地質年代測定について

 ここからは学芸員さん情報です。恐竜などの何億年も前に滅んだ古生物の年代はどのように決めているのか?これは炭素14法以外のさまざまな年代測定法を複合的に使っているようです。
 そのいくつかをまとめます。

 マイクル・クライトンの小説『タイム・ライン』では「カリウム=アルゴン法」という測定法がセリフに出てきます。これは何かと言うと、カリウム40が12億5000万年経つとその半分がアルゴン40に変わるということを利用した測定法です。
 炭素よりも半減期が長いので、億年スケールでもいけるっちゃいけますが、なにぶん半減期12億は長すぎるような気もします(どうやら1億年くらいと言う適当な半減期をもつ放射性同位体はなかなかないようです)。

 カリウム=アルゴン法では、岩石の中に含まれているアルゴンの量を調べます。アルゴンは希ガスとして有名な元素で、自然界では気体として存在するので(沸点が-185℃ととんんでもなく低いから)、岩石を熱すると岩石の中に閉じ込められていたアルゴンは気体となって岩石から抜けていきます。
 つまり、岩石が出来た時は熱々なのでアルゴンは逃げて存在しない。で、その後岩石が冷えると、なかのカリウムがアルゴンに変わっていき、どんどん岩石の中にアルゴンがたまっていきます。
 よって岩石を実験で熱してどれだけアルゴンが中にあるかを調べれば、岩石が出来た時からどれだけ時間がたっているかが解るわけです。

 「ウラン=鉛法」は同じ岩石に含まれる異なる造岩鉱物(岩石を形成する鉱物。等粒状組織とかのアレ)の鉛の量を調べる方法です。
 鉛は、カリウムにおけるアルゴンと同じで、ウランが放射能を出して変化する元素(娘元素)で、元はウランなわけですが、造岩鉱物によってそのウランの量にはむらがあります。これは岩石が形成される際に生まれると考えられています(熱で溶けやすい鉱物にはウランは多く混じり、溶けにくい鉱物には混じりにくいから)。

 よって鉛が少ない鉱物のと鉛が多い鉱物の増加の仕方(これは半減期を過去にさかのぼって逆算すれば出せます。)を調べて、二つの鉱物の鉛の量が等しくなる時代が、その岩石が出来た(=冷えて固まった)時代と言えるわけです。

 ちなみに私は学芸員さんに「その岩石からウランとかが見つからなかったらどうするんですか?」と尋ねたことがあるのですが、「それはハズレだね。見つかるまで探す。」と、あっさり返答してくれました。地道な作業のようだ。
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