アウトレイジ 最終章

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 メーワクもハローワークもあるかい~!!

 いや~・・・虚しい!マーちゃん俺たちもう終わっちゃったのかな、だよ。本当に終わっちまったよ。この映画かれこれ半年くらいずっと楽しみにしてて、これを見るのが生きがいで頑張ってたんだけど・・・おわった・・・
 あまりに待ちきれなくて、夢の中で先行上映してたくらいだからね。

 たけしさんはクライトン先生同様に続編を作るのに抵抗がある人だから、もうマンネリ化は絶対に嫌で、さらにタイトルに最終章って付けている以上は絶対に終わらしにかかるな、と。
 で、そうなると主人公の大友は殺しちゃうだろうな、と。全ての黒幕だった片岡さんヤっちゃった以上は日本にこの人の居場所はないわけじゃない。で、ついに韓国にもどこにも居場所がなくなっちゃったよっていうのが今回の話。
 前作までは・・・というか第一作では主人公が無様ながらも生きながらえることを選んだってのが、今までのたけし映画とは異なっていて、心境の変化なのかなっていう話を前にしたけど、まあ、そのあとカッターで自分がいじめた人に復讐されて死んじゃうんだけどさ。でも、自殺じゃないわけ。

 で、いきなりネタバレだけど、今回はやっぱり原点回帰というか、冒頭もそうだけど『ソナチネ』的に海行って、ホテルをマシンガンでバババってやって、最後はピストル自殺っていう。
 でも、『ソナチネ』とか『HANA-BI』みたいな過去の北野作品とは今回は自殺の印象や意味が違うというか。それはやっぱり老いっていうのがあるからなんだろうけど、これまで以上にすごい強烈で。
 『ソナチネ』の頃はやっぱり若かったから(まあ事故で死にかけていたり、やっぱり現世に対するニヒルな感じはあるんだけど)、体力的には元気だったと思うんだ。

 だから、「あまりに死ぬのが怖いとさ、死にたくなっちゃうんだよ」みたいなセリフもそうだけど、ちょっと美学というか、気恥ずかしいナルシシズムで自殺をやってるようなところがあったんだ。
 でも、たけしさんも70になって、年齢的にいよいよ人生の締めくくりを他人事とは考えられなくなったというか、これまで以上にそういうものを描くのに説得力が出たというか。
 自身が老いたことによる、社会的な居場所の変化というか。もっと言えば、ここまで老いたのに、割と芸能界では社会的なポジションに変化がないということの照れとか自信とか落胆とかもあるんだろうけど。

 だから、今回の大友の自殺はとにかくさみしいんだよ。ちょっと『ハリーとトント』感があるんだよ。
 それが、今までの北野映画の自殺とは決定的に違う。今までは、例えるならば元気のある奴が元気があるゆえに社会に反抗して暴走族やって、大音量でバイクをブンブン乗り回して、さんざん社会に迷惑かけた挙句、あっけなく交通事故であ~あ死んじゃった、みたいな感じなんだけど。

 今回はなんというか、介護されているおじいさんが、これ以上家族や社会にご迷惑はかけられません、みたいに言ってひっそりと自殺しちゃうような・・・楢山節考的なすごい哀しさ。
 本当だったら、あの人が一番ヤクザとしての筋を通している極道の理想系なのに、今のヤクザ社会ではどこにも居場所がないというのが皮肉というか。
 挙げ句の果てに、最も恩を感じているチャン会長のグループにも迷惑がかかっちゃうっていう。でも、あの人の気質的に会長が襲われてて済州島にずっといるって出来ないもんな。

 つまり、この映画は滅び行く白亜紀の恐竜的な、言ってみれば平家物語的な哀愁があって、しかもメインキャラがみんな70前後という事実が、また、重層的な効果を生んでいるというか。
 ヤクザですら社会に疎まれるのに、さらに老人。これに対してあっけらかんと居直っちゃってコメディにしたのが、前作の『龍三と七人の子分たち』なんだけど、今回もテーマとしては似たようなことを作風を変えてやっているんだよね。
 もう時代が変わりつつあるんだけど、いや変わっちゃっているはずなんだけど、自分の存在が大き過ぎて、結局本当に自分が死なないと下の世代はどうにもならないのかいっていう。まあ、こっちも自ら若い衆に禅譲なんてするつもりもねえけどなっていう。

 とはいえ、今回は全3作を通して一番ギャグが多いです。個人的には、かつては関東一円を支配する広域暴力団だった山王会が、前作であんな小物が会長なっちゃったから、わずか数年でコンビニのスペースくらいの事務所にまで没落してたっていうのが一番笑ったけどwさらに、あんなショボイ事務所をあいつはそこまでして欲しいのかっていう、どうでもいいよ感w目くそ鼻くそ感スゲーなっていうww
 もう最初の太刀魚の釣りのシーンから龍三的なギャグが出てきて、ただ、これくらいのバランスにしないと、登場人物が哀れすぎて見ていられないんじゃないかっていうね。

 だから、シリーズ恒例だった残酷な処刑シーンとかも今回はなくて、むしろバラエティ番組的になってて笑えちゃうんだけど、やっぱり考えようによっては今回が一番怖いし悲しい話だよ。楢山節考だからね。
 ただし最後のジジイの意地というか、自分の死に場所くらいは自分で決めさせてくれっていう。

 花菱全員死んでまうわ・・・
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