『超音速ソニックブレイド』脚本⑨

ブラックハウスの会見
笑顔の補佐官「大統領は命に別状はありません。
しかし怪我が治るまでは治療に専念し、職務を控えたいと言っております。」
記者「ホワイトハウスは跡形もなくなりましたが、本当に無事なのでしょうか?」
補佐官「地下核シェルターがないとでも?」
記者「なるほど。」
ほかの記者「新華社通信です。
ソニックブレイドを米軍が独占使用するのは国際秩序を著しく損なうとの批判もありますが、戦闘ロボットの人工知能データを共同利用するというお考えは・・・?」
補佐官「おほほ・・・ならば、なぜ地球上のすべての国が核を保有していないのかしら?」

国務大臣「ゴモラを一撃で倒したことであのロボットを見る目が変わったな。」
将軍「補佐官は焦っておられる。」
国務大臣「見ればわかる。大統領が存命なんて話いつまで持つか・・・」
将軍「それもありますが・・・核兵器は戦後すぐにソ連に追いつかれた。
軍事的にアドバンテージがあるうちに強国をねじ伏せるおつもりだ。」
国務大臣「だからロスアラモスを抑えた?」
将軍「科学者という人種は国境を嫌いますからね。
特にカレル博士を抑えたのは大きい。量子コンピュータを抑えたも同じだから。」
国務大臣「第三次世界大戦か。」
将軍「長生きしたいなら、今の補佐官には逆らわないほうがいい・・・」
黒服に連れて行かれる新華社通信の記者。



ロスアラモス
拷問を受けてボロボロになって帰ってくるフェイ
マルス「フェイ・・・!」
彼女に駆け寄り抱きしめる。
涙目のフェイ「私は台湾人で、中国人じゃないのに・・・」
カレル「そんなことはやっこさんも知っている。知ってて暴力を振るったんだ。
女に手を上げるなんて許せねえな。」
ロイド「見せしめってことか。」
フェイ「軍に逆らっちゃダメ・・・開発を続けましょう。」
カレル「アメリカはどうやら得体の知れない魑魅魍魎に乗っ取られたようざんす。」

フェイの医務室で二人きりになる。
フェイ「マルスくん・・・お願いがあるの。」
マルス「なんでもする。」
フェイ「わたしたち・・・別れましょう。」
マルス「え?」
フェイ「あなたに迷惑をかけたくない。」
マルス「さっきのは取り消し・・・絶対嫌だ。」
フェイ「次のターゲットはあなたなのよ!言うことを聞きなさい!」
マルス「君を愛しているんだ・・・!」
フェイ「嘘ばっかり!あなたが愛しているのは、あの子でしょう?」
マルス「・・・・・・。」



お姫様のようなロココ調のえるの部屋。
補佐官「おほほ・・・ドレス似合ってますわよ。
この色、ペールカラーって言いますの。上品なあなたにはピッタリ。」
える「・・・・・・。」
補佐官「必要なものがありましたら、なんでもおっしゃってくださいませ。」
える「・・・わたしは、あなたの着せ替え人形なのね。」
補佐官「面白いことをおっしゃるお嬢さんだわ。」
える「・・・戦争に行くくらいなら私は死にます。」
補佐官「パレスチナにお散歩に行くだけよ。」
える「あなたがそうやって独裁者でいられるのは私がいるから。」
補佐官「いかにも。
・・・でも、あなたが死ぬと悲しむ人がいるのではなくて?」
ハッとするえる「ライちゃんには手を出さないで・・・!」
補佐官「ならばならず者国家を倒してきなさい。」
える「あなたは卑怯よ・・・!」
補佐官「ええ、卑怯ですとも。でも覚えておきなさい。
卑怯者の機嫌を決して損ねてはなりません。」



日本
高校生になって受験勉強をしているろな
「第五次中東戦争はロボット兵器の投入によってイスラエルの完全勝利・・・
これ時事問題で絶対出題されるな。」

中東エリア
テロリスト「ミカエルだ!ミカエルが来たぞ!!」
火の手が上がる戦場の中、テロリストの方へ歩いてくるソニックブレイド。
える「おねがい・・・降参して。
あなたたちにも家族がいるんでしょう?」
テロリストが銃弾の雨を浴びせるがビクともしない。

軍の司令部
通信兵「ソニックブレイドの侵攻で敵の本隊は釘付けです!」
将軍「今だ、一斉空爆・・・!」
通信兵「砂漠のバラ作戦開始!!」

ソニックブレイドの背後から戦闘機が現れ、次々にミサイルを放っていく。
テロリストの基地はあっさり陥落する。

もはや涙を流していないえる「テロリストの基地・・・?ただの病院じゃない。」



このアメリカの暴挙に世界は黙っていなかった。
イギリスと日本はアメリカを支持したが、フランス、ドイツ、ロシア、中国が激しく非難。
ソニックブレイドによって一時的に地球は統一されたが、傲慢なアメリカに対する反逆の狼煙はすぐに上がった・・・

中露首脳会談
チンジャオ国家主席「なぜアメリカの移民の壁を我々中国が作らなきゃいけないアル!」
ロシアのゴーゴリ大統領「中東が倒れた今、アメリカの次のターゲットは我々だ。
チンジャオ同志、あのロボットが強大だとは言え、たった一機。
戦術核兵器ツァーリボンバーの敵ではないと思うが。」
チンジャオ「やられる前にやるアルか・・・」

これが、アメリカ単独主義に対する最初の反乱――チンジャオ・ゴーゴリの乱だった。



ロスアラモス
デスクにプリントを置くフェイ「今回の戦闘データです。」
マルス「どうも。」
マルス「・・・・・・ひどいな。」
ロイド「どうかしたか?機体が損傷したなら任せておけ。」
カレル「あたしのコンピュータは最高ざんしょ?」
マルス「ソニックブレイドによる敵の犠牲が2桁も増えた。」
ロイド「戦争だからな。」
マルス「もともとソニックブレイドは、人類を守るために怪獣と戦う兵器だったはずだ。
ソニックブレイドが殺傷した怪獣は何体か知ってますか?」
カレル「え~と、39体くらい?」
マルス「たった1体ですよ。
しかし・・・人間の犠牲者は10万人を超えた・・・
もはや、このパイロットは人を殺すのをためらわなくなった。
ぼくらはとんでもない怪獣を産んでしまったんじゃないか?」
ロイド「戦いの中で勇敢に成長したんだろ。」
マルス「成長って・・・何も感じなくなることなんですか?」
フェイ「ボス。その件でお話が。」



電子頭脳実験室に呼ばれるマルス
マルス「きみが口をきいてくれるなんて珍しいね。」
フェイ「要点を手短に話します。」
診察モニターにパイロットの脳波を表示させるフェイ。
フェイ「これはソニックブレイドのコックピットにあるBMIが測定したパイロットの脳波です。このスペクトルで、パイロットの感情がわかります。
初期は、不安、恐怖、悲しみが多いわね。」
マルス「知ってる。」
フェイ「この脳波を電気信号にしてソニックブレイドに送っている。」
マルス「それも知ってる。」
フェイ「・・・そう思ってた。」
マルス「・・・え?」
フェイ「これが今の脳波。何も思考をしていない。
さっきの脳波が送信だとしたら、これは受信。」
青くなるマルス「何を受信しているんだ?」
フェイ「もはやソニックブレイドを動かしているのはパイロットじゃない。
パイロットをソニックブレイドが動かしているのよ。」



ハーグの国際刑事裁判所
裁判官「も・・・もう一度おっしゃっていただけますか。」
マルス「とどのつまり、この実験は失敗だったのさ。
ぼくらはあまりに多くのストレスをえるに与えすぎた。
えるはある時から考えることをやめてしまったんだろう。
臆病だけど、優しく・・・純粋だった彼女は・・・いつの間にか勇敢で残酷な戦士になってしまった。それを成長と呼びたいのなら呼べばいい。」



シベリア
戦術核兵器をソニックブレイドに向けて発射するロシア中国連合軍。

える「あちちちち・・・!」

怯える兵士「ターゲットはまだ動いています・・・!」
「神よ・・・」
「二発目・・・!」

える「核兵器なんか地球にいらないよ・・・!」
スペシウムレールガンによって次々に核ミサイル基地が破壊されていく。



米軍の捕虜収容所
ストローズ補佐官の前に引きずり出される、チンジャオとゴーゴリ。
補佐官「おほほ・・・おふたかた。処刑される気持ちはどう?」
チンジャオ「中国共産党は全面降伏するアル!命だけは!!」
ゴーゴリ「お前か黒幕は。大統領はとっくに死んでいるな。やるならやれ。」

廊下
補佐官「あいつらを焚きつけたのがいるわ。捜しなさい。」
頷くキエーザ。

チンジャオ・ゴーゴリの乱は、ソニックブレイドが核兵器をも跳ね返すということを世界に知らしめて鎮圧された。
しかし・・・この反乱の狼煙は、野火となって地球上に広がっていったのだ。



ロスアラモス
研究施設に極秘でやって来る国務大臣。
マルス「ソニックブレイドの電子頭脳はすでに完成していたようです。
ボクらを消しに来たんですか?」
国務大臣「アメリカは世界の警察どころか、世界の敵に成り下がった。
世界中で反乱が起きているし、国内でも反戦運動の嵐だ。」
マルス「ぼくらのせいだとは言わせませんよ。」
国務大臣「ソニックブレイドを止められるのは、君しかいない。」
マルス「核兵器でも止められない最終兵器をなんで僕が・・・」
国務大臣「悠長にしていられない。すぐにストローズに気づかれる。
彼女を救ってあげてほしい・・・」
マルス「彼女?」
国務大臣「君がよく知る人だ。」
マルス「そんなはずない・・・」
国務大臣「深未えるだ。」



えるの部屋
将軍「具合はどうだい?温かいスープを持ってきた。」
ボロボロのえる「今日はあなたひとり・・・?」
将軍「ああ。ソニックブレイドの人工知能は完成した。
軍として礼を言う。」
える「そう。」
将軍「・・・国連が我が国に対して集団的自衛権の行使を決めた」
える「・・・そう。」
将軍「補佐官は、アメリカに対する制裁解除と引き換えに、君一人に戦争犯罪を押し付けて軍法会議にかけて殺してしまう気だ。」
える「もう・・・人を殺さなくて済むんだ。」
将軍「死ぬのが怖くないのかね。」
える「早く死んでしまいたい。」
将軍「君が死んだところで、地獄は終わらないぞ。
アメリカは完成した人工知能を量産化したソニックブレイドに搭載し、最強の軍隊を作るだろう。世界は滅びてしまう。」
える「随分遅かったわね。」
将軍「ソニックブレイドから人工知能のデータを吸い出すのは翌朝だ。
君はあれに乗って逃げろ。そしてロスアラモスに助けを求めなさい。」
える「どうやって、この牢獄から逃げるのよ!」
銃を渡す将軍「恋人と幸せに生きるんだぞ。」

騒然とする軍事基地
キエーザ「なんの騒ぎだ。」
兵士「実験体が将軍を人質に取り、ソニックブレイドを奪って逃亡しました!」
キエーザ「誰がこのことを補佐官に伝えに行く?」

滑走路
ブースターで飛行するソニックブレイドを見送る将軍
兵士「将軍!お怪我は・・・!」
将軍「ない。きみはえるの世話係だったな。」
兵士「は。」
将軍「彼女は変わってしまったと思うか。
自由になった彼女は危険だと思うか。」
首を振る兵士。

ソニックブレイドのコックピットにはマルスの写真が貼ってある。
涙を流すえる「ありがとう・・・」




ロスアラモスの農場を飛行するソニックブレイド。
着陸しやすいようにナイターが点灯する。
緊張の面持ちでひとり、ソニックブレイドが着陸する様子を見つめるマルス。

電子頭脳実験室
カレル「・・・ボスにはなんて?」
フェイ「早く迎えに行ってあげなさいって。」
カレル「いいのか?」
フェイ「私は年上が好きなの。」

ソニックブレイドのハッチが開く。
農場には一本の桜の木が植えてあり、マルスが側に立っている。
ソニックブレイドから降りて、桜の方へ歩いてくるえる。
マルス「・・・桜の木の下で・・・君は言ったよね。」
涙目になるえる「・・・私を忘れないで・・・。」
振り返るマルス「忘れたことなんて一度もない。」
える「わたし・・・こんな体になっちゃったよ・・・」
構わずえるを抱きしめるマルス。



ブラックハウス
新しくアメリカのリーダーになったルーデンス大統領は、ストローズの甥っ子だった。
記者「ブラックハウスの印象は?」
大統領「ん?くろいよ。」
記者「全米各地で暴動が起きていますが・・・」
大統領「ほんとに?ぼく、こわい。」
元国務大臣グリーンスパン「ストローズは賢い。ここまで頭の回る男だったとは・・・見くびっていたよ・・・
ソニックブレイドを失い、アメリカに対する批判が最大になったところで、傀儡を代わりにおいた。」
記者「国内は厭世ムードですが、対外的な戦争は今後も継続するのでしょうか?」
大統領「・・・?なんて言ったの?」



ブラックハウス執務室
新閣僚「現在のロスアラモスは治外法権です。
早急に手を打つべきかと。」
補佐官「わかっているわよ・・・
まず、今度の国連総会で、大統領に世界平和宣言を出させなさい。
ソニックブレイドのおかげで世界から戦争はなくなったと。」
閣僚「世界中に戦争を仕掛けておいてめちゃくちゃな。」
補佐官「それがなに?ソニックブレイドは今なおアメリカが持っているのよ?
世界のどこがアメリカを攻撃できるって言うのよ。
そのすきにソニックブレイドを平和の象徴にするのよ。
あの兵器が殲滅したのは、アメリカの脅威だけ。それは事実でしょう。」
閣僚「それで納得するだろうか。」
補佐官「だから、大統領を変えたのよ。頭を使いなさい。
血なまぐさい戦争は全て前大統領の計画にするのよ。」
閣僚「それでロスアラモスは・・・」
補佐官「あとはほうっておきなさい。
ソニックブレイドが平和の象徴になれば、科学者どもも満足でしょう。
だいたいあの臆病者に何ができるって言うの。
そうね、恩を売っておきましょう。
計画の成功を祝って、新しい大統領が近いうちに勲章を与えると。
この話はもうおしまい。」


退室していく閣僚たち。
秘書「補佐官、国連の深未局長がお見えです。」
補佐官「通しなさい。」

今日子「ごきげんよう。」
補佐官「やっと会えたわね。
中露の反乱については蒸し返さないわ。」
今日子「ふふ・・・何の話かしら。」
補佐官「しらじらしい。世界中のすべての情報は私に筒抜けなのよ。」
今日子「わたくしになにをしろと?」
補佐官「娘の武力解除よ。そしてロスアラモスの施設を閉鎖するの。」
今日子「条件がふたつあります。」
補佐官「聞きましょう。」
今日子「ひとつ。私たちの職員の身の安全を保証すること。
ふたつ。人工知能の実験データは世界に公表すること。あなたの私物じゃないの。」
補佐官「あなた・・・自分の立場がわかっているの?
テロリストとして、ただちに処刑することもできるのよ?」
今日子「ふふ・・・」
その途端、補佐官の首を絞め上げる今日子
補佐官「ぐえええ!」
すごむ今日子「ひとの娘を切り刻んでおいてよく言えるわね。
あの子に、この悪趣味な宮殿ごと吹き飛ばされたいの?」
補佐官「す・・・好きにしなさい・・・!」
首を離してやる今日子。
補佐官「なんて力なの・・・ぜえぜえ・・・」
微笑む今日子「お母さんは怒ると怖いんです。」
補佐官「あのデータを公開すれば、世界中で戦争が起こるわよ・・・」
今日子「あなたみたいな人ばかりじゃないわ。」



ロスアラモス
居住区の並木道で、えるのリハビリを手伝ってやるマルス
マルス「一緒に日本に帰ろう。」
える「はい。」
マルス「で、ガラクタ拾いをやろうよ。」
笑うえる「懐かしいですね。
私はツインテール屋さんがやりたいな。」
マルス「なにそれ?」
える「エビフライの上位互換です。」
マルス「よし、じゃあ、それもやろう。
それで二人で会社を経営して・・・お金を集めたら・・・きみのからだを元に戻す。」
える「元に戻るかなあ、これ・・・」
マルス「オレは天才だぞ。」
える「そうでした・・・ライちゃん・・・わたし・・・強くなれたかな。」
微笑むマルス「なりすぎだ。」

オフィス
カレル「お~い・・・ボス・・・ニューヨークの局長から電話ざんすよ。」
ロイド「あとでかけ直させるって言え。10年ごしのデートなんだ・・・
しばらく二人にさせてやれ。」
カレル「へ~い。」
窓からマルスとえるをみつめるフェイ「・・・・・・。」

並木道
える「高校生のころ・・・バレンタインデーチョコを食べてくれたじゃないですか。」
マルス「うん・・・」
える「あれ・・・一度トイレに落とされたんです。」
マルス「ええっ?」
える「でも、嬉しかった・・・本命チョコだったから。」
マルス「義理だと思ってた・・・」
える「ばか。
もう・・・どこにもいかないで・・・ずっとわたしのそばにいて・・・
おねがい。」
マルス「ああ・・・俺ももう二度と・・・離れたくない。」
微笑むえる「ずっといっしょだよ。」



国際刑事裁判所をあとにするマルス
弁護士「なぜ罪をかぶるような真似をしたんだ?」
マルス「約束したんだ。地球からいじめられても、俺が必ず守るって。」

ソニックブレイド 完
Calendar
<< January 2026 >>
SunMonTueWedThuFriSat
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
search this site.
tags
archives
recent comment
recent trackback
others
にほんブログ村 科学ブログへ にほんブログ村 科学ブログ 恐竜へ カウンター
admin
  • 管理者ページ
  • 記事を書く
  • ログアウト