『風と翼:RESET』脚本①

相模高校さくら組。
三年生は進路相談が行われている。
担任の寺島先生「で、風間くんは、大学で野球を続けるんだよね?」
カイト「いや、それは周りの人が敷いたレールというか・・・」
寺島「え?じゃあ、他にやりたいことがあるの?
いいじゃない。自分の進路は自分で決めなきゃ。どんな進路でも先生は応援するよ。
いや~青春っていいなあ・・・」
カイト「ぼくは忍者になります。」
三歳児のような発言に絶句する寺島。



犯行予告状
「銀行と官僚のバカども 聚楽第の売上金はいただくぜ 怪盗五右衛門」


夜。
霞ヶ関の地下。
政財界のVIP御用達の高級店「聚楽第」
ジュリアナ東京のようなお立ち台で踊り狂うコンパニオン。
ホルモンを焼きながらスカートの下をオペラグラスで覗く大蔵官僚。

店長がマイクパフォーマンスをしながら会場を練り歩く。
徳川店長「エスコート3番シート、ご新規2名様ご案内。コールナンバー11番ヒメちゃん、フラワータイムスタンバイ」

エレベータの扉が開く。
ツインテールの女の子と、分厚いレンズのメガネをかけていて、みるからに臆病そうな黒いスーツの女性が店内に入ってくる。
店員「当店のコンパニオンの面接なら・・・」
ツインテール「絶対嫌です」
そう言うと、懐から取り出した警察手帳を見せる。
店員がピンマイクで店長を呼ぶ。
徳川店長「どうした本多。」
本多正信「・・・警察が来てます。」
自信なさげに喋るスーツの女性「ご・・・5000円以上の接待は国家公務員倫理法に違反するのでは・・・」
毅然としたツインテール「風営法的にも、今の時代のコンプライアンス的にも完全アウトなんで、女の子にはパンツを履かせてください。」
徳川「黙れ公僕のメスブタども!」
女性「な、なんてひどい暴言を・・・!」
徳川「こちとら、おめーらの警視総監様も常連のノーパンホルモン店「聚楽第」の店長、徳川家康である!フェミニズムなんぞに屈しはせんわ!!おっぱい!おっぱい!!」
本多「よっ店長!」
ドン引きするツインテール「八重さん、もう帰りましょうよ・・・」
スーツの女性:八重警視「翼ちゃん、もう少し耐えよう・・・」

もめているところに、金持ちそうなメガネのイケメンが来店する。
イケメン「1名。サラちゃんを指名で。」
そう言うと、札束をばら撒く。
札束を慌ててひろう本多「ご新規1名様~!!」
徳川「うちにサラちゃんなんていたっけ・・・?」

イケメンの素性に気づく八重「あ・・・あれって、韓流アイドルのイ・ウォンイク様じゃ・・・」
翼「誰?」
八重「知らないの?世界的人気アイドル!ウォン様もこんな下品なお店に来るのね・・・夢も希望もない!私死にたい!!」
翼「八重さん、もう少し耐えましょう・・・!」
徳川「なんだ、君らまだいたのか、ご覧のとおり各界のセレブの相手で忙しいんだ、帰ってくれ、さもないとパンツ脱がすぞこのやろう」
涙目になる八重「わたしもうこんなセクハラ発言に耐えられない・・・!怪盗五右衛門の予告状のことなんて教えずに、家に帰ってフールーでも見よう・・・」
徳川「おいちょっと待て、今なんて・・・?」

メガネをかけた肥満気味の少年がキーボードを叩く。聚楽台のシステムをハッキングする。

その瞬間、店内の照明が全て落ちる。暗闇。
徳川「!!??」
どこからか声が上がる「あちち、ホルモンで火傷した!」
本多「すぐに照明を復旧しろ!」
徳川「お客様大変申し訳ございません、フラワータイムはもう少々お待ちください!」
コンパニオン達の悲鳴が上がる。

照明がもどる。
本多「な・・・なんてことだ・・・!」
翼「??」
本多「すべての女の子にパンツがはかされている~~~!!!」
翼「しかもヒートテックだ・・・!」
崩れ落ちる徳川「誰だこんなノーパン接待を全否定するような嫌がらせをしやがった奴は!!!」

?「は~はっは~!聚楽台の売上は全て頂いたぜ~!」

徳川「誰だ!!??」
本多「あそこだ・・・!」
お立ち台のてっぺんに、ガスマスクをつけた男が風呂敷に札束を大量に包んで立っている。
徳川「誰だ貴様!」
八重「現れたわね、怪盗石川五右衛門・・・!」
徳川「なんだって?もしかして3億円事件のか??」

五右衛門「先生方、もうバブルは終わりだぜ!あばよ!」

徳川「あ・・・あいつを捕まえろ!!」
本多たち店員が五右衛門のいるお立ち台に駆けていく。

ホルモンを焼くロースターに煙玉をばら撒く五右衛門。
煙玉が引火し爆発する。
むせる店員たち「ごほごほ!!」
徳川「お前たち何をやっとるか!」

八重「この八重かをりにお任せを!怪盗五右衛門逮捕だ~!」
五右衛門に向かってダッシュする八重。
お立ち台のコンパニオンの一人が扇子を八重に投げつける。
回転する扇子が脚に当たり、転ぶ八重。
コンパニオン「あら、ごめんあそばせ。」
床を滑ってテーブルを豪快にひっくり返す八重「翼ちゃん・・・お願い・・・」

翼が素早い身のこなしで五右衛門に迫る。
五右衛門「おっと、警察に構っている暇はないんでね!」
徳川「逃げられんぞ!この店はエレベータかこの非常階段しか出口はない!!」
五右衛門「さいですか」
マッチをすって、シャンパンタワーに投げつける。
燃えさかるシャンパンタワー。
五右衛門「絶景かな、絶景かな」
翼「まさか・・・!」
振り返る翼「八重さん、みんなを避難させて!!」

手裏剣を天井のミラーボールに投げつけて落とし、それを真下のシャンパンタワーにぶつけて崩す五右衛門。
店内が炎に包まれる。
大騒ぎの店内。非常階段に殺到する客たち。
排煙ダクトが起動し、煙を強力に吸い込んでいく。
五右衛門「あそこね。」

徳川「おのれ~・・・!・・・平八郎!!」
用心棒「お呼びで。」
革ジャンを着てサングラスをした屈強な男が現れる。
徳川「あのコソ泥を成敗しちゃいなさい!!」
用心棒「ラジャー」
そう言うと、ターミネーターのように巨大なショットガン「ドラゴンカッター」を、躊躇なくぶっぱなす。
すんででよける五右衛門。弾丸は柱に命中し爆発する。
客を避難させる八重「ちょっと!店が崩れちゃう!!」
徳川「うるせえ、ハッスルタイムだ!!」
五右衛門「なんか、すごいのが来ちゃったなあ・・・柴田勝家を思い出すよ・・・」
黒服たちに取り囲まれる五右衛門。

(無線)「先輩、そろそろ逃げたほうがいいです。」
五右衛門「じゃあ、よろしく。」

キーボードを叩く肥満の少年。
店内のスプリンクラーが作動し、火をすべて消していく。

五右衛門は巨大な排煙ダクトに向かう。
しかし排煙ダクトの前には翼が立ちふさがっていた。
五右衛門「逃走経路はお見通しってわけ?」
翼「私も同業者ですから。」
そう言うと、五右衛門が投げた手裏剣を見せる。
翼「伊賀流ですね。」
五右衛門「まあそんなところかな。」
刀を構える翼「あなたを逮捕します・・・」
五右衛門「あなたと戦っても勝ち目はなさそうだ・・・」
風呂敷に手をかける五右衛門。
五右衛門「・・・これで見逃してくれい、翼さん!」
自分の名前を言われて動揺する翼「・・・え??」
そう言うと、風呂敷をひらき、札をばら撒く五右衛門。
舞い散る札によって視界が一瞬ふさがれる翼「!」
視界がもどると、そこには石川五右衛門の姿はなかった。



霞ヶ関の地上で、五右衛門をピックアップする暴走族風の男。
スロットルをひねり、バイクを発進させる。
サイドカーでくつろぐ五右衛門。
暴走族「売上金の1億円がねえじゃねえか、ああん??」
五右衛門「失敗しちゃったよ、警視庁がとんでもない凄腕を雇っててさ・・・」
暴走族「けっ、SNSの総額1億円キャンペーンの企画はどうするんだよ」
懐からクレジットカードの束を取り出す五右衛門
「スケベなお客の財布はくすねたよ・・・」



鎮火した聚楽第
翼の方へ駆け寄る八重「翼ちゃん・・・!」
翼「逃げられた・・・」
八重「でもすごいよ・・・!あの怪盗五右衛門から売上金を守ったんだもん・・・!」
翼「・・・・・・。」
八重「警視庁大勝利~!ばんざーい!ばんざーい!!」
傍らではスプリンクラーで濡れながら徳川たちが必死に金を拾っている。
徳川「お前ら、早く拾うんだ!!あと、平八郎!柱代は弁償!」
用心棒「ラジャー」
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