日産自動車の“ダーウィニズム”

 中学校の頃の友人M氏はすごい自動車マニアで、日産のスカイラインとか好きだったんですけど、その日産もカルロス・ゴーン氏がCEOになってから、ボーダレス化が進み、役員は半分が外国の人だと言います。

 日産自動車は仏ルノー傘下となった平成11年から、社内の公用語が事実上、英語となった。役員や経営会議メンバーの半数は外国人。昇格も英語が必須で、得意でない社員は翻訳ソフトが手放せないという。

 社員の意識改革を担う「ダイバーシティディベロップメントオフィス(多様性開発室)」の高橋美由紀室長(48)はカルロス・ゴーン社長(55)の通訳などを経て現職。愛車はスカイラインという高橋さんは「企業がボーダーレス化すれば社員も変化を迫られる。日本人が変われるかどうかが問われている」と強調し、こう続けた。

 「いつの間にかゲームのルールが変わってしまった。でも、合わせなければ生き残れない。戸惑いはあっても少しずつ頑張るしかない。20年後、自動車業界は世界で何社が残っているか。その時にぜひ勝ち抜いていたい。でもそれは、この業界や弊社だけの課題ではないと思います」

 手渡されたパワーポイント資料に日本語と英語でこう書かれていた。

 《最も変化に適応できる種が生き残るのだ。(チャールズ・ダーウィン)》

 20年後、日本という国はどのように変わっているのだろうか。そもそもあるのだろうか。

出典:2010年3月7日付 産経新聞東京朝刊


 ダーウィンの自然選択説は、科学に大きな影響を与えましたが、佐倉統さん曰く、それと同時に自然科学以外の、政治や思想、社会科学にも応用され、時には誤って用いられることもあります。
 で、この日産の引用の仕方ってなぜか釈然としないんですよね。その理由を考えるに、ボーダレス化やグローバルスタンダードって、そもそも自然選択が言うような、いかんともしがたい自然環境なのか?ということです。

 こういった社会の枠組みや構造は、天気や気候のようなものではなく、何を隠そう我々人間の総意で形成されているのだから、「ボーダレス化を前提として企業は変革し適応していかなければならない」って考え方は、なんというか一見ダーウィニズムっぽいけど微妙に違っていて、長期的な視点のない短絡的な企業戦略のような気がします。このせっかちな体質によって、今の日本は政治も経済も問題になっているのではないか?と思うのですが…
 なんでボーダレス化自体を何とかしよう、新しい変化を作ってやろうって考える人がいないんだろう。それは企業じゃなくて政治の仕事だってことなのかな?でも自民党政権の時は、経団連ってやたら政治に注文つけてたじゃないですか。教育とかにも。
 私は経済は詳しくはないし、現場で日々決断をしなければならない役員の人のことも少しは想像できますけど、それでもダーウィニズムとはボーダレス、グローバル化の根拠になるとは思えません。
 逆にグローバル化によって生物多様性が失われるのは周知の事実だし(アメリカザリガニやドードーなど)進化だって単純な生物(ウィルスなど)は変異や、(栄養と条件さえあれば)繁殖も早いですが、その分駆逐されるのも早いですからね。

 環境は日々変わっていきます。だからそれに適応するために変化を求められることは分かります。ただだからこそ、変化の上澄みだけで判断し、ころころ変わってしまうのはどうかと思うんです。
 頑固な保守も困りものですが、変化の中核、普遍的なものを見据えなければ長期的にはやはり淘汰されてしまうのではないか、と。サメ、ワニ、ゴキブリ、トンボ・・・昔ながらの伝統を今なお受け継いでる奴らもいますからね(マイナーチェンジはしてますが)。
 鳩山総理は宇宙論を持ち出して「宇宙は揺らいでいた。政治だって揺らいでもいいじゃないか」と、さすが理系総理っぽい事を言いましたが(おいおい笑)、誕生時には揺らいでいた宇宙だって、ある種の秩序が徐々に形成されていったのは常識で、「なんか科学用語言えば一般の人は反論できないだろ」的なハッタリなんじゃないかという。

 つまり私はグローバル化にあまり賛成してないって言うだけなんですけどね…世界平和って別に国境取っ払わなくても出来ると思うんですよ。
 でも中には国家という枠組みがなくなれば平和が訪れて、宇宙船地球号(もしくは国連号?)のイッチョアガリって考えている人もいるのかもしれませんね…難しいなあ。
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