『風と翼:RESET』脚本⑨

大道寺「なんだって!!?」
秀吉「そいつは学者やってるオイラの兄貴の秀長だよ。」
豊臣「秀吉、お前の真似するのも疲れたよ~」
ピコハンで秀長を叩く。
秀吉「うるせえ、ばかやろう、全然似てなかったぞ」

カイト「なんで、こんなことを・・・」
秀吉「言っただろう?日本をよくするためさ。
確かに、オイラの会社が経済界を天下統一してから物価が上がっちまったが、それもこれもあそこにいる政府の連中の圧力があって、泣く泣くしたんだ。」
天守閣から出てくる石田総理「そ・・・それは・・・
一斉に物価をディスカウントしたら、デフレスパイラルになるって、竹中が・・・」
大谷官房長官「総理!生中継されています。
発言にはくれぐれも気をつけて・・・!」

秀吉「だからそのお詫びに、オイラは石川五右衛門として、みんなに現金を給付したんだよ。おかげで、景気はそこまで悪くならなかっただろ。
つまり、豊臣秀吉になっちまってからできなったことを、あんちゃんたちにやってもらったのさ・・・」
秀長「偉くなっちゃうと、しがらみが多くて、なにかと不自由なんだよ。」
秀吉「お前が言うな、このやろう!
・・・とにかく、日本のガンはあそこにいる政治家と官僚どもだ。
オレたちの税金で、ノーパンホルモンとかいう、よくわからねえ天下り機関ばっか作りやがって、挙げ句の果てに消費税を1000%に上げようとしているんだよ。」
石田総理「その法案はまだオフレコのはずじゃ・・・!」
大谷官房長官「お前は黙ってろ!!」

秀吉「こんな政府は国民にとって害悪でしかない。
そろそろ議院内閣制というシステム自体廃止したほうがいいと思うぜ。」
観客が歓声を上げる。
「そーだそーだ!秀吉が正しい!!!」
石田総理「そ、そんな・・・」
秀吉「・・・これからは国会や内閣に変わって我が木下財団、いや、社名あらため株式会社SDGsが、この日本国を経営する!
賛成してくれる人はリモコンのDボタンで投票してくれ。
抽選で1万名の方に、この銀の延べ棒プレゼント!」

秀吉支持率が99%を超える。
インカムの安藤「すごい!ほぼ100%の国民が秀吉を支持しています!」

秀吉「はい、というわけで結果が出ました!日本政府は廃止!石田内閣は全員贈収賄で逮捕!」
控えていた警察に捕まる政治家たち。
小声で石田総理に囁く秀吉「国民の政治不信をここまで下げてくれてありがとな。
助かったぜ。すぐに出してやるからよ。」
石田総理「殿のためなら。」

カイトに近寄る秀吉。
「言っただろ?日本を盗むって。」
カイト「まさか本当にやるなんて・・・」
「これで、オイラは立法、行政、司法、財界すべてを手に入れた。
どうする、二代目五右衛門。
自分が正しいと思うことを、誰にも邪魔させずにやれるんだ。」
カイト「・・・ど・・・どうしよう・・・」
サラ「好きな日本が作れるのよね?」
秀吉「うん。」
すると、カメラの前にサラが飛び出す。
サラ「性別で差別をしないで欲しい!」
カイト「え?」
サラ「私は、女子というだけで野球選手の夢を諦めた・・・
女子部員=マネージャーという価値観はなくして欲しい!
・・・そして、私はこの中の誰よりも野球がうまい!!」
カイト「サラちゃん・・・」
振り返るサラ「ほら、みんなも!今のうちなら新しい日本が作れるよ!
言いたいこと言いな!」
大道寺「人を見た目で判断するな!おれは不良じゃねえ!
そもそも学校は休まず皆勤賞だ!」
インカムの安藤「ぼ・・・ぼくも、オタクをいじめないでほしいです!」
ウォンイク「在日韓国人差別も問題だねえ・・・」
カイト「あれ?韓国といえば、秀吉さんはなんで朝鮮出兵を・・・?
ホテルでは許せねえとか言ってたのに・・・」

秀吉「へっへっへ・・・君らは青いねえ。まったく青い!
日本を手に入れて最初にやるのが、青少年の主張ってかい。
この国の差別がそう簡単になくなるわけねえじゃねえか。
貧乏で、指に障害があったオイラを人間扱いしてくれたのは先代の信長さんと、イ・スンシン会長だけだったよ。
この国を根本から変えるには、荒療治しかねえ。すなわち、もう一度戦後の焼け野原に戻して、みんな平等に貧しくするのさ。そうすりゃ少しは助け合うだろ。」
そう言って、マルチビジョンのリモコンを操作する秀吉。

天守閣が変形してミサイルの発射台が現れる。
その様子をマルチビジョンに映し出す。

秀吉「朝鮮出兵で反日ムーブが高まったおかげで、日本を懲らしめる兵器の開発資金はあっという間に集まったぜ」
サラ「テポドン!!??」
秀吉「そんな物騒なもんじゃないよ。オイラは殺しが嫌いだからな。
あれこそ、韓国のイ・スンシン会長の全面協力のもと、秀長が開発した、究極エコな最終兵器、人呼んで“持続可能爆弾ISO14001”だ・・・!」
サラ「エコ爆弾・・!?いろいろ矛盾したワードのような・・・」

秀長「あの爆弾は、すべての人工物を天然素材に戻す原子分解爆弾なんだよ。
人体への影響も一切なし。まあ、洋服が人工物なんで分解されちゃうから、みんなフルチンになっちゃうけど」
秀吉「そりゃ受けるな。
おい、秀長、とりあえずどんな威力か、エコが大好きなEUに落としてみようぜ。
デモンストレーションだ。」
秀長「いってみよう、やってみよう」
ルイス・フロイスEU大使「やめるんだ、ミスター秀吉!」
ピコハンで叩く秀吉「うるせえ、お前ら、そんなに自然が好きなら原始時代に戻りやがれ!」
欧州に発射されるISO14001。
ドイツの文明は崩壊し、美しい緑の魔境に戻ってしまう。
秀長「成功だ!」

各国の首脳が慌てて秀吉に膝まづく。
ヘンリー・ハドソン大統領「す・・・素晴らしい兵器だ!ぜひ我がアメリカ合衆国に譲ってくれ!」
万暦国家主席「通商条約を拒んで悪かった!ぜひ、我が明国と取引しましょう!」
秀吉「じゃあ、なかよく1個ずつな。
・・・て、ことで、オイラはこんな日本からは、おさらばするぜ。
せいぜい、国民の皆さんでもう一度日本史をやり直してくれよな。
秀長、発射だ!目標は東京だな、とりあえず首都圏を湿地帯にしとくか。」
秀長「ポチッとな。」
カイトに振り向く秀吉「あんちゃん、これがオイラからの最後の挑戦状だ。
あのミサイルをどうするか、決めさせてやる。」
SPに囲まれて、天守閣から立ち去る秀吉。

カイト「行っちゃった・・・」
マルチビジョンを指差す翼「は・・・早くあのミサイルを止めないと・・・!」
カイト「いや、これは止めるべきなのか・・・?」
翼「・・・え?」
カイト「あのミサイルで社会を一度リセットすれば、この国は本当に生まれ変わるのかも・・・」
翼「本気ですか・・・?」
カイト「だって・・・」
叫ぶ翼「私は、街の図書館で静かに本を読みたい!それが私が望むささやかな幸せなの!別に森の中で動物たちと暮らしたくはない・・・!」
カイト「・・・翼さん・・・」
翼「そして、私は球場で活躍するカイトさんを見たいの・・・!!!」
カイト「・・・!」
ウォンイク「・・・そうだね。日本は間違っていることもあるけど、滅ぼすまでじゃない。
理不尽ないじめから弱い者を守ってくれる君のような人間もいるじゃないか。」
サラ「カイト君、秀吉は極端なのよ。今なら間に合う!」
ラップトップを開く安藤「ミサイルの巡航システムにハッキングします!日本を救いましょう!」
大道寺「あんなミサイル、打ち返そうぜカイト!ああん!!??」
カイト「打ち返す・・・か・・・!」
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