『青春アタック』脚本⑥応機接物

保健室に登校した海野たちが殺到してくる。
「花原さん大丈夫!?」
乙奈「火遊びしちゃダメですよ・・・!」
微笑む花原「いや、違うから・・・」



花原が生原たちホームレスを命懸けで守ったという噂が学校中に広まる。
男子「おい聞いたか、花原がホームレス狩りを撃退して警察から表彰されたそうだぜ・・・!」
女子「聞いた聞いた・・・!なんでもギリシアの火っていう魔法を使って敵を火だるまにしたらしいよ」
男子「不良に続いて、大人の犯罪者も倒すとは・・・マジですげーな、あの人・・・」
女子「ねえ、今度の理科の授業でその火炎系の魔法のやり方教えてもらおうよ・・・!」



職員室
窓の外を眺める華白崎「・・・・・・」
京冨野「なんか面白くなさそうだな委員長・・・」
華白崎「私は委員長じゃない・・・」
京冨野「女子バレー部の稼働が学校の雰囲気をよくしたじゃねえか。
花原も体を動かしたことで、生徒へのあたりも柔らかくなったらしいし・・・
お前さんの見立て通りだよ。」
華白崎「私は女子バレー部を潰そうとしたんです・・・予算削減のためにね・・・」
京冨野「連中がバレーの大会に出場すれば、その問題もなしだ。よかったな。」
華白崎「あの大会に優勝できるわけないじゃない・・・
高校の部活動の大会はだいたい金のある名門私立高校が優勝するんです・・・」
京冨野「はは・・・違いねえ。」
チャイムが鳴り出席簿とドスを持って職員室から出ていく京冨野。
華白崎「わたしが卒業するまで、この学校には潰れてもらっちゃ困るんだ・・・」
デスクの上の生原ちおりの履歴書に目をやる華白崎。
華白崎「校長もなんで学費も払えないあんな一文無しを入学させたのか・・・
イヌネコを拾ってくるんじゃないんだから・・・
ほかの学生がどれだけ苦労して学費を稼いでると思ってるんだ・・・」



理科室
黒板に易しい回路図を板書する花原。
「これが直列つなぎで、こっちの分かれ道があるのが並列つなぎです。
さて、このテレビのリモコンにはこのように単4電池が2つ取り付けられていますが、これが直列つなぎか並列つなぎか判断するにはどうすればよいでしょう?」
ちおり「はいはいは~い!」
花原「じゃあ、生原ちおり・・・」
ちおり「片方とって使えるか調べる!」
花原「・・・。10ポインツフォーユー!」
ちおり「やったー!」
女子「なんかあどけない生原さんが来てくれたおかげで授業の内容が小学生に戻ってすごいわかりやすい・・・!」
男子「かつてはあいつ自身の研究発表の場だったからな・・・つーか全然授業うまかったんだな」
ちおり「直列つなぎにするくらいなら、なんで電池の長さを長くしないの?」
花原「千歳飴みたいにか。それは電池の発明者アレッサンドロ・ボルタという学者が試みて・・・」
理科室に京冨野が入ってくる。
花原「あら、先生・・・」
京冨野「生原のお嬢ちゃん、クラス替えだ・・・」

女子「せっかく仲良くなったのに残念だわ・・・」
ちおり「みなさんのご親切忘れません。」
花原「あんたを東京理科大に合格させたかったわ・・・」
ちおり「じゃあ、放課後体育館でね!」
花原「あいよ。」

廊下でちおりを見送る4組。
男子「花原がクラスから追い出されるのはわかるが、なんであんな心が綺麗なちおりちゃんが・・・」
花原「確かに・・・って今言ったの誰だ!!」
目をそらす一同。



生徒会室
乙奈「お呼びですか?華白崎生徒会副会長・・・」
華白崎「どうぞかけてください。
3組で芸能界にメジャーデビューしそうな学生は出てきそうですか?」
乙奈「・・・3組の担任を引き受ける際に申しましたとおり、わたくしは音楽の楽しさを伝えるだけで、プロの芸能人を育成することは致しかねますわ・・・」
華白崎「しかし3組の学生はアイドルの夢を目指して毎日学校に通っている・・・
生徒の思いに担任は応えてやるべきではないですか?」
乙奈「希望者にはオーディションの日程や親身になってくれる芸能プロダクションは紹介しております。しかし、私から歌やダンスを教えることはお断りしますわ・・・
若い才能は学校で画一的に育つものではないので。」
華白崎「あなたは教えたくないのではなく・・・教えられないのでは?」
微笑む乙奈「あなたの言葉はいつも冷たいですわね・・・
気に食わないのでしたら、いつでも3組の担任を変えてもらって結構。
わたくしは先生のお仕事をやる柄じゃないので。」
生徒会室から出ていこうとする乙奈
「・・・あなた・・・2年前に突然活動を休止した大人気アイドル“ツツジっ子クラブ”のセンター、百地翼じゃない?アイドル時代の名残を必死にかき消してはいるけれど。」
立ち止まる乙奈「・・・だから?」
華白崎「世間の熱狂から逃げるように、無名のこの学校に入学してきた。」
乙奈「マスコミ各社にリークするおつもり?」
華白崎「さあ、どうかしら・・・
とはいえ・・・大人気のアイドルが突然芸能界から姿を消したのだから、所属事務所からは多額の損害賠償請求が来ているはず・・・」
乙奈「・・・わたくしに何をしろと?」
華白崎「例の入学生・・・生原ちおりに・・・学費くらいは稼げる芸を仕込むことはできませんか?」
乙奈「サーカスの動物じゃないのですから・・・お金なら3ヶ月後のバレーの大会で・・・」
華白崎「わたしはそんなギャンブルに全ベットするほど愚かじゃない。
それに・・・この学校は3ヶ月もたないかもしれない・・・」



3組音楽室。
ちおり「ここが新しいクラスか~!」
扉を開けると、可愛い女の子たちがダンスの練習をしている。
ちおり「すげ~武富士ガールズがこんなに・・・!」
ツインテールの練習生「ちがいますよ・・・!
新入生のちおりちゃんですよね?
わたしたちはアイドルを目指してるんです。」
ちおり「テレビに出れるの?しろったま子さんに会える?」
練習生「アニメキャラはちょっと・・・でもアテレコしている人にはスタジオで会えるかも・・・」
ちおり「本当に!?じゃあわたしもアイドルなりたい!」
練習生「このクラスに入れたってことは、アイドルとしての素質があるんだと思いますよ。
ちおりちゃん、小さくて可愛いし。」
ちおり「わ~い、小さくて可愛くてよかった~!」
練習生「お互い頑張りましょうね!」
キョロキョロするちおり「・・・このクラスには先生はいないの?」
練習生「いますけど、ほとんど教室に来ないので、基本的には自由に歌って踊ってます。」
ちおり「それでプロのアイドルになれるの・・・?」
練習生「そ・・・それは・・・」
ちおり「アイドルのなり方教えてもらおうよ!」
練習生「・・・先生は教えてくれないんですよ・・・
とっても温厚で優しい先生で、いつも褒めてくださるのですけど・・・
あまりアイドルになることを快く思ってないみたいで・・・」
ほかの練習生「みんなで先生に頼んで、やっとやってくれた授業が枕営業の断り方だったもんね・・・」
練習生「あと、変質者が熱狂的ファンになった場合の対処法と、芸能界に蔓延するドラッグの恐ろしさもあった・・・」
ちおり「・・・キラキラしてないね!」
乙奈「あら、誰の噂かしら?」
姿勢を正す練習生「せ・・・先生!!」
ちおり「あ、乙奈さんだ!」
乙奈「ちおりちゃん、ようこそ3組芸能クラスへ・・・」
練習生「・・・珍しいですね・・・先生が教室に足を運んでくださるなんて・・・」
乙奈「クラスの子を集めてくださる?今日はみなさんにご相談があります・・・」
練習生「は・・・はい・・・!」

練習生「3組全員集合しました・・・!」
乙奈「回りくどいのがわたくしは好きではないので、単刀直入にお話します。
白亜高校の経営が危機的状況です・・・
このままでは、アイドルの夢を叶えるどころか、全校生徒が中卒で社会に放り出されます・・・」
生徒たち「そんな・・・そんなにやばいんですか・・・?」
乙奈「どうにかして100万円を稼がないと年が越せないそうです・・・」
生徒たち「どんな学校なんだ・・・!」
乙奈「現在それぞれのクラスがお金を稼ぐため頑張っていますが、4組は研究費でむしろ借金まみれ、2組はバレーの大会が年明け、1組は歳末助け合い募金を募っていますが、それでも26万円・・・」
ちおり「ダンボールの家の作り方なら教えられるよ?」
練習生「ホームレス確定・・・!?」
乙奈「そこで、3組に白羽の矢が立ったわけです・・・」
練習生「今こそライブをやりましょう・・・!そのために今日まで努力してきたんです・・・!」
乙奈「・・・わたくしの提案としては、学食のブーちゃんと協力して年越しそばを大量生産し、それを1食200円で売れば、5000食でノルマがクリアできます。」
練習生「なんでみんなで蕎麦をうたなきゃいけないんですか!」
練習生「私たちはアイドルとしてみんなに夢や希望を与えたいんです!やらせてください・・・!」
気乗りしない乙奈「う~ん・・・」
ちおり「やらせてみたら?」
練習生「・・・わたしたちじゃまだ実力不足なのでしょうか・・・!?」
乙奈「いえ・・・みなさんは容姿もいいし、性格もいいし、歌唱力もダンスも高い水準だと思います・・・しかし・・・わたくしは蕎麦づくりがいいなあ・・・麺棒買っちゃったし・・・」
練習生「ノリノリじゃないですか!」
ほかの練習生「もういいです!私たちが勝手にライブを開いて100万円を稼ぎます!
先生は勝手にそばを打っててください・・・!
みんないくよ!ザ・パンチラーズのメジャーデビューよ!」
練習生「う・・・うん・・・!」
音楽室から出て行ってしまう3組の練習生たち。
乙奈「あ・・・」
ちおり「行っちゃったね。」

乙奈「困りましたわ・・・」
ちおり「・・・ミニスカート履くだけでお金は稼げないって、はっきり言った方がいいんじゃない?」
乙奈「いえ・・・あの子たちには才能があります・・・わたくしよりもずっと・・・」
ちおり「・・・なんで乙奈さんはアイドルの養成なんてしてるの?」
乙奈「・・・わたくしが元アイドルだった・・・なんて言っても信じてはもらえませんでしょう?」
ちおり「スカート長いしね!」
笑う乙奈「そう・・・アイドルで成功するためには実は才能はそこまで大きな要因じゃない・・・
このわたくしがなれたのですから・・・
6歳のころにお父様が勝手にオーディションに応募してから、右も左もわからないまま怒涛の芸能生活・・・
普通の学生生活なんて何もできなかった・・・わたくしは歌が人よりちょっと上手なだけで、基本的な学力も常識もない・・・そしてお友だちも・・・」
ちおり「それでアイドルやめちゃったの?」
顔を上げてちおりの方を向く乙奈「わたくしは、もう19です・・・最後の十代で一度でもいいから普通の高校生活をしたいんです・・・もう、あんな魑魅魍魎のいる芸能界に戻るなんてまっぴら・・・」
ちおり「でも、あの子たちの夢だよ?」
乙奈「そうですわね・・・」
ちおり「楽しいこともあったんじゃない?それを教えてあげたら?」
乙奈「・・・。」
ちおり「みんな先生のこと慕ってたよ。」
乙奈「・・・そうね・・・先生は・・・生徒の力になるべきですわね・・・
ちおりちゃん・・・手伝ってくださる?」
微笑むちおり「ともだちだもん!」
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