三国志 Three Kingdoms

 中国版の大河ドラマ。驚異の全95話。衝撃のエキストラ15万人。

 横山光輝さんの『三国志』がキンドル化されてないので、動画で見ちゃえということで最近視聴。やっと三大戦役最後の戦い「夷陵の戦い」まで見た感じ。長い!!面白い!!!
 三国志って何回か、いろんな媒体で一通り読んでいるはずなんだけど、いかんせん長すぎて、結構内容を忘れちゃってるんだよな。
 特に、魏呉蜀の三国志!とか言うけど、劉備の蜀の建国が想像以上に遅くて、まさか曹操が亡くなったあとだとは忘れておった。ここら辺から、桃園の誓いブラザーズも死んじゃうし、幕の内弁当で言ったら海老天とか鮭とかなくなって、おかずは漬物くらいしか残っていないさみしい状態で、やっと三国分立になるという。有名なキャラの活躍は、だいたい前半~中盤なんだよね。

曹操
三国志最大の奸雄とか呼ばれるが、王瑞来先生が指摘するように、悪役とかそんなチンケなフレームに収まらない、多才で魅力的な人物として描かれている。樋浦勉さんボイスがバッチリ!
つーか、三国のリーダーで一番チート。合理的で器が大きく、文才もあり、時にチャーミング。赤壁の戦い(だったと思う)の敗北で、「6000人の兵を死なせてしまいました~」とか言って号泣する将軍を励ますシーンがあるんだけど、「将軍が泣くな!6000人の死がなんだ、今度はそなたに6万の兵をつけようぞ!」とか言ってて、中国の独裁者ってとんでもないスケールで物事を考えているな、というwこのノリで、文化大革命とかやってたんじゃねーだろうなっていう。

劉備
一方、聖人君子として描かれがちなこの人は、聖人君子であろうとするも、己の野心と葛藤し、自己矛盾に苦しむものの、能面の様な顔でそれを周囲に出さない不気味な人物として描かれている。演じる俳優さんが、どことなく武田鉄矢さんの若かりし頃っぽい(『太平記』で楠木正成を演じていた時代の鉄矢)。
物語が末期になり桃園ブラザーズを立て続けに失ったあとは、わりと独断専行が目立ち、夷陵の戦いで大失策を犯してしまうが、それでも有能な武将に恵まれ、天下まであと一歩だったことは間違いない。
どんなに優れた人間も、結局人間である以上、感情があるし、年齢的な衰えもあるわけで、やはり人の支配は危険だということが分かる。
ちなみに、三国のリーダーはなんだかんだで3人とも善政を行っているので、「天下統一だ!」とか「漢室の再興を~」とか、そういう、男のロマンとか、意地の張り合いを捨て、3人で同盟でも組めば、この頃の中国は平和になったに違いない。暴君の董卓をぶっ殺した時点で民としてはもう十分だったことが悔やまれる。

孫権
スウェーデンのグスタフ・アドルフばりの若き王。優れた水軍を持つが、戦がそこまでうまくなく、また呉は兵力も少なく、選手層も薄いため、いつも背水の陣で自転車操業しているイメージがある(それに最も野心がない平和主義的な国)。しかし、孫権は類まれなる人事採用力があるため、大都督の人選は絶対に失敗しない。とりわけ、赤壁の戦いと夷陵の戦いにおける、小が大を討つ大勝利は、信長が桶狭間の戦いを二回切り抜けた以上の戦績であろう。

諸葛孔明
おめー出てくるのがおせえよ!曹操の覇権がほぼ確定したくらいで劉備軍に合流するんだよな。

龐統
諸葛孔明と肩を並べる天才軍師で、天下一の軍師を二人も抱えていた劉備軍がなぜ天下を取れなかったのか、本当に謎(チート的武将も複数いたし)。
どことなく貴族的で潔癖そうな孔明と違い、飲んだくれな庶民のおっさん感がある彼がもっと長生きしてくれれば、まず、関羽と張飛というバカ兄弟の暴走が止められたと思うし(わりと龐統先生には関羽と張飛は心を開いていた)、本当にもったいなかった。

関羽と張飛
長兄の劉備が温厚で優しいから意識に上ることはないが、実際はとんでもないパワハラ将軍だよな。どっちも暴力団顔負けの武闘派で、長嶋監督的な天才肌だから、こいつらが上司になるくらいなら、マジで曹操か孫権に下るわ。
劉備も身内に甘いっていうところが結局おのれを滅ぼしたよな(関羽と張飛の暴走は劉備がしっかりと諌めてコントロールする必要があった)。まあ、趙雲が命懸けで救った自分の赤ちゃんは、白菜のようにぞんざいにほん投げてたけど。

趙雲
趙雲様・・・好き♡
マジで一騎当千の強さがありながら、でしゃばらず上を立てる・・・そしてイケメン。
関羽に趙雲の1割でも謙虚さがあったら生涯無敗で人生を終えられただろう。でも、それじゃ関羽の魅力がなくなるな。ムズイ。

呂布
「陣中に呂布あり」とも言われた、三国志最強の武将。今までだと、戦闘力はすさまじいが、忠義心がゼロで、己の欲望に負けて裏切りを繰り返し、最後は自業自得的に滅びるバカやろうというイメージがあったが、このドラマだと子どものように素直で純粋だったため、周囲の大人にいいように使われちゃったって感じになってて新鮮だった。
また、呂布以上に、魅力的なキャラになっていたのが、曹操の命の恩人でありながらも、彼の合理主義者がゆえの非情さに袂を分かち、呂布の強力な軍師となった陳宮さん。呂布と陳宮がなんだかんだで最後まで信頼し合っていたという描写は泣けた。あと、陳宮が軍師としてめちゃくちゃ有能に描かれてもいて、亡くなった時、曹操が悔やんで涙を流してしまうというシーンもマジでよかった。

 ここまで書いて思ったけど、三国志って、プライベートな事情を大局よりも優先させるやつは負けちゃう話なのかも。呂布は病気の奥さん、袁紹は病気の幼い息子、劉備は弟たちを愛するあまり、勝機や逆転の機会を逃してしまう。
 一方の曹操は、器が大きく、実は情もありながらも、下す判断は常に非情だった。そこが頭一つ抜けていたのかな、と。とはいえ、さすがの曹操も死後、司馬懿に国を乗っ取られちゃうとは思わなかっただろうな。ここは、徳川家康のように存命中に引退して、魏が曹一族の世襲であることを決定づけるべきだったのかもしれぬ。そんな気もする。
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