なんか、ブックトークとかの話なんだけどさ、いくらプロモーターが熱心にやっても読まねーやつは読まねーよな。ありがちなのは、ブックトークで全部読んだ気になっちゃうってパターンね。ただの読み聞かせじゃねーかっていう。
これがさ、映画とかだと、町山さんとかの解説動画見たあとに、その映画を観たくなったりするんだけどね。本になるともう少し労力がいるからね。映画みたいにボケーと流し見できないからね。
そういう部分も配慮して、例えば新書縛りとか、絵本縛りとか、なるたけあっさり読める本を取り上げたほうがいいのかもね。これをマルクスの『資本論』とか、ドストエフスキーの長編小説とかでやっちゃうと、仮に内容が良くても絶対読まないよね。
なんというかさ、読書習慣って絶対に早期教育だと思う。自分も物心ついた時から絵本の虫だったしさ。そういう経験を全くしないでレディネス期を経過させちゃうと、けっこう厳しいものがあるよな。
年とると知識欲とかなくなってくるらしいもんね。あれなに?これなに?ってあまり言わなくなるもんな。ニーチェじゃないけど、国家に従順な家畜と化すわけよ。
参考文献:天道佐津子編著『読書と豊かな人間性の育成 改訂版』
ブックトークの概要
直訳すると「本を語る」という意味で、子どもたちに読書に対する興味を持たせるために、アメリカで誕生した活動である。しかし、読み聞かせのように、本をそのまま語るわけではなく、あらかじめテーマを決めて、そのテーマに該当する本を5~10冊選び、それらの本を順次紹介していく。ブックトークは簡単なように見えて、その準備にはかなりの時間と労力を要するが、一度作ったブックトークのシナリオは対象者によって多少修正すれば再利用ができる。
目的
①紹介された本を読みたいという気持ちにさせる
②知らなかった本や、知らなかった分野を紹介する
③本や読書そのものの楽しさを伝える
対象
学校のクラスなど、まとまった集団を対象に行うことが多い。ほかにもブックトークをネット中継すれば不特定多数に発信ができる。
方法
具体的に見ていきましょう。
①テーマを決める
子どもたちの実態を観察して、子どもたちが興味や関心を持っていることを事前に調査する。これを踏まえてブックトークのテーマを決める。しかし授業の延長になるようなテーマは控えたほうが良い。それを行うと、子どもは純粋に本を楽しむのではなく、勉強の一環で学ばされるものとして認識する可能性があるからである。
小学校低学年では「イヌ」「ともだち」「おばけ」といった具体的なもの、小学校高学年以上では「生命」「友情」「挑戦」など抽象的なものが良い。
②テーマ設定の理由を明確化する
指導案のように、実践者の思いや、想定される子どもたちの受け止め方などを文章でまとめる。これにより自分のテーマに対する認識がよりクリアになる。
③テーマに沿った本を選ぶ
テーマに対してのコンセプトがはっきりしてきたら、テーマに沿った本を10冊ほど集める。これがなかなか大変な部分で、読書家ならばいろいろな本がイメージとして浮かんでくるのだが、読書量が少ない人には苦痛である。そういった場合は、グループでブックトークを企画しても良いだろう。
また、読書家の人でも注意すべきなのは、あまり難しい本だけを選ばないことである。ブックトークで興味を持っても、難しい本は途中で脱落してしまう可能性がある。
一冊くらい、上級者向けを入れても良いが、読みやすかったり、面白い絵本などもラインナップの中に加えると、充実したブックトークになる。
チョイスした本はもう一度よく読み直して、それぞれの本のどの箇所をテーマに合わせて取り上げるかを考える。この時付箋をつけると良い。
④紹介する本の順序を決める
紹介する順序を決めて、その順番に従って、タイトルや著者名、出版社名などのデータと、簡単な紹介文を書いてみる。この紹介文はブックトークにおけるシナリオに当たるので、対象者を踏まえてあまり難しくなく、そして興味を抱きやすい内容にする。
注意点は、一冊の本をあまり紹介しすぎない点である。聞いている子どもも、自分が読んだ気になってしまい、読まなくていいじゃんってなるからである。
そのためにも、ハイライトシーンの直前で寸止めすれば、そのあとの続きが気になって、たまらなくなるだろう。この手法は『LOST』などの海外ドラマがうまいと思う。で、だいたい引っ張るわりには大した続きじゃないんだよね。
⑤子どもたちの前で実践する
すべての準備が出来たらいよいよシナリオに沿って実践する。客観的な本の紹介というよりは、演じるといったイメージで行うと良い。一冊ずつ表紙を見せながら、シナリオを語って、話し終えた順にその本を前の机に表紙が見えるように立てていく。
最後にアンコール的に、子どもが選んだ絵本を読み聞かせしてもいいだろう。
ブックトークが終わったら、実際に紹介した本を手に取って試し読みしてもらう。そのとき、子どもたちが紹介した本に群がって行ったらブックトークは大成功であるが、この時、子どもに「どうでしたか、読みたい本は決まりましたか?」などと感想や催促をしないことである。
肝心な場面でこれをやられると冷えるからな・・・(C)ハンチョウ
⑥アフターフォロー
ブックトーク後に子どもたちがその本を読みたいと思っても全員分本が行き渡らないことがある。その時に「あとで図書館で借りてください」とか「Aさんの次にしてね」などと言ってしまうと、子どももさすがに興を削がれてしまう。
そうならないためにも、ブックトークのあとに子どもたちがすぐ紹介された本を手に取れるように、ブックトークの会場を図書館にするとか、ブックトークで紹介した本を何冊か教室の学級文庫として持ってくるなど、可能な限りの工夫をする。
また、誰がどの本を読んだかのチェックや、読んだ感想を聞くなどは、くれぐれもしない。
肝心な場面でこれをやられると冷えるからな・・・(C)ハンチョウ
ちなみに子どもたち自身でブックトークをやらせても結構面白い。子どもたちの、読む力、書く力、話す力、企画力、情報活用能力など、まさに主体的で対話的な深い学びが実践できる。
朝の読書の概要
児童生徒の読書を習慣づける目的で、授業が始まる前の朝の学活前後に、10分ほどの読書の時間を設ける活動である。
全員に「読ませる」わけなので、形の上では、ゆるやかな指導とはいえないが、児童生徒に受け入れられたため、平成になって比較的短期間で全国にひろがり、現在ではなんと90%もの小中学校が朝の読書を導入している(2007年のベネッセの調査によれば小学校では94.3%、中学校では86.6%の学校で実施している)。
朝の読書は、もともとは88年に船橋学園女子高校(現在は東葉高校)の社会科教師だった林先生の提唱によってはじまり、同校では今なお以下のような原則が守られている。
①毎朝10分間、黙読する。
②読む本は、生徒が自由に選ぶ。ただしマンガ、雑誌を除く。
③読後に課題が設定されない。ただ、読むだけである。
④教師も読む。その時間、読書に関して指導的役割を果たすことはしない。
朝の読書の最大の功績は、学校の中に評価の対象にならない活動を導入したことだと言われている(何を、どう、何のために読むか、が問われない)。
朝の読書の実施には、生徒の「読まない自由(=本なんか読みたくない)」をどうするかという問題がある。しかし、仮に読書が嫌いな生徒がいても、朝の読書での大多数の集団が作る図書館的な静けさに助けられて、ともかく本に向かうことができるとされている(同調圧力に弱い悲しい日本人)。
つまり、朝の読書には、一日の学校生活が静かな落ち着きの中でスタートできるという生活指導上のメリットもあるのである。
具体的な実践例
朝の読書のパイオニアである東葉高校では、学校図書館の学校司書や司書教諭と、朝の読書の推進委員の先生が協力して、各クラスの学級図書を、学年のレベルを考慮して70~80冊をひとセットにして選出し、分置している。これは図書館から、クラスに貸し出しする形をとっている。
つまり学級図書は、学校図書館がクラスに実物で提示する推薦図書リストであり読書案内であるといえる。
また、読後の課題はないが、せっかくの読書歴を残せるように、生徒全員に配布される原稿用紙の冊子巻末には読書の記録欄がある(もちろん評価対象にはならない)。
こういった学校の図書館活動では、子どもたちが自主的・主体的に参加し、成就感を持つような指導の工夫が不可欠であるため、司書教諭は、学校の教諭だけではなく、保護者や地域のボランティアとの十分な協力態勢を整えるためにコーディネーターとして活躍するべきである。
例えば、ある小学校では、隔週の水曜日に低学年を対象に、保護者による朝の読み聞かせを行っており、これを全校に広げるために司書教諭が中心となってボランティアを募集したという。
こういった活動は、他の学校でも全国的に実施しており、興味深い例では、校長先生がボランティアと共に読み聞かせを行っている小学校や、月に一度、事務職員も含めた全職員で朝の読書を行っている小学校もあるという。
いずれにせよ、まずは大人が率先して本を読む習慣を子どもに見せることが、朝の読書活動においては重要なのではないだろうか。
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