『超音速ソニックブレイド』脚本⑥

アメリカ。ホワイトハウス
大統領「元気を出せよジュンちゃん。今度ゴルフにでも行こう。では。」
日本とのホットラインを切る大統領。
大統領「相当派手にやられたらしい。在日米軍に支援物資を送らせろ。トモダチ作戦だ。」
補佐官「かしこまりました。」
大統領「世界中どこもかしこも怪獣だらけだ。
誰だ、あれはフセインが作った生物兵器だと言ったやつは。お前だったか?」
補佐官「おほほ・・・」
大統領「お前のせいで、イラクでは無駄な戦争をしたもんだ。
世界の警察の名を汚すな。」
補佐官「お父様の代からの悲願だったではないですか。」
大統領「もはや、あんな国アメリカの脅威ではない。こいつらだ、こいつらをどうする?」
怪獣の写真をデスクにばらまく。
補佐官「そういえば・・・ソニックブレイドの試作機ができたとか。」
大統領「なんだそれは。」
補佐官「国連のアイディアで・・・人型ロボットを作って怪獣を無力化するという話があったじゃないですか。」
大統領「忘れた。」
補佐官「いやですわ・・・」
大統領「忌々しい怪獣どもを戦術核以外で倒せるというのなら好きにやれ。
イラク戦争ではしこたま稼いだんだろう?金は惜しむな。
愚鈍な恐竜どもをもう一度絶滅させろ。」

大統領執務室を後にする補佐官。
廊下では、ジム・グリーンスパン国務長官と、マイク・ブラッドリー将軍が立っている。
国務長官「ストローズ補佐官。大統領閣下はなんと?」
補佐官「ブラッドリー将軍。」
黒人の将軍「は。」
補佐官「ソニックブレイド計画の進展は?」
将軍「パイロットが見つかりません。
あんな得体のしれないロボットと自分の脳を接続したくないと・・・」
補佐官「なんとかしなさい。」
国務長官「自国の兵士を実験動物のように扱っていることが明るみになるのはまずいぞ。
ただでさえイラク戦争で政権に対する非難は高まっているのに。」
補佐官「あらそう。自国じゃなきゃいいのね。」
国務長官「私はここ数年で次々と怪獣が地底から目覚めている、その原因に対処すべきだと思うが。」
補佐官「地球温暖化に?中東の石油の利権を奪ったところよ、冗談じゃないわ。
あなたは大統領のやり方に文句があるわけ?」
国務長官「しかし・・・」
補佐官「断言するわ。二酸化炭素の排出は、怪獣の増加に一切関係がないわ。
将軍、パイロットを必ず見つけるのよ。」
廊下を歩いて行く補佐官を見送る、国務長官と将軍。
国務長官「君はどう思う?」
将軍「ロスアラモスで実物をご覧になったことは?」
国務長官「ない。」
将軍「あれに乗るもの好きは地球上にはいませんよ・・・」



ロスアラモス
輸送コンテナに格納されるソニックブレイドの機体。
それを見上げる開発メンバー。
ロイド「あれに乗るもの好きがいたとはなあ・・・」
カレル「どんなやつざんしょ。」
フェイ「頭おかしいんじゃないの?」
マルス「コックピットの衝撃吸収は問題ないんですよね?」
ロイド「できるかぎりのことはした。」
フェイ「しかし、戦闘時間は長くて3分よ。それ以上は脳に後遺症が残る。」
カレル「戦闘データはうちのサーバーに逐次送られてくるザンス。」
フェイ「とりあえず、マルスくん。お疲れ様。あとは軍に任せましょう。」
カレル「今夜はみんなで飲み明かすザンスよ!」
ロイド「おう、いこうぜ。」
マルス「つ・・・疲れた・・・でも・・・これでやっとえるに会える・・・
今年こそ日本に帰ろう。」



アメリカ
政府の公用車でネバダの軍事基地「エリア51」につれてかれるえる。
える「あれ?国連本部にはいかないんですか?」
黒服「・・・?(日本語がわからない)」

軍事基地には、ストローズ補佐官が笑顔で待っている。
車を降りるえる。
補佐官「いや~こんなかわいいお嬢さんが・・・!ほほほ!
あなたの勇気には心から賞賛しますわ。
わたくし、大統領補佐官のレヴィ・ストローズと申します。
日米関係はあなたの自己犠牲で一層強くなると、大統領も申しておりましたわ。」
英語がわからないえる「?・・・マイネームイズペン。」
補佐官「ペンと言ったわ!とっとと書類を出しなさい!」
慌てる部下「は・・・」
補佐官「では、書類のここにサインを・・・」
える「・・・?名前書けばいいの?」
書類をしまう補佐官「よし、これでOK。将軍、あとは任せたわよ。」
将軍「彼女は任務の内容を本当に理解しているのですか?」
補佐官「理解しないでいい。このバカを絶対に逃がしちゃダメ。」
車に乗り込み帰ってしまう補佐官。
将軍「私の娘くらいか・・・戦いには犠牲がつきものだが・・・胸が痛いな。」



マルス(こうしてソニックブレイドの実地試験が始まった。
データ分析に主観が入らないように、テストパイロットの素性はWEMAには一切知らされなかった。)



東京のアパート
マルス「ただいま~・・・」
笑顔で出迎える中学生になったろな「おかえりなさいお兄ちゃん!」
マルス「パパとママは?」
ろな「御馳走を買いにヨーカドーに行ったよ。」
マルス「はいこれ、アメリカのおみやげ。」
野菜を置く。
がっかりするろな「・・・ジャガイモじゃない。」
マルス「うちの農場で作ったんだ。」
ろな「あ・・・ありがとう・・・(寺島先生からこの前大量にもらったんだよな・・・)」
マルス「北陸の方、大変だったんだろう?」
ろな「らしいよね。えるちゃんも被災地支援やってるんじゃない?連絡はつかないの?」
マルス「うん・・・ずっと着信拒否。」
ろな「あまりにお兄ちゃんが会ってくれないから、愛想つかしたんじゃない?」
マルス「オレは振られてしまったというのか・・・!」
ろな「だって卒業式以来一度も会ってないんでしょう?」
マルス「ここ数年はあまりに激動で、日本に帰るタイミングがなかった・・・」
慰めるろな「まあ、元気出しなよ。女の子は他にもいるさ。」
マルス「そんな・・・」
ろな「次はもっと彼女を大事にすることね。」
マルス「はい・・・」



エリア51
全裸で手術台に括り付けられるえる。
泣き叫ぶえる「やめて!やめて!!ライちゃん助けてえ・・・!」
医師が不気味な医療機器をえるの頭に取り付ける。



廃校となった高校に足を運ぶマルス。
季節は冬で枯葉が揺れる。
須藤「アニキも日本に帰ってたんすか?」
マルス「きみは・・・須藤君?」
須藤「お久しぶりっす・・・!」

ファミレス
ミックスグリルをむさぼる須藤「仕事は順調っすか?」
マルス「ひと段落はしたかな。きみはまだゲーマーで食ってるのか?」
須藤「世界大会で3回目の優勝をしたら、とんでもないところからオファーが来たっす。」
マルス「任天堂?」
須藤「アメリカ軍っすよ。この前終結したイラク戦争ってあるじゃないっすか。」
マルス「ああ。」
須藤「あの戦争でドローン兵器を操縦していたのは、何を隠そうこの俺っす。」
マルス「ドローンって・・・あのラジコンみたいなやつだろ。
あんなんで戦争ができるのか?」
須藤「アメリカの軍事技術はやばいっす。
そのうち巨大ロボットでも作るんじゃないっすか。」
マルス「ははは・・・そういう内部事情ってこんなところで話していいのか?」
立ち上がって大きな声で須藤「オレは世界中どこでも空爆できるっす!」
マルス「おい・・・」
須藤「どこで何を話していても、アメリカさんには筒抜けっすよ。」
マルス「その技術で、えるの気持ちを聞いてきてほしいよ。」
須藤「え?音信不通っすか?アニキの技術で携帯電話から追跡できないんすか?」
マルス「仮にできたとして・・・向こうが着信拒否をしているんだぞ。」
須藤「サイバーストーキング行為になるっすね・・・」
マルス「会って謝れば許してくれないかなあ・・・」
須藤「アニキ・・・男と違って女は過去を引きずらないっす。」
マルス「お前・・・知らない間にいろいろ経験したんだな・・・」
須藤「さあ、ここはオレがおごるっす。食べてください!」

えるとよく遊んでいた公園
笑顔で缶ぽっくりで遊ぶ小学生のえる。
笑顔で缶ぽっくりで遊ぶ中学生のえる。
笑顔で缶ぽっくりで遊ぶ高校生のえる。
マルス「あいつ・・・バカだったな・・・」
涙がにじむ。
マルス「だめだ・・・バカはオレだ・・・
もう忘れないと・・・」



改造手術を受けてソニックブレイドのコックピットに押し込まれるえる
「いやだあああ!!」
子どもの頃、いじめで跳び箱の中に閉じ込められた記憶がフラッシュバックする。
軍のスタッフが英語で叫ぶ。
「ふざけんじゃねえ、お前の改造手術に1000万ドルもかけたんだ!」

ガラス越しにソニックブレイドを見つめる補佐官
ため息をつく。「誰があの子を選んだの?」
将軍「実験は中止しますか?」
補佐官「そんなことしてみなさい。私は大統領に殺されるわ。
銃でもなんでも突き付けて、言うとおりにさせるのよ。」
将軍「それはすでにやりました。」
補佐官「じゃあ、手足に一発食らわせてやりなさい。」
将軍「それは絶対に許可できません。彼女の肉体はほとんど強化パーツにしてしまった。
コックピットの激しい振動に耐えるためにね。」
唾をのむ補佐官「・・・あの泣き虫に銃弾は効かないの?」
将軍「あの子がああいう性格でむしろ良かった。
もし、狂暴な人間がこの実験に選ばれていて・・・
銃器が効かないことに気づいたら・・・」
補佐官「わかったわ。暴力はなし。
あなたのやり方に任せるから、ソニックブレイドに乗せてちょうだい。」
将軍「・・・・・・。」

パーカーを羽織り、冷たいコンクリートの床にへたり込んで震えているえる。

将軍「彼女の来歴が書かれた資料を。」
兵士「は。」
資料を受け取る将軍。
将軍「母親はWEMAの局長なのか?」
兵士「幼少期から疎遠だったそうですが。」
将軍「この実験に娘が参加していることは絶対に秘匿しろ。」
兵士「大統領補佐官からも申し使っております。」
将軍「しかし、哀しい境遇の子だな・・・
よし・・・彼女に会おう。私の部屋に通してくれ。
そして温かい食事を用意してくれないか。」

ブラッドリー将軍の執務室。
える「失礼します・・・」
将軍「やあ、かけたまえ。」
ソファに座ろうとするが、苦痛で顔をゆがめるえる
将軍「だいじょうぶか?ゆっくり・・・」
える「体中が冷たくて・・・動くたびに痛いんです。」
将軍「そうか・・・気の毒に。」
える「あれ・・・?日本語がしゃべれるんですか?」
将軍「沖縄の那覇基地にいたことがあってね。ワイフも日本人だ。」
涙ぐむえる「やっとお話ができる・・・」
将軍「いくらでも聞くよ。」
える「あのロボットには乗れません・・・私は狭いところが怖いんです・・・
ずっと閉じ込められて・・・いじめられてたから・・・」
将軍「辛い思いをしたんだな。」
える「それでも・・・今回のいじめは過去最悪です・・・
さすがのわたしも・・・もう・・・死にたい・・・」
将軍「わたしにも、君と同じ年ごろの娘がいてね・・・
きみが嫌なら、もうあれには乗らなくていい。」
える「・・・え?」
将軍「わたしが大統領に直談判する。計画は中止だと。」
える「ほんとう?」
将軍「私も幼少期、この肌の色だろう?
白人の子にずっといじめられてきてね・・・
きみの気持ちも少しはわかるつもりだ。許してほしい。さあ、スープを飲みなさい。」
える「ありがとう・・・初めてこの国で優しい人に会えた。」
将軍「きみには愛する人はいるのか?」
える「アメリカに恋人がいます。国連本部で働いていて・・・
わたし・・・国連で働けると思ったから・・・この実験に参加したんです。
そしたら、砂漠につれてかれて・・・体を機械にされた・・・
こんな体のあたしなんか・・・きっとライちゃんは愛してくれない・・・」
号泣するえる。
将軍「そんなことはない。」
声を荒げるえる「なんでわかるんですか!」
将軍「ソニックブレイド計画の責任者は、きみの恋人、マルス・ライだからだ。」
ロスアラモスでのマルスの写真を見せる将軍。
言葉を失うえる「・・・え?」
将軍「彼もきみがパイロットであることを知ったら、すぐに計画を中止させるはずだ。
だから、もう乗らなくていい。」
える「私が乗らないと・・・ライちゃんはどうなるんですか?」
将軍「国家反逆罪になる。」



ロスアラモス
プリントをデスクに置くフェイ「ソニックブレイドの戦闘データが入ってきました。」
目を通すマルス「どれどれ・・・不安定な歩行・・・
すぐに転倒・・・パイロットはひどい頭痛と吐き気を訴える。
怪獣の方はロボットを脅威と認識せず素通り・・・」
ロイド「戦闘データなのか、それ。」
カレル「実験は失敗ザンス。」
マルス「いや・・・始まったばかりだ。」
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