人為的排出二酸化炭素温暖化説について

 「地球温暖化問題懐疑論へのコメント」を基に、「人為的排出二酸化炭素温暖化説」(人間が排出する二酸化炭素が現在の地球温暖化の主な原因になっているという説)を整理したいと思います。
 ちなみに言うまでもなく以下の文章は私の“感想”でもあり、しっかりと読み込みたい方は原文をご覧になってくださいね。


①人為的排出二酸化炭素温暖化説は世界中の学会で合意がほぼできている

 一部「この説の証拠を出せ!」という否定派がごく少数ながらいるものの、彼らが要求するのは対照実験による証拠の提示であり、それには地球がもう一個とタイムマシンが必要です(5ページ)。
 このつっこみは笑ってしまった。この問題って本当に「進化論VS創造論」と似ていると思う。地球温暖化も大進化も膨大な時間スケールによる複雑なメカニズムの「結果」なので、対照実験などはできないものの、複数のデータが地球温暖化の存在を示しているし、それを全否定するというのはいくらなんでもデータ無視の暴論。科学の話ではないと思います。
 建設的な議論と言うのは、地球温暖化問題の是か非かではなく、その現象が起きているという前提の上で、どれだけ(人類の都合のいい)環境にとって深刻なのかを詳しく調査することだと思う。
 「はじめに」でもしっかり書かれているように「地球温暖化問題にはいくつかの不確実性が残っている」。しかしだからと言って、地球温暖化を否定するのはおかしいんです。
 ※ただ私の立場は前の記事でも書いたように、地球温暖化にどれだけ二酸化炭素が影響しているか・・・その因果関係は分からない。というスタンスです。


②アメリカの温暖化懐疑派を裏で操っているのは石油メジャー「エクソンモービル社」(7ページ)

 ブッシュ政権の時、アメリカは地球温暖化の“問題”に懐疑的な立場・・・「そこまで地球は深刻でもないだろ?」みたいなスタンスをとっていた記憶があるのですが、やはり石油会社にとっては、化石燃料の使用量削減を国際レベルでやられちゃうと厳しいから、資金をばらまいて懐疑派に運動をさせていたんでしょうね。

 経済問題や政治的問題と科学の問題は厳密には不可分ではないかもしれませんが、私は分けて考えないとわけが分からなくなると思います。
 科学のデータに特定の思想はありません。問題は人間の先入観(肯定的だろうと否定、懐疑的だろうと)。先入観によって同じグラフを観ても「影響は大きい」と言う人もいれば「影響は相対的には微々たるものだ」と言う人もいる。
 しかしデータ自体は、基本的には客観的。厳密には研究者及び観察者のデータ収集の方法にも関係するから、これも難しいんだけど・・・
 そのために製薬の現場などで行われる「二重盲検法」(患者はおろか医師=観察者にも実験の内容を秘密にした上で実験をやらせて、先入観や手心を排除すること。プラセボ効果や、教育で言うなら教師期待効果=ピグマリオン効果を排除する)や、学会や「ネイチャー誌」があるのでしょう。


③ヨーロッパは日米に比べて、温暖化懐疑論をメディアがあまり取り上げない

 この姿勢はジャーナリズの精神「客観・公平」「少数意見を尊重し、多様な意見を取り上げる」を考えるとダメなのでは?という感じもしますけど、地球温暖化が実際起きているという説が、もはや学会で充分なコンセンサスを得られているのに、懐疑論も同じく取り上げてしまうと、視聴者は「なるほど。温暖化の問題は肯定も否定もどっこいどっこいか」と感じてしまう場合があるそうです。
 個々の論文は最新のものであっても、必ずしも現在の科学知識を代表するものではない。ということを胸において報道してほしいと言っています。本当恐竜の論文なんかもそうかもなあ・・・


④温暖化グラフには「不確実性」はあるものの、いきすぎた懐疑論はよくない

 温暖化の原因には太陽の活動や、人間登場以前から続く地球の自然な活動、ヒートアイランド現象も関わっていることは確かだけど、だからといって温暖化を過小評価してはいけないということ。
 また懐疑論はいきすぎた批判どころか、事実誤認(データの読み違い)をしている場合も多いようです。
 以下は懐疑論者に対する詳細な反論で面白いものをピックアップ。

1.「全球(=地球全体のこと)平均気温」を算出する時には、陸地だけでなくちゃんと海上の海面水温の観測データも用いている。

2.ヒートアイランド現象などのローカル(=局地的)な現象を補正してデータは出している。全球平均気温上昇に対するヒートアイランド現象の貢献度は小さいらしい(12ページ)。

3.世界中を探せば、気温の下がっているところ(アメリカ南東部、グリーンランド南東沖)もあるけど、全体的に見れば地球の平均気温は確実に上がっている。南極の気温上昇は他の地域に比べて遅れる(南極周辺の海域は深層との海水の混じりが大きいため)というのは専門家の間では常識。

4.衛星による観測データでは温度上昇がみられない・・・というのは最近の研究では覆っている。

5.地球温暖化の原因が二酸化炭素だけなんて誰も言っていない。

6.過去150年の平均気温上昇のグラフを見ると、自然要因(火山活動+太陽変動)だけでは明確な気温上昇は確認できないが、これに人為的要因をプラスすると平均気温が急激に上がっていることが解る(14ページ)。

7.平均気温が急上昇した20世紀では太陽活動は活発化していない。

8.宇宙線が雲の形成に影響を及ぼし、その雲が温暖化のメカニズムの原因になっているというのは、理論的証明が不十分でちょっとわからない。

9.グローバル・ディミング(日射量減少による地球の気温低下)はローカルな現象である。

10.大気汚染も温暖化に貢献はしているものの、影響は二酸化炭素に比べて小さい。むしろ汚染された大気は、雲のアルベド―や寿命に影響を与え、地表気温を下げる効果もある(負のフィードバックと正のフィードバックのことだと思う)。

11.海面水位は付近の海流の自然変動や、地盤変動によっても影響を受けるので、単純な話じゃない。海面水位が起きていない局所的な事例をもとに、全体的海面上昇傾向を否定するのは無茶。

12.二酸化炭素が増えたから気温が上昇しているのではなく、気温が上昇したから二酸化炭素量が上がったという説は、ちょっとおかしい。
100年程度のタイムスケールで自然状態(人間が化石燃料を燃やす前)の二酸化炭素量の増大は平均気温上昇に全く影響を与えてないわけでないが微小である。

13.人間がほとんどいないようなハワイのマウナロアでも平均気温は上がっている。これは地球全体の平均気温が上がっている事を示す。

14.アイスコアのサンプルを調べると過去40万年間の間で20世紀が急激に二酸化炭素量が増えている事が解る。

15.海ではエルニーニョが起こると、海面温度は上がるが、二酸化炭素は減る。よって海面温度が上がり、それにより二酸化炭素が増え、地球温暖化が起きている・・・という解釈はおかしい。

16.「気温が原因で二酸化炭素の量が変わる」と「二酸化炭素が原因で気温が変わる」と「近年100年の気温上昇は二酸化炭素が主な原因」の三つのテーゼは矛盾しない。

17.エルニーニョによって二酸化炭素が増える・・・ように見えるのは、エルニーニョが森林火災をもたらすため。

18.海はまだ大気中の二酸化炭素を吸収してくれている(海洋プランクトンが二酸化炭素を吸収し、海の底に持ってっちゃうから)過渡期なだけ。表層水と深層水が入れ替わるのは1000年ほどかかる。短時間では分からないってこと。

19.産業革命からの人為的排出二酸化炭素量の累計350ギガトンは、産業革命以前の大気中二酸化炭素量の約7割。つまり僅かずつだが着実に大気中の二酸化炭素の貯金残高は増えている。これは自然界での炭素循環過程では処理しきれない量であるらしい。

20.化石燃料由来で排出された二酸化炭素は炭素14の含有量が自然排出に比べて少ないので、炭素14の濃度変化を見れば、どれだけ人間が関わっているかが解る。

※二酸化炭素が熱放射に影響しているというのは、前の記事で取り上げたので割愛。

 しかしもはや人為的排出二酸化炭素温暖化説は有力な説であるということみたいですね。問題はこのままいくと環境に何が起きるかということ。
 これまで起きていた自然な氷期、間氷期のバランスが崩れるという話もあるらしいですけど・・・そこまで話のスケールが大きくなっちゃうと私にはついていけない・・・
 この論文でなぜか「億年スケール」の話がカットされていたのは残念。中生代ジュラ紀は超地球温暖化だったけど、恐竜は適応してましたからね。人間には適応できないってことなのかな?

 追記:このサイトも解りやすくてオススメです。なにしろ慎重だし。独立行政法人万歳!
http://www-cger.nies.go.jp/qa/4/4-1/qa_4-1-j.html
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