『ラストパーティ』脚本⑨

モンスターを差別するならず者の武器を一撃で切断してしまう騎士。
コンピテンシーリーダーをその騎士の方へ向けてレーザーを飛ばすヨシヒコ。
ゼリーマン「何者ですか?」
コンピテンシーリーダーを読み上げるヨシヒコ
「・・・ええと・・・
戦闘経験:レベル99
剣技レベル:カンスト
人間性:誠実で心根が優しいが、やや控えめで優柔不断
職歴:王立騎士団軍事顧問、勇者ギルドトップランカー、現在無職・・・」
ゼリーマン「・・・本物の勇者だ・・・」
ヨシヒコ「氏名:スナイデル・ヴィンツァー」




回想
ドリームワールドのスタッフルーム
「マジックキングダム」の資料の山に目を通しているガイドの小田順子。
背の高い精悍な女性が入ってくる。
女性「・・・あれ、残業?」
小田「あ・・・お嬢様・・・こんばんは・・・」
背の高い女性の名は「姫川桃乃」・・・コマキアミューズメント第二開発部長である。
分厚い古書を見て桃乃「どっかの修道院の写本?」
小田「はい・・・明日の最終現地確認の予習を・・・」
桃乃「真面目な子ね・・・私は昔から勉強はさっぱり・・・だから“遊び”を仕事にしたんだけどね・・・」
小田「あはは・・・」
桃乃「あら、でもこれ絵が入ってる。なにかの物語?」
小田「はい・・・伝説の勇者が破滅の邪神から世界を救ったお話です・・・」
桃乃「へ~面白そうね・・・」
すると、突然小田が興奮して立ち上がり桃乃に詰め寄る。
小田「聞きたいですか!!??」
桃乃「・・・え、ま、まあ・・・」
小田「このお話は・・・もうメルヘンオタクの私の中でも最高傑作ですよ・・・!!」
桃乃「メルヘンオタクだったんだ・・・」
小田「私がずっと憧れていた王子様はこの人だったんです・・・」
桃乃「そこまで言う。まあ私も今夜は暇だし・・・じゃあ聞かせてちょうだい。」
小田「部長・・・長くなりますよ?」
ソファに腰を下ろす桃乃「酒もつまみも用意済みよ。」
古書のページを嬉しそうにめくる小田
「ではまず、勇者様の出自を紹介しますね・・・
伝説の騎士「スナイデル・ヴィンツァーSNEIJDER WINZER」は、向こうの暦で1319年に、広大な所領を持つ名門諸侯と、王家の血を引く姫とのあいだに生まれた、由緒正しき貴族であったとされています。ヴィンツァー卿は、幼い頃から正義感が強く勇敢で、弱きを救うため、自ら積極的に剣の鍛錬に励みました。
その崇高な騎士道精神に一目置いたブリジッド国王陛下は、ヴィンツァー卿を自身の居城に召還し、世界を滅ぼさんとする邪神ニャルラト・カーンの討伐を命じました・・・
あれ・・・お嬢様、寝てませんか??」
桃乃「寝てない、寝てない!でもさ・・・その勇者様に憧れるより・・・自分が勇者になった方がずっと面白くない?」
小田「お嬢様はそう言うでしょうね・・・でも、本当にかっこいいんですって!」
桃乃「ごめん、ごめん・・・続けて・・・」
小田「勇者ヴィンツアァーはそこで、邪神を倒すために6人の精鋭を集めます・・・
彼らは円卓の騎士と呼ばれ・・・」



マジックキングダム暦1319年――
のどかな田園風景が広がるリーズガーデンの農村地帯。
どこかで羊の鳴き声が聞こえる。
粗末な納屋
農夫が畑に出ていこうとしている。
臨月の妊婦「あなた・・・!知事からステイホーム要請が出ているのよ・・・!
外に出るのは危険だわ・・・ここだって邪神の瘴気が漂って・・・」
窓の外を指差す農夫「ただののどかな昼下がりじゃねえか・・・!
自分の目で見て考えろ。政府の情報に踊らされるな。」
妊婦「でも・・・」
農夫「それに・・・ここで私が働かなかったら、誰がお腹の子を食わせてやるんだ・・・?」
妊婦「じゃあ、せめてマスクをつけてくださいな・・・」
鳥のくちばしのようなヘンテコなマスクを差し出す妊婦。
農夫「そんなもんつけて農作業ができるか!
外に出ただけで病気になって死ぬわけないだろう。
待ってな、私の可愛い息子よ・・・」
そう言うと、扉を開けて農場に出て行ってしまう農夫。



数年後
廃屋のようにボロボロになった納屋にスキップしながらやってくる少女。
ドアをノックする。
少女「ちょっと!いつまで引きこもってんのよ!!いい加減外へ出なさい!!」
廃屋からは返事がない。
すると、ボロボロの扉を蹴破る少女「オラー!!」
ベッドにくるまっている少年。
その汚いシーツを引っペがしてしまう少女。
「起きろヴィンツァー!!」
少年時代のヴィンツァー「や・・・やめてよ・・・!」
ヴィンツァーは痩せこけており、ガタガタ震えている。
少女「いい加減起きなさい!部屋を片しなさい!!窓を開けて換気しなさい!!」
ヴィンツァー「ほっといてよ・・・!」
少女「あら・・・あんた怪我してるじゃない・・・見せてみ。」
ヴィンツァーのアザだらけの腕を取る少女。
ヴィンツァー「平気だから・・・」
少女「また、やられたんでしょ・・・仕方ないわね・・・
痛いの痛いの飛んでけ~」
そう言って、ヴィンツァーの腕を撫でるとアザが消えてしまう。
微笑む少女「はい。これでだいじょうぶ。」
ヴィンツァー「あ・・・ありがとう・・・」
少女「あら、お礼が言えるのね。えらいえらい・・・じゃあ、学校に行くわよ。」
ヴィンツァー「ぼ・・・ぼくは学校になんか行きたくない・・・!
いつもいじめられるし・・・剣だって嫌いだ。」
少女「ヴィンツァー・・・あたしたちの家族の敵をとりたくないの?」
ヴィンツァー「ぼくら孤児がいくら頑張ったって、あの邪神には勝てないよ・・・」
そう言うと、シーツに手を伸ばす。その手をぴしゃりと叩く少女。
少女「勝てるさ。」
ヴィンツァー「なんで・・・」
少女「君は、人の痛みが分かるから。」



ロト剣術魔法学校――
邪神により家族を失った孤児を集めて、優秀な剣士や魔法使いを育成する教育機関である。
木刀を振るヴィンツァーと少女。
ビリー隊長のような筋肉ムキムキの講師サー・ラムマヤ
「体幹が真っ直ぐだとクリティカルヒットが出やすい・・・!
何度も繰り返し体に覚え込ませよ・・・!サークル!サークル!!」
ヴィンツァー「はあはあ・・・ぜえぜえ・・・」
少女「もう息が上がったの?・・・情けない・・・」
隊長「少年・・・!がんばるのだ!」
座ってしまうヴィンツァー「ラム隊長・・・ぼくには向いてません・・・」
隊長「いや、キミは筋がいい、あとはスタミナだけだ。自分に自信を持つのだ。」
少女「ほら、私のスタミナを見習って精進なさい。」
少女の方を向いて隊長「きみはもう帰っていいぞ。太刀筋が不安定で、周りの子に木刀が当たってみんな怖がっている・・・いたずらに人を傷つけてはならぬ。
騎士が剣を握るときは、弱きものを守るときだけだ・・・」
少女「うわ~ん!!」傷ついて泣き出してしまう少女。
ヴィンツァー「・・・・・・。」



昼休みの校舎の中庭
木のラケットでボールを壁打ちしている生徒たち。
木陰で本を読んでいるヴィンツァー。
パンを片手に近づいてくる少女「あなた、字が読めるの?」
ヴィンツァー「うん・・・ちょっとだけ・・・」
少女「すごい!ねえ、それどんな話?」
ヴィンツァー「アーサーという王様が騎士の仲間を集めて冒険をするんだ。」
少女「かっこい~!いいなあ、男の子は・・・あたしも騎士になりたかった。
高潔な精神と、卓越した剣技を併せ持ったわたしも性別(ジェンダー)には勝てずに魔法学科にクラス替えさせられたからね・・・」
ヴィンツァー「いや、円卓騎士団には女騎士もいたらし・・・」
少女「あ?」
ヴィンツァー「なんでもないです・・・」

二人に近づく長身でイケメンの青年。
「君たちここにいたか・・・」
ヴィンツァー「ベオウルフくん・・・」
ベオウルフ「きいたぞ、ヴィンツァーくん。女の子を泣かすなんて紳士のすることじゃないぞ。」
ヴィンツァー「ごめん・・・」
少女に手を出すベオウルフ「さあ、可憐な姫君・・・よろしければこの私と散歩でもしながら思索にふけりませんか?」
少女「い・・・いや・・・だいじょうぶ・・・」
ベオウルフの取り巻きの女子たち「まあ、なんて失礼な女なの!ベオさま、バラ庭園に行きましょうよ、また花言葉のおはなしを聞かせてくださる?」
ベオウルフ「なるほど・・・あなたはその同郷の少年に未練があるのですね・・・」
少女「・・・なんでも色恋沙汰にしないでくれる?思春期の乙女みたいな人ね。」
ベオウルフ「ふふ・・・ヴィンツァーくん。君はわたしの恋敵のようだ。
こうしようじゃないか。年度末の御前試合でわたしと君の一騎討ちをセッティングさせる。
その試合で勝利したほうが、その可憐な姫の寵愛を受ける。どうだね?」
少女「あたしは贈答品じゃないんだけど。」
ヴィンツァー「ぼ・・・ぼくには無理だよ・・・ベオくんは勉強も運動も一番だし・・・」
立ち去るベオウルフ「では、ごきげんよう。」
少女「・・・あんた・・・どうするの?」
ヴィンツァー「ベオくんは優しくてかっこいいから君にはぴったりだよ・・・」
泣いて走り去っていく少女「ばか~!!」



年度末の剣術・魔法発表会
国中の諸侯や領主が将来有望な騎士の卵を採用しに集結する一大イベントである。
トーナメント会場で来賓を出迎える職員。
ピカール学園長「これはこれは、ようこそおいでくださいましたアダムス主席大臣・・・」
アダムス大臣「まったくうちの王の戦争好きにも困りますよ・・・戦いが好きなのは結構だが毎回負けて敵国の捕虜ですからね・・・マグナカルタの関係で身代金を払う度に増税するにも限度がある・・・ゆえに特殊部隊を結成し秘密裏に王を救出することが閣議決定されたのです。」
ピカール「それは由々しき事態ですな。本校の学生は精鋭ぞろいです・・・ぜひご照覧あれ・・・」
アダムス「それは楽しみだ。」
ぞろぞろと会場に入る諸侯や貴族の中に、ひとり偏屈でみすぼらしい騎士が混ざっている。
ピカール「おや・・・あなたがここに来るとは珍しい・・・」
騎士「来ちゃ悪いか?」
ピカール「いえいえ・・・むしろ嬉しいですよ。
この国で最強の剣士がとうとう自身の後継者を探しに来られた・・・
どういう心境の変化ですか?ウィンロード卿・・・」
騎士「ただの気まぐれだよ。あいにく、おしゃべりは好きじゃねえんだ。
そろそろ入れてくれるかね。」
ピカール「ええ、どうぞ・・・」
そういうと、会場で受付をするみすぼらしい騎士。
受付「お名前と所領を・・・」
騎士「スノーフル辺境伯、シドニア・ウィンロードだ。」
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