「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」
このへこみはぜったいなおさないよ。一生覚えておきたい思い出だもん。
岡田斗司夫さん曰く映画を構成する3要素は「映像」「物語」そして「テーマ」だそうです。ここでいう「テーマ」とは「作り手の実体験に裏打ちされた人生観が作品に投影されたもの」といった意味合いで岡田さんは仰っているように思われます。
そういった意味で『カーズ』は素晴らしかった、映画の3要素をすべて満たした名作であり、CGアニメクリエイタ―として成功を手にしたラセター監督の“リアルな想い”がルート66やラジエータースプリングスという田舎町によってノスタルジックに表出されていた・・・
だけど『カーズ2』は「映像」と「物語」は文句なしだったが「テーマ」が若干弱かったんだよなあ・・・
そんなことを岡田さんが言ったもんだから、前作の大大大ファンだった私はぞっとしたわけです。やばいやばいやばいぞ!とうとうピクサーもやっちゃったか!?って・・・
しかしそんなものは杞憂でした。「ピクサーに駄作なし伝説」はまた記録を更新したわけです!これ超面白いですよ。つーかピクサー作品で最も好きな作品かもしれない!
あとおそらくキャラクターの数がピクサー史上最多で声優陣もメチャクチャ豪華だったwなにしろ前作のキャラはキャリアカーのマックやフォードのばあちゃんに至るまでみんな前作の声優さんが引き継いでいるし(ジャストミート福沢も健在!)。
その上前作で吹き替えを担当した声優が亡くなっちゃったドック・ハドソンはなんとドック・ハドソンも亡くなったという設定にしたのがすごい。やっぱドックの声は名優ポール・ニューマン氏しかないってことなのか・・・
ドックの病院(≒ガレージ)が『2』では「ドック・ハドソン記念館」になっていてライトニングがそこに獲得したトロフィーを持って行って伝説の数を増やしているのが、泣ける…
で、そのドックが重要なキーパーソンだった前作は熱くも切ないスポーツものでしたが、今作は作風を180度変え(ドリフトした)スパイアクション映画としてとんでもないクオリティのものを仕上げてきた!
これ登場人物を車から人に戻して実写で撮影してもスパイ映画として十分面白いレベルのプロットでして、はっきり言って『ソルト』にぜんぜん勝てると思う(苦笑)さすがピクサー。
なんでこんな事言うかって実はこの映画ってかなりハードボイルドでキャラクターが死ぬ直接的な描写があるんですよ。スクラップにされたり爆発してバラバラになったり・・・これは前作では絶対やらなかったきわどい表現。
まあ基本ジョニーイングリッシュ的なコメディなんだけど。そういやミスタービーン以来久々にリライアントリーガルスーパーバンⅢを見た(爆)
溶け込んでいるな…あのリアルな錆…あれは相当金をかけている。
そもそもジョン・ラセター監督は『ルパン三世カリオストロの城』を見てその物語の出来に感動し、アニメ映画における脚本の重要性を誰よりも知っているお方。
で『カリ城』といえば何と言っても序盤のフィアット500とシトロエン、追手の装甲自動車によるカーチェイスシーン!
私もあのシーン何度もリピート再生したほどなんですが(100回くらい観たw)そのカーアクションが90分コンスタントに続く映画だと思っていただければ、この『カーズ2』はカーマニア感涙の映画であることはお分かり頂けるでしょう。
ラセター監督は『カーズ』にルパンモデルのフィアットである「ルイジ」を登場させ、『カーズ2』の東京のシーンでも看板に「ルパン」とか描いちゃう人なんだから、もう『カリ城』カーチェイスロングバージョンと言っても怒らないと思うんだ。案の定時計塔でクライマックスだし。
というわけで純度100%のエンターテイメント超大作。ぶっちゃけ最近のピクサーって『WALL・E』『カールじいさんの空飛ぶ家』『トイ・ストーリー3』となんか湿っぽい話が続いたじゃないですか。
そこで久々に娯楽作を作ってくれてスカッとしたんですよね。特に『トイ・ストーリー3』なんかDVD買ったんですが、笑えるところはあるものの(「このイモには行儀を教えてやれ」とか)やっぱり作品全体の雰囲気が別れとか終わりとか死とかを連想させるような感じで、ちょっとリピート鑑賞が辛いんですよね・・・DVD買ったら普通なら30回以上は観るんですが、おそらく20回も観ていないんじゃないかな。
その点後半が冒険モノになる『カールじいさん』のほうがまだ見れるかな。あれは30回以上は観たし・・・
とにかく重苦しい映画はいくら好きでも出来が良くても何度も鑑賞して教材的に勉強する気にならんのですよw暗くなるんだもん!
で、最近50回以上見た作業の友的映画が『ナイトミュージアム2』なんだから私の知能レベルが分かるってもんでしょうwそう私はそういう映画が好きなんですw
で『ナイトミュージアム2』の後を継ぐのはこの映画しかないな、とwちびっ子の騒ぐ映画館じゃなくて静かな自室で一人でシコシコ何度も鑑賞してニヤニヤする映画なんだなと思いました。それくらいマニアックなんだもんwそれは前作からだけど・・・
で、まったく脳みそ空っぽな映画なのかっていうと実はそうでもない。テーマが深く掘り下げられていないとか言う人いるけど、これ深く掘り下げようと思えばいくらでも掘り下げれる映画だと思うしそこら辺は受け手のリテラシーによるんじゃないかな。
かなり細部まで作り込まれた映画ですよ。おそらくオタキングはそこまでカーマニアじゃないんだろうな。
まず物語の核となるのが昨今話題のエコなクリーンエネルギー!燃料電池やバイオエタノールですよね。それをいち早く自動車を扱った映画に取り入れたピクサーのアンテナは実に感度がいい(クライトン作品を語る酒井さんみたいな口調になってますがw)。
特にバイオエタノールは穀物価格の高騰の一因にもなっていて、それによって東アフリカの人たちが飢えで困っているわけでなんとも考えさせられます。というか生きるためにまずもって必要な食糧(穀物)は投機の対象にしなきゃいいのにっていつも思うのですが・・・公共料金だって市場の論理とは一線を画しているわけじゃないですか。
・・・で、これは私の主観なのですが、自動車が好きな人ってエコな話が嫌いだと思うんですよ。『こち亀』の秋本治先生とかw(※「げっわしの嫌いなエコ!」と両さんに言わせた)
実際ガソリン式の自動車は二酸化炭素をいっぱい出しているわけで、カーマニアと環境保護論者は水と油なんじゃないかって思ってたんですよね。
しかしここ数年は本当に自動車は家電化する過渡期にあるんじゃないか?って状況になってきて、エコカーなんかのシェアが着実に増えてきた。
もちろんそれでも昔の燃費のメチャ悪い車が好きなマニアもいて、エコカーだって作る時環境汚しているんだよ!とエコブームの欺瞞を指摘したりしてますw
でもなんにせよ化石燃料からの切り替えを世界が真剣に考えるようになってきたことは事実。その現状をさりげなく映画のマクガフィンに組み込むのが本当に作劇テクとして見事!
そして敵の秘密結社「ペッパー」の陰謀とか動機も相当マニアックwこんなマニアックな設定ラセター監督と秋本治先生しか思いつかないよってくらいマニアック!
生産台数が少なく部品の互換性もない、いまいちヒットしなかった悲しい車種ってあるんですね・・・(パソコンや家電もそうですよね)
だからカーマニアの方々は敵の教授などのデザインを見て一発で、ああこれは少数民族問題と少数車種問題をかけているなって分かるんだろうなあ・・・ドイツ車って言うのも憎いw確か東ドイツのトラバントとか紙でできているんですっけ?
んで一見バカっぽいメーターがそういった部品の知識だけはものすごくあって本家のスパイが驚いたってシーンもちょっと胸がキュンとしました。
そうだよな、忘れていたけどメーターはそもそもレッカー車。それにちょっとドジで間抜けだけど、それは華麗なモータースポーツの世界になじめなかっただけで、決して仕事が出来ない男じゃない。仕事をさぼる男でもない。前作の回想シーンや今作の冒頭とラストのシーンでも分かるけど仕事はちゃんとやっているんだ。ちょっと仕事が雑だがw
だから、メーターの違和感を感じるほど偏執的なメカニックの知識は、ラジエータースプリングで長年レッカーの仕事をやってきた賜物なんだよなとか想像したら、フロントガラスが曇ってくる・・・!(泣)
スパイ&カーアクション&仕組まれたワールドグランプリ&新しいバイオエネルギー&石油利権・・・こんだけワクワク要素を詰め込めばそれは男の子なら楽しめないわけがない!
つーことで、やっぱ『カーズ2』はCMがよくないよね。パフュームが出ているあのCMじゃ一体どんな内容の映画か分からないもんw
でも逆にそのCMによって内容が全く分からないまま映画館に見に行けて楽しめたって言うのもあるな・・・ありがとうパヒューム!あれ?ヒュ?フュ?どっち?
どっちでもいいか!カ~ズ…ツ~!!
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