久々に気象学の記事を。非常に興味深いpdfファイルを見つけました。
http://www.cir.tohoku.ac.jp/~asuka/地球温暖化問題懐疑論へのコメント21.pdf
こんな文章をタダで読めるとはネット万歳。この50ページの論文?は2007年のもので、現在はさらにどれほど研究が進んでいるのかはわかりませんが、地球温暖化について興味のある人はけっこう面白いと思います。
なんでこういう情報をテレビはとりあげないのかなあ?少なくとも私は、こんな情報テレビで見たことないもの。せめて本にまとめてほしいなあ。
この人たち(共同執筆)は温暖化研究の最前線で戦われている方々で、地球の謎と同時に、なまじ中途半端に知識のある始末の悪い懐疑論者(私だ)とも闘っていて、そんな人たちの懐疑論を次々にプロの立場から反論しているのですが、これ・・・やっぱり面白いから重要な部分をかいつまんで、このブログにも取り上げたいなあ。
こういう見解って少しでも多くの人に知ってもらいたいし、著作権があるかもしれないけど、そんなの(←暴言)より、この人たちは地球温暖化否定論者をなんとかしたいと思っているだろうから・・・
まあ、とりあえずクライトンのように地球温暖化問題に対する私の立場を整理します。
①地球温暖化は確実に起きている。
②地球温暖化の原因の一つにおそらく二酸化炭素が関わっている。
③ただし地球の平均気温の上昇に、人間の活動がどれだけ関係しているのかは分からない。
④過去400年を考えれば20世紀に入って平均気温の上昇スピードは急激に上がっている。
⑤とはいえ万年スケールのグラフで見ると、2万年前ごろから(人類が化石燃料を使用する以前)から急激に二酸化炭素濃度が上がっている。
しかし1990年の二酸化炭素濃度をふまえると、その現象の2倍近い二酸化炭素の増加が超急激に起きていることも分かる(人間のせい・・・?)。
⑥億年スケールになると二酸化炭素濃度の増減のグラフから規則性を見出すことは私にはできない。だってメチャクチャだもの。
(これらのグラフは大学でもらったものです。)
⑦億年スケールの二酸化炭素濃度には地質学的に大規模な地殻変動が関係している。
⑧古生代石炭紀の二酸化炭素濃度のべらぼうな高さ(0.3%!)を考えると、現在の二酸化炭素濃度は地球の歴史でも最低に近い。
⑨・・・とはいえ過去に遡れば遡るほどデータの精度はアバウトになると思う。
⑩人間の活動がどれだけ関係しているのか分からないからと言って、私は環境破壊は肯定してません。
⑪このまま二酸化炭素の排出を放っておけば、環境はおかしなことにはなると思う。
⑫ただ経済問題や資本主義などの国際社会の構造に大きな変革が起こらない限り、こんなスケールの大きな問題はどうにもならないと思う(研究を否定はしてない)。
⑬・・・で私の予想では、人類はいつか深刻な異常気象が起こってとっても痛い目に逢って、初めて世界が真剣にこの問題に取り組むと思う。
⑭この問題には複雑系(予測不可能性)の概念が重要である。
⑮「地球温暖化はどうにもならないかもしれない。予測ができないかもしれない・・・」と言って、ニヒリズムや厭世主義に陥って、気象学の研究や、環境問題への取り組みを放棄することはよくない。
私たちもいずれ死んでしまうが、だからといって人生を放棄しろなんて思想はおかしいから。
⑰でもそのうち人類も滅んで、人類がメチャクチャにした?環境が再び安定するのは、過去の大絶滅をふまえれば、ほぼ確実だと思う。
⑱地球を制御なんてできない。だが地球の謎を解明するのは意義がある。人類の科学は「無知の知」から「出来ないことの知」にステップアップすると思う。つまり分を知るのだ。
⑲どれだけ地球温暖化に人間が関係しているか分からないからこそ、気象学の研究はとても重要だと思う。
⑳そして不確定性原理を考えれば、地球温暖化に人間が関与していないという見解は大間違いだ。
かつて私のテーゼをK氏が誤解しちゃって慌てて訂正したことがあるのですが「私は地球温暖化にまつわる一部の問題には懐疑的だが、地球温暖化を全否定はしていない」ということ。
このpdfファイルの執筆者は、地球温暖化問題の懐疑論者に本当にうんざりしていて、懐疑することそのものにも批判をしちゃっていますが、私は科学において疑うことは大切だと思う。
でもダーウィニズムを全否定するように、まったく建設的でない懐疑論って言うのはあるw。そういう人たちのことを執筆者は問題だと言っているのでしょう。
地球温暖化を研究するってことは、この論文でも書かれているように、エネルギーの多様化や技術の進歩にもつながりますし、環境よりも進歩をとった「いきすぎた工業化」で、しっぺ返しを食らったドイツは今やエコ先進国。
ただエコをダシに使った企業の資本主義は私は嫌い。偽善の環境保護論者は絶対にいます。そして資本主義、市場原理主義を何とかしない限り、地球の問題ってどうにもならないと思う。
貧しい国は日々の生活の為に森林伐採するわけで、そういう国の為に、できる限り環境に影響を与えない科学技術の開発にこそ、積極的に予算を投入すればいいのに。
でも恐怖の「ハイリスク・ノーリターン」って場合もあるから頭の中のソロバンがちらついちゃって厳しいんだろうなあ・・・長期的な視野こそこの問題は必要なのに。
この論文で私が一番為になったのは、二酸化炭素、メタン、フロン、一酸化二窒素は、赤外線吸収の王様「水蒸気」があまり吸収しない波長の電磁波を吸収するということ!(36ページ)
ならば二酸化炭素のふるまいは地球温暖化問題において、確実にその存在感を主張していることになります。
地球温暖化問題懐疑論へのコメント
2010-06-09 02:18:01 (13 years ago)
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