『80日間宇宙一周 Sea of hope』脚本⑦

海の墓場を脱出するリンドバーグ号。
ミグ「ノーチラス号の位置は!?」
ライト「王宮の方へ引き返している感じやな・・・」
ルヴェリエ「ノーチラス号の無線周波数ってわかりますか?」
無線をいじるミグ「わかる。もとは我々の戦艦だからな。」



ノーチラス号
艦橋で紅茶を飲んでいるピカール
ナッシュ「そんな呑気でいいのか?海賊を逃がしちまったんだぜ?」
ピカール「我々がこの星に居座っている以上、連中は我々に接触してくるはずです。」
ナッシュ「どうしてわかる?」
ピカール「海賊というのはロマンチストでね。売られた喧嘩は必ず買うんですよ。その相手がどんなに巨大なネコでもね。」

通信兵「未確認航空機から無線電波を受信!」
ピカール「ほらきた。」

ライト「やい、このエンジン泥棒・・・!」
ピカール「その声は・・・ライトくんじゃないですか。
お久しぶりです。その節はお世話になりました。おかげさまで我々の計画も順調にいってますよ」
「相変わらず慇懃無礼を絵に書いたようなおっちゃんやな!」
「ありがとうございます。」
「でもな、その順調な計画もこれで終いや!あんたらが欲しい「なんたら」っていう隕石のかけらはこっちがもうとる。これが欲しいんやったらとっとと海王星から出ていくことやな!べろべろば~」

ピカール「彼の船の位置はわかりますか?」
通信兵「は。」

ピカール「ごほん、ライトくん。また交渉をしましょう。」
「うるさいわタヌキ親父!お前のいいようにはもうならんぞ!」
「そうですか。その隕石をこっちに持っていただけたら助かるんですけどね。
さもないとウチの短気な軍曹が王宮に向けてメイルシュトローム砲を撃つのを止められません。」

ルヴェリエ「!!」
ライト「なんやと!おい、これ以上たくさんの人間の命を奪うな!!」
ピカール「じゃ、待ってますよ。」
無線が切れる。

ライト「どう思うミグ・・・?ハッタリちゃうんか」
ミグ「確かにメイルシュトローム砲は何度も撃てるものじゃない、ピカールのブラフである可能性は高いが・・・もし本当にやられたら・・・海王国を軍事制圧できる上、圧政のランドマークを壊すことで、さらに労働者たちの心をつかむことができる・・・」
「母さん・・・」
ミグ「しかしそんなことは絶対にさせない。ここはピカールの要求を飲むしかない・・・
ルヴェリエ様、もう一度危険に身を晒す覚悟は?」
頷くルヴェリエ
ライト「上等や。」

海王星の王宮へ向かうリンドバーグ号。



海上キャラバンのレストランで酒を飲むロジャー
「ママ、おかわり。」
ママ「ちょっとあなた、そんなに飲んで体に毒よ。なにかあったの?」
新人「はい。テロリストに海王星が狙われているのに、立ち向かう勇気が出ないみたいなんす」
ママ「んもう、ゴツイ体して情けないわね。」
ロジャー「いいからもう一杯・・・!海賊も時に呑みたい夜があるんだ・・・!」
ママ「あら海賊なら、こういう時こそ男を見せるんじゃないの?」
ロジャー「なに!?」
ママ「この前この私を鈍器で殴りつけ飛行艇を奪っていった坊やがいたけれど、あんな根性のある男の子久々に見たわ。まるで昔のあなた・・・ロジャーちゃんのよう。」
「なんでオレの名を・・・」
「あらん、さびしいわね。この顔を忘れたっていうの?」
絆創膏をはがす
「その夏休みにちょっとした出来心で入れちゃったサザエさんの刺青・・・!
あ・・・あんたは・・・!」
海賊たち「伝説の海賊青ひげ・・・!」
ママ「お久しぶりね。
宇宙最強のテロリスト?それならこっちは宇宙最強の海賊団をやってみましょう。」
ロジャー「なんだって・・・?もしや四天王を集結させるのか!?」
ママ「お安い御用よ。この宙域周辺の昔の友達に集合をかけるわね。」
手帳を見ながらダイヤルを回す青ヒゲ。
「・・・あ、バーソロミューちゃん?お久しぶりです青ヒゲです~デッドマンズチェストの海賊監修の時はお世話になりました。明日辺り暇?ちょっと海王星に来れない?」
「え~ボニーちゃん、なにあなた結婚したの?いや~んおめでと~~!ちょっと水臭いわね、教えてくれたっていいじゃな~い!」
「いいからいらっしゃいドレイクちゃん!」

受話器を置く青ヒゲ「はい、三人は来るって言ってくれたわよ。あとはあなただけ。」
海賊たち「おかしら・・・!」
コンパスの紋章を見つめるロジャー「・・・・・・。」



王宮の上空にノーチラス号が浮いている。

ノーチラス号の前にホバリングするリンドバーグ号。
ライト「隕石は持ってきた。まずは海王星から出て行け。」
ピカール「本物かどうか確認しなければそれはできませんね。まあ中にお入りなさいな。」
ノーチラス号の搬入ハッチが開く。
ライト「いくで・・・」
ノーチラス号の船内に入るリンドバーグ号。

ノーチラス号応接室
ライトがつまむ隕石を眺めるピカール「ふむ・・・」
ライト「どや本物やろ!だから海王星でもう馬鹿な真似はすんな。」
「いや~私も鉱物学の専門家じゃないので本物かどうかわかりませんねえ。
とりあえずメイルシュトローム砲のリアクターにセットして試し撃ちでもしてみないと・・・」
ルヴェリエ「そんな!話が違う!!」
ライト「そう来る思うた。だがホンマにそんなことしてええんかな。」
「?」
「お前覚えてないんか?
生真面目な性格利用して俺のエンジンを盗ませた軍人がおったやろ。」
「そんな人もいたかもしれませんね・・・」
「そいつな、実は今この星に来てんねん。自分のやったことに落とし前つける言うてな。
わからんか?人の心を弄ぶっていうのはそれなりのしっぺ返しを喰らうってこっちゃ。」

ノーチラス号ブリッジ。
ミグ「はああああ!」
艦橋で乗組員を殴り倒していくミグ。
無線を掴むミグ「ライトか?こっちは制圧した。」
内側からロックした扉の向こうで武装したテロリストが叫んでいる。
ミグ「だが長くは持ちそうにない・・・ピカールにコンソールを壊して構わないか聞いてくれ。」

ブリッジの様子を映したモニターを無言で見つめるピカール
ライト「さあどうする?」
ピカール「ふむ・・・どうしてほしいんです?」
ライト「まずはお前らが人質にしてる王族の連中を解放しろ。」
ピカール「わかりました。飲みましょう。」
電話をかけるピカール「ナイアド女王をここへ。」

応接室へ入ってくる女王
ルヴェリエ「母さん・・・・!」
女王「ルヴェリエ!無事でしたか!」
抱き合うルヴェリエと王子。
ライト「よかったな、ルヴェリエ。よ~し、あんたらは先にこの船から脱出してくれ」
ルヴェリエ「ライトさんは!?」
ライト「オレはこのおっさんともう少し話すことがあるんや。あとは任せろ。」
「ライトさん・・・」
「心配するな。海王星は必ず守ったる。」

王族の人質がノーチラス号の連絡通路を歩いていく。ピカールの命令でテロリストたちは手出しができない。
アラゴ「まさか12歳の弟に救われるとはな・・・」
デスピナ「よくもこのわたくしをあんな狭い部屋に閉じ込めてくれたわね!バ~カバ~カ!」

ノーチラス号から人質の乗った船が飛んでいく
窓の外のノーチラス号を見つめるルヴェリエ「・・・・・・。」

応接室
ピカール「いやあ見事ですライトくん。正直驚きました。しかしこちらにも優秀な軍人がいるのをお忘れなく。」
ライト「なんやと?」

ブリッジの扉が爆発して吹っ飛ぶ
作戦台の影に隠れるミグ
ナッシュ「ここは第二艦橋だぜミグ。」
ミグ「・・・あ、あなたは・・・」
ナッシュ「しかし取り返しのつかないことをしたもんだ。お前には失望したよ」
ミグ「ナッシュ・ストライカー軍曹・・・」

ピカール「くっくっく・・・!この巨大な船に艦橋が一つだけだとお思いか?
彼女があの部屋を制圧しようが、我々の作戦には全く支障はないのですよ。」
ライト「じゃあなんで人質を逃がした?」
「あなたの喜ぶ顔が見たくてね・・・・・・母子の再会・・・感動しましたか?」
立ち上がるライト「お前・・・!」
ピカール「おっと、あなたの相棒の彼女がなぶり殺しにされてもいいのかね?」

第二艦橋
ナッシュと格闘するミグ
ナッシュ「懐かしいな、お前に格闘技術を教えたのはこの俺だ。」
ミグ「なぜこんなことを・・・!」
ナッシュ「なぜ?弱いものを救うためだよ」
ミグ「たくさんの人の命を奪った・・・!」
ミグを殴りつけるナッシュ「・・・それがどうした。」
腹を押さえて崩れるミグ
ナッシュ「ほら立てよ、昔はもう少しバイタリティがあっただろ?」
ミグ「はあはあ・・・両親はあなたを信頼していた・・・」
ナッシュ「ああ、しかし星に帰ったオレを待っていたのは誹謗中傷の嵐だった。
冥王星、いや太陽系のために命懸けで戦った報酬がそれだ。
白血病で軍を退役し、ほんのわずかな年金が振込まれるだけ・・・このオレがだ!!」
ミグ「あなたは間違っている・・・」
ミグを蹴飛ばすナッシュ「うるせえ!屋敷育ちのてめえにこの俺の気持ちがわかるか!」

ライト「ミグ!!おい、やめさせてくれ!」
ピカール「では隕石を差し出してもらおうか」
ライト「ミグを逃がしてからや!」
ピカール「わかりました。軍曹もういい加減いたぶるのはかわいそうだ。ひと思いにその女を射殺しなさい。」
ライト「ミグ!」

床にうつぶせの血まみれのミグ「ライト・・・!私のことはいい、絶対に希望の海を渡すんじゃないぞ・・・!」
銃を構えるナッシュ「ミグ。お前は落第だ。」
ナッシュの足を取るミグ「死んでたまるかあああ!」

銃声と同時にノーチラス号が大きく揺れる
ライト「ミグ!!」
ピカール「なんだ?」

ノーチラス号乗組員「か・・・海賊です・・・!」
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