東京都 練馬区生涯学習センター
メインエントランスには、えるが乗っていたソニックブレイドが展示されている。
える「これって・・・」
寺島「あなたのお母さんが寄贈してくれたの。
けっこう小さい子に人気なんだ。」
える「そうなんですね・・・」
寺島「すごいよね、こんなロボットに人が乗りこんで怪獣と戦っていたなんて。
今は人工知能じゃない。」
える「あはは・・・」
寺島「こっちよ。」
学習スペースに案内する寺島
駆け寄る子どもたち「せんせ~」
寺島「今日はあたらしい先生をつれてきたよ。
深未える先生です。」
エプロンをつけるえる「深未えるです。好きな教科は図工です。よろしくお願いします。」
子ども「せんせい・・・この人大人なの・・・?」
寺島「・・・え?」
える「正真正銘のアラサーです。缶ぽっくり作ってあげるね。」
子ども「なにそれ?」
える「昭和の最高の娯楽です。」
寺島「高校の頃もよく遊んでたよね・・・じゃ、えるちゃんよろしくね。」
缶ぽっくりを作ってあげるえる「できた~!」
子ども「なにこれ、ダサい。」
子ども「あれだろ。このロープを振り回して戦う、フレイル系の武器だろ。」
える「え?ちが・・・」
子ども「おら~!」
缶ぽっくりを武器にされ、子どもたちに袋叩きにされるえる
える「ちょっとやめて・・・いたい!いたい!!」
子ども「やっつけろ~!!」
える「ひいい!助けて・・・!」
沙良「こら!」
逃げていく子ども「ひいい!」
子ども「スイッチでもやろうぜ。」
える「助かりました・・・あれ?どこかで・・・」
沙良「深未えるさんですよね?」
える「え~と・・・」
沙良「愛野沙良です。」
える「愛野さんもいじめを・・・?」
沙良「なかなか周囲になじめなくて。」
える「先生に相談しないの?」
沙良「迷惑かけたくないから。」
える「そんなことないと思うよ。」
沙良「それに・・・」
える「?」
沙良「わたし・・・先生のこと好きだから。」
える「青春ですね!」
あきれる沙良「・・・あなたって本当に頭が悪いのね。私は賢い人が好き。」
える「ごめんなさい・・・やっぱりわたし何もできない。
いじめを受けた子の気持ちならわかってあげられると思ったけど。」
沙良「・・・本当にソニックブレイドに乗って戦っていたの?」
える「・・・え?」
沙良「全人類はあなたを恐れていたというの?」
える「何の話でしょうか・・・」
沙良「とぼけないで。
あなたは数年前、世界最強の軍事力を有していた。
それなのになぜ、自分をさげすむ人間に復讐しなかったの?」
える「愛野さん怖い・・・」
沙良「ひどいいじめをうけて・・・なぜ恨みや憎しみを抱かないの?」
える「う~ん・・・守ってくれた人がいたからかな。」
沙良「あなたは甘ったれよ。自分で何とかせず、結局人に守ってもらっている。
わたしにはそんな人はいなかった。今までも・・・これからも。」
える「私でよかったら・・・」
沙良「いじめを受けた小学生にすらいじめられていたあなたになにができるの?」
える「それは・・・」
沙良「わたしはあなたとは違う。あなたは人より劣っていたからいじめられたけど・・・
私は人より優れているからいじめられた。」
アパート
える「ただいま・・・」
台所のマルス「おかえり。オレも今帰ったところだ。初仕事はどうだった?」
える「小学生には暴力を振るわれ・・・高校生には甘ったれだととがめられました・・・」
絶句するマルス「お前はそこでもいじめられたのか・・・!」
泣いてしまうえる「あたし・・・なにもできない・・・年を食っただけ・・・うう・・・」
マルス「まだ、初日だろ・・・ほら温かいスープ。」
える「でもなんで、あの子はわたしがロボットに乗ってたこと知ってたんだろう・・・」
マルス「?・・・今なんて言った?」
える「センターに来てた女の子がソニックブレイドのこと知ってたんです。」
マルス「もしかして・・・愛野沙良か。」
える「え・・・?」
マルス「やっぱり、いじめられていたんだ・・・
ほかになんて言っていた?」
える「・・・忘れちゃった。」
マルス「思い出せ。」
える「やだ。」
マルス「オレの教え子なんだぞ。守ってやらないと。」
える「あの頃のわたしみたいに?」
マルス「何言ってんだよ。」
える「ライちゃんのこと好きなんだって・・・」
マルス「ただの子どもの言うことだ。からかってんだよ。」
える「ちがう。その気持ちだけは私にだってわかるよ・・・本気だって・・・」
・
夜
真っ暗なマンションの部屋。
スマートフォンが鳴る。
沙良「はい・・・
計画の唯一の障壁ですが・・・脅威ではないと断言できます。
マルスライには野心がないし、深未えるは総じて愚かです。
会長に批判的な人間は東京で4万人。
スマートフォンですべて追跡可能です。
ご命令とあらば・・・グリッドブレイドで。」
スマホを切る沙良。
沙良「だから、スマートフォンは嫌い。」
マンションの部屋にはサーバーが所狭しと並んでいる。
・
東京都庁
移民反対のデモ隊が集まっている。
都庁の会議室
寺島「・・・日本の移民政策は失策だと思う?」
今日子「・・・いささか性急すぎたのかもしれないわね。」
寺島「国連がそう言うか。」
今日子「推進派は移民をていのいい労働力としか見ていないし、反対派はすべての移民を侵略者だと思っている。どちらも根底にあるのは差別よ。
そういった感情を無視して、グリッドライン社は世界中に圧力をかけた。
まあ、気持ちはわかるわ。安全圏での判断は、えてして現場の実態を無視したものになる。
ある人にそう言われたことがあったから。」
寺島「誰に?」
今日子「あなたの教え子よ、明日香。」
窓の外では警視庁の機動隊が集まってくる。
寺島「で・・・世界危機管理局WEMAの局長が何の用?」
今日子「うちの職員が不穏なやり取りを傍受して。杞憂だといいのだけど。」
高校
授業をするマルス
生徒全員がスマホをいじっている。沙良は欠席している。
学習センター
子どもたちにもみくちゃにされるえる
える「だからそういう遊び方じゃないって・・・!」
どこかの高い場所に上っている沙良
コントローラーを操作する。
グリッドライン社
受話器を握るモートン「会長。ラブクラフトからです。」
メトロン「やってくれ。」
モートン「グリッドブレイド発進!」
沙良がコントローラーのスイッチを押す。
世界中に配備されたグリッドブレイドが勝手に動き出す。
東京都庁に現れるグリッドブレイド。
巨大ロボットを見上げるデモ隊。
デモ隊「こいつを使って移民を皆殺しにすればいいんだ!」
グリッドブレイドの電子頭脳が、付近のスマホの個人情報を読み取り、粛清対象か否かを計算する。
ブオーという轟音を鳴らし、グリッドビームをチャージする、グリッドブレイド。
あたりが白い光に包まれる。
スマートホンのカメラでその様子を撮影する野次馬。
その直後、グリッドビームが矢のように発射される。
その殺人光線は、グリッドライン社に批判的な人物だけを奇麗に射抜き、白い灰に変えていく。
悲鳴があがる。
逃げ出すデモ隊を一人残らず抹殺していくグリッドブレイド。
会議室
青ざめる寺島「なんてことなの・・・」
冷静に紅茶を飲む今日子「スマホって持ってる?」
IDOの携帯電話を取り出す寺島「ガラケー。」
今日子「なら安心なさい。標的ではないわ。」
ロボット兵器による大虐殺の様子を見下ろす沙良
「人類なんてタダの虫けらね。」
高校
黒板を向いて授業をしているマルス。
生徒は窓の外を見て騒いでいるが、マルスは無視している。
恐怖におののき、教室から逃げ出していく生徒たち。
チャイムが鳴る。
マルス「~というわけで、日直さん、号令。」
教室にはだれもいない。
マルス「とうとうボイコットか。」
学習センター
子どもに叩かれるえる「暴力反対!」
その時、地面が振動する。
怯える子どもたち。
える「・・・ダメ!慌てないで!机の下に隠れるの!」
泣き叫ぶ子ども「せんせ~!」
子どもを抱きしめるえる「だいじょうぶ!みんなは先生が守るから・・・!」
人々を蹂躙するグリッドブレイド。
誰もいない高校
屋上
遠くには火の手が上がっており、グリッドブレイドが進撃している。
沙良「・・・終わったわね。」
マルス「やっぱりここにいた。」
沙良「・・・マルス先生・・・」
マルス「学校になじめない卑怯者は大体ここに行く。」
沙良「いつから気付いていたんですか?」
マルス「これでもコンピュータは強いんだ。」
沙良「・・・あ~あ・・・バレちゃった。先生のこと好きだったのに。」
マルス「ぼくらが開発したロボットが悪用されるのは胸が痛いな。」
沙良「いじめっ子を黙らせただけです。」
マルス「きみがいじめを受けたのは、優秀だからじゃない。高慢だからだ。」
沙良「いじめを生徒本人のせいにするなんて、ひどい教師ね。」
マルス「ああ・・・
とはいえ、クラスの連中がきみをいじめていい理由にはならないし・・・
それを防げなかったのは、教師である私の責任だ。すまなかった。」
沙良「先生がいじめを止めても、私はこのスイッチを押しましたよ。」
マルス「そうか・・・かわいそうな子だな。」
沙良「そんな風に言うのはやめて。警察に突き出すなら突き出してよ・・・!」
マルス「そんなことするわけないだろ。
可愛い教え子は守ってやる。」
沙良「4万人殺したのよ・・・!」
マルス「それがどうした。オレのフィアンセは10万人殺した。」
すると、ソニックブレイドが現れ、暴れるグリッドブレイドを破壊する。
沙良「うそでしょ・・・
あ・・・あたしの・・・グリッドブレイドが・・・」
膝をついて崩れる沙良。
マルス「きみにそのボタンを押させた奴に言え。
世界は一部の金持ちの思い通りにはならないって。」
・
夕暮れ
グリッドブレイドから守られた学習センター
ソニックブレイドのコックピットでふうと息を吐くえる。
コックピットを降りると、子どもたちが駆け寄ってくる。
「せんせ~こわかったよ~!」
子どもの頭をなでる「わたしにはこの仕事しかないのかな。」
・
都庁
テレビニュースでソニックブレイドに倒されるグリッドブレイドのニュースが流れる。
寺島「いったい誰がソニックブレイドに乗ったの?」
立ち上がる今日子「あなたに預けて正解だったわ。」
寺島「どこへ行くの、今日子。」
微笑む今日子「侵略者の後始末。」
・
夜
マンションの部屋を引き払う沙良。
サーバーのすべてのハードディスクを叩き壊し、証拠隠滅を図る。
マンションから野外に出ると、腕だけになったグリッドブレイドにつかまれる。
沙良「・・・やめて離して!」
今日子「あなたのロボットに殺された人の気持ちがわかったかしら?」
沙良「・・・誰なの?」
今日子「ごあいさつがおくれましたわ。世界危機管理局局長の深未今日子と言います。」
沙良「深未・・・」
今日子「くだらないラジコンでとんでもない虐殺をしてくれたわね。」
沙良「くだらないラジコンを世界にばらまいたのはあなたでなくて?」
今日子「だから怒っているの。
私はソニックブレイドを世界平和のために提案した。」
握り締められる沙良「いたい・・・!」
今日子「周到な計画だったわ・・・証拠がないから、あなたの罪は裁かれない。
でもね・・・わたくしはマルスくんと違って甘くないの。
だって、あなたの本当の正体を知っているから。」
沙良「もう許して・・・差別主義者を粛正したほうがいい星になるでしょう?」
今日子「この異星人の面汚し。
あなたの悪行でザラブ星人すべてが今後、いわれのない差別や偏見を受けるのよ。」
沙良「ふふふ・・・悪行って・・・」
今日子「何がおかしいのかしら?」
沙良「あなたの娘も一緒じゃない・・・!」
鬼の形相になる今日子「死ね。」
グリッドブレイドに握りつぶされる沙良「ぎゃああああ!」
グリッドブレイドの指のあいだからピンク色の血液が流れる。
・
グリッドライン社本社
モートン「世界各地で反逆者は粛清完了。
ただし・・・日本だけが蜂起しました。」
メトロン「失敗したか・・・ザラくんは。
ソニックブレイド・・・まさか帰ってくるとはね。」
『帰ってきたソニックブレイド』脚本②
2025-11-13 18:30:04 (75 days ago)
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