ゴジラ-1.0

「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆」

 俺の戦争が終わってないんです。

 すげー絶賛されたので観た。
 普通によかった。山崎監督は優しい人だと思った。人間に興味があるんだな。庵野と違って。
 『シン・ゴジラ』とすごい対照的な内容で、あちらにはない人間ドラマがあった。向こうは無機質なシミュレーションみたかったからね。
 つーか、戦後のお話だったんだな(それすら知らなかった)。なので、1954年にゴジラが上陸してくるのかな?って思ったんだけど、割とすぐに来た。銀座に。

 お話、よくできていたんだけどさ、主人公とヒロインの会話がさ、アニメ的というか。敬語なんだよ。セリフが互いに敬語ってすごい引っかかった。
 ああいうしゃべり方って、穏やかで優しい印象を与えるものだけど、距離感も感じさせるんだよな。でも、夫婦になりたいけどなれない微妙な関係性をやりたかったんだろうな、と。
 それと、昭和一桁世代は、案外敬語で夫婦なんかも会話していたのかもしれないしね。亡くなっちゃったけど政治学者の三宅久之さんとか、奥さんとは敬語で話していたらしいし。

 あと、登場人物をある程度漫画のキャラ的にテンプレートしないと、内容的にあまりにも陰惨でお客さんが見てられないっていうのもあるよな。
 ちなみに、ああいう戦中戦後のおぞましさとかなら、小林よしのり先生の『卑怯者の島』っていう怪作があって、あれは漫画だけど、実写以上のリアリティというか迫力があったから。そういう流れだったら、本当に怖かったと思う。まあ、ゴジラ要らないけどね。

 なんにせよ脚本はすごいよく出来ていた。教科書。だから最後の展開とかも予想できた。テーマがぶれないから。うまい。構成がしっかりしているので安心してみられる。
 事前情報では「今回のゴジラは怖い!」ってことだったけど、出てくる人が基本的にみんないい人だから後味も悪くないし、『菊次郎とさき』っていうか。大杉蓮とか室井滋が見えたっていう。
 なので、金曜ロードショーとかでゴロゴロしながら見れる内容だと思う。お茶の間ゴジラ。『シン・ゴジラ』はムリ。情報量が多い。疲れる。一度でいい。

 で、ゴジラなんだけど・・・そこまで思い入れがないからなあ。頭が小さく、下半身がでかい、あのメタボ的なデザインがそんなにかっこいいと思わないんだよな。
 あれで、のっそり歩って来るわけで、絶対機敏な動き出来そうにないじゃん。だから進行方向と直角に逃げれば踏みつぶし攻撃を回避できそうだよな。あとはあえてゴジラ側に走るとか。歩幅的に超えていくんじゃないかっていう。まあ、巨大すぎて距離感つかめないのかもだけど。

 あと、あのメタボ体系って、海上をぷかぷか浮くための浮き輪的なものなのかなって思った。今回のゴジラはあくまでも海洋生物っていう面が強かったしね。
 また、熱線を吐くときに、背びれが安全装置みたいになっていて、ガタンガタンと外れていくんだけど、あれは「かっこいい!」ってことなんだろうけど(アクションフィギュアのギミックとしては面白い)、生物的なリアリティを犠牲にしているところがあってさ、やっぱり生物的な何しでかすかわからない怖さみたいなのは初代には敵わないなっていう。
 だって、あれじゃ巨大ロボットじゃん。メカゴジラかっていう。「かっこいい」って過剰にやると、リアリティのラインを下げちゃうから、塩梅が難しいなって思った。

 生物の恐怖演出はやっぱりスピルバーグ監督がダントツでうまいんだなって改めて思ったよ。『ジュラシック・パーク』のTレックスパドックそっくりのアングルとか、『ロストワールド』のトレーラーが崖に釣り下がるシーンとか、そのままだったし。『ジュラシック・パーク』が脳内再生されてダメだった。すまんゴジラ。

 あと、最後のシーンは要らない。マジで。エメリッヒ版も『シン・ゴジラ』も、必ずああいうカットで終わるけど。マジで萎えるからやめてくれ。マーチャンダイジングがすごい。現実に引き戻される。
 シリーズ化するのはもう知ってるからいいって。映画内では完全に死んでくれ。陳腐なゾンビ映画じゃないんだから。
 そういう意味では、スペースでてっさんさんが言っていた、病室のヒロインも同じ。いいよ、そういうの。奇跡が起きたでいいじゃん。最初から漫画なんだから。

 そんなこといったら、深海1500mで風船は多分膨らまねえよ。
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