学校図書館の情報アプローチ覚え書き②

デジタル資料の意義
現在の学校教育では、子どもの生きる力を育てる一環として、「情報環境におかれた児童・生徒に対して適切な情報に対する態度を育てること」「高度情報社会を生きぬいていく力をつけること」など、情報活用能力の育成が重要視されている。

そのため、学校図書館には情報センターとしての役割が期待されており、デジタル資料の整備、および推進が求められている。
これに加えて、これを活用するための情報機器や、図書館の情報や書籍を活用するためのレファレンスサービス(学校司書の配備やネットによる資料検索機能など、調べ物を探し出すサポート)の充実、生徒の調べ学習に対応した資料の整備と整理なども重要な課題となっている。

デジタルの資料の特徴には以下の5つが挙げられる。
①検索が容易にできる。
②通信ネットワークを接続すれば、どこからでもアクセスができる。
③再生機器に表示された情報の加工が容易にできる。
④音声や動画を組み合わせるなど、理解を深めるための新しい表現が可能。
⑤資料のデータが劣化しないこと。

次にデジタル資料の例には、視聴覚メディア、デジタル録音メディア、教育用ソフトウェアなどがある。

まず、ラジオやテレビ、映画、ネットなどの視聴覚メディアである。これは活字と異なり、思考よりも感性に直接刺激を与えるため、強い情報伝達力があり、一度に複雑かつ高度な情報内容を表現・発信できると共に、利用者の反応に合わせて時間や内容を変更できるなど、インタラクティブ性の高い教材作成が容易である。

次にデジタル録音メディアである。これは、プレーヤーを操作すれば任意の箇所だけ飛ばし聴きすることができ、また圧縮した形で保存することができる。また、視覚に障害がある人も、音声データに活字を起こせば、読書に親しむことができる。

教育用ソフトウェアは、利用者がソフトの情報やサービスを主体的に利用でき、利用者の興味関心に応じた学習に役立つリソースを提供できる。また、学習活動に必要な資料の作成や、授業準備をすることができる。

このように、デジタル資料は、情報教育だけではなく、教科目標を達成するための教育もになっている。つまり、子どもの主体的な探究心や問題解決能力を育成する場を期待されている現在の学校図書館にとって、デジタル資料の整備は非常に重要であり、また、それを有効に利用するためにも、情報収集の指導(検索の仕方の指導など)が不可欠なのである。

学校図書館におけるインターネットの導入
インターネットはもはや、学校図書館に限らず、現在社会の基盤をなすインフラとなっている。現在の子どもは生まれた時からネット環境に触れているデジタルネイティブ世代と呼ばれているが、その反面、活字離れが進んでいるというデータもあり、学校図書館が、本などのアナログ媒体と、ネットなどのデジタル媒体をつなぐ場となるためにも、インターネットの配備・導入は非常に重要である。

学校図書館におけるインターネットの利用法としては、レファレンスサービスと、情報活用能力育成のふたつが挙げられる。

まず、レファレンスサービスである。インターネットをレファレンスサービスに活用すれば、図書館の蔵書の検索が容易になる他、図書館だよりやイベント案内などの広報活動や利用者の読書指導もネット(ホームページやウェブログ、SNSなど)を介して行うことができる。
インターネットの利点は、時間や場所、距離などに制約されないことと、インタラクティブ性である。つまり、情報発信をするだけではなく、ホームページの閲覧者のカウンターやコメントなどの反響をフィードバックすることができる。具体的には、利用者数、利用時間、人気のある本などのデータ収集と分析、読書感想文や評論文、ブックトークの動画などの公開である。

次に情報活用能力育成である。児童生徒と教職員のインターネット活用能力の育成において中心的な役割を果たすことが、学校図書館の職員には期待されている。
図書館のレファレンスサービスとしてのネット活用についてのスキルを児童生徒や教職員に伝え、彼らが図書館を利用する際に、主体的にインターネットを活用できるようにサポートをする。そのために、学校図書館員はインターネットの活用方法に熟知し、それを啓蒙・普及するための様々な提案を行っていくことが求められる。

インターネットを情報ツール、レファレンスツールとして使いこなすスキルは図書館利用者にとって重要であり、また主体的な情報発信や、他者との情報交換など、コミュニケーションツールとして、インターネットとの付き合い方を考えることも同様に大切である。

学校図書館メディアとサービスの多様化
日本の教育はPISA調査の結果によると、読解力、特に情報活用能力に課題があるという。現代の子どもは電子機器の使用に抵抗がなく、インターネットにも日常的に触れてはいるものの、決してメディアリテラシーの能力が高いわけではないのである。

これを受けて、中学校の学習指導要領には「生徒が情報モラルを身に付け」、「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体的、積極的に活用できるようにするための学習活動を充実する」こと、「これらの情報手段に加え視聴覚機器や教育機器など教材・教具の適切な活用を図る」ことなどが盛り込まれることになった。

この目標を実現するために、学校図書館において視聴覚メディアの充実が考えられる。
視聴覚メディアは紙媒体に対して以下のメリットがある。
まず、学習者の印象に残る資料の提示、次に、授業の説明だけでは伝えにくいリアリティのある場面の提示、さらに、対面授業との相乗的な学習効果などである。
総じて、子どもの意欲とイメージを強く引き出すような学習環境を実現できるので、学校図書館の視聴覚メディアの充実は喫緊の課題である。

また、学習図書館のサービスの多様化として、学校図書館や公立図書館が所蔵する書籍情報をネット上にデータベース化し、それをコンピュータによる調べ学習で利用するという試みがある。例えば、国会図書館では「国立国会図書館デジタルコレクション」と題して、国立国会図書館で収集・保存しているデジタル資料をネットで検索・閲覧できるサービスがある。これは、昭和43年(1968年)までに受け入れた図書、議会資料、法令資料及び児童書のうちの約90万点、雑誌1.2万タイトル、古典籍資料、官報(明治16年7月2日~昭和27年4月30日)、博士論文などを収録しており、わざわざ東京の国会図書館に足を運ばなくても、貴重な資料が自宅で閲覧出来るようになった。

それとともに、公立図書館のサイトなどでも、新しく購入された書籍や、おすすめの書籍などがあらかじめ収蔵書籍リストからピックアップされおり、利用者が実際に図書館に脚を運ぶ工夫もされている。
このサービスは学校図書館にも積極的に取り入れたい。これは、学校図書館にはスペースと予算に限りがあり収蔵冊数も不十分な場合が多いためで、学校図書館と公立図書館や国会図書館の書籍データベースとリンクさせることで、学校図書館の収蔵数の不足をカバーするのである。

これらのメディアやサービスを取り入れ、多様化させることで、司書教諭はそれぞれの利用者の興味・関心に合わせたメディアや情報を紹介したり提供したりする事ができる。
また、利用者は、基礎的な情報活用能力さえ身に付ければ、ストレスを感じることなく、調べたい資料を調べたい時、調べたい場所で調べる事ができるのである。

著作権教育の重要性
著作権は、著作物(思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの)に関する財産権であり、それと同時に著作者の人格的な利益を保護するものであるが、詳しい法的内容を理解している人は少ないのが現状である。

しかし、図書館やレンタルビデオ店での貸出や複写に加え、インターネットなど情報技術の急激な進歩により、子どもが知らないうちに著作権を侵害する可能性は増大しており、正しい知識を学校教育の中で学ばなければならなくなった。
特にインターネットが扱うデジタルデータは、複製や加工、発信・共有が容易で、法的にもグレーゾーンとなっている部分も多く、書籍などのアナログなデータよりも注意が必要である。

今の子どもは電子機器を扱うことに抵抗がなく、インターネットに関しても、オンラインゲームやSNSを切り口に日常的に扱っているが、インターネット上の著作権についての知識を事前に学んでから扱っているわけではない。
つまり、調べ学習でインターネット上の著作物をそのままコピー&ペーストしてしまったり、欲しい音楽や動画のデータを違法ダウンロードしてしまったりと、それらが著作権に違反する行為だと認識せずに行なってしまうことが度々起きてしまう可能性があるのである。
こういった著作権トラブルの問題に対しては、そのまま教材として使える啓蒙ビデオなどもあり、積極的に授業で視聴させていきたい。

一方で、児童生徒に混乱を生じさせている原因となっているのが、学校教育では権利者の許可がなくても著作物の利用が認められるケース(教育目的による著作権の制限:著作権法第33、34、36条)があるという点である。
これについても、法律でどのように決まっているかを明確に指導することで、児童生徒が調べ学習で学校図書館の資料を効果的に活用できるようにしたい。
具体的な方法としては、定期テストの問題に使用されている画像や、市販のドリルのコピー、学級通信に載せる生徒の写真など、子どもたちが日常の学校生活で見かける著作物を例に、それらが著作権法に抵触するかどうかを話し合わせる。また、その際には、法的な問題だけではなく、マナーやエチケットなど道徳的な問題としても扱うことが大切である。
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