今回のイグアノドンでちょうど50回目だし、あのイグアノドンも最初はゴジラ立ち復元をリアルに描写はできないのかな、という無謀な企画に挑戦し見事に失敗(脚の付け根がおかしくなる)、次に現在の復元で描いたんだけど、これも3日間細かなところを微調整し続け・・・結局イグアノドンのイラストに丸一週間かけてしまった!(しかも描き直しすぎて紙がボロボロになって原版は捨てた)
こんな時間食う作業を漫画やりながらはできないわけでね。イグアノドンに関わらず最近私って恐竜イラスト一枚にかける時間がどんどん長くなっちゃって、なんかうしろめたさがある。あ~こんなことやってていいのかオレはみたいな。
だから今回のイグアノドンが私の最後の御奉公。なんかウソ臭いけどまあパラサウロロフス以来半年シリーズも更新していなかったし真実味もあるでしょ?(ない?)
ちなみに芸大出の建築家のへいむさんが指摘していたんだが、恐竜の肩甲骨っていうのはあそこは自然に描くのが最も難しい魔のスポットなんだ。
頸椎の付け根と第一肋骨~と肩甲骨の空間は私は魔の三角地帯と呼んでいる。

ここら辺の処理はイラストレーターによって違うんだけど、肩甲骨の形が分かるよう見せる人もいればグレゴリー・ポール先生のように肩甲骨の先端だけ実線引いてちゃちゃっと処理しちゃう人もいる。
私は例えどんなに平たい骨で、その上に肉と皮がつこうとも、あそこって多少盛り上がったと思っているから、それを表現するのに苦心するんだよな(イラスト参照)…まあ好き好き。
さて恐竜って言うのは言うまでもなくもう現実に生きて存在していないから、絵描きのイメージに負うところがすっごい大きい。前にも美少女イラストとの共通点をコラムで指摘したけど。
萌えイラストや野生動物のイラストなんかは素晴らしい絵がたくさんあってすっごい描き方の参考になるけど、恐竜イラストで参考になり得るリアルな絵ってあまりないんだ。
やっぱ競技人口が多いスポーツほどハイレベルになるのと一緒で、参考資料がやたら多く描く人もたくさんいる美少女イラストなんかピクシブとか見ているとなんかもうすごいところまでいってるわけじゃん。
あれは進化と一緒で、絵の上手い人が上手い人の絵を参考にしてさらに上手く描く技法を開発し、それをまた上手い人が参考にするというチェーンリアクションが起きているわけで、本当美少女ってアートになっちゃっているよなって思う。むかつく。
で、一方の恐竜イラストは、もちろんプロの画家が描いた「絵として」うまい作品もあるんだけど、絵の上手い人って自分の精神性とかを盛るからファンタジックに見えちゃったりと、本当『アフターマン』の話じゃないけど、実際に現実で見たこともないものって人間は本質的に描けないんだよ。
プラトンが言うようにやっぱり絵って言うのは「模倣」に過ぎないんだ。だから模写する「お手本」がないと上手く描けない。
しかし恐竜のお手本は基本化石骨しかない。動物の絵は写真のようにとんでもなく巧いのに恐竜になるとてんでダメって言う人がいるのもお手本がないからなんだろうな。
だから骨をしっかり研究しなきゃいけないんだろうけど、骨に意識が行き過ぎるとそれもまた生きた動物に見えず無機質になっちゃったりするし・・・こんな感じで奥が深いよ、やっぱ。
でも私はあれだね、絵としては下手でもすこしは資料価値になりそうなものを描きたいね。この恐竜のプロポーションってこんな感じか、とか、こういうイメージなのかとか。
あ、描きたいねじゃね~や引退するんだった。