警視庁採用試験伝説の難問

2019年の警視庁警察官(Ⅲ類)の採用試験で突出して難しい問題。

1.円運動.jpg
図のような水平な床面の右端に、点Oを中心とする半径Rの半円筒状の壁面がなめらかにつながっている。
このとき、大きさの無視できる質量mの小球Pが右向きに初速度V0で点Aに進入してきた。
壁面から一度も離れず、最高点Bで離れて空中に飛び出すために必要な小球PのV0の最小値として、最も妥当なのはどれか。
ただし、運動はすべて同一鉛直面内で起こるものとし、床面および壁面はなめらかで小球Pとの摩擦、空気抵抗は無視できるものとする。また、重力加速度の大きさはgとする。

まず問題文が長い。
文章理解レベル。注意点は以下の二つ。
「壁面から一度も離れず」=最高点Bまで垂直抗力がかかる。
「運動はすべて同一鉛直面内」=奥行きは考えない。マリオ的な2D世界とするという意味。

簡単に言うと、ジェットコースターのループで一番高いところ(一番運動エネルギーが小さくなるところ)で運悪く速度が0になって、逆さづりのまま静止しちゃうトラブルがあるけど、ああいう事故を回避するには、初速をどれくらいにすればいいかっていうことっぽい。

この知識が警視庁に何をもたらすのかは謎。

初見時まったく歯が立たなかったんだけど(今なおトラウマ)、まず力学的エネルギーの保存で戦うと攻略できるというので、計算してみました。

力学的エネルギーは位置エネルギーと運動エネルギーの和であり、位置エネルギーが増えると運動エネルギーは減り、位置エネルギーが減ると運動エネルギーは増える。
問題の運動を開始すると、どう考えてもボールの高さ(位置エネルギー)は増え、速度(運動エネルギー)は減るので、以下のような感じになる。

2.円運動2.jpg

ボールが壁を登った割合を角度θであらわすと、位置エネルギーと運動エネルギーの式は以下のようになる。

3.力学的エネルギー.jpg
4.円運動3.jpg

5.等式変形.jpg

上の式を使って、初速度を出すことができる。

6.初速.jpg
7.初速2.jpg

ということで、こたえは選択肢の(4)だ・・・!と思ったら、なんと不正解。
8.選択肢.jpg

問題文に、「壁面から一度も離れず=垂直抗力がかかり続ける」という条件を満たす必要があるため、この条件では不十分なのだ。

さて、垂直抗力(壁が物体を押し返す力)は、この問題の場合は、回転運動の向心力(中心に向かう力)と同じなので・・・

10.向心力.jpg

ただし、球には向心力と真逆の遠心力も働くため(めんどくさいな)

11.向心力2.jpg

この向心力の式に、初期に求めた速度vの式を代入し・・・

12.垂直抗力求め方.jpg
13.最終回答.jpg

よって、正解は(5)
・・・って2分半で答えられるわけねーだろ!!

なんか、物理かじったことがある人なら割とみんな知っている有名な式って感じでもないしな。
正解は選択肢の中で唯一5があるけど、この5が出てくるのもわりと成り行き上だし・・・

解けたあんたはレッツゴートゥー・・・フィジックマスター!!!(メダルマスター風に)
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