化学結合
種類が多すぎてすごいややこしい上、高校の授業では一度に全種類を教えずなぜか小出しにするため、初期に教わったものが忘れ去られ、さらに整理ができなくなってくる。
結合エネルギー
分子の結合を切り離すときに必要なエネルギーのこと。
例えば水素分子をつくる結合(H-Hの単結合)の結合エネルギーは432kJなので、水素分子を水素原子二個に分解する場合は432kJのエネルギーが要る。
電子式
最外殻電子の数が8個だと原子は安定するため、その安定度を示すために、元素記号のまわりに電子の数を表す点々をつけた式。上下左右に2つずつ点が打て、最大8つの点を打つことができる。※K殻しかない水素とヘリウムは元素記号に最大2つしか点が打てない。
この電子式によって共有結合の様子が分かりやすく図示できる。
価標
共有電子対を直線になおしたもの。
単結合:M-M
二重結合:M=M
三重結合:M≡M
価標を用いて分子の構造を表したものを構造式という。
共有結合
原子と原子が自分たちが持っている電子をシェアし合うことでくっつくこと。
単結合なら双方1個ずつで合計2個。
二重結合なら双方2個ずつで合計4個。
三重結合なら双方3個ずつで合計6個。
高校で習う化学結合で最強のくっつきを誇る結合。
イオン結合
陽イオンと陰イオンが静電気の力(クーロン力)でくっつくこと。
結合力はかなり強いが共有結合には敵わない。
金属結合
複数の金属原子の原子核が自由電子をシェアし合うことでくっつくこと。強さは共有結合の10分の1。
自由電子がそこらじゅうにあるため、電気をよく通し、メタリックに光り、よく延びる(原子核の位置が多少変化しても自由電子があるためにちぎれない)。
金属の結晶の最小単位は単位格子と呼ばれ、配位数(1個の原子が接する原子の数)と、充填率(結晶の体積の何%を原子の体積が占めているかの密集度合い)によって3種類に分類されている。
①体心立方格子
配位数は8。原子の数は2。充填率68%の単位格子。
最もシンプルで分かりやすい。
鉄、クロム、カリウム、ナトリウムなど。
②面心立方格子
配位数は12。原子の数は4。充填率は74%の単位格子。
かなりつまっている。
金銀銅、アルミニウム、カルシウム、塩化ナトリウムなど。
③六方細密充填
1個の原子を6個の原子で取り囲む。
配位数は12。原子の数は2個。充填率は74%の単位格子。
パッと見鉛筆みたいだが、複雑すぎてなにがなにやら(名前はかっこいい)。
厳密には、完全にこの構造になる金属は存在しないらしいが、一般的にはマグネシウム、亜鉛など。
分子結合
分子の間に働く引力(ファンデルワールス力)によって分子同士がくっつくこと。
結合力は弱いため、沸点や融点は低く、やわらかくてもろい。
分子量(分子の質量)に比例して大きくなるが、結合力は共有結合の100分の1以下で、高校で習う化学結合では最弱を誇る。
配位結合
結合に使われなかった非共有電子対を他の原子に無償提供することによってくっつく。
最外殻電子数が8個で、その内6個を3つの水素原子との結合に使い、ちょうど2個余っている(=非共有電子対が1つある)アンモニアが代表格。
これによりアンモニアはもう1個水素原子がくっつきアンモニアイオンNH4になる。
配位子
アンモニアのように電子に余裕がありチャリティーが好きな分子やイオンを配位子という。
以下のような種類がある。
①アンミン:アンモニア
②ヒドロキシド(ヒドロキソ):水酸化物イオン
③アクア:水
④シアニド:シアン化物イオン (CN-)
⑤クロロ:塩化物イオン
⑥チオスルファト:チオ硫酸イオン(S2O32-)
また、配位結合において、いくつの配位子がチャリティーしているかは、ギリシャ語の数詞で表す。
1つ:monoモノ
2つ:diジ
3つ:triトリ
4つ:tetraテトラ
5つ:pentaペンタ
6つ:hexaヘキサ
7つ:heptaヘプタ
8つ:octaオクタ
9つ:nonaノナ
10:decaデカ
錯イオン
配位子とは逆に、金属イオンは電子をほしがるため、配位子をひきつけ、種類によって様々な構造のイオンを作る。この時のイオンを錯イオンと呼ぶ。
名前の付け方は、①配位数をギリシャ語の数詞で書く→②配位子の名前を書く→③金属イオンの名前を書く→④金属イオンの価数をギリシャ数字で書く→⑤陰イオンの場合は酸を最後につける。
銀イオン
ひきつける配位子は2つ。直線構造のイオン(ジアンミン銀(Ⅰ)イオンなど)を作る。
亜鉛イオン
ひきつける配位子はアンモニアや水酸化物イオンなどで4つ。正四面体構造のイオン(テトラアンミン亜鉛(Ⅱ)イオンなど)を作る。
銅イオン
ひきつける配位子はアンモニアなどで4つ。正方形構造のイオン(テトラアンミン銅(Ⅱ)イオンなど)を作る。
鉄イオン
ひきつける配位子はシアン化物イオンなどで、しかも6つ。正八面体構造のイオン(ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸イオンなど)を作る。
水素結合
ファンデルワールス力などと同じ分子間力の一種で、水素よりも電気陰性度の大きい原子同士を、相対的に正に帯電した水素原子がつないでいく電気的な結合のこと。
金属結合ほどの強さがあり、水や氷の結晶のほか、あのDNAの塩基配列を繋げている。
電気陰性度
原子が電子を引き寄せる力の度合い。
水の場合は水素の電気陰性度が2.1なのに対し、酸素は3.5あるため、酸素が水素とシェアしているはずの共有電子対を自分の方に引き寄せて、酸素側に電荷が偏る(だから折れ線型の分子の形になる)。これを極性分子という。
ちなみに互いの原子の電子を引っ張る力がぴったり同じだったり、分子全体で電子を引っ張る力が相殺される場合は電荷の偏りはできないので無極性分子と呼ばれる。
ちなみに分子における各原子の極性は±δ(デルタ)で表される。
また、極性分子は分子間に静電気が働くため、無極性分子よりも結合が強い。
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