37.どうでもいい変異が脚光を浴びる時

 そんなよく分からない研究ばっかやってないで、少しは金になることをやってよ。うちだって決して裕福じゃないんですからね。
 ・・・こんな風に奥さんになじられた学者はかつてどれほどいただろうか??あ、星の数と一緒か。

 しかし、そんな一見何の役に立つのか分からない道楽的な研究が、時代が変わると途端に重要度を増すことがある。
 中立進化もそれと同じだ。生物は命にかかわらない部分で、どうでもいいような変異を分子レベルでたくさん繰り返しているが、それが何かの拍子でとても重要な意味を持つかもしれない。
 たとえば殺虫剤が全然効かない遺伝子を持つハエが(仮に)いたとする。こいつの形質ははっきり言って、人類が誕生し殺虫剤を発明するまでは、ほんとどうでもいいものだったが、人類がハエにキンチョールを噴射した時から彼の存在価値は急上昇した。
 持っててよかった「耐殺虫剤性」である。

 このような遺伝子の多様性は、環境が必ずも不変じゃない地球の歴史において生物が編み出した大きな特徴の一つである。
 意味があるとかないとかじゃない。いろんな奴がいるということ自体に意味があるのだ。
 生物の進化とは自然環境=地球との相互作用のようなものである。常に気ままに変わり続ける環境に振り回されながらも、それでも生物が何とかやってこれたのは、その時の環境に全ての生物が完全に適応したからではない。けっこうテキトーに適応したからだ。どうせ今の環境だってまた変わるんだろ?と。いちいち付き合ってられねえぜ、と。

 たとえば中生代ジュラ紀。体重55トンに及ぶ巨大なブラキオサウルスが偉そうに闊歩している時、その足もとでネズミくらいの大きさだった我々の祖先はこんなことを思っていたかもしれない。「はいはい。どうせお前らのブームだってその内終わるよ」と。
 そして地球に原子爆弾70億個相当の巨大な隕石が激突し、環境が激変。恐竜が跡形もなく消滅すると、ついに「イエ~イ!やっと俺たちの時代だぜ~!」と哺乳類が今まで恐竜が受け持っていたポジション(=ニッチ)を一気に埋め始めたのだ。これを日和見進化と言う(凄い名前・・・)。

 進化論のラストはそんなスケールの大きな話、大進化を考えてみよう。
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