)。
その時の国語は、低地ドイツ語系でこれを古英語という。古英語の時代はノルマン征服がおこった1066年までであるが、西洋史では5世紀のゲルマン民族大移動から14世紀までを中世としているので、学者によっては中世前期とも言われる。
『ベオウルフ』とは、スウェーデンの勇者ベオウルフが巨人や火を吐くドラゴンと戦うゲルマン民族の英雄叙事詩で、7・8世紀に書かれたファンタジーのパイオニア的作品である。
この時代の文学で最も古いのはWidsith『遠く旅せる者』で、5・6世紀には伝誦(口から口へ伝わること)されていた。これは吟遊詩人(グリーマン)が旅行中に見聞した事柄を歌ったものである。
他にも挽歌(エレジー)の『旅人』や『海行く人』、キリスト宗教詩でカドマン作とされる『創世記』(ジェネシス)、『出エジプト記』(エクソダス)、『キリストとサタン』などが挙げられる。さらに『謎』は短詩を集めたもので、人事や自然現象の寓意詩であり、『モールドンの戦い』は歴史上の戦争の詩である。
古英語で書かれたこれらの詩の特徴は、それぞれの行に4つの強勢(ストレス)があり、その中央に区切りがあって、しかも4つの音節のうち、2、3つは必ず頭韻(オルタレーション)を踏み、脚韻(フットライム)は踏まない点である。
散文では、ウェセックスのアルフレッド大王は『アングロサクソン年代記』を編纂した。
文教に理解がある大王は、スペインの僧侶オロシウスの『歴史と地理』、ローマの哲学者ボエティウスの『哲学の慰め』、イングランドの僧侶ベーダの『英国教会史』などを翻訳した。

Chaucer時代(1066~1500)
中世英語の時代。
アングロサクソン王ハロルドはヘイスティングスの戦いでノルマンディーのウィリアム征服王に敗北、これにより英国は大陸と交流が盛んになり、中世特有の封建制度が発達、カトリック教国になった。
フランスやラテンの文化はかつてのアングロサクソンのそれを衰退させたが、言語に関してはアングロサクソン語がフランス語を征服しミドルイングリッシュ、中世英語ができた。
ノルマン王朝は直系の王が絶えたので、フランスからヘンリー二世を迎え、イギリス王がフランスの支配もすることになった。これが百年戦争や薔薇戦争につながることになる。
また、この時代は十字軍の聖地奪還、国王の暴政、聖職者の腐敗なども起きたが、産業は徐々に発達し近代社会へ推移していく。
イギリスの文学が注目されるのは、中世後期からであるが、この時代の文学は古代英語の詩の伝統が残っている西部と、フランス文化の影響が強い東南部に現れた。
西部の詩人には、身分の低い聖職者だったウィリアム・ラングランドがいる。『農夫ピアズの幻』は、二部作で、一部では教会や僧侶の腐敗や上流社会の悪徳を痛烈に批判して労働の神聖を説き、二部では七つの大罪を寓意化して真理の探求を説いた夢物語である。
もうひとりの詩人は、技巧の完全さからアーサー王物語の中でも最も優れたものであるとされる『ガウェイン卿と緑の騎士』を書いたが名前は不明である。
東南部では、教養が高くラテン語、フランス語、英語などで『恋人の告白』(恋に起こりがちの失敗談を教える内容)などの詩を書いたジョン・ガワーと、その友人で後に「英詩の父」と呼ばれるジェフリー・チョーサーがいる。
チョーサーはロンドンの酒商人の子で、市井と宮廷、平和と戦争、実務と外交などあらゆる知識を持っていた。彼の作家人生は三つの時期に分けられ、フランス中世の詩を翻訳したフランス期、外交官としてイタリアに行きボッカチオなどの模倣をしたイタリア期、作家として円熟し、中世・近世を通じて最大の傑作『カンタベリー物語』(カンタベリーは巡礼地で、リチャード二世治下の社会を様々な立場の平民の生活から描いた作品)を作ったイギリス期がある。

Shakespeare時代(1500~1625)
文芸復興期。
イタリアで始まったルネサンスがイギリスに及んだのは16世紀になってからだった。
中世の暗黒時代の原因だった宗教勢力は十字軍の失敗で権威が失墜し、それにルネサンスにおけるギリシャ、ラテンの古典の研究、科学の発達、新世界の発見などが追い撃ちをかけた。
16世紀のイギリスは、百年戦争に続く薔薇戦争によって、封建諸侯の勢力が衰退、新興の中産階級の強い支持により絶対王政が確立した時代で、代表的作家はウィリアム・シェイクスピアとエドマンド・スペンサーである。
大陸の新しい思想をイギリスに伝えた詩人には、トーマス・ワイアット卿と、サリー伯爵ヘンリー・ハワードがいる。彼らはイタリアから14行詩という新しい形式を移入して、叙情詩のジャンルを開拓した。彼らの遺稿はのちにエリザベス朝の叙情詩に大きな影響を与えた。
またサリー伯爵は無韻詩(ブランク・バース)という新詩型も試みて叙事詩や劇詩の詩形の先駆者となった。
詩人の詩人と呼ばれるエドマンド・スペンサーはロンドンの仕立て屋に生まれ、処女詩集『牧人の暦』はギリシャやラテン詩人の伝統的な牧歌の形式で好評を博した。
この業績によりアイルランド総督の秘書に採用され、そこで最大の傑作『フェアリーの女王』を創作を始める。この作品は、ルネサンスと宗教改革に代表される近代的精神を、中世の騎士道物語の中に歌い上げたイギリス最大の寓意詩である。
イギリス・ルネサンス期の散文では、トマス・モアの『ユートピア』が挙げられる。またウィリアム・ティンダルは直接ギリシャ語から新約聖書を英訳し、欽定英訳聖書の基礎を作った。モアは旧教の、ティンダルは新教の殉教者である。
小説はこの時代十分に成長していないが、ジョン・リリーの『ユーフィーズ』が最初の小説とされる。これはユーフィズムという文体を流行らせたが、フィリップ・シドニー卿の牧歌的ロマンス『アルカディア』によって打破された。
この時代生まれた新しい分野には随筆がある。フランシス・ベーコンは健全な常識と簡潔な文体でエッセイを書き、英国随筆の父と呼ばれている。
聖書物語や聖人伝を扱った教会での宗教劇は、すでに中世から行われていたが、ますます盛んになり、善と悪を扱う道徳劇や幕間狂言(まくあいきょうげん。社会や風俗を描く)として発展した。トマス・モアの友人、ジョン・ヘイウッドの書いた多くの滑稽狂言は、英国喜劇の走りとなった。さらにラテン喜劇の影響を受けてニコラス・ウダールが初めて純粋喜劇の『ラルフ・ロイスター・ドイスター』を書いた。
悲劇の発達は喜劇よりもやや遅れ、サックヴィルとノートンの『ゴーボダック王』はラテンの悲劇作家セネカを手本にして書かれた。
シェイクスピア以前の劇作家で優れた作家がクリストファー・マーロウで、彼は心からのルネサンス人で、無限の征服欲を描いた『タンバレイン大王』、無限の知識欲を描いた『フォースタス博士の痛ましい歴史』、無限の財産欲を描いた『マルタ島のユダヤ人』などを執筆した。『マルタ島のユダヤ人』はシェイクスピアの『ヴェニスの商人』に出てくる冷徹な高利貸シャイロックの着想となった。
彼は無韻詩を巧みに使ったが、決闘で29歳の若さで死んでしまった。
彼のような優れた劇作家は、ケンブリッジもしくはオックスフォード出身だったのでユニバーシティ・ウィッツ(大学での才人)と呼ばれている。
英国最大の詩人であり、ホメロス、ウェルギリウス、ダンテとともに世界四大詩人の一人とされるシェイクスピアは、エイヴォン州のストラットフォードという田舎に生まれた。彼は大学出の才人と違って教育はほとんどされてなかった。
ロンドンに単身上京して劇場で働き、他人の作品を修正しているうちに自身も創作するようになった。その後劇場経営も兼業し、大きな財産を作り、引退して故郷に帰った。20年間の作家活動において、詩7篇、劇37篇を発表した。
シェイクスピアの作品は通常、史劇、喜劇、悲劇の三つに分けられるが、悲劇の中に喜劇の要素があったり、史劇には悲劇の要素が大部分を占めている。
シェイクスピアは古典劇(三一致の法則)の条件を無視したため、古典主義時代には顧みられなかったが、ロマン主義の勃興とともに再発見された(古典劇は同じ日、同じ場所、同じ筋という縛りがあった)。
シェイクスピアの創作生活は四期に分けられる。
第一期の修行時代(1590~95)では、『ヘンリー六世』『じゃじゃ馬馴らし』『ロミオとジュリエット』『夏の夜の夢』など、主に史劇や喜劇を描き、情熱的で華麗な文体が特徴である。
第二期(1596~1600)では、現実の人生を広く深く観察した時代で、作品は『ヴェニスの商人』『から騒ぎ』と、第一期同様、史劇と喜劇を描いた。
第三期(1601~08)では『ハムレット』『オセロー』『リア王』『マクベス』の四大悲劇を執筆し、文体はすっかり枯れている。
第四期(1609~11)は、暗い悲劇から『テンペスト』などの清澄なロマンスに移った時代である。
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