化石で埋まるミッシングリンク

 ああ~もういい加減くどい(笑)。

 それくらい『進化の存在証明』第6章は、嫌になるほど易しく(こんな言葉使ったの初めてだ!)大進化の具体的な証拠=化石を挙げて、進化が事実であることを説明しています。

 こうなると反対派がドーキンスを倒す方法はただ一つ・・・それは「世界中で発掘される化石証拠が大掛かりなドッキリだと証明する」ことです。つまり恐竜とかはインチキだと。あんなバケモンは実在しねえと。本当にこの方法しか無理ですよ。なんでそうなっちゃうか、本書の要約から、以下に説明します。

 これまで魚類が陸に上がって両生類に、爬虫類が鳥類に進化した証拠「中間種」の化石が見つかっていないことから、化石だけでは説明できない「ミッシングリンク」が存在すると反論する人はしてました。
 しかしドーキンスは(場合によっては執筆時09年の最新の)化石の発掘から、その反論を尽く斬り捨てます。つまり「ミッシングリンク」を埋める化石はすでにあるぞ、と。

 まず魚類と両生類のミッシングリンクをつなぐ中間生物から。まずドーキンスは有名どころの「ユーステノプテロン」を挙げます。ユーステノプテロンとは、ひれの中に丈夫な「骨」が入っている「肉鰭類(にくきるい。変換できねえ)」といわれる魚で、陸を少しなら這う事が出来ました。しかしユーステノプテロンの陸をひれで這うのはあくまでも、なんかのきっかけで陸にあがっちゃった時に水にもどる為の一時的な緊急措置で、もちろん生活圏は水中です。

 次の例は、これも有名どころですが、「イクチオステガ」で水中にすむワニのような生活をしていた、サラマンダ―のような形の両生類です。強いて言うならオオサンショウウオに見た目は近いです。イクチオステガはユーステノプテロンよりも陸上に進出しやすい骨格を持っており、私が小学生の頃は「初めて陸上に進出した脊椎動物」と紹介されていました。

 しかしこの魚類のユーステノプテロンと両生類のイクチオステガは見た目があまり似ていません。よってこの二つの生物をつなぐ中間生物が発見されていないことから「魚類と両生類のミッシングリンク」を作ろうと思えば作れたわけですが、その後さらにユーステノプテロンよりイクチオステガに近い魚類の「パンデリクチス」と、イクチオステガよりもユーステノプテロンに近い両生類の「アカントステガ」が発見。魚類の両生類の距離はこれでぐっと縮まりました。

 そしてとどめの極めつけが「ティクターリク」の発見です!このティクターリク、もはや魚なんだか両生類何だか分からないほど不気味なキメラ動物で、まさにミッシングリンクを埋める化石証拠と言えます。
 なにせ頭と胴体はイクチオステガ、鰭(=脚)と尻尾がユーステノプテロンで、まさに「魚類と両生類の中間生物」という名がふさわしい動物です。ぜひティクターリク、興味がある人は調べてみてください。ぶっ飛びますw。

 次にドーキンスは、爬虫類と鳥類のミッシングリンクについて言及。まず鳥類をほかの脊椎動物のグループと同じ「綱」というレベルにするのはおかしいと論じます。
 鳥類はそんなに大きなグループでなく、せいぜい爬虫類の一部程度で、んなことやるなら爬虫類を「恐竜、ワニ、鳥」「トカゲ、ヘビ」「カメ」の三つのグループに再編成すべきだ、と言うのです。
 確かに、ワニや恐竜は、トカゲやカメよりも鳥に近く、なぜ鳥だけが魚類や爬虫類、哺乳類と同格に扱われているのかと言えば、ただ単に鳥と爬虫類(の一部。ワニなど)のミッシングリンクをつなぐ動物「恐竜」がたまたま絶滅しちゃっって、いなかっただけだからというのは、恐竜オタクなら「言うまでもない(『魁男塾』より)」。よって恐竜こそ爬虫類と鳥のミッシングリンクを埋める中間生物じゃないかと。

 ドーキンス曰く、このような化石が出なくても、このような生物が存在することは自明で、「中間生物の化石の発見は、ちょいと嬉しいボーナスくらいのものだ」と余裕です。化石の発見は自分の説をさらに強固に裏付けるだけで、自分の論自体は絶対に揺るがないと考えているのでしょう。
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