『ラストパーティ』脚本㉓

「メガサターン」
ヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」がBGMで流れる。
恒星間戦争の前線基地、宇宙コロニー「ビブリボン」
宇宙コロニーのなかは、遠心力によって重力を作り出すため円運動をしている。

コロニー内の戦闘宇宙船格納倉庫を歩く女性軍人と、ヨシヒコ。
アルテミス軍所属エースパイロット「ルナ・マイヤース」
「え?クレイモアー(戦闘宇宙船の名前)をですか??」
ヨシヒコ「3日だけ借りられないかな。」
ルナ「泉さんの頼みなので力にはなりたいのですが・・・(背後の巨大な宇宙船を見て)
このクレイモアーは私の所有物ではないですからね・・・」
ヨシヒコ「船のオーナーには話をつけておく。君に頼みたいのは、あれの操縦だ。」
ルナ「・・・いつからですか?」
ヨシヒコ「今からだ。」
ルナ「まいったな・・・」
ヨシヒコ「この時期は、星間戦争はオフシーズンなんじゃないか?」
ルナ「来週から、太陽系で「コズミックグランプリ」というレースに出場するんですよ・・・」
ヨシヒコ「それまでには済むと思う。」
ルナ「一体なにをするんです?」
ヨシヒコ「魔王の討伐だ。」
ルナ「あたし・・・戦争に行ってたけれど、あれはスポーツみたいなもので・・・
本当の戦場はちょっと・・・」
ヨシヒコ「知ってる。ぼくらを魔王城まで送ってくれるだけでいい・・・」
ルナ「それなら、多分5分で済みますけど・・・」

格納倉庫に歩いてくるゼリーマン「話はつきました?」
ヨシヒコ「オーナーの方はどうだったんだ?」
ゼリーマン「ビリオンパラダイスからふんだくった金をすべて出すと言ったら、レンタルどころか普通に購入できました。」
驚愕するルナ「へ!?クレイモアーを買ったんですか!!??
わたしの年棒でも手も足も出ないのに・・・!」
ゼリーマン「美しいあんたにプレゼントだ。」
ルナ「魔王城ですね・・・かしこまりました。
整備員さんにメルシーキリング爆弾を装備させましょう。」
ゼリーマン「なんだそら。」
ルナ「戦略核兵器です。これを魔王城に発射すれば一瞬で魔王は蒸発します。」
ヨシヒコ「やめてくれ。ガリア大陸もなくなってしまうよ・・・」



更衣室で船外活動服を着るヨシヒコとゼリーマン。
ゼリーマン「なんでこんなもんを着るんだ?」
ヨシヒコ「宇宙船を転送するゲートはここから1億km先の宇宙空間に浮いているからだ・・・
そこまでクレイモアーで連れてってもらう。」
ゼリーマン「俺は宇宙空間も裸でいいすよ。」
ヨシヒコ「激しく爆発するからやめてくれ・・・」
ゼリーマン「あの美女と旦那はどういう関係で?」
ヨシヒコ「彼女が無名選手だった頃にコマキをスポンサーにさせたんだ・・・
彼女の出身地はこの広大な宇宙でもとりわけ辺境で・・・差別をされていたんだよ。
ただ・・・操縦スキルは本物だった。」
ゼリーマン「だから旦那に感謝してんだ。」

更衣室に入ってくるルナ「おじゃまします。」
そう言うと、女性なのにためらいなくヨシヒコの前で服を脱ぐルナ。
目をそらすヨシヒコ「おいおい・・・」
ルナ「なにか・・・?ああ・・・泉さんの世界では異性の前で裸にはならないんですよね・・・
でも安心してください・・・あたしの体はほとんどが機械・・・肌色なんてほとんどないから・・・」
ヨシヒコ「・・・君みたいなレーサーが大きな事故でもしたのか・・・?」
ルナ「私には生まれつき両腕がなかったんです・・・でも、泉さんのおかげで・・・
今はこんなにいい腕が二つも。」
そういうと、機械の腕を見せて微笑むルナ。
ゼリーマン「サイボーグ少女か。嫌いじゃないぜ。」
ルナ「ゼリーさん、本当にEVA服を着たほうがいいですよ・・・発進時に少なくとも10Gはかかるし、そのあとの0Gで球体になってしまいます・・・」
ゼリーマン「この俺の美しいプロポーションが星のカービィになるだと・・・!?それは捨て置けんな・・・」
いそいそと船外活動服を着るゼリーマン。
ヨシヒコ「・・・ありがとう。」
ルナ「可愛い宇宙人ですね。」



クレイモアーが滑走路に運ばれる。
クレイモアーのコックピットに乗っている3人。
計器をいじくるルナ。
ルナ「みなさん、宇宙経験は?」
ヨシヒコ「あるわけがない・・・」
ゼリーマン「そもそも宇宙ってなんだ?空の上なんだろ?なんで青くねえ。」
ルナ「それなら、感動すると思うわ・・・
(無線に向かって)デリバリー、こちらはクレイモアー07、ゲートF91より出航の承認をお願いします。レーダー識別記号は1984・・・」
管制官(クレイモアー07、ゲートF91より出航を許可します。
10番隔壁開放、減圧開始グリーン・・・9番隔壁開放・・・)
エンジンをイグニッションさせるルナ
船内が振動し、ブーンという起動音が響く。
管制官(最終隔壁開放・・・)
すると、クレイモアーの目の前の隔壁が開き、ゴオオオオという爆音で宇宙空間に空気が放出される。
管制官(グリーン。クレイモアー07、いい旅を。)
滑走路を疾走するクレイモアー。
一気に座席の背もたれに叩きつけられるヨシヒコとゼリーマン。
微笑むルナ
宇宙コロニーを飛び出し、漆黒の宇宙空間を飛行する。



宇宙を進むクレイモアー
遠くには美しい惑星が輝く。
ルナ「もうシートベルトを外していいですよ。」
するとコックピットのボールペンが浮き上がる。無重力になったのだ。
ゼリーマン「おい!とうとう俺は飛行系魔法を覚えたぞ!」
ヨシヒコ「重力から解放されただけだ・・・うぷ・・・(口を抑える)」
ルナ「宇宙酔いですか?」
ゼリーマン「旦那!ここでは勘弁してくださいよ・・・!俺にくっつく・・・」
ルナ「トイレはそこです。」
壁の手すりをつかみながらトイレに移動するヨシヒコ。
ゼリーマン「だから宇宙コロニーの食堂でチャーシューメンなんて食べなきゃよかったんだ・・・」
ルナ「無重力ではなかなか食事は楽しめませんからね・・・宇宙食はゼリー状のものばかりだし・・・」
ゼリーマン「ルナちゃん・・・あんた今なんて言った?」
ルナ「え・・・?ゼリー・・・」
壁を蹴って食料庫に突っ込んでいくぜリーマン「ヘアッ・・・!!」

その時、クレイモアーに接近してくる複葉機のような宇宙船。
相手の宇宙船からの無線をキャッチする。
?「おっ誰かとおもたらルナ・マイヤースやんけ・・・おでかけかいな・・・」
ルナ「あっ、その声は・・・地球の冒険家のライト・ケレリトゥスね・・・」
ライト「コズミックグランプリの秘密特訓かいな。」
ルナ「そんなんじゃないわよ・・・そっちは?」
ライト「暇なんで80日で太陽系でも一周しようかな、と・・・」
ルナ「あなたは自由でいいわね・・・」
ライト「にゃ~っはっは!あんたもぎょうさん年棒もらっとるんや!
とっととアルテミス軍なんてやめてFIREしたらどうや!」
ルナ「おあいにく様・・・わたしももう自由なの・・・」
ライト「ほえ?」
ルナ「じゃあ、ちょっと行ってくるね・・・」
ライト「どこに?」
クレイモアーを加速させ、ライトのライトフライヤー号を引き離すルナ「内緒。」

――「メガサターン」のエースパイロット、ルナ・マイヤースが仲間になった!




「マジックキングダム」
キャッスルヴァニア地方。
エゼルバルド城へ向けて進軍をしている、ジルドレイ将軍率いるガリア帝国軍。
伝令「報告!ベオウルフら王立騎士団は、エゼルバルド城を捨てて王都へ逃げたとのこと!」
葉巻をふかすジルドレイ「なんだと?あのかっこつけがか。領民は?」
伝令「2000人が城内に取り残されたままだと・・・」
ジルドレイ「領主が領民を見捨てたのか・・・ベオウルフめ・・・もう少し骨のあるやつかと思っていたが・・・これでブリジッド王国は終わりだな。兵たちに伝えろ。エゼルバルドについたらうまいもんが食えるぞ、と!」
伝令「は・・・!」
その時、ガリア軍の頭上を巨大な飛行物体が横切る。
驚く兵たち。
「何だあれは・・・!!」
「じゃ・・・ジャバウォッキーだ・・・!!」
ジルドレイ「騒ぐな・・・!お前らはドラゴンなんて一度も見たことがないだろう!!」
双眼鏡を眺める軍曹「・・・あれは・・・生き物ではないようです・・・乗り物??」
双眼鏡を奪うジルドレイ「見せてみろ・・・なるほど・・・あれは飛行機という機械だ・・・」
軍曹「飛行機?」
ジルドレイ「ストレイシープ村にあったパンフレットをよこせ・・・」
軍曹「はい・・・」
「ドリームワールド」のパンフレットを取り出す軍曹。
宇宙船のイラストを指差すジルドレイ「ほら・・・同じだ・・・安心しろ、火など吐かねえ・・・」
軍曹「危険はないのでしょうか・・・」
ジルドレイ「ストレイシープ村にあった、あの異文明の装置・・・そしてあの飛行機・・・
ブリジッド王国は神の使いでも味方につけたか・・・それとも・・・神の怒りに触れたか・・・」
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