『ラストパーティ』脚本㉔

平原の真ん中で発炎筒を振るスパルタン草薙。
垂直着陸の態勢に入るクレイモアー。
草薙「オーライオーライ・・・!」
目を細めて着陸してくる宇宙船を眺めるローランド
「こいつは1890年にマダガスカルで狩った巨鳥ジャブジャブよりも少しだけでかいな・・・」
草薙「シンドバッドの冒険かよ・・・」

平原に着陸するクレイモアー。
ハッチが開いて、ヨシヒコとゼリーマンが降りてくる。
草薙「窓はおふきしましょうか?」
ヨシヒコ「レギュラー満タンで頼む。」
ゼリーマン「灰皿もよろしくな・・・」
最後に降りてくるルナ「これは核反応で動くから、トリチウムがあればいいのよ。」
ローランド「おや、これはずいぶん美しい婦人だ・・・」
ルナ「ありがとう・・・あなたも素敵な紳士ですよ。」
帽子をとって挨拶をするローランド「ビッグゲームハンターのペルトという。」
義手で握手をするルナ「ルナ・マイヤースです。泉さんにはお世話になってます・・・」
草薙「人類最強の格闘家、スパルタン草薙だ。
女、あんたも泉の知り合いか。話は聞いているか?」
ルナ「だ・・・だいたいは・・・」
草薙「そういうことだ。
敵兵は俺たちが全て倒すから、女、お前は黙って俺たちを魔王城へ運べばいい。」
ルナ「わ・・・わかったわ・・・」
草薙「頼むぞ、女。」
ローランド「女性を女と言うんじゃない。小学生かお前は。」
ローランドには頭が上がらない草薙「す・・・すいません・・・」
ヨシヒコ「ヴィンツァーさんは?」
ローランド「ヴィンツァー殿は城内がパニックにならないように誘導している。」
ゼリーマン「あれから何日たった?」
腕時計を見るヨシヒコ「5日だ・・・明日には到着しておかしくない・・・」
空に目をやると、ゴロゴロ・・・と灰色の雷雲が迫っている。



エゼルバルド城内
広場に領民を集めて拡声器で状況を説明しているヴィンツァー。
「え~・・ということで、みなさんは落ち着いて普段の生活を続けてください・・・
ただし、指示が出るまで絶対に城の外には出ないこと・・・
安全な篭城戦のご協力をお願いします。」
イエヤス「ガリア軍が攻めてくるだと?」
マサノブ「心配いらないっすよ、ここには王立騎士団が駐留しているらしいっすから。」
テスタメント「おとなりの公爵夫人が言ってたけど、王立騎士団は私たちを見捨てて逃げたそうよ・・・確かにここ数日衛兵の姿を見ないわ・・・」
イエヤス「なんだって!?じゃあ、この城は誰が守るのかね!!」
ヴィンツァー「王立騎士団はいませんが・・・みなさんは私たちが守ります・・・」
イエヤス「私たちって・・・3人しかいないじゃないか!」
シルビアと黒神を見てヴィンツァー「そ・・・そうですけど・・・」
イエヤス「相手は何人いるんだ!」
ヴィンツァー「(超小声で何かを囁く)」
イエヤス「聞こえない!!」
ヴィンツァー「・・・人。」
イエヤス「はっきり言え!」
マサノブ「自民党かお前は!!」
ヴィンツァー「・・・3000人です・・・」

悲鳴が上がる広場。パニックが起こる。
テスタメント「早く城から逃げないと!!」
ヴィンツァー「落ち着いてください・・・落ち着いて・・・!」
領民に突き飛ばされるヴィンツァー。
テスタメント「今なら間に合うわ!みんなで逃げましょう!!あたしはあと100年は生きるのよ!」
すると、シルビアが腕を上げて、空気の振動を起こし、広場中央の巨大な鐘を鳴らす。
ゴーンという爆音がなる。

静まる広場。
シルビア「ご注目ありがとう。
みなさんが互いに助け合う美しい姿が見られて嬉しいわ、このくそったれ。
こちとら5日かけて命懸けで町を守る作戦を考えたんだ。
それなのにあんたたちは鶏のように怯えて、どいつもこいつも自分のことばっか・・・!
ここはあんたたちの町でしょう、なんで自分たちでなんとかしようと思わないのよ!!」
マサノブ「お前バカかよ・・・!3000人にかなうわけ無いだろ!」
シルビア「このヴィンツァー卿がもしあんたらみたいな根性なしだったら、この世界はとっくに終わってたわ。いい?人生にはやらなきゃいけない正念場があるのよ。
人に頼って文句ばっかり言ってないで今こそ戦うのよ!」
イエヤス「シスターが暴力をけしかけるのか・・・!冗談じゃない!
俺は強い奴からはいつも逃げ続けてきたんだ!いこう、マサノブ。」
マサノブ「うす!」
黒神「ん~っふっふ・・・こういうシチュエーションで逃げた人物がだいたい最初の犠牲者になるのはミステリーホラーの定石です・・・」
マサノブ「確かに・・・イエヤスさん、オレ後で行きますから、一人で逃げていいっすよ。」
イエヤス「マサノブ・・・!」
テスタメント「わかった・・・で、あたしたちに何をしろって言うのシスターさん・・・
私たちはただの一般市民よ・・・」
シルビア「私だって一般市民よ・・・」
テスタメント「いいえ、私はあなたを知ってるわ。伝説の聖女リネット・アシュレイの娘よ・・・
私たちモブキャラとはちがうわ・・・」
マサノブ「なんだよ特権階級かよ!
それなら、おれたち市井の民の気持ちがわかるわけがねぇ!」
大ブーイング。

シルビア「・・・リネット・アシュレイの娘・・・本当にそうならよかった・・・」
テスタメント「・・・え?」
ヴィンツァー「シルビア・・・」
シルビア「私はただのケルト族の娘よ・・・アルバレイク戦乱で私の両親は殺され・・・それを不憫に思ったリネットが娘として拾ってくれた・・・」
ヴィンツァー「・・・・・・。」
シルビア「意地悪言ってごめんね、ヴィンツァー。ずっと前から知ってたんだ・・・
でも・・・あたしはあの人の本当の娘でいたかったし・・・
あなたをお父さんだと思いたかったんだ・・・」
目を潤ませるシルビア。
シルビアを優しく撫でて微笑むヴィンツァー「ぼくだって、ただの農民の息子だ。」
シルビア「この世界に生まれつきの勇者なんていない・・・
でも、勇気は誰にだってあるはずでしょう・・・?お願い、力を貸して・・・!」

シーンとする広場。

口を開くイエヤス「勇気を出せば誰でも勇者か・・・
ガラじゃないが・・・やってやるかマサノブ・・・」
マサノブ「うす、手を貸すぜシスター!」
テスタメント「あたし・・・昔は黒魔術師をやってたのよ・・・攻撃魔法なら今も使えるけど・・・?」
シルビア「みんな・・・(涙を拭う)みんなで勇者になろう!!」
歓声が上がる。
冷静に勘定をする黒神(ん~っふっふ・・・60人生き残ればいいほうですね・・・)
ヴィンツァー(大惨事だ・・・)



エゼルバルド城
ヨシヒコ「・・・え?領民を逃がさない?」
ゼリーマン「シルビアがみんなを焚きつけちまったそうです・・・」
ヨシヒコ「まあ、どのみち味方を探し出すのに時間がかかりすぎた・・・
いまさら逃がしてもハイランドまでは逃げきれないか・・・」

作戦会議室に入るヨシヒコとゼリーマン。
机に地図を広げるゼリーマン
「これが地形図だ・・・」
机に集まってくるほかの世界の英雄たち。
ゼリーマン「敵の兵は3000・・・カタパルトなどの攻城兵器を持っている。
兵士の士気は高く、百戦錬磨の将軍は油断しない。
そして、こいつらは負けた敵には容赦しねえ。
例外なく皆殺しにする。」
ヴィンツァー「一方、こちらの戦力は、ぼくとシルビア、格闘家のスパルタンさん、ハンターのローランド氏、パイロットのマイヤースさん、名探偵の黒神警部・・・」
黒神「正しくは元警部補です。」
ヴィンツァー「失礼・・・黒神元警部補の6人・・・」
ゼリーマン「おい小僧、俺は戦力じゃねえのか。」
シルビア「あんた戦えるの?」
ゼリーマン「そこの勇者を最初に倒した魔物はこの俺だ・・・」
ヴィンツァー「じゃあ、ゼリーマンを入れた7人・・・それと2000人の民間人・・・」
シルビア「人数的にはいけそうじゃない?」
ゼリーマン「いけねーよ。お前がこの短時間で2000人の勇者を育てるのか?」
ヨシヒコ「だが・・・民間人の中を探せば戦える者もいるんじゃないか?」
シルビア「じゃあ、あたし探してきます。」
草薙「必要ねえよ。この俺が全員ぶん殴ってやる。」
ルナ「敵兵士の装備は・・・?」
ヴィンツァー「剣兵と槍兵、弓兵がそれぞれ1000人・・・」
首を振るルナ「スパルタンさん、素手では絶対無理です・・・」
草薙「凶器とは卑怯だぜ・・・男は己の拳で殴り合っての・・・」
ライフルを向けるローランド「ブチ抜かれたくないなら、お前は少しは黙ってろ・・・」
黒神「ヴィンツァーくん、ぼくお腹すいたよ・・・なにか甘いものない?」
ヴィンツァー「え・・・」
まとまりのない戦士たち。

ゼリーマン「・・・旦那。提案があります。誰かがリーダーにならないと統制が取れん。」
ヨシヒコ「そうだな・・・」
ゼリーマン「旦那がまとめちゃくれませんかね?」
ヨシヒコ「ぼくが?」
ゼリーマン「この場のほとんどと知り合いなのは旦那だけだ・・・」
ヴィンツァー「それはいいアイディアだと思います。」
ヨシヒコ「ここは伝説の勇者であるアナタが・・・」
ヴィンツァー「ぼくは、ニャルラト・カーン戦でほとんどの仲間を死なせてしまった・・・
もともと人の上に立つのは向いてないんです・・・」
ヨシヒコ「そんなことないでしょう・・・」
ヴィンツァー「ここだけの話・・・ぼくは震えが止まらないんだ・・・」
ヨシヒコ「・・・え?」
ヴィンツァー「この人たちを見ていると・・・昔のパーティを思い出してしまって・・・
小さい頃からずっと僕を励ましてくれた幼馴染のリネット・・・
優しく気品があり、いつも献身的だったセレス・・・
短気だったけど、絶対に仲間を見捨てなかったヴォルスング・・・
寡黙だけど親切で、正確無比の狙撃手だったジークフリート卿・・・
誰よりも頭脳明晰で、邪神攻略の手がかりを見つけたヘルシング博士・・・
・・・もう誰も死なせたくない・・・
ヨシヒコさんなら、きっと冷静な判断ができる。」
ヨシヒコ「まいったな・・・」

すると、喧嘩をはじめる戦士たち。
シルビア「いいかげんに目を覚ましなさいよスパルタン!
戦国無双みたいなことは株式会社コーエイでしか起きないの!」
草薙「てめえ、誰がバンダースナッチから助けたと思ってやがる・・・!」
シルビア「ローランドさんよ!」
ローランド「そうだな・・・」
草薙「てめえ、シルビア・・・あのときションベン漏らしてたくせに・・・」
ルナ「もう、スパルタンさん!女性にそういうことを言うのはいけないですよ!」
シルビア「そーだそーだ!モラハラ!セクハラ!パワハラ!
あんた今すぐ、ハラスメント草薙に改名しなさい!」
草薙「てめえら・・・だから女どもと戦うのは嫌なんだ!もう俺は帰らせてもらうぜ!」
ルナ「ちょっと待ってください、力を合わせないと・・・!」
酒瓶を開けるローランド「あのバカはほうっておけ・・・」
黒神「ヴィンツァーくん、バームクーヘンとかない~?」
ヴィンツァー「そんなの中世の騎士は携帯してないですよ・・・!」

机をどんと叩くヨシヒコ
「いいかげんにしなさい!!
ぼくらの行動で2000人の民間人の生死がかかってるんだぞ!!」

静まる一同。

ヨシヒコ「・・・シスターシルビア、君は城下町に行って戦えそうな民間人を集めてくるんだ。
モンスターハンターのギルドには、まだ戦士がいるはずだろう。
HEROCON会場のお年寄りの元勇者だって、その経験は役に立つ。
なんでもいいからできるだけ集めてきなさい。」
シルビア「あ・・・はい!」

ヨシヒコ「ゼリーマン、君は城から出て、この付近の知り合いのモンスターを全て連れてくるんだ。ガリア軍の進撃は君たちモンスターにとっても脅威だろう?
もう、人間だ、モンスターだ言っている場合じゃない。力を合わせるんだ。」
ゼリーマン「任せてくれ旦那・・・」

ヨシヒコ「黒神警部補・・・あなたは知恵が回る・・・町の職人集団とともに城の周辺にブービートラップを仕掛けてください。特に、カタパルトの射程を計算してその射程範囲に敵が近づけないようにして欲しい・・・」
黒神「ん~っふっふ・・・いいでしょう・・・」

ヨシヒコ「マイヤース。」
ルナ「はい!」
ヨシヒコ「君は、領内のけが人や病人、妊婦、子どもをクレイモアーに乗せて、安全なハイランドの街に送ってくれ。ピストン輸送だ。できるか?」
ルナ「わかりました!」

ヨシヒコ「ローランド、あなたは街の屈強な男に銃の撃ち方を教えてあげてください。
もともとこの時代は戦争が起これば農民だって兵士になる・・・
血の気が多い男は多いはずだ。」
ローランド「心得た。」

スパルタン「泉よ、俺は何をすればいいんだ??」
ヨシヒコ「すぐにでも敵を殴りに行きたいんだろう?
偵察がてら、お前は敵の野営地を襲って来い。戦が始まる前に少しでも敵の戦力を削ぐんだ。
カタパルトを燃やしてきたらファインプレーだ、吉田沙保里さんに会わせてやる・・・」
スパルタン「おっしゃあ!!」

感動して拍手をするヴィンツァー
「・・・あなたがいたら・・・(涙をにじませる)ぼくの仲間はきっと死ななかった・・・」
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